[本編] 国重 昴正 編
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翌朝、身支度が終わった頃、丁度じいが現れた。
【アンク】
「おはようございます、クロノ様。今朝は早いですね」
【クロノ】
「昨日は重労働したおかげで、ぐっすり眠れたから」
【アンク】
「昨日のクロノ様は大活躍でしたからなあ、当社比で」
【クロノ】
「誰が見たって大活躍だったよ」
【アンク】
「ところで、部屋の模様替えをされましたか?」
【クロノ】
「ユリスが漁ったみたいで、本の並び順とか変わってて気持ち悪かったから、ついでにちょっと」
【クロノ】
「で? LIPのことについては調べてくれた?」
【アンク】
「はい、バッチリでございます。これをご覧ください」
じいは俺のパソコンを操作して、paraisoを開く。
【クロノ】
「これって……。じいも入れたの?」
【アンク】
「はい。チャットの方にも無事参加できまして」
じいは実際に発言してみせましょうと言って、『おはよー♪』と打った。
中に居た数人からも、ノリの良い答えが返ってきている。
確かに参加出来ているみたいだけど…。俺が気になって仕方ないのは、じいのHN。
【クロノ】
「『地獄のセバスチャン』って……これ」
【アンク】
「はい。私でございます」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「おっと、『さざなみコオロギ』さんや『ゴッサムケンシロウ』さんがいますね」
【アンク】
「彼らは夜中心に参加していると仰っていましたが……」
【クロノ】
「…なんか、凄い自然にやってるみたいだけど」
【クロノ】
「いつのまにこんなノリの会話方法を身につけてたの、じい」
【アンク】
「ふふふ、長いこと生きていれば色々な知識も備わるものですぞ」
俺は半眼になり、そのままじいのチャットを眺めていた。
他のユーザーと軽く会話をした後、じいは俺に向き直った。
【アンク】
「さて、この『地獄のセバスチャン』が手に入れた情報ですが」
【アンク】
「paraisoなるチャットサイトは、LIP使用者のみが入れるサイトでございます」
【クロノ】
「待って、そもそもLIPってなんだった?」
【アンク】
「リビドーの機能を拡張するプログラムのことでございます」
【アンク】
「『Libido-inflate plug-in』通称LIPと呼ばれているものです」
【アンク】
「3時間以上連続した憧憬夢を見ることが可能になるよう、機能を拡張するためのプログラムです」
【クロノ】
「じゃあ、何らかの方法でそのLIPを手に入れた奴に」
【クロノ】
「paraisoのアドレスが、メールで送られて来るってことか」
【アンク】
「左様でございます。あと、paraisoでも言われていたことですが」
【アンク】
「LIPを使用すると、憧憬夢が悪夢に変わってしまうこともあるようです」
【クロノ】
「へえ……」
【クロノ】
「国重も、悪夢化はLIPのせいって思ってそうだったな」
【アンク】
「申し訳ありません。これ以上のことは、現段階ではわかっておりませんので」
【アンク】
「このアカウントを使って、引き続き調査をして参ります」
【アンク】
「また、クロノ様もこのチャットを使えるよう、アカウントを取得しておきました」
じいはパソコンを操作し、俺の方へ画面を向けた。
発言欄の上部には、『グロノたん』と表示されている。
【クロノ】
「……今、じいとの間に、凄い深い溝を感じた。とても越えられないような……」
【アンク】
「何をおっしゃいますやら。ささ、広大なネットの海を思う存分泳いで下さいませ」
気は進まないけど、情報収集の場が増えたと思うことにして……
他のユーザーと、何か会話をしてみることにした。
【イクシード】
『グロノたんってのお前www スゲーHNwww』
【グロノたん】
『ありがとう』
【グロノたん】
『LIPのことなんだけど、悪夢を見るって本当?』
【イクシード】
『お前www 見てないんだ?www 幸せ者だねwwwww』
【イクシード】
『悪夢は代償www 甘い蜜ばっかじゃねーのよwww こーゆー刺激もないとねーwww』
【グロノたん】
『そんなもの?』
【イクシード】
『そんなもんwww だけどwww 悪夢見始めたら気をツケテネーwwwww』
【グロノたん】
『どういうこと?』
【イクシード】
『悪夢見始めたらwww 死ぬって噂www知らねーの?www』
【イクシード】
『でwww あんたの憧憬夢ってwww どんな?www』
【イクシード】
『どうせヤラシー夢www 見てんだろwww まwww リビドーは本来www そういう使い方ですけどwww』
ふと頭を過ったのは、国重の夢だった。
確かに、やらしいこともしてたけど……
綺麗な場所で、恋人と二人きりで過ごす夢。あの、安らかな空気の漂う夢。
【グロノたん】
『いやらしい夢っていうより、昔を懐かしんだりはしてるかも』
【イクシード】
『懐古厨乙www 草不可避www』
【グロノたん】
『そうかもな』
そう書き込んで、チャット画面を閉じた。
【クロノ】
(国重は、何を求めて、憧憬夢を見てるんだろう)
寿命を縮めてまで―――
じいが差し出したお茶を受け取る。
息を吹きかけてから一口すすると、何となく落ち着いた。
【アンク】
「ネットの大海原、いかがでございましたか?」
【クロノ】
「そうだな……」
【クロノ】
「情報収集の場としては、優秀かも。これからも使わせてもらう」
【アンク】
「それは良かった。…あと、この様なものを作ってみたのですが」
そう言ってじいが取りだしたのは、いつも俺が使っているリビドーだった。
【クロノ】
「リビドーがどうかした…?」
【アンク】
「昨晩のことがありましたので、悪夢を終わらせる装置を取り付けました」
【クロノ】
「凄いな、じい…。コンピューターおじいちゃんか」
【アンク】
「おはようございます、クロノ様。今朝は早いですね」
【クロノ】
「昨日は重労働したおかげで、ぐっすり眠れたから」
【アンク】
「昨日のクロノ様は大活躍でしたからなあ、当社比で」
【クロノ】
「誰が見たって大活躍だったよ」
【アンク】
「ところで、部屋の模様替えをされましたか?」
【クロノ】
「ユリスが漁ったみたいで、本の並び順とか変わってて気持ち悪かったから、ついでにちょっと」
【クロノ】
「で? LIPのことについては調べてくれた?」
【アンク】
「はい、バッチリでございます。これをご覧ください」
じいは俺のパソコンを操作して、paraisoを開く。
【クロノ】
「これって……。じいも入れたの?」
【アンク】
「はい。チャットの方にも無事参加できまして」
じいは実際に発言してみせましょうと言って、『おはよー♪』と打った。
中に居た数人からも、ノリの良い答えが返ってきている。
確かに参加出来ているみたいだけど…。俺が気になって仕方ないのは、じいのHN。
【クロノ】
「『地獄のセバスチャン』って……これ」
【アンク】
「はい。私でございます」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「おっと、『さざなみコオロギ』さんや『ゴッサムケンシロウ』さんがいますね」
【アンク】
「彼らは夜中心に参加していると仰っていましたが……」
【クロノ】
「…なんか、凄い自然にやってるみたいだけど」
【クロノ】
「いつのまにこんなノリの会話方法を身につけてたの、じい」
【アンク】
「ふふふ、長いこと生きていれば色々な知識も備わるものですぞ」
俺は半眼になり、そのままじいのチャットを眺めていた。
他のユーザーと軽く会話をした後、じいは俺に向き直った。
【アンク】
「さて、この『地獄のセバスチャン』が手に入れた情報ですが」
【アンク】
「paraisoなるチャットサイトは、LIP使用者のみが入れるサイトでございます」
【クロノ】
「待って、そもそもLIPってなんだった?」
【アンク】
「リビドーの機能を拡張するプログラムのことでございます」
【アンク】
「『Libido-inflate plug-in』通称LIPと呼ばれているものです」
【アンク】
「3時間以上連続した憧憬夢を見ることが可能になるよう、機能を拡張するためのプログラムです」
【クロノ】
「じゃあ、何らかの方法でそのLIPを手に入れた奴に」
【クロノ】
「paraisoのアドレスが、メールで送られて来るってことか」
【アンク】
「左様でございます。あと、paraisoでも言われていたことですが」
【アンク】
「LIPを使用すると、憧憬夢が悪夢に変わってしまうこともあるようです」
【クロノ】
「へえ……」
【クロノ】
「国重も、悪夢化はLIPのせいって思ってそうだったな」
【アンク】
「申し訳ありません。これ以上のことは、現段階ではわかっておりませんので」
【アンク】
「このアカウントを使って、引き続き調査をして参ります」
【アンク】
「また、クロノ様もこのチャットを使えるよう、アカウントを取得しておきました」
じいはパソコンを操作し、俺の方へ画面を向けた。
発言欄の上部には、『グロノたん』と表示されている。
【クロノ】
「……今、じいとの間に、凄い深い溝を感じた。とても越えられないような……」
【アンク】
「何をおっしゃいますやら。ささ、広大なネットの海を思う存分泳いで下さいませ」
気は進まないけど、情報収集の場が増えたと思うことにして……
他のユーザーと、何か会話をしてみることにした。
【イクシード】
『グロノたんってのお前www スゲーHNwww』
【グロノたん】
『ありがとう』
【グロノたん】
『LIPのことなんだけど、悪夢を見るって本当?』
【イクシード】
『お前www 見てないんだ?www 幸せ者だねwwwww』
【イクシード】
『悪夢は代償www 甘い蜜ばっかじゃねーのよwww こーゆー刺激もないとねーwww』
【グロノたん】
『そんなもの?』
【イクシード】
『そんなもんwww だけどwww 悪夢見始めたら気をツケテネーwwwww』
【グロノたん】
『どういうこと?』
【イクシード】
『悪夢見始めたらwww 死ぬって噂www知らねーの?www』
【イクシード】
『でwww あんたの憧憬夢ってwww どんな?www』
【イクシード】
『どうせヤラシー夢www 見てんだろwww まwww リビドーは本来www そういう使い方ですけどwww』
ふと頭を過ったのは、国重の夢だった。
確かに、やらしいこともしてたけど……
綺麗な場所で、恋人と二人きりで過ごす夢。あの、安らかな空気の漂う夢。
【グロノたん】
『いやらしい夢っていうより、昔を懐かしんだりはしてるかも』
【イクシード】
『懐古厨乙www 草不可避www』
【グロノたん】
『そうかもな』
そう書き込んで、チャット画面を閉じた。
【クロノ】
(国重は、何を求めて、憧憬夢を見てるんだろう)
寿命を縮めてまで―――
じいが差し出したお茶を受け取る。
息を吹きかけてから一口すすると、何となく落ち着いた。
【アンク】
「ネットの大海原、いかがでございましたか?」
【クロノ】
「そうだな……」
【クロノ】
「情報収集の場としては、優秀かも。これからも使わせてもらう」
【アンク】
「それは良かった。…あと、この様なものを作ってみたのですが」
そう言ってじいが取りだしたのは、いつも俺が使っているリビドーだった。
【クロノ】
「リビドーがどうかした…?」
【アンク】
「昨晩のことがありましたので、悪夢を終わらせる装置を取り付けました」
【クロノ】
「凄いな、じい…。コンピューターおじいちゃんか」