[本編] 国重 昴正 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その後、俺達はひたすら情報集めに勤しんだ。
そして古林くんが帰った後、俺が淹れたコーヒーでようやく一息つく。
【クロノ】
「あんまり情報落ちてないね。アビスのホームページも連絡手段も軒並み消えてるし」
【国重 昂正】
「こりゃ、自分達の足で情報を探すしかなさそうだな」
【クロノ】
「また歩いて地味に探すの…?」
【クロノ】
「聴き込み調査って…ホントめんどくさい」
【国重 昂正】
「毎度俺にくっ付いてきて、メモ取るだけのくせに何言ってんだ」
【クロノ】
「くっ付いていくってだけで既に面倒なの。俺の特技はステルス尾行だけだから」
【国重 昂正】
「そりゃあ天性の才能だよ。とにかく一度、知り合いの情報屋に訊いてみる」
昂正はコーヒーを飲み干して、外出の準備を始めた。
【クロノ】
「待って、もしかして今から行くの…?」
【国重 昂正】
「昼間だと連絡つかねえことの方が多いからな」
【国重 昂正】
「アポ取る前なら尚更、平日の夜がベストってわけだ」
【クロノ】
「よく働くよ…」
【クロノ】
「じゃあ俺は……もしもの時の為に留守番してようか」
【国重 昂正】
「もしもってなんだ馬鹿。さっさと行くぞ!」
ソファに倒れ込もうとすると腕を引っ張り上げられて、半ば強引に連れ出されてしまった。
歩きながら、昂正は情報屋に連絡を取った。
【国重 昂正】
「やっぱり今日は絶賛稼働中だそうだ」
【国重 昂正】
「路地裏で落ち合うことになったから、そこまで移動するぞ」
【クロノ】
「…なに。まさか空間移動で連れてけとか言うんじゃないだろうな」
【国重 昂正】
「チッ。その方が手っ取り早いと思ったのに」
【クロノ】
「嫌だからね。人連れて移動するのってホント疲れるんだから、タクシーみたいに使わないでよ」
【国重 昂正】
「はいはい、普通に移動しますよ」
待ち合わせ場所について辺りを見渡すと、煙草を咥えた男が物陰から現れた。
昂正は親しげに片手を上げて、そいつに近付く。
【国重 昂正】
「よう、久し振りだな」
【情報屋】
「お前んとこも最近調子良いみてえじゃねえか。こっちまで噂は届いてるぜ」
【国重 昂正】
「ははは、有能な部下が入ったもんでな」
昂正に肩を叩かれたので、男に向かって軽く会釈をする。
【情報屋】
「おーおー、こりゃ格好いい助手じゃねえか。なるほど、そいつのお陰で奥様方からの依頼が増えたってわけだなー?」
【国重 昂正】
「まあそんなとこだ。わははは」
【情報屋】
「まあ、こっちも積もる話はあるんだが、最近忙しくてな」
【情報屋】
「あんまり時間もねえ。早速だが要件を聞かせちゃくれねえか」
詳しい事情や理由を伝えずに『アビス』の様子や評判を尋ねたところ。
別れさせの成功率がとても高く、
特に同性愛カップルからも依頼を引き受けて、うまく対応してくれるというのが強みだという。
また、経営者は裏業界では名の知れた、
グレーゾーンな仕事で金を稼ぐチンピラのような男なのだが。
探偵事務所を始められるほど金を持っていない筈だし。
今までの小金稼ぎの手口とは大きく異なることから、
ほぼ確実に出資者兼ブレインがいる筈だが、その部分は謎に包まれているという。
―――これが、ひとまず得た情報。
情報屋からは得た情報を持って、俺達はとりあえず街へ繰り出した。
【クロノ】
「で、次のあては?」
【国重 昂正】
「俺が用もなく、夜の繁華街をうろついてると思ってんのか」
【クロノ】
「今日のところはひとまず、どっかのホテルにしけこもうとしてるんじゃないかって」
昂正は俺の頭を小突いて、歩調を速めた。
【国重 昂正】
「アビスは、同性愛カップルへの対応が強みだって言ってたろ」
【国重 昂正】
「この辺に、俺の行きつけのゲイバーがあるから、軽くそこで聞き込みだ」
【クロノ】
「ゲイバー…」
【国重 昂正】
「……なんだよ。別にやましいことはしてねえからな」
【クロノ】
「いつから通ってるの」
【国重 昂正】
「大学出たあたり……」
【国重 昂正】
「って別にいいだろ、普通のバーだぞ」
【クロノ】
「はいはい、別にいいですよ」
【クロノ】
「そろそろ眠たくなってきたし、茶化してる暇もないし」
【クロノ】
「で、俺はどうしてたらいい? 隣りにいた方がいいのか、姿消してた方がいいのか」
【国重 昂正】
「あー、そうだな…、俺一人の方が警戒されねえかもな」
【国重 昂正】
「お前は姿消して、適当にその辺うろうろしてろ」
扱われ方の雑さに顔をしかめると、昂正は笑って俺の背中を押す。
それから少し歩いた所に、そのバーは存在した。
俺は一度物陰に入ってから姿を消して、昂正と一緒に入り口を潜る。
【クロノ】
「へえ……、ゲイバーってこんなところなんだ」
昂正にしか聞こえないように小声で呟いたけど、反応はもらえなかった。
【クロノ】
「……独りで喋ってるみたいになるの、そんなに嫌?」
【クロノ】
「皆酔ってるから……周りのことなんて気にしてないって」
【国重 昂正】
「……後でちゃんと相手してやるから、ちょっと待ってろ」
【国重 昂正】
「今真剣なんだよ、話しかけんな」
適当にあしらわれてしまった俺は口を尖らせ、仕方なく周囲を見渡した。
店の中にはそれなりに客もいるし、確かに何か話を聞けそうではある。
現段階ではすることもないようなので、
とりあえず、カウンターのスツールに腰掛けた昂正の後ろに立つ。
【ママ】
「あらっ、お久しぶり昂正ちゃん」
【ママ】
「最近のお仕事の方の調子はどーお? うふふ、なーんて、話はうっすら聞いてるわよ」
【国重 昂正】
「はは、まあボチボチやってるよ」
【国重 昂正】
「だけど、うちよりも景気の良いところがあるみたいでさ」
【国重 昂正】
「なんでもアビスとか言う名前らしいんだけど」
【ママ】
「そうなの……、あらいけない、何か飲む? いつものでいいかしら」
マスターに焼酎の水割りを頼んだ後、
昂正は背後から聞こえてくる話し声に耳を傾けて始めた。
振り返ってみると、数人のオネエさん達が世間話に花を咲かせている。
昂正のアンテナが反応したみたいだから、何か有益な情報を話してるかもしれない。
ここは姿を消している俺の出番だなと思い、近付いてみる。
そして古林くんが帰った後、俺が淹れたコーヒーでようやく一息つく。
【クロノ】
「あんまり情報落ちてないね。アビスのホームページも連絡手段も軒並み消えてるし」
【国重 昂正】
「こりゃ、自分達の足で情報を探すしかなさそうだな」
【クロノ】
「また歩いて地味に探すの…?」
【クロノ】
「聴き込み調査って…ホントめんどくさい」
【国重 昂正】
「毎度俺にくっ付いてきて、メモ取るだけのくせに何言ってんだ」
【クロノ】
「くっ付いていくってだけで既に面倒なの。俺の特技はステルス尾行だけだから」
【国重 昂正】
「そりゃあ天性の才能だよ。とにかく一度、知り合いの情報屋に訊いてみる」
昂正はコーヒーを飲み干して、外出の準備を始めた。
【クロノ】
「待って、もしかして今から行くの…?」
【国重 昂正】
「昼間だと連絡つかねえことの方が多いからな」
【国重 昂正】
「アポ取る前なら尚更、平日の夜がベストってわけだ」
【クロノ】
「よく働くよ…」
【クロノ】
「じゃあ俺は……もしもの時の為に留守番してようか」
【国重 昂正】
「もしもってなんだ馬鹿。さっさと行くぞ!」
ソファに倒れ込もうとすると腕を引っ張り上げられて、半ば強引に連れ出されてしまった。
歩きながら、昂正は情報屋に連絡を取った。
【国重 昂正】
「やっぱり今日は絶賛稼働中だそうだ」
【国重 昂正】
「路地裏で落ち合うことになったから、そこまで移動するぞ」
【クロノ】
「…なに。まさか空間移動で連れてけとか言うんじゃないだろうな」
【国重 昂正】
「チッ。その方が手っ取り早いと思ったのに」
【クロノ】
「嫌だからね。人連れて移動するのってホント疲れるんだから、タクシーみたいに使わないでよ」
【国重 昂正】
「はいはい、普通に移動しますよ」
待ち合わせ場所について辺りを見渡すと、煙草を咥えた男が物陰から現れた。
昂正は親しげに片手を上げて、そいつに近付く。
【国重 昂正】
「よう、久し振りだな」
【情報屋】
「お前んとこも最近調子良いみてえじゃねえか。こっちまで噂は届いてるぜ」
【国重 昂正】
「ははは、有能な部下が入ったもんでな」
昂正に肩を叩かれたので、男に向かって軽く会釈をする。
【情報屋】
「おーおー、こりゃ格好いい助手じゃねえか。なるほど、そいつのお陰で奥様方からの依頼が増えたってわけだなー?」
【国重 昂正】
「まあそんなとこだ。わははは」
【情報屋】
「まあ、こっちも積もる話はあるんだが、最近忙しくてな」
【情報屋】
「あんまり時間もねえ。早速だが要件を聞かせちゃくれねえか」
詳しい事情や理由を伝えずに『アビス』の様子や評判を尋ねたところ。
別れさせの成功率がとても高く、
特に同性愛カップルからも依頼を引き受けて、うまく対応してくれるというのが強みだという。
また、経営者は裏業界では名の知れた、
グレーゾーンな仕事で金を稼ぐチンピラのような男なのだが。
探偵事務所を始められるほど金を持っていない筈だし。
今までの小金稼ぎの手口とは大きく異なることから、
ほぼ確実に出資者兼ブレインがいる筈だが、その部分は謎に包まれているという。
―――これが、ひとまず得た情報。
情報屋からは得た情報を持って、俺達はとりあえず街へ繰り出した。
【クロノ】
「で、次のあては?」
【国重 昂正】
「俺が用もなく、夜の繁華街をうろついてると思ってんのか」
【クロノ】
「今日のところはひとまず、どっかのホテルにしけこもうとしてるんじゃないかって」
昂正は俺の頭を小突いて、歩調を速めた。
【国重 昂正】
「アビスは、同性愛カップルへの対応が強みだって言ってたろ」
【国重 昂正】
「この辺に、俺の行きつけのゲイバーがあるから、軽くそこで聞き込みだ」
【クロノ】
「ゲイバー…」
【国重 昂正】
「……なんだよ。別にやましいことはしてねえからな」
【クロノ】
「いつから通ってるの」
【国重 昂正】
「大学出たあたり……」
【国重 昂正】
「って別にいいだろ、普通のバーだぞ」
【クロノ】
「はいはい、別にいいですよ」
【クロノ】
「そろそろ眠たくなってきたし、茶化してる暇もないし」
【クロノ】
「で、俺はどうしてたらいい? 隣りにいた方がいいのか、姿消してた方がいいのか」
【国重 昂正】
「あー、そうだな…、俺一人の方が警戒されねえかもな」
【国重 昂正】
「お前は姿消して、適当にその辺うろうろしてろ」
扱われ方の雑さに顔をしかめると、昂正は笑って俺の背中を押す。
それから少し歩いた所に、そのバーは存在した。
俺は一度物陰に入ってから姿を消して、昂正と一緒に入り口を潜る。
【クロノ】
「へえ……、ゲイバーってこんなところなんだ」
昂正にしか聞こえないように小声で呟いたけど、反応はもらえなかった。
【クロノ】
「……独りで喋ってるみたいになるの、そんなに嫌?」
【クロノ】
「皆酔ってるから……周りのことなんて気にしてないって」
【国重 昂正】
「……後でちゃんと相手してやるから、ちょっと待ってろ」
【国重 昂正】
「今真剣なんだよ、話しかけんな」
適当にあしらわれてしまった俺は口を尖らせ、仕方なく周囲を見渡した。
店の中にはそれなりに客もいるし、確かに何か話を聞けそうではある。
現段階ではすることもないようなので、
とりあえず、カウンターのスツールに腰掛けた昂正の後ろに立つ。
【ママ】
「あらっ、お久しぶり昂正ちゃん」
【ママ】
「最近のお仕事の方の調子はどーお? うふふ、なーんて、話はうっすら聞いてるわよ」
【国重 昂正】
「はは、まあボチボチやってるよ」
【国重 昂正】
「だけど、うちよりも景気の良いところがあるみたいでさ」
【国重 昂正】
「なんでもアビスとか言う名前らしいんだけど」
【ママ】
「そうなの……、あらいけない、何か飲む? いつものでいいかしら」
マスターに焼酎の水割りを頼んだ後、
昂正は背後から聞こえてくる話し声に耳を傾けて始めた。
振り返ってみると、数人のオネエさん達が世間話に花を咲かせている。
昂正のアンテナが反応したみたいだから、何か有益な情報を話してるかもしれない。
ここは姿を消している俺の出番だなと思い、近付いてみる。
