[本編] 国重 昴正 編
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俺はじいに別れを告げ、急ぎ人間界に向かう。
国重はリビドーをつけず、布団で深く眠っていて、とりあえず安心した。
さて何から話そうか。
顔を見下ろしながら考えてると、気配を感じ取られたか、国重が布団から起き上がる。
【国重 昂正】
「お前……」
【クロノ】
「あ、おはよう」
挨拶と共に片手を上げたけど、難しい顔をされて、返事はなし。
【クロノ】
「なに? さっきのこと、まだ根に持ってるの?」
【国重 昂正】
「……っ、うるせえ!」
図星だったらしく、顔を真赤にして怒鳴られた。
【クロノ】
「別に、取って食いやしない。今日はあんたに報告があって来ただけ」
【国重 昂正】
「……リビドーのこと、なんかわかったのか」
【クロノ】
「うん。犯人は死神かもしれない」
【国重 昂正】
「……な」
【クロノ】
「で、今色々と調べてるんだけど」
【クロノ】
「犯人と思われる死神が、失踪した」
【クロノ】
「で、あいつの性格から、リビドー使用者に何かするんじゃないかって、警戒してるところでさ」
【クロノ】
「あんたにも危険が及ぶかもしれないから、暫く俺がボディガードになる」
【クロノ】
「そういうことなんだけど、わかってもらえた?」
【国重 昂正】
「……」
【国重 昂正】
「犯人は、ほぼそいつで確定なのか」
【クロノ】
「うん。paraisoもリビドーの通販サイトも、人間界の回線を使ってなかった」
【クロノ】
「最近急に死神の…、業務成績? をあげてきた死神がいてね。怪しいだろ、そんな奴」
【国重 昂正】
「依頼者に…、なんて説明すればいいんだ…」
国重は途方にくれたように頭を抱えたが、とりあえず明日にしよう、という俺の言葉に頷いた。
次の日はずっと、国重は、調査書やら資料まとめやらで動き回っていて。
夜になって、やっと自室に戻ってきた。
【クロノ】
「……あんたの私服って初めて見たけど、意外なセンス……」
【国重 昂正】
「う、うるせえ! 家でどんな格好してようが、俺の自由だ!」
【クロノ】
「そのキャラ、資料で見た事がある。遊園地のキャラクターでしょ?」
【クロノ】
「あんたが、そういうの好きって、すっごい意外……」
言ってる途中で、気付いた。そうだ。これはきっと、国重の趣味じゃない。
【国重 昂正】
「……昔、その遊園地行って買ったんだよ。……着れるもん捨てるのは勿体ねぇだろ」
あれは…
【クロノ】
(夏透と行って、買った物か)
部屋に嫌な沈黙が降りたので、俺は慌てて本題を切り出した。
【クロノ】
「で、本題。しばらく俺と一緒に過ごすってのは、了解してもらえた?」
【国重 昂正】
「あ? ああ……。仕方ねえんじゃねえか?」
【クロノ】
「まあ、俺も仕事で来てるけどさ……。味気ない返事だな」
【国重 昂正】
「俺の暮らしの手伝いくらいはしてくれるんだろう?」
【クロノ】
「…まあ、ご飯作ったり、掃除したり。風呂沸かしたりはできるけど」
そう言うと、国重が手に持っていた資料を落とした。信じられないという顔をしている。
【国重 昂正】
「あ……、助かる」
【クロノ】
「そう? ならいいけど」
さて、ユリスをどうやって探そうかと考えながら、窓の外を見ていると。
夜の窓硝子に映って、国重が俺を見ているのに気付いた。部屋に静かに、緊張感が満ちて行く。
【クロノ】
「なに?」
俺は、振り返らずに訊ねた。……今、振り返る訳にはいかなかった。
【国重 昂正】
「……綺麗だから」
愛おしむような――懐かしむような声を、俺は背中で聞いた。何が、なんて訊くほど、俺も馬鹿じゃない。
今振り返ったら、国重に抱きしめられて、二人でめちゃくちゃな夜を始めてしまうだろう。
国重に背を向けたまま、俺は、窓に映った国重がそっと目を伏せるのを、見つめていた。
国重はリビドーをつけず、布団で深く眠っていて、とりあえず安心した。
さて何から話そうか。
顔を見下ろしながら考えてると、気配を感じ取られたか、国重が布団から起き上がる。
【国重 昂正】
「お前……」
【クロノ】
「あ、おはよう」
挨拶と共に片手を上げたけど、難しい顔をされて、返事はなし。
【クロノ】
「なに? さっきのこと、まだ根に持ってるの?」
【国重 昂正】
「……っ、うるせえ!」
図星だったらしく、顔を真赤にして怒鳴られた。
【クロノ】
「別に、取って食いやしない。今日はあんたに報告があって来ただけ」
【国重 昂正】
「……リビドーのこと、なんかわかったのか」
【クロノ】
「うん。犯人は死神かもしれない」
【国重 昂正】
「……な」
【クロノ】
「で、今色々と調べてるんだけど」
【クロノ】
「犯人と思われる死神が、失踪した」
【クロノ】
「で、あいつの性格から、リビドー使用者に何かするんじゃないかって、警戒してるところでさ」
【クロノ】
「あんたにも危険が及ぶかもしれないから、暫く俺がボディガードになる」
【クロノ】
「そういうことなんだけど、わかってもらえた?」
【国重 昂正】
「……」
【国重 昂正】
「犯人は、ほぼそいつで確定なのか」
【クロノ】
「うん。paraisoもリビドーの通販サイトも、人間界の回線を使ってなかった」
【クロノ】
「最近急に死神の…、業務成績? をあげてきた死神がいてね。怪しいだろ、そんな奴」
【国重 昂正】
「依頼者に…、なんて説明すればいいんだ…」
国重は途方にくれたように頭を抱えたが、とりあえず明日にしよう、という俺の言葉に頷いた。
次の日はずっと、国重は、調査書やら資料まとめやらで動き回っていて。
夜になって、やっと自室に戻ってきた。
【クロノ】
「……あんたの私服って初めて見たけど、意外なセンス……」
【国重 昂正】
「う、うるせえ! 家でどんな格好してようが、俺の自由だ!」
【クロノ】
「そのキャラ、資料で見た事がある。遊園地のキャラクターでしょ?」
【クロノ】
「あんたが、そういうの好きって、すっごい意外……」
言ってる途中で、気付いた。そうだ。これはきっと、国重の趣味じゃない。
【国重 昂正】
「……昔、その遊園地行って買ったんだよ。……着れるもん捨てるのは勿体ねぇだろ」
あれは…
【クロノ】
(夏透と行って、買った物か)
部屋に嫌な沈黙が降りたので、俺は慌てて本題を切り出した。
【クロノ】
「で、本題。しばらく俺と一緒に過ごすってのは、了解してもらえた?」
【国重 昂正】
「あ? ああ……。仕方ねえんじゃねえか?」
【クロノ】
「まあ、俺も仕事で来てるけどさ……。味気ない返事だな」
【国重 昂正】
「俺の暮らしの手伝いくらいはしてくれるんだろう?」
【クロノ】
「…まあ、ご飯作ったり、掃除したり。風呂沸かしたりはできるけど」
そう言うと、国重が手に持っていた資料を落とした。信じられないという顔をしている。
【国重 昂正】
「あ……、助かる」
【クロノ】
「そう? ならいいけど」
さて、ユリスをどうやって探そうかと考えながら、窓の外を見ていると。
夜の窓硝子に映って、国重が俺を見ているのに気付いた。部屋に静かに、緊張感が満ちて行く。
【クロノ】
「なに?」
俺は、振り返らずに訊ねた。……今、振り返る訳にはいかなかった。
【国重 昂正】
「……綺麗だから」
愛おしむような――懐かしむような声を、俺は背中で聞いた。何が、なんて訊くほど、俺も馬鹿じゃない。
今振り返ったら、国重に抱きしめられて、二人でめちゃくちゃな夜を始めてしまうだろう。
国重に背を向けたまま、俺は、窓に映った国重がそっと目を伏せるのを、見つめていた。
