[本編] 春川 樹生 編
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【アンク】
「それは……ユリスが事件の首謀者である、ということでしょうか」
【クロノ】
「……多分ね。なんでこんなことしてたのか、理由がわからない」
【クロノ】
「だから……じい、はっきりするまで、このことはここだけの話にしておいて」
【アンク】
「承知しております」
【クロノ】
「うん……。それじゃ、じいは人間界のニュースとユリスが狩った魂の裏を取ってみて」
【アンク】
「かしこまりました」
【アンク】
「真相が見えてきましたが……クロノ様、ここで気を抜いてはなりませんぞ」
【アンク】
「事件というものは、最後まで一筋縄ではいかないものです」
【クロノ】
「……肝に銘じておく」
いつも通りの恭しい一礼をして、じいが消える。
【クロノ】
(……まさか、ユリスのやつが容疑者とはね)
【クロノ】
(ホントに、事件ってのは一筋縄じゃいかないもんだね、じい)
トラックに荷物を積み込み、車を運転して、待っている人の元へ運ぶ。
オレが配達の仕事をしているのは、体を動かすのが好きだからだ。
……でも、本当の所は違うのかもしれない。この仕事を選んだ、もうひとつの理由。
それは、人と深く分かり合う必要がないってところ。
明るく、元気で、模範的な行動をすれば、オレの本当の姿を見せなくて済む。
そう思っていたんだと思う。―――昨日、クロノに心を覗かれてしまうまでは。
【クロノ】
「あんたは、これから幸せになるんだ」
【春川 樹生】
(……クロノの言葉を信じよう)
生汰が死んだあの日から、ずっと重かった心。
それがクロノに会うたびに、軽くなってきている気がした。
【春川 樹生】
(もしかしたら、オレはもうリビドーを使わなくて済むかもしれないな……)
【春川 樹生】
(それは…)
【春川 樹生】
(クロノがいるからこそ…だよな)
心に浮かんだ小さな希望を胸に、オレはトラックを走らせる。
マンションの前で車を停め、荷台から荷物を取り出す。やたらと軽いダンボールだった。
伝票で部屋番号を確認し、配達先の部屋に辿り着く。
チャイムを鳴らしてしばらく待つと、薄く開いたドアの隙間から顔が覗いた。
不機嫌そうな目つきの男だった。
【春川 樹生】
「日留川さんに宅配です」
【日留川 凌央】
「……はい」
寝起きのような低い声。
男は扉を広く開けて荷物を受け取る―――その頭越しに、一瞬だけ部屋の中が見える。
……リビドーが転がっていた。慣れ親しんだ装置だ、見間違えるわけがない。
ぎょっとして男の顔を見てしまった。
伝票にサインを書き終えた男が、一瞬だけ合った目をそらす。
動揺しながらも伝票を受け取り、礼を言う隙も与えずにドアが閉まった。
【春川 樹生】
(リビドーのことになると、過敏に反応しすぎかもしれない……参ったな…)
トラックに乗り込み、助手席に放っておいた地図を手に取り、次の配達先を確認する。
その時、誰かに車の窓を叩かれた。見ると、可愛い顔をした青年が立っている。
窓を開けると、邪気の無い笑顔で青年が話しかけてきた。
【ユリス】
「すいません、道をお聞きしたいんですけど」
【春川 樹生】
「ああ、この辺りの道なら地図もあるし、いいですよ」
地図を片手に車から降りると、青年がにこにこしながら顔を覗き込んできた。
【ユリス】
「背、大きいですね。ちょっとかがんで貰えますか?」
【春川 樹生】
「かがんで……?こうですか?」
少し前のめりになるようにして立つと、青年の細い指が、トンとオレの額に触れた。
――その途端、身体の力が抜ける。
【春川 樹生】
「え……?」
それにつれて意識も徐々に遠くなる。
最後に見たのは、青年の嫌な笑顔と―――リビドーだった。
死神界での調査を終えた俺は、ひとまず人間界に下りた。
理由としては、春川の行動調査が半分。あとの半分は―――春川に会いたかったから。
なんて言うと、公私混同するなってじいに怒られるかもしれない。
俺はすでに、春川に対して、仕事以上の感情を……自覚していたから。
【クロノ】
(それにしても―――春川、どこに行ったんだ……?)
春川のトラックはマンション横の薄暗い道に停車されている。
仕事中の時間のはずだが、春川の姿はどこにも見当たらない。
―――嫌な予感がした。
真面目な春川が、車を放置してどこかに出かけるなんて事は無いはずだ。
トラックの運転席を調べるが、特に異常は無い。
周囲に人の気配が無いことを確認し荷台の扉を開く。
たくさんのダンボールの隙間に……―――春川が、倒れていた。
【クロノ】
「……っ!春川……!」
夢中で春川のそばに駆け寄る。
見ると、春川の頭にはリビドーが装着されている。
様子を確認してみるが、静かな寝息をたてて深く眠っている以外に不審な点はない。
つまり…春川は、トラックの荷台という不自然な場所で夢の中にいる事になる。
【クロノ】
(何故こんな所でリビドーを……?誰かに無理やり装着された?)
【クロノ】
(明らかに異常事態だ)
配達員の制服の上から、春川の体を調べてみる。
軽く確かめてみたけど、外傷は無い。
身体の大きな春川から意識を奪い、リビドーを着ける。
体を傷つけず、そんな事が出来る人間なんて少数だろう。―――ということは…。
荷台の扉を閉めて照明を灯し、じいを呼ぶ事にした。
【クロノ】
「じい、ちょっと来て」
【アンク】
「お呼びでしょうか」
どこからともなくじいが現れた。
春川の状態に気がついたじいは眉をひそめる。
―――この状況に立ち会えば、誰だってそんな反応するだろうけど。
【アンク】
「クロノ様、これは一体……?」
【クロノ】
「……わからない」
【クロノ】
「だから、これから春川の夢に介入して確かめる」
【アンク】
「この場で……でございますか?」
じいが不安そうに尋ねてくるが、いちいち検討している時間が惜しい。
【クロノ】
「状況が不自然すぎる……」
【クロノ】
(仕事中になんて不自然すぎる…心配だな…)
【クロノ】
「悪いけど…リビドーの準備、お願い」
【アンク】
「……かしこまりました。只今お持ちします」
じいの準備してくれたリビドーを手早く装着し、夢に介入する準備を整えた。
【アンク】
「どうか、お気をつけて」
【クロノ】
「……いざとなったら、じいが助けにきてくれるんだろ?」
【アンク】
「当たり前でございます!その時は、じいにお任せくだされ」
【アンク】
「まだまだ現役ですからな!」
誇らしげなじいの言葉に苦笑しつつ、リビドーのスイッチに手をかける。
【クロノ】
「それじゃ……行ってくる」
「それは……ユリスが事件の首謀者である、ということでしょうか」
【クロノ】
「……多分ね。なんでこんなことしてたのか、理由がわからない」
【クロノ】
「だから……じい、はっきりするまで、このことはここだけの話にしておいて」
【アンク】
「承知しております」
【クロノ】
「うん……。それじゃ、じいは人間界のニュースとユリスが狩った魂の裏を取ってみて」
【アンク】
「かしこまりました」
【アンク】
「真相が見えてきましたが……クロノ様、ここで気を抜いてはなりませんぞ」
【アンク】
「事件というものは、最後まで一筋縄ではいかないものです」
【クロノ】
「……肝に銘じておく」
いつも通りの恭しい一礼をして、じいが消える。
【クロノ】
(……まさか、ユリスのやつが容疑者とはね)
【クロノ】
(ホントに、事件ってのは一筋縄じゃいかないもんだね、じい)
トラックに荷物を積み込み、車を運転して、待っている人の元へ運ぶ。
オレが配達の仕事をしているのは、体を動かすのが好きだからだ。
……でも、本当の所は違うのかもしれない。この仕事を選んだ、もうひとつの理由。
それは、人と深く分かり合う必要がないってところ。
明るく、元気で、模範的な行動をすれば、オレの本当の姿を見せなくて済む。
そう思っていたんだと思う。―――昨日、クロノに心を覗かれてしまうまでは。
【クロノ】
「あんたは、これから幸せになるんだ」
【春川 樹生】
(……クロノの言葉を信じよう)
生汰が死んだあの日から、ずっと重かった心。
それがクロノに会うたびに、軽くなってきている気がした。
【春川 樹生】
(もしかしたら、オレはもうリビドーを使わなくて済むかもしれないな……)
【春川 樹生】
(それは…)
【春川 樹生】
(クロノがいるからこそ…だよな)
心に浮かんだ小さな希望を胸に、オレはトラックを走らせる。
マンションの前で車を停め、荷台から荷物を取り出す。やたらと軽いダンボールだった。
伝票で部屋番号を確認し、配達先の部屋に辿り着く。
チャイムを鳴らしてしばらく待つと、薄く開いたドアの隙間から顔が覗いた。
不機嫌そうな目つきの男だった。
【春川 樹生】
「日留川さんに宅配です」
【日留川 凌央】
「……はい」
寝起きのような低い声。
男は扉を広く開けて荷物を受け取る―――その頭越しに、一瞬だけ部屋の中が見える。
……リビドーが転がっていた。慣れ親しんだ装置だ、見間違えるわけがない。
ぎょっとして男の顔を見てしまった。
伝票にサインを書き終えた男が、一瞬だけ合った目をそらす。
動揺しながらも伝票を受け取り、礼を言う隙も与えずにドアが閉まった。
【春川 樹生】
(リビドーのことになると、過敏に反応しすぎかもしれない……参ったな…)
トラックに乗り込み、助手席に放っておいた地図を手に取り、次の配達先を確認する。
その時、誰かに車の窓を叩かれた。見ると、可愛い顔をした青年が立っている。
窓を開けると、邪気の無い笑顔で青年が話しかけてきた。
【ユリス】
「すいません、道をお聞きしたいんですけど」
【春川 樹生】
「ああ、この辺りの道なら地図もあるし、いいですよ」
地図を片手に車から降りると、青年がにこにこしながら顔を覗き込んできた。
【ユリス】
「背、大きいですね。ちょっとかがんで貰えますか?」
【春川 樹生】
「かがんで……?こうですか?」
少し前のめりになるようにして立つと、青年の細い指が、トンとオレの額に触れた。
――その途端、身体の力が抜ける。
【春川 樹生】
「え……?」
それにつれて意識も徐々に遠くなる。
最後に見たのは、青年の嫌な笑顔と―――リビドーだった。
死神界での調査を終えた俺は、ひとまず人間界に下りた。
理由としては、春川の行動調査が半分。あとの半分は―――春川に会いたかったから。
なんて言うと、公私混同するなってじいに怒られるかもしれない。
俺はすでに、春川に対して、仕事以上の感情を……自覚していたから。
【クロノ】
(それにしても―――春川、どこに行ったんだ……?)
春川のトラックはマンション横の薄暗い道に停車されている。
仕事中の時間のはずだが、春川の姿はどこにも見当たらない。
―――嫌な予感がした。
真面目な春川が、車を放置してどこかに出かけるなんて事は無いはずだ。
トラックの運転席を調べるが、特に異常は無い。
周囲に人の気配が無いことを確認し荷台の扉を開く。
たくさんのダンボールの隙間に……―――春川が、倒れていた。
【クロノ】
「……っ!春川……!」
夢中で春川のそばに駆け寄る。
見ると、春川の頭にはリビドーが装着されている。
様子を確認してみるが、静かな寝息をたてて深く眠っている以外に不審な点はない。
つまり…春川は、トラックの荷台という不自然な場所で夢の中にいる事になる。
【クロノ】
(何故こんな所でリビドーを……?誰かに無理やり装着された?)
【クロノ】
(明らかに異常事態だ)
配達員の制服の上から、春川の体を調べてみる。
軽く確かめてみたけど、外傷は無い。
身体の大きな春川から意識を奪い、リビドーを着ける。
体を傷つけず、そんな事が出来る人間なんて少数だろう。―――ということは…。
荷台の扉を閉めて照明を灯し、じいを呼ぶ事にした。
【クロノ】
「じい、ちょっと来て」
【アンク】
「お呼びでしょうか」
どこからともなくじいが現れた。
春川の状態に気がついたじいは眉をひそめる。
―――この状況に立ち会えば、誰だってそんな反応するだろうけど。
【アンク】
「クロノ様、これは一体……?」
【クロノ】
「……わからない」
【クロノ】
「だから、これから春川の夢に介入して確かめる」
【アンク】
「この場で……でございますか?」
じいが不安そうに尋ねてくるが、いちいち検討している時間が惜しい。
【クロノ】
「状況が不自然すぎる……」
【クロノ】
(仕事中になんて不自然すぎる…心配だな…)
【クロノ】
「悪いけど…リビドーの準備、お願い」
【アンク】
「……かしこまりました。只今お持ちします」
じいの準備してくれたリビドーを手早く装着し、夢に介入する準備を整えた。
【アンク】
「どうか、お気をつけて」
【クロノ】
「……いざとなったら、じいが助けにきてくれるんだろ?」
【アンク】
「当たり前でございます!その時は、じいにお任せくだされ」
【アンク】
「まだまだ現役ですからな!」
誇らしげなじいの言葉に苦笑しつつ、リビドーのスイッチに手をかける。
【クロノ】
「それじゃ……行ってくる」
