[本編] 国重 昴正 編
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【ユリス】
「ははは、おっかない顔。それにしても遅かったね」
【ユリス】
「ようやく来たんだ? 死神界では、俺のこと探してたでしょ?」
【ユリス】
「しっかしバカだねー。どいつもこいつも」
【ユリス】
「あ、もちろんクロノも入ってるから」
【クロノ】
「……どういう意味だ?」
【ユリス】
「そのままだよ。お前が邪魔しなきゃ、こうはならなかったのにってさ」
【クロノ】
「はっきり言え!!」
鎌を地面に叩きつけると、赤い大地に亀裂が入った。
ユリスは、うわ、と小声で呟いて、眉を顰める。
【ユリス】
「本当に頭に血が上っちゃってるんだ? こわー…。そんなにこのオッサンが大事?」
【クロノ】
「質問に答えろよ。俺のせいって何が?」
【ユリス】
「クロノって他人に関心示さないからさあ、地味に心配してたんだけど」
【クロノ】
「ユリス」
自分でも驚くほど、怒りの滲んだ低い声が出た。
ユリスは怯えたように肩を揺らして、慌てて俺と距離を取る。
【ユリス】
「……クロノのせいだ!!」
【ユリス】
「お前がムカつくから、ここまで酷く悪夢化するプログラム組んだんだよ!! バーカ!!!」
激昂したユリスが、怒鳴り散らしながら鎌を構えて走ってくる。
俺は撃退すべく、地面に突き刺したままの鎌を抜いて、構えた。
ユリスは、小柄ならではの素早さを生かして、俺を翻弄してくる。
【クロノ】
「……チョコマカと、うざったいな」
見失わないように、しっかりと目で追いかけていると。
突然、あらぬ方向から鎌が飛んできた。
―――俺の目を目掛けて。
【クロノ】
「……!」
身を捩ってなんとか避けたが、すると目の前にはユリスが立っていて。
口角を吊り上げた、嫌な笑顔のまま、新たに生成した鎌を振り上げる。
【ユリス】
「蟻でも、噛み付けば痛いんだよ。知ってた?」
銀色の切っ先は、頭を庇った俺の手の甲へ振り下ろされる――。
だけど、僅かに切っ先が食い込んだだけで、そこから先は進まない。
【ユリス】
「……なんで避けねえんだよ」
【クロノ】
「避ける必要なんかないからだ。―――お仕置きだ、ユリス」
どうせ手を止めるとわかってた。
こいつに俺は殺せない。
そんな度胸が、姑息なこいつにあるはずがない。
鎌を抜き、出血を始めた方の拳を固める。
こいつの顔を本気で砕いてやろうと思った。
俺の勢いに押されたか、ユリスはよろめくように後ずさり。
膜の向こうにあったはずの繭を、出現させた。
俺が動かないと解って、ユリスはほっと息を漏らしたようだった。
【ユリス】
「そう、下手に動くとこれを壊すから」
ユリスの後ろの巨大な繭が、何なのかは聞くまでもない。
中には、国重が入ってる。
【ユリス】
「物分かりいいじゃん。大人しくね。……この白いのってさー、何かわかる?」
【クロノ】
「謎の膜」
【ユリス】
「お前のそういう天然なとこ、ちょっと可愛いけど。ブッブー。残念」
【クロノ】
「じゃあ、夢に囚われてる証拠」
【ユリス】
「惜しい! これは夢への依存度」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「夢の中にずっといたいって願えば願うほど、こうやって濃くなっていくわけ」
【ユリス】
「ま、これはこのオッサン特有の現象みたいだけどね」
そこで区切ったユリスの表情が、残酷に歪む。
【ユリス】
「つまりさ、このオッサン、ずっと夢の中にいたいんだな」
【ユリス】
「だったら望みを叶えてやるよってこと。俺って優しい!」
【クロノ】
「説明はよくわかった。後はもう黙ってろ。声がうるさい」
【ユリス】
「クロノはこのオッサンのこと好きなんだろ?」
【ユリス】
「だったらお前もここでずっと一緒にいたら?」
【クロノ】
「余計なお世話」
【ユリス】
「おっと動くなよ。動いたらオッサンを殺すから」
両腕をだらりと垂らした俺を見て、ユリスが高笑いした。
【ユリス】
「最高! お前のそんな顔、ずっと見てみたかったんだ!」
【ユリス】
「悔しいだろ? もっと悔しがれよ」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「いいね、ゾクゾクする。お前ってさ、どういうわけか加虐心を煽るよねー」
【ユリス】
「このオッサンにもさ、同じようなことされかけてたでしょ?」
【クロノ】
「は? 何の話」
【ユリス】
「お前にしては珍しく、抱かれそうになってたじゃんって話」
【クロノ】
「……見てたのか。悪趣味な」
【ユリス】
「上等な趣味だって! もしお前が挿れられる側になってたら」
【ユリス】
「録画して、死神界じゅうにばら撒いたのに」
【ユリス】
「きっとみんな、それで抜きまくるよ。地味にお前、ファン多いんだから」
【ユリス】
「だけどまあ、よく押しとどまったよね」
【ユリス】
「あのまま流されるんじゃないかと思ってさあ、固唾を飲んで見守ってたんだぜ」
【クロノ】
「……うるさい上に覗き趣味とか、救いようがないな」
ユリスは、不愉快そうに眉間に皺を刻む。
【ユリス】
「だから、そういう態度がむかつくって言ってんの」
【ユリス】
「人とヤってんの、見られてるんだよ? なんでそんな飄々としてるわけ」
【クロノ】
「興味ない奴に、何を見られようがどうでも良い」
【ユリス】
「……」
ユリスが突然、俺の目の前に現れ、俺の顎を蹴り上げる。
【クロノ】
「いっ……」
「ははは、おっかない顔。それにしても遅かったね」
【ユリス】
「ようやく来たんだ? 死神界では、俺のこと探してたでしょ?」
【ユリス】
「しっかしバカだねー。どいつもこいつも」
【ユリス】
「あ、もちろんクロノも入ってるから」
【クロノ】
「……どういう意味だ?」
【ユリス】
「そのままだよ。お前が邪魔しなきゃ、こうはならなかったのにってさ」
【クロノ】
「はっきり言え!!」
鎌を地面に叩きつけると、赤い大地に亀裂が入った。
ユリスは、うわ、と小声で呟いて、眉を顰める。
【ユリス】
「本当に頭に血が上っちゃってるんだ? こわー…。そんなにこのオッサンが大事?」
【クロノ】
「質問に答えろよ。俺のせいって何が?」
【ユリス】
「クロノって他人に関心示さないからさあ、地味に心配してたんだけど」
【クロノ】
「ユリス」
自分でも驚くほど、怒りの滲んだ低い声が出た。
ユリスは怯えたように肩を揺らして、慌てて俺と距離を取る。
【ユリス】
「……クロノのせいだ!!」
【ユリス】
「お前がムカつくから、ここまで酷く悪夢化するプログラム組んだんだよ!! バーカ!!!」
激昂したユリスが、怒鳴り散らしながら鎌を構えて走ってくる。
俺は撃退すべく、地面に突き刺したままの鎌を抜いて、構えた。
ユリスは、小柄ならではの素早さを生かして、俺を翻弄してくる。
【クロノ】
「……チョコマカと、うざったいな」
見失わないように、しっかりと目で追いかけていると。
突然、あらぬ方向から鎌が飛んできた。
―――俺の目を目掛けて。
【クロノ】
「……!」
身を捩ってなんとか避けたが、すると目の前にはユリスが立っていて。
口角を吊り上げた、嫌な笑顔のまま、新たに生成した鎌を振り上げる。
【ユリス】
「蟻でも、噛み付けば痛いんだよ。知ってた?」
銀色の切っ先は、頭を庇った俺の手の甲へ振り下ろされる――。
だけど、僅かに切っ先が食い込んだだけで、そこから先は進まない。
【ユリス】
「……なんで避けねえんだよ」
【クロノ】
「避ける必要なんかないからだ。―――お仕置きだ、ユリス」
どうせ手を止めるとわかってた。
こいつに俺は殺せない。
そんな度胸が、姑息なこいつにあるはずがない。
鎌を抜き、出血を始めた方の拳を固める。
こいつの顔を本気で砕いてやろうと思った。
俺の勢いに押されたか、ユリスはよろめくように後ずさり。
膜の向こうにあったはずの繭を、出現させた。
俺が動かないと解って、ユリスはほっと息を漏らしたようだった。
【ユリス】
「そう、下手に動くとこれを壊すから」
ユリスの後ろの巨大な繭が、何なのかは聞くまでもない。
中には、国重が入ってる。
【ユリス】
「物分かりいいじゃん。大人しくね。……この白いのってさー、何かわかる?」
【クロノ】
「謎の膜」
【ユリス】
「お前のそういう天然なとこ、ちょっと可愛いけど。ブッブー。残念」
【クロノ】
「じゃあ、夢に囚われてる証拠」
【ユリス】
「惜しい! これは夢への依存度」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「夢の中にずっといたいって願えば願うほど、こうやって濃くなっていくわけ」
【ユリス】
「ま、これはこのオッサン特有の現象みたいだけどね」
そこで区切ったユリスの表情が、残酷に歪む。
【ユリス】
「つまりさ、このオッサン、ずっと夢の中にいたいんだな」
【ユリス】
「だったら望みを叶えてやるよってこと。俺って優しい!」
【クロノ】
「説明はよくわかった。後はもう黙ってろ。声がうるさい」
【ユリス】
「クロノはこのオッサンのこと好きなんだろ?」
【ユリス】
「だったらお前もここでずっと一緒にいたら?」
【クロノ】
「余計なお世話」
【ユリス】
「おっと動くなよ。動いたらオッサンを殺すから」
両腕をだらりと垂らした俺を見て、ユリスが高笑いした。
【ユリス】
「最高! お前のそんな顔、ずっと見てみたかったんだ!」
【ユリス】
「悔しいだろ? もっと悔しがれよ」
【クロノ】
「……」
【ユリス】
「いいね、ゾクゾクする。お前ってさ、どういうわけか加虐心を煽るよねー」
【ユリス】
「このオッサンにもさ、同じようなことされかけてたでしょ?」
【クロノ】
「は? 何の話」
【ユリス】
「お前にしては珍しく、抱かれそうになってたじゃんって話」
【クロノ】
「……見てたのか。悪趣味な」
【ユリス】
「上等な趣味だって! もしお前が挿れられる側になってたら」
【ユリス】
「録画して、死神界じゅうにばら撒いたのに」
【ユリス】
「きっとみんな、それで抜きまくるよ。地味にお前、ファン多いんだから」
【ユリス】
「だけどまあ、よく押しとどまったよね」
【ユリス】
「あのまま流されるんじゃないかと思ってさあ、固唾を飲んで見守ってたんだぜ」
【クロノ】
「……うるさい上に覗き趣味とか、救いようがないな」
ユリスは、不愉快そうに眉間に皺を刻む。
【ユリス】
「だから、そういう態度がむかつくって言ってんの」
【ユリス】
「人とヤってんの、見られてるんだよ? なんでそんな飄々としてるわけ」
【クロノ】
「興味ない奴に、何を見られようがどうでも良い」
【ユリス】
「……」
ユリスが突然、俺の目の前に現れ、俺の顎を蹴り上げる。
【クロノ】
「いっ……」
