[本編] 国重 昴正 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【サトル】
「じゃあ、開けますね」
ノックをして中に入ると、男は散らかった部屋の中央でぼんやりと座っていた。
【サトル】
「健……お医者さんをやってる友人を連れてきたんだ」
【建】
「…………」
【サトル】
「どうしても部屋から出てこれないなら……、少しだけ、診てもらおう?」
【建】
「……あー……」
まともな返事がない。
少し近付いて顔を覗き込むと、目の焦点は合ってないし、明らかにまともじゃなさそうだ。
だけど――近付いてわかったことがある。
微かにだが、男の体から魔力の残滓が感じられた。
適当にもっともぶった質問をしたり、脈を計るような仕草をして、振り返る。
【クロノ】
「……今は、確かに良くない状態ですね」
【クロノ】
「お薬を飲むことも、今はできないでしょう」
【サトル】
「……そうですか」
【クロノ】
「ですが、この様子なら良くなる可能性があります。もう数日だけ様子を見てあげて下さい」
送っていくという男の申し出を丁重に断って、アパートから少し離れたところまで歩いた時。
俺はさっそく口を開いた。
【クロノ】
「あの男の体から、魔力が感じられた」
【国重 昂正】
「……ほう。つーことは、本当にお前的には、医者にかかるどころか、人間じゃ治せないっていう判断なんだな」
【クロノ】
「うん。だから……多分、俺の管轄内」
【国重 昂正】
「そうか。頼りにしてるぜ」
【クロノ】
「…じゃ、ちょっとこれから死神界に行ってくる」
【国重 昂正】
「早速何かの準備か? いいけど早く戻ってこいよ」
【国重 昂正】
「医者ぶってるお前見て、ちょっとムラムラしてるから」
【クロノ】
「別に白衣着てたわけでもないのにね。お手軽だな」
【国重 昂正】
「そりゃあれだけ、お前のレアなリップサービス見せられたらなぁ」
昂正とキスを交わして、俺は早速死神界へと飛んだ。
【クロノ】
「久し振りだなー、なんか」
【クロノ】
「さて……、じい、いる?」
ここ暫く呼びかけてなかったから、いきなり声をかけてもすぐには来ないだろう。
そう思って待つこと数分。
【アンク】
「お久しぶりでございます、クロノ様!」
【アンク】
「何せ、まさかお呼び出しがかかるとは思っておらずに、支度に手間取っておりました!」
【クロノ】
「ああ、言われてみればヒゲがツヤツヤ」
【アンク】
「久し振りのクロノ様との逢瀬のため、念入りに磨いて参りました」
【クロノ】
「そりゃどうも…、で、早速訊きたいことがあるんだけど」
【アンク】
「はい、何でもお言いつけくださいませ!」
【クロノ】
「今、俺が人間界でやってる探偵の仕事で、とある事件を追ってて」
【クロノ】
「その手掛かりとなりそうな人物に接触したんだけど、そいつの体から魔力を感じてさ」
【アンク】
「ほうほう、なるほど」
【クロノ】
「ちょっと、手を貸してほしいんだけど」
【アンク】
「……! 私も探偵団の仲間入りですな!」
【クロノ】
「……まあ、そういうことになるけど」
【アンク】
「参りますとも! さっそく参りましょう!」
【クロノ】
「いや、待って。俺、きちんと事件の説明すらしてないから」
探偵団に入ることか、俺と久し振りに行動できるのが嬉しかったのかはわからないけど。
じいは喜んで捜査の手伝いを引き受けてくれた。
事情を説明すると、じいは全てを聞き終えた上で頷いて。
前の事件の時から、自分で改造し続けていたリビドーが役に立つのではとそれを傍らに抱えて。
ステルス状態で、俺と一緒に、あの男のいる部屋までやってきた。
【アンク】
「よく眠っておられるようですが…なるほど、確かに魔力を感じますな」
【クロノ】
「これ、やっぱり心の中に潜った方がいいかな」
【アンク】
「そうですね。先ほどの話ですと、精神に何らかの異常があるというよりは」
【アンク】
「魔力によって捻じ曲げられているといった方がしっくり来るような気がします」
【クロノ】
「…わかった。それ貸して」
改造したリビドーを装着し、俺はじいに見守られながら、久し振りの夢の中へとダイブした。
夢の中の男は、すぐに見つかった。
数人の女に囲まれて、うずくまって震えている。
【女】
「好きよ。ねえ、あなたのことが大好き。愛してるの」
【女】
「ねえ、親孝行のために結婚して子供を残すことが正しいの。男として正しいのよ」
【女】
「でも男同士じゃ無理でしょう? だから私と結婚しましょう」
【女】
「私はいいお嫁さんになるわ。ね? だから一緒になりましょう」
しかし、男の耳元で囁いている女達の後頭部には、もう一つ口がついていた。
【女】
「でも私、本命の男の人が他にいるの。あなたは火遊びの対象でしかないの」
【女】
「夜は下手だし、やっぱりホモは駄目ね」
【女】
「お金だけ搾り取ってさよならだわ」
【クロノ】
(確かに、こいつは酷い悪夢だな……)
それでも以前の事件の時のように、夢の中の世界はそこまで深いようには見えない。
出現している悪夢の数も少ないし、狩ることは難しくないだろうと判断して。
鎌を出現させ、夢のほころびを切りつける。
女達はぴくりと動きを止めて、徐々にその姿を消していく。
案の定、そこまで症状は深刻化していなかったようだ。
そろそろ夢から出ようと思った時、頭上からじいの言葉が降り注ぐ。
【アンク】
『お疲れ様でございます、クロノ様』
【アンク】
『彼の様子を見ていて気付いたことがあったので、まずは報告を』
【アンク】
『この夢は、リビドーが見せる夢と同じく、外部から魔力で操作された痕跡があります』
嫌な予感を抱えながら現実に戻ってまもなくして、男は無事に目を覚ました。
不思議そうに部屋の中を見渡している表情には、しっかりと生気が戻っている。
【男】
「あれ…? 俺…今まで……どうしてたんだっけ?」
【男】
「おーい。なんかすっげえ腹減ったんだけど…」
ふらふらと隣の部屋へ向かう男の背中を見送ってから、
俺達もその場所を後にした。
「じゃあ、開けますね」
ノックをして中に入ると、男は散らかった部屋の中央でぼんやりと座っていた。
【サトル】
「健……お医者さんをやってる友人を連れてきたんだ」
【建】
「…………」
【サトル】
「どうしても部屋から出てこれないなら……、少しだけ、診てもらおう?」
【建】
「……あー……」
まともな返事がない。
少し近付いて顔を覗き込むと、目の焦点は合ってないし、明らかにまともじゃなさそうだ。
だけど――近付いてわかったことがある。
微かにだが、男の体から魔力の残滓が感じられた。
適当にもっともぶった質問をしたり、脈を計るような仕草をして、振り返る。
【クロノ】
「……今は、確かに良くない状態ですね」
【クロノ】
「お薬を飲むことも、今はできないでしょう」
【サトル】
「……そうですか」
【クロノ】
「ですが、この様子なら良くなる可能性があります。もう数日だけ様子を見てあげて下さい」
送っていくという男の申し出を丁重に断って、アパートから少し離れたところまで歩いた時。
俺はさっそく口を開いた。
【クロノ】
「あの男の体から、魔力が感じられた」
【国重 昂正】
「……ほう。つーことは、本当にお前的には、医者にかかるどころか、人間じゃ治せないっていう判断なんだな」
【クロノ】
「うん。だから……多分、俺の管轄内」
【国重 昂正】
「そうか。頼りにしてるぜ」
【クロノ】
「…じゃ、ちょっとこれから死神界に行ってくる」
【国重 昂正】
「早速何かの準備か? いいけど早く戻ってこいよ」
【国重 昂正】
「医者ぶってるお前見て、ちょっとムラムラしてるから」
【クロノ】
「別に白衣着てたわけでもないのにね。お手軽だな」
【国重 昂正】
「そりゃあれだけ、お前のレアなリップサービス見せられたらなぁ」
昂正とキスを交わして、俺は早速死神界へと飛んだ。
【クロノ】
「久し振りだなー、なんか」
【クロノ】
「さて……、じい、いる?」
ここ暫く呼びかけてなかったから、いきなり声をかけてもすぐには来ないだろう。
そう思って待つこと数分。
【アンク】
「お久しぶりでございます、クロノ様!」
【アンク】
「何せ、まさかお呼び出しがかかるとは思っておらずに、支度に手間取っておりました!」
【クロノ】
「ああ、言われてみればヒゲがツヤツヤ」
【アンク】
「久し振りのクロノ様との逢瀬のため、念入りに磨いて参りました」
【クロノ】
「そりゃどうも…、で、早速訊きたいことがあるんだけど」
【アンク】
「はい、何でもお言いつけくださいませ!」
【クロノ】
「今、俺が人間界でやってる探偵の仕事で、とある事件を追ってて」
【クロノ】
「その手掛かりとなりそうな人物に接触したんだけど、そいつの体から魔力を感じてさ」
【アンク】
「ほうほう、なるほど」
【クロノ】
「ちょっと、手を貸してほしいんだけど」
【アンク】
「……! 私も探偵団の仲間入りですな!」
【クロノ】
「……まあ、そういうことになるけど」
【アンク】
「参りますとも! さっそく参りましょう!」
【クロノ】
「いや、待って。俺、きちんと事件の説明すらしてないから」
探偵団に入ることか、俺と久し振りに行動できるのが嬉しかったのかはわからないけど。
じいは喜んで捜査の手伝いを引き受けてくれた。
事情を説明すると、じいは全てを聞き終えた上で頷いて。
前の事件の時から、自分で改造し続けていたリビドーが役に立つのではとそれを傍らに抱えて。
ステルス状態で、俺と一緒に、あの男のいる部屋までやってきた。
【アンク】
「よく眠っておられるようですが…なるほど、確かに魔力を感じますな」
【クロノ】
「これ、やっぱり心の中に潜った方がいいかな」
【アンク】
「そうですね。先ほどの話ですと、精神に何らかの異常があるというよりは」
【アンク】
「魔力によって捻じ曲げられているといった方がしっくり来るような気がします」
【クロノ】
「…わかった。それ貸して」
改造したリビドーを装着し、俺はじいに見守られながら、久し振りの夢の中へとダイブした。
夢の中の男は、すぐに見つかった。
数人の女に囲まれて、うずくまって震えている。
【女】
「好きよ。ねえ、あなたのことが大好き。愛してるの」
【女】
「ねえ、親孝行のために結婚して子供を残すことが正しいの。男として正しいのよ」
【女】
「でも男同士じゃ無理でしょう? だから私と結婚しましょう」
【女】
「私はいいお嫁さんになるわ。ね? だから一緒になりましょう」
しかし、男の耳元で囁いている女達の後頭部には、もう一つ口がついていた。
【女】
「でも私、本命の男の人が他にいるの。あなたは火遊びの対象でしかないの」
【女】
「夜は下手だし、やっぱりホモは駄目ね」
【女】
「お金だけ搾り取ってさよならだわ」
【クロノ】
(確かに、こいつは酷い悪夢だな……)
それでも以前の事件の時のように、夢の中の世界はそこまで深いようには見えない。
出現している悪夢の数も少ないし、狩ることは難しくないだろうと判断して。
鎌を出現させ、夢のほころびを切りつける。
女達はぴくりと動きを止めて、徐々にその姿を消していく。
案の定、そこまで症状は深刻化していなかったようだ。
そろそろ夢から出ようと思った時、頭上からじいの言葉が降り注ぐ。
【アンク】
『お疲れ様でございます、クロノ様』
【アンク】
『彼の様子を見ていて気付いたことがあったので、まずは報告を』
【アンク】
『この夢は、リビドーが見せる夢と同じく、外部から魔力で操作された痕跡があります』
嫌な予感を抱えながら現実に戻ってまもなくして、男は無事に目を覚ました。
不思議そうに部屋の中を見渡している表情には、しっかりと生気が戻っている。
【男】
「あれ…? 俺…今まで……どうしてたんだっけ?」
【男】
「おーい。なんかすっげえ腹減ったんだけど…」
ふらふらと隣の部屋へ向かう男の背中を見送ってから、
俺達もその場所を後にした。
