[本編] 国重 昴正 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【クロノ】
「たまには一晩中寝ないでするとか、情熱的な夜を過ごしたい」
【国重 昂正】
「お前はいいけどな、枯れない性欲ってのが死神の強みだろうしな」
【国重 昂正】
「俺ぁもう46だぞ? アラフィフに、やりたい盛りの猿みたいな性欲を期待すんじゃねえ」
【クロノ】
「そんなこと言ったら俺は、アラエイトハンドレッドだけど」
【国重 昂正】
「だからてめえは別だっての」
最後に背伸びをした昂正は、俺を見下ろして。
スーツのポケットから2枚のチケットを取り出して見せた。
【国重 昂正】
「再来週の休業日に、行くか」
【クロノ】
「え……、なにそれ」
【国重 昂正】
「刑事時代の知り合いからもらった。温泉宿泊券だとよ」
【クロノ】
「……!」
勢い良く抱きつかれた昂正はバランスを崩し、
散らばりそうになったチケットを慌てて受け止めた。
【国重 昂正】
「おいおい、感極まるのはいいけど、ここでは妙な気は起こすなよ……」
【クロノ】
「無理。今ので完全に火がついたし」
そのまま背後の壁に押し付けて、昂正の前を布越しに撫で上げる。
昂正は不本意そうに眉をひそめて、
横向きに持ち上げた腕を俺の首元に当て、向こうに追いやるように力を加える。
【国重 昂正】
「だからやめろっつってんだろ。あいつが戻ってきたら何て言い訳するつもりだ?」
【クロノ】
「言い訳? しない。この際はっきり言う。俺と昂正は恋人同士だって」
【国重 昂正】
「……追跡捜査に同行させてもらえない上に、尊敬する先輩と上司がホモだったって?」
【国重 昂正】
「ショック過ぎんだろそれは。何にせよ、てめえは即物的過ぎ……」
【国重 昂正】
「……おいおいおいおい」
【クロノ】
「なに。昂正はやりたくないの」
【国重 昂正】
「ここじゃ困るっつってるだけだろ。家に帰ってからでもいいだろ、逃げるもんじゃなし」
そこまで言って、昂正の目がキラリと光る。
【国重 昂正】
「いいこと思いついちまった。お前が下になるってんならヤってもいい」
そう言って俺のベルトに掛かった手を見て、一歩後ずさる。
【クロノ】
「却下。っていうかそれじゃ古林くんがもし見ちゃった場合、ショック受けるのは変わらないんだけど」
【国重 昂正】
「あー、黒乃先輩って挿れられてる時あんな声出すんだぁ。はあはあ、はあはあ」
【国重 昂正】
「――って印象に変わるだろ。何言ってんだ」
【クロノ】
「…昂正。今、古林くんの尊厳を踏み躙ってる」
【国重 昂正】
「男として当然の反応を言ったまでだ。大人しく股開け。ほら」
【クロノ】
「嫌だって言ってるだろ。俺はあくまでタチなの」
【国重 昂正】
「コラ、クロノ……っ」
昂正の言い分を無視して下半身に手を伸ばし、ファスナーを開けようとした時、
プルルルル…と聞き慣れた事務所の電話が鳴った。
【国重 昂正】
「ククク…、はい残念でした」
【クロノ】
「……ここで止めるの、キツイでしょ…」
【国重 昂正】
「はいはい、帰ったら続きシてやるよ」
電話を睨みつけている俺の頭を軽く叩いて、昂正は受話器を取りにデスクへ戻ってしまった。
【国重 昂正】
「はい、こちらヒグマ探偵事務所です。……はい。ええ、承っております」
その電話が終わったら、仕事も何もかも放り出して押し倒してやる。
古林くんが戻ってきても大丈夫なように、死神の力で結界を張ればいいんだからな。
そんな覚悟と一緒に、受話器が置かれるのをじっと待つ。
待ちわびていたその時が来て、再び詰め寄った俺の横をするりと抜けて昂正はデスクに戻る。
キーを打つその顔は、探偵事務所の所長のものだった。
……こうなっては夜まで待つしかないと、俺は大きく舌打ちをして仕事に取り掛かるべく渋々歩き出す。
【クロノ】
「で、今の電話はどこのどいつだ」
【国重 昂正】
「トゲトゲすんな。警察時代の同僚からだ。とある事件の捜査に協力してほしいとよ」
【クロノ】
「……警察が探偵を頼るなんて、よっぽどじゃない」
【国重 昂正】
「ああ。詳しくは直接会って話したいそうだ。3時間後くらいにここに来る」
【クロノ】
「……ふーん」
3時間後にやってきた同僚からの依頼内容は以下の通りだった。
最近、別れさせ屋を主として運営している探偵事務所が設立された。
しかし、ターゲットとなった人物――別れさせる工作をされた人物が、
その後精神に異常をきたすという事件が相次いでいて。
警察に被害届が来る件数が増えているのだという。
警察も初めは、そんなところに依頼をしたりされたりするような人間なのだから、
元々メンタル面や生活が不安定なのだろうと、真面目に取り合っていなかった。
………が。
あまりに相談件数が増えたのと、
数日前ついに自殺者も出たことで、捜査に本腰を入れることになった。
だが因果関係も手掛かりも、
別れさせ屋の工作員の足取りもまったく掴めておらず、捜査が難航している。
【五十嵐】
「そこでお前の手を借りたい」
昂正と向き合って座っている男は、指を組んだまま身を乗り出した。
ノリのきいたスーツ、きっちりとセットされた髪、これぞ警察という感じのオッサンだった。
【五十嵐】
「その別れさせ屋の工作……別れさせる為の手口に不審な点がないか探ってくれないか」
【国重 昂正】
「お前の頼みだからな、特に断る理由もないが」
【国重 昂正】
「それにしても、こんな所に依頼をするくらい忙しいんだな、そっちは」
昂正の苦笑に、五十嵐さんは難しい顔をして頷いた。
【国重 昂正】
「まあ、出来る限りのことはやってみよう」
【国重 昂正】
「で、その探偵事務所の名前は?」
【五十嵐】
「abyss…アビスという所だ」
【国重 昂正】
「ん? その名前、なんか聞いたことがあるな。なあ、クロノ」
【クロノ】
「うん。同業者との会話の中で、何度か耳にしたことがあると思う」
【五十嵐】
「そうなのか。……これは、ますますお前達に頼んだ方が早そうだ」
【国重 昂正】
「とりあえず調べてみるか。一区切りついた時点で一度連絡する」
【五十嵐】
「ああ、頼む」
五十嵐さんは、報酬は弾むからなとダンディーな笑顔を残して去っていった。
「たまには一晩中寝ないでするとか、情熱的な夜を過ごしたい」
【国重 昂正】
「お前はいいけどな、枯れない性欲ってのが死神の強みだろうしな」
【国重 昂正】
「俺ぁもう46だぞ? アラフィフに、やりたい盛りの猿みたいな性欲を期待すんじゃねえ」
【クロノ】
「そんなこと言ったら俺は、アラエイトハンドレッドだけど」
【国重 昂正】
「だからてめえは別だっての」
最後に背伸びをした昂正は、俺を見下ろして。
スーツのポケットから2枚のチケットを取り出して見せた。
【国重 昂正】
「再来週の休業日に、行くか」
【クロノ】
「え……、なにそれ」
【国重 昂正】
「刑事時代の知り合いからもらった。温泉宿泊券だとよ」
【クロノ】
「……!」
勢い良く抱きつかれた昂正はバランスを崩し、
散らばりそうになったチケットを慌てて受け止めた。
【国重 昂正】
「おいおい、感極まるのはいいけど、ここでは妙な気は起こすなよ……」
【クロノ】
「無理。今ので完全に火がついたし」
そのまま背後の壁に押し付けて、昂正の前を布越しに撫で上げる。
昂正は不本意そうに眉をひそめて、
横向きに持ち上げた腕を俺の首元に当て、向こうに追いやるように力を加える。
【国重 昂正】
「だからやめろっつってんだろ。あいつが戻ってきたら何て言い訳するつもりだ?」
【クロノ】
「言い訳? しない。この際はっきり言う。俺と昂正は恋人同士だって」
【国重 昂正】
「……追跡捜査に同行させてもらえない上に、尊敬する先輩と上司がホモだったって?」
【国重 昂正】
「ショック過ぎんだろそれは。何にせよ、てめえは即物的過ぎ……」
【国重 昂正】
「……おいおいおいおい」
【クロノ】
「なに。昂正はやりたくないの」
【国重 昂正】
「ここじゃ困るっつってるだけだろ。家に帰ってからでもいいだろ、逃げるもんじゃなし」
そこまで言って、昂正の目がキラリと光る。
【国重 昂正】
「いいこと思いついちまった。お前が下になるってんならヤってもいい」
そう言って俺のベルトに掛かった手を見て、一歩後ずさる。
【クロノ】
「却下。っていうかそれじゃ古林くんがもし見ちゃった場合、ショック受けるのは変わらないんだけど」
【国重 昂正】
「あー、黒乃先輩って挿れられてる時あんな声出すんだぁ。はあはあ、はあはあ」
【国重 昂正】
「――って印象に変わるだろ。何言ってんだ」
【クロノ】
「…昂正。今、古林くんの尊厳を踏み躙ってる」
【国重 昂正】
「男として当然の反応を言ったまでだ。大人しく股開け。ほら」
【クロノ】
「嫌だって言ってるだろ。俺はあくまでタチなの」
【国重 昂正】
「コラ、クロノ……っ」
昂正の言い分を無視して下半身に手を伸ばし、ファスナーを開けようとした時、
プルルルル…と聞き慣れた事務所の電話が鳴った。
【国重 昂正】
「ククク…、はい残念でした」
【クロノ】
「……ここで止めるの、キツイでしょ…」
【国重 昂正】
「はいはい、帰ったら続きシてやるよ」
電話を睨みつけている俺の頭を軽く叩いて、昂正は受話器を取りにデスクへ戻ってしまった。
【国重 昂正】
「はい、こちらヒグマ探偵事務所です。……はい。ええ、承っております」
その電話が終わったら、仕事も何もかも放り出して押し倒してやる。
古林くんが戻ってきても大丈夫なように、死神の力で結界を張ればいいんだからな。
そんな覚悟と一緒に、受話器が置かれるのをじっと待つ。
待ちわびていたその時が来て、再び詰め寄った俺の横をするりと抜けて昂正はデスクに戻る。
キーを打つその顔は、探偵事務所の所長のものだった。
……こうなっては夜まで待つしかないと、俺は大きく舌打ちをして仕事に取り掛かるべく渋々歩き出す。
【クロノ】
「で、今の電話はどこのどいつだ」
【国重 昂正】
「トゲトゲすんな。警察時代の同僚からだ。とある事件の捜査に協力してほしいとよ」
【クロノ】
「……警察が探偵を頼るなんて、よっぽどじゃない」
【国重 昂正】
「ああ。詳しくは直接会って話したいそうだ。3時間後くらいにここに来る」
【クロノ】
「……ふーん」
3時間後にやってきた同僚からの依頼内容は以下の通りだった。
最近、別れさせ屋を主として運営している探偵事務所が設立された。
しかし、ターゲットとなった人物――別れさせる工作をされた人物が、
その後精神に異常をきたすという事件が相次いでいて。
警察に被害届が来る件数が増えているのだという。
警察も初めは、そんなところに依頼をしたりされたりするような人間なのだから、
元々メンタル面や生活が不安定なのだろうと、真面目に取り合っていなかった。
………が。
あまりに相談件数が増えたのと、
数日前ついに自殺者も出たことで、捜査に本腰を入れることになった。
だが因果関係も手掛かりも、
別れさせ屋の工作員の足取りもまったく掴めておらず、捜査が難航している。
【五十嵐】
「そこでお前の手を借りたい」
昂正と向き合って座っている男は、指を組んだまま身を乗り出した。
ノリのきいたスーツ、きっちりとセットされた髪、これぞ警察という感じのオッサンだった。
【五十嵐】
「その別れさせ屋の工作……別れさせる為の手口に不審な点がないか探ってくれないか」
【国重 昂正】
「お前の頼みだからな、特に断る理由もないが」
【国重 昂正】
「それにしても、こんな所に依頼をするくらい忙しいんだな、そっちは」
昂正の苦笑に、五十嵐さんは難しい顔をして頷いた。
【国重 昂正】
「まあ、出来る限りのことはやってみよう」
【国重 昂正】
「で、その探偵事務所の名前は?」
【五十嵐】
「abyss…アビスという所だ」
【国重 昂正】
「ん? その名前、なんか聞いたことがあるな。なあ、クロノ」
【クロノ】
「うん。同業者との会話の中で、何度か耳にしたことがあると思う」
【五十嵐】
「そうなのか。……これは、ますますお前達に頼んだ方が早そうだ」
【国重 昂正】
「とりあえず調べてみるか。一区切りついた時点で一度連絡する」
【五十嵐】
「ああ、頼む」
五十嵐さんは、報酬は弾むからなとダンディーな笑顔を残して去っていった。
