[本編] 国重 昴正 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ユリスに凄まれても、国重は顔色一つ変えずに言い放つ。
【国重 昂正】
「お前は卑怯者だ。俺は絶対に、お前を許さない」
【ユリス】
「かっこいいなあ。元刑事だもんね、正義感強いんだね?」
【ユリス】
「でも残念だけど、お前なんか怖くないし」
【国重 昂正】
「クロノ。俺のことは放っておけ」
【クロノ】
「……本気?」
【国重 昂正】
「勿論だ。こんなナリでも、俺はこんな卑怯な奴に殺されたりしねえよ。―――行け!」
その言葉に、自信が滲んでいるのを感じて……
俺は移動し、ユリスに斬りかかる。
ユリスは素早く避けたけど、実は俺の狙いはそっちじゃない。
この、夏透を歪めた化け物に見つけた綻びだ。
化け物が蒸発していく。
その時、確かに夏透の声がした。
東屋のベンチで、薔薇の話をしていた時のような。
穏やかな表情によく似合う、清らかな声だった。
――花言葉を、覚えてる……?
【ユリス】
「くっそ…!」
ユリスは体勢を立て直したが、悔しさで歯軋りしている。
そして感情に任せて鎌を持ち上げ斬りかかってくるが、
精度を欠いた軌道は、簡単にあしらうことができた。俺の鎌が、ユリスの脚を傷付けた。
【ユリス】
「お前達なんかに、負けない…!」
膝を付いてたユリスに鎌を向け――、俺は、鎌を消滅させた。
【クロノ】
「消えろよ」
【クロノ】
「お前なんか、捕まえる価値もない」
国重に捕まえろと言われていたけれど。
だけど驚いているのはユリスだけで、国重は腕組みしたまま口を閉ざしている。
【クロノ】
「死神界の総意としては、お前を捕まえろってことだったけど」
【クロノ】
「どうでもいい。本当にもう、心底、お前の事がどうでもよくなった」
【クロノ】
「今更、どういうつもりでこんなことをしたのか、問いただすつもりもない」
【クロノ】
「とにかく、俺はお前に興味がない。二度と俺につきまとうな」
ユリスの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
口をパクパクさせていたが―――勢い良く立ち上がった。
【ユリス】
「こっちの台詞だよバカ!! 俺もお前なんて何とも思ってない! クズが!」
【ユリス】
「一生、この夢の中から出てくるな!!」
そう叫んで、ユリスは消えた。
そして夢の世界全体に、白い壁が張り巡らされていく。
【クロノ】
「……この壁って」
【国重 昂正】
「やわらかいんだな。あの繭みたいだ」
【クロノ】
「さてどうするか……。俺達も、繭みたいになりそうだよ」
そう言って腕を上げて見せる。俺の肌から、どんどん白い糸が垂れてくる。
【国重 昂正】
「俺もか……! こりゃあ…、何か策はあるか?」
【クロノ】
「とりあえず斬ってみてるけど…。正直、しんどいかも」
俺達の体に次々と生まれる白い糸を、鎌で切っても切ってもキリがない。
どうにかしないとと焦る俺の耳に、微かにじいの声が聞こえた。
【クロノ】
「じい!! ここだ!!」
すると突如、じいの声が大きくなった。
【アンク】
「クロノ様!! 無事でございますか!?」
【クロノ】
「俺も国重も無事だ。ただ、夢の中でちょっと苦戦してる! どうにかならない?」
【アンク】
「かしこまりました、状況をお教えくださいませ!」
【アンク】
「お二人の脳波を計測しておりましたが、とても弱くなっております…!」
【クロノ】
「ユリスがプログラムした壁で、夢の中が覆われてる! 俺達も取り込まれそう」
【アンク】
「改造版リビドーをつけた、クロノ様だけなら」
【アンク】
「こちらから覚醒させることが可能です!」
【アンク】
「その後、国重さんを起こすというのは!?」
【クロノ】
「…俺が起こすまでに、国重が夢に飲まれてしまうってことは?」
【アンク】
「ありえます。覚醒まで、急がなければなりません」
俺と国重は目を合わせ……、国重が、頷いた。
【クロノ】
「……」
【クロノ】
「……他に手はないのか?」
【アンク】
「申し訳ございませんが、この方法のみです」
【クロノ】
「……っ、迷ってる時間もない。その方法で行くしかないか…!」
【アンク】
「ではこちらでお待ちしております。どうかお早くお戻り下さい!」
【国重 昂正】
「……今のは、死神仲間か? 頼りになるな」
そう言って笑う国重の肩を掴み、強く抱き寄せた。
【国重 昂正】
「おい、早く行かなきゃならないんだろ。何やってんだ」
国重は俺の背中を叩いているが、自分の指先から出る白い糸を眺めていると、わかった。
【クロノ】
「絶対に、迎えに来るから」
【国重 昂正】
「そんなに思いつめた顔すんなよ」
【国重 昂正】
「……少し前まで、俺は、死んで裁かれようと思ってた」
国重が、ぽつりと呟いた。
【国重 昂正】
「だから俺の死が近付くと、これが俺への罰かと思って、――全て投げ出してたんだ」
俺は、今までに幾度か、国重が動かなくなった事を思い出した。
【国重 昂正】
「それが、今じゃ、こんなに死が近付いてんのに、死ぬ気がしねぇよ」
そう言って笑う国重の――、生きる理由がわかって、俺は笑った。
【クロノ】
「戻ったら、よくしてあげるって約束したしね」
【国重 昂正】
「まだお前を抱いてねぇとも言っただろ」
二人で目を合わせ、堪えきれずに笑い出す。
【国重 昂正】
「絶対に、待ってるから。……行って来い」
服を引っ張られて、キスをされた。
約束の口付けだと悟り、俺も気持ちを込めて唇を合わせて。
そして、迷いを断ち切るように地面を蹴り、覚醒へと向かった。
【アンク】
「お帰りなさいませ! クロノ様!!」
【クロノ】
「ただいま。先に国重を起こすから」
【国重 昂正】
「お前は卑怯者だ。俺は絶対に、お前を許さない」
【ユリス】
「かっこいいなあ。元刑事だもんね、正義感強いんだね?」
【ユリス】
「でも残念だけど、お前なんか怖くないし」
【国重 昂正】
「クロノ。俺のことは放っておけ」
【クロノ】
「……本気?」
【国重 昂正】
「勿論だ。こんなナリでも、俺はこんな卑怯な奴に殺されたりしねえよ。―――行け!」
その言葉に、自信が滲んでいるのを感じて……
俺は移動し、ユリスに斬りかかる。
ユリスは素早く避けたけど、実は俺の狙いはそっちじゃない。
この、夏透を歪めた化け物に見つけた綻びだ。
化け物が蒸発していく。
その時、確かに夏透の声がした。
東屋のベンチで、薔薇の話をしていた時のような。
穏やかな表情によく似合う、清らかな声だった。
――花言葉を、覚えてる……?
【ユリス】
「くっそ…!」
ユリスは体勢を立て直したが、悔しさで歯軋りしている。
そして感情に任せて鎌を持ち上げ斬りかかってくるが、
精度を欠いた軌道は、簡単にあしらうことができた。俺の鎌が、ユリスの脚を傷付けた。
【ユリス】
「お前達なんかに、負けない…!」
膝を付いてたユリスに鎌を向け――、俺は、鎌を消滅させた。
【クロノ】
「消えろよ」
【クロノ】
「お前なんか、捕まえる価値もない」
国重に捕まえろと言われていたけれど。
だけど驚いているのはユリスだけで、国重は腕組みしたまま口を閉ざしている。
【クロノ】
「死神界の総意としては、お前を捕まえろってことだったけど」
【クロノ】
「どうでもいい。本当にもう、心底、お前の事がどうでもよくなった」
【クロノ】
「今更、どういうつもりでこんなことをしたのか、問いただすつもりもない」
【クロノ】
「とにかく、俺はお前に興味がない。二度と俺につきまとうな」
ユリスの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
口をパクパクさせていたが―――勢い良く立ち上がった。
【ユリス】
「こっちの台詞だよバカ!! 俺もお前なんて何とも思ってない! クズが!」
【ユリス】
「一生、この夢の中から出てくるな!!」
そう叫んで、ユリスは消えた。
そして夢の世界全体に、白い壁が張り巡らされていく。
【クロノ】
「……この壁って」
【国重 昂正】
「やわらかいんだな。あの繭みたいだ」
【クロノ】
「さてどうするか……。俺達も、繭みたいになりそうだよ」
そう言って腕を上げて見せる。俺の肌から、どんどん白い糸が垂れてくる。
【国重 昂正】
「俺もか……! こりゃあ…、何か策はあるか?」
【クロノ】
「とりあえず斬ってみてるけど…。正直、しんどいかも」
俺達の体に次々と生まれる白い糸を、鎌で切っても切ってもキリがない。
どうにかしないとと焦る俺の耳に、微かにじいの声が聞こえた。
【クロノ】
「じい!! ここだ!!」
すると突如、じいの声が大きくなった。
【アンク】
「クロノ様!! 無事でございますか!?」
【クロノ】
「俺も国重も無事だ。ただ、夢の中でちょっと苦戦してる! どうにかならない?」
【アンク】
「かしこまりました、状況をお教えくださいませ!」
【アンク】
「お二人の脳波を計測しておりましたが、とても弱くなっております…!」
【クロノ】
「ユリスがプログラムした壁で、夢の中が覆われてる! 俺達も取り込まれそう」
【アンク】
「改造版リビドーをつけた、クロノ様だけなら」
【アンク】
「こちらから覚醒させることが可能です!」
【アンク】
「その後、国重さんを起こすというのは!?」
【クロノ】
「…俺が起こすまでに、国重が夢に飲まれてしまうってことは?」
【アンク】
「ありえます。覚醒まで、急がなければなりません」
俺と国重は目を合わせ……、国重が、頷いた。
【クロノ】
「……」
【クロノ】
「……他に手はないのか?」
【アンク】
「申し訳ございませんが、この方法のみです」
【クロノ】
「……っ、迷ってる時間もない。その方法で行くしかないか…!」
【アンク】
「ではこちらでお待ちしております。どうかお早くお戻り下さい!」
【国重 昂正】
「……今のは、死神仲間か? 頼りになるな」
そう言って笑う国重の肩を掴み、強く抱き寄せた。
【国重 昂正】
「おい、早く行かなきゃならないんだろ。何やってんだ」
国重は俺の背中を叩いているが、自分の指先から出る白い糸を眺めていると、わかった。
【クロノ】
「絶対に、迎えに来るから」
【国重 昂正】
「そんなに思いつめた顔すんなよ」
【国重 昂正】
「……少し前まで、俺は、死んで裁かれようと思ってた」
国重が、ぽつりと呟いた。
【国重 昂正】
「だから俺の死が近付くと、これが俺への罰かと思って、――全て投げ出してたんだ」
俺は、今までに幾度か、国重が動かなくなった事を思い出した。
【国重 昂正】
「それが、今じゃ、こんなに死が近付いてんのに、死ぬ気がしねぇよ」
そう言って笑う国重の――、生きる理由がわかって、俺は笑った。
【クロノ】
「戻ったら、よくしてあげるって約束したしね」
【国重 昂正】
「まだお前を抱いてねぇとも言っただろ」
二人で目を合わせ、堪えきれずに笑い出す。
【国重 昂正】
「絶対に、待ってるから。……行って来い」
服を引っ張られて、キスをされた。
約束の口付けだと悟り、俺も気持ちを込めて唇を合わせて。
そして、迷いを断ち切るように地面を蹴り、覚醒へと向かった。
【アンク】
「お帰りなさいませ! クロノ様!!」
【クロノ】
「ただいま。先に国重を起こすから」