[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
「悲しい奴って言った」
【クロノ】
「人の夢操って、殺して……お前は結局、誰かに褒められたいだけだ」
駆け引きなんかではなく、思った通りの事を口にしていた。
こいつは俺が思っているよりずっと子供なんだと思う。
俺の話を静かに聞いていたユリスは、肩をすくめて開き直ったように話しだした。
【ユリス】
「……そりゃあ、リビドーの事は俺がやったよ」
【ユリス】
「魂を多く狩りたかったからさ、早死にする奴を増やしたかった」
【ユリス】
「出世したいもん、当然でしょ?」
都合のいい理屈で、自分を正当化している。
その思考が……俺には空虚に感じられた。
―――自分のために人を殺すこと、道を踏み外す事を、一切恐れない感覚がおぞましい。
【ユリス】
「クロノ、お前も一緒にやろう?」
【クロノ】
「……は?お前…バカ?」
【ユリス】
「……俺とお前なら出来るでしょ?」
【ユリス】
「お前は死神界でも上手く立ちまわってるし。俺とお前が組めば、出世なんてあっという間」
……馬鹿なことを平然と言ってのける。
こいつの誇大妄想には付き合ってられない。
【クロノ】
「ここで、お前に協力するって、俺が言うと思う?」
【ユリス】
「……思うんだな、これが」
ユリスの顔いっぱいに、ニヤリとずる賢い笑みが浮かぶ。
【ユリス】
「さっきも言ったでしょ。お前はここから出られない」
【ユリス】
「あのじじいにも助けて貰えない」
【ユリス】
「この人間の命も俺が握ってる」
【ユリス】
「それでもお前……断れんのかよ?」
ユリスは嫌な笑みを浮かべて首を傾げた。
全ての命運は自分が握っていると言わんばかりに。
【クロノ】
(……堂々と自分の正体を言うだけある)
【クロノ】
(俺を陥れる準備は出来てるってことだろうな)
【クロノ】
(とりあえず、この場を切り抜けるには……夢のロックを外させないと)
【ユリス】
「で、どうする?やるのか、やらないのか? どっち?」
痺れを切らしたユリスが返答を迫ってくる。
―――俺の答えは、もう決まっていた。静かにゆっくりと、言葉を吐き出す。
【クロノ】
「……わかった。お前に協力する」
ユリスが満足そうな顔をする。
【ユリス】
「へぇ……。最初から素直にそう言ってればよかったのに」
【クロノ】
「お前に追い込まれてなきゃ、協力なんてしないよ」
【ユリス】
「……あいつの事はどうするつもり?」
ユリスが壁に開いた穴の向こうを指す。幻の俺に囚われた春川の方を。
【クロノ】
「……春川の事は諦める」
【クロノ】
「だからロックを外して。春川から、俺の記憶を消す」
【ユリス】
「調査対象なんでしょ?お前に出来んのかよ」
試すように放たれた言葉。
……ここで返答を間違えれば、俺は全てを失うだろう。
【クロノ】
「……やらなきゃ、春川が殺されるんだろ」
【クロノ】
「それならさっさと無関係に戻った方がいい」
【ユリス】
「ふーん。ならやってみてよ」
次の一瞬、ユリスの一切の動きが止まる。
【クロノ】
(……ん?)
ユリスは時間が止まったかのように、微動だにしない。
ほんの1秒程度の奇妙な光景だったが、更に異質なのはユリスの額に綻びが現れた事。
その綻びは―――悪夢の中の化物が持つ特徴と一緒だ。
【クロノ】
(これは………どういう事?)
だが、深く考えている暇はない。
ロックが解除され、春川のいる部屋とコチラがつながる。
【ユリス】
「ほら、早くやってみせて」
ユリスが顎をしゃくって、隣の部屋に促す。
言われた通り、穴をくぐって春川の側に向かった。
春川の額に手を伸ばす―――フリをして、死神の鎌を生成する。
【ユリス】
「……お前……!」
ユリスの声が届く前に、鎌を振り下ろしていた。
俺が両断したのは―――
偽物の背中にあった綻びだった。
偽物は何の抵抗もなく、あっさりとその姿を消す。
……春川に嫌がっている様子はなかったから、悪夢ではないはずだが……不自然だな。
その対象を失った春川はぐったりと床に倒れている。
【ユリス】
「お前、嘘ついたんだ?同胞である俺に対して?」
怒りと不信感に満ちた目が、俺を射抜く。
俺はその目を、真っ向から睨み返した。
【クロノ】
「俺を嵌めようとしたくせに、よくそんなこと言えるな」
【クロノ】
「今はもう……お前のこと敵って認識してるけど」
【クロノ】
「…それと言っておくけど、確かに春川は弱いし、誰かに甘えないと辛くて仕方ないんだろうけど」
俺は倒れている春川に目をやり、ユリスに向き直る。
【クロノ】
「そんなのお前も一緒じゃない?」
【ユリス】
「……俺のどこが、こいつと一緒だって?」
ユリスは憤りを隠せないように、落ち着きなく言う。
【クロノ】
「春川の夢を加工してまで、結局お前も、俺っていう味方が欲しかっただけじゃない?」
【クロノ】
「一人で不正をするのは、心細いから」
【クロノ】
「俺に甘えてるんじゃない?」
【クロノ】
「同じ甘えん坊が二人だったら、春川の方がずっといい」
【クロノ】
「春川はお前と違って他人を陥れたりしないし、ひねくれてもいない」
ユリスが目を見開いて、信じられないという顔をする。
俺はユリスの目をまっすぐ見据えた。
前から言いたかった事を言う。
【クロノ】
「―――お前、俺の事好きなんだろ?」
その言葉が、ユリスのプライドを粉々にしたのが分かった。
さっきまで装っていた余裕はもうない。
顔を赤くして、混乱した言葉を吐き出すだけだ。
【ユリス】
「はあ?! ふざけんなよ!人が話しかけてやっても無視する奴なんか好きじゃねーし!!」
【ユリス】
「俺はお前にも分け前をやろうと思っただけだ!甘えようとしたわけじゃねーよ!」
【ユリス】
「味方を欲しがってるって?!味方なんかいらねーよ!」
【ユリス】
「お前が俺の話を聞かないから、悪いんだろ!?」
ユリスはきっと、怒りに任せて夢に再度ロックをかけようとする。
―――それが最後のチャンスだった。
さっき見た、動きを止めたユリスと、その身体に現れた綻び。
そこを破壊すれば……!
【ユリス】
「お前なんか、一生この夢の中から出てくるな……!」
―――ユリスの動きが止まった。額に綻びが見える。
瞬間、俺は走り出す。
この、動きが止まる瞬間は、恐らく現実世界のユリスが何かを操作している瞬間だ。
狡猾なあいつが、敵陣にわざわざ乗り込んでくるなんて事はないと思うから。
【クロノ】
(こいつは、悪夢の一部…!ユリス本体じゃない……!)
ユリスまで三歩で距離を縮め、その勢いのまま全力で綻びに鎌を振り下ろす。
その途端に、ユリスだった物が光の粒になって消える。
春川と絡んでいた、幻の俺と同じ消え方……。
ということは、春川と絡んでいた幻の俺も、外からユリスがプログラムで仕組んだものなのだろう。
俺は急いで春川の元に戻り、上体を抱き起こして、様子を見る。
……特に変わった様子はない。
リビドーのプログラムから開放されて、意識を失っているだけのようだ。
すぐに現実に戻って春川を夢から救わないと……!
こんな場所に春川を残していくのは本当に不安だけど…。
俺は一人、夢から目覚める。
目が覚めると同時に、俺は春川の様子を確認する。
控えていたじいが、不安そうな顔で俺を見ている。
【アンク】
「無事でございましたか。心配しましたぞ……!」
【クロノ】
「…面倒な事が起きてる」
【クロノ】
「今から言う事、落ち着いてよく聞いて……」
「悲しい奴って言った」
【クロノ】
「人の夢操って、殺して……お前は結局、誰かに褒められたいだけだ」
駆け引きなんかではなく、思った通りの事を口にしていた。
こいつは俺が思っているよりずっと子供なんだと思う。
俺の話を静かに聞いていたユリスは、肩をすくめて開き直ったように話しだした。
【ユリス】
「……そりゃあ、リビドーの事は俺がやったよ」
【ユリス】
「魂を多く狩りたかったからさ、早死にする奴を増やしたかった」
【ユリス】
「出世したいもん、当然でしょ?」
都合のいい理屈で、自分を正当化している。
その思考が……俺には空虚に感じられた。
―――自分のために人を殺すこと、道を踏み外す事を、一切恐れない感覚がおぞましい。
【ユリス】
「クロノ、お前も一緒にやろう?」
【クロノ】
「……は?お前…バカ?」
【ユリス】
「……俺とお前なら出来るでしょ?」
【ユリス】
「お前は死神界でも上手く立ちまわってるし。俺とお前が組めば、出世なんてあっという間」
……馬鹿なことを平然と言ってのける。
こいつの誇大妄想には付き合ってられない。
【クロノ】
「ここで、お前に協力するって、俺が言うと思う?」
【ユリス】
「……思うんだな、これが」
ユリスの顔いっぱいに、ニヤリとずる賢い笑みが浮かぶ。
【ユリス】
「さっきも言ったでしょ。お前はここから出られない」
【ユリス】
「あのじじいにも助けて貰えない」
【ユリス】
「この人間の命も俺が握ってる」
【ユリス】
「それでもお前……断れんのかよ?」
ユリスは嫌な笑みを浮かべて首を傾げた。
全ての命運は自分が握っていると言わんばかりに。
【クロノ】
(……堂々と自分の正体を言うだけある)
【クロノ】
(俺を陥れる準備は出来てるってことだろうな)
【クロノ】
(とりあえず、この場を切り抜けるには……夢のロックを外させないと)
【ユリス】
「で、どうする?やるのか、やらないのか? どっち?」
痺れを切らしたユリスが返答を迫ってくる。
―――俺の答えは、もう決まっていた。静かにゆっくりと、言葉を吐き出す。
【クロノ】
「……わかった。お前に協力する」
ユリスが満足そうな顔をする。
【ユリス】
「へぇ……。最初から素直にそう言ってればよかったのに」
【クロノ】
「お前に追い込まれてなきゃ、協力なんてしないよ」
【ユリス】
「……あいつの事はどうするつもり?」
ユリスが壁に開いた穴の向こうを指す。幻の俺に囚われた春川の方を。
【クロノ】
「……春川の事は諦める」
【クロノ】
「だからロックを外して。春川から、俺の記憶を消す」
【ユリス】
「調査対象なんでしょ?お前に出来んのかよ」
試すように放たれた言葉。
……ここで返答を間違えれば、俺は全てを失うだろう。
【クロノ】
「……やらなきゃ、春川が殺されるんだろ」
【クロノ】
「それならさっさと無関係に戻った方がいい」
【ユリス】
「ふーん。ならやってみてよ」
次の一瞬、ユリスの一切の動きが止まる。
【クロノ】
(……ん?)
ユリスは時間が止まったかのように、微動だにしない。
ほんの1秒程度の奇妙な光景だったが、更に異質なのはユリスの額に綻びが現れた事。
その綻びは―――悪夢の中の化物が持つ特徴と一緒だ。
【クロノ】
(これは………どういう事?)
だが、深く考えている暇はない。
ロックが解除され、春川のいる部屋とコチラがつながる。
【ユリス】
「ほら、早くやってみせて」
ユリスが顎をしゃくって、隣の部屋に促す。
言われた通り、穴をくぐって春川の側に向かった。
春川の額に手を伸ばす―――フリをして、死神の鎌を生成する。
【ユリス】
「……お前……!」
ユリスの声が届く前に、鎌を振り下ろしていた。
俺が両断したのは―――
偽物の背中にあった綻びだった。
偽物は何の抵抗もなく、あっさりとその姿を消す。
……春川に嫌がっている様子はなかったから、悪夢ではないはずだが……不自然だな。
その対象を失った春川はぐったりと床に倒れている。
【ユリス】
「お前、嘘ついたんだ?同胞である俺に対して?」
怒りと不信感に満ちた目が、俺を射抜く。
俺はその目を、真っ向から睨み返した。
【クロノ】
「俺を嵌めようとしたくせに、よくそんなこと言えるな」
【クロノ】
「今はもう……お前のこと敵って認識してるけど」
【クロノ】
「…それと言っておくけど、確かに春川は弱いし、誰かに甘えないと辛くて仕方ないんだろうけど」
俺は倒れている春川に目をやり、ユリスに向き直る。
【クロノ】
「そんなのお前も一緒じゃない?」
【ユリス】
「……俺のどこが、こいつと一緒だって?」
ユリスは憤りを隠せないように、落ち着きなく言う。
【クロノ】
「春川の夢を加工してまで、結局お前も、俺っていう味方が欲しかっただけじゃない?」
【クロノ】
「一人で不正をするのは、心細いから」
【クロノ】
「俺に甘えてるんじゃない?」
【クロノ】
「同じ甘えん坊が二人だったら、春川の方がずっといい」
【クロノ】
「春川はお前と違って他人を陥れたりしないし、ひねくれてもいない」
ユリスが目を見開いて、信じられないという顔をする。
俺はユリスの目をまっすぐ見据えた。
前から言いたかった事を言う。
【クロノ】
「―――お前、俺の事好きなんだろ?」
その言葉が、ユリスのプライドを粉々にしたのが分かった。
さっきまで装っていた余裕はもうない。
顔を赤くして、混乱した言葉を吐き出すだけだ。
【ユリス】
「はあ?! ふざけんなよ!人が話しかけてやっても無視する奴なんか好きじゃねーし!!」
【ユリス】
「俺はお前にも分け前をやろうと思っただけだ!甘えようとしたわけじゃねーよ!」
【ユリス】
「味方を欲しがってるって?!味方なんかいらねーよ!」
【ユリス】
「お前が俺の話を聞かないから、悪いんだろ!?」
ユリスはきっと、怒りに任せて夢に再度ロックをかけようとする。
―――それが最後のチャンスだった。
さっき見た、動きを止めたユリスと、その身体に現れた綻び。
そこを破壊すれば……!
【ユリス】
「お前なんか、一生この夢の中から出てくるな……!」
―――ユリスの動きが止まった。額に綻びが見える。
瞬間、俺は走り出す。
この、動きが止まる瞬間は、恐らく現実世界のユリスが何かを操作している瞬間だ。
狡猾なあいつが、敵陣にわざわざ乗り込んでくるなんて事はないと思うから。
【クロノ】
(こいつは、悪夢の一部…!ユリス本体じゃない……!)
ユリスまで三歩で距離を縮め、その勢いのまま全力で綻びに鎌を振り下ろす。
その途端に、ユリスだった物が光の粒になって消える。
春川と絡んでいた、幻の俺と同じ消え方……。
ということは、春川と絡んでいた幻の俺も、外からユリスがプログラムで仕組んだものなのだろう。
俺は急いで春川の元に戻り、上体を抱き起こして、様子を見る。
……特に変わった様子はない。
リビドーのプログラムから開放されて、意識を失っているだけのようだ。
すぐに現実に戻って春川を夢から救わないと……!
こんな場所に春川を残していくのは本当に不安だけど…。
俺は一人、夢から目覚める。
目が覚めると同時に、俺は春川の様子を確認する。
控えていたじいが、不安そうな顔で俺を見ている。
【アンク】
「無事でございましたか。心配しましたぞ……!」
【クロノ】
「…面倒な事が起きてる」
【クロノ】
「今から言う事、落ち着いてよく聞いて……」
