[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
「春川は、幸せになっていいんだ」
【春川 樹生】
「………………」
春川が静かに顔を上げ、俺の目を見つめる。その顔には、涙が光っていた。
【春川 樹生】
「オレは……オレだけが幸せになっちゃダメなんだ」
【クロノ】
「それは違う。春川だけでも幸せにならなくちゃダメだ」
【春川 樹生】
「オレだけでも……?」
春川が縋るような目で俺を見る。
―――トラウマに傷つき、囚われ、憔悴しきった顔に涙が伝って――。
その顔を見た瞬間……自分でもわけがわからないけど、春川にキスしていた。
【春川 樹生】
「……!い、いつも突然すぎるぞ」
唇を離すと、春川は目を白黒させていたが、表情から暗さが抜けていた。
【クロノ】
「元気出た?さあ、戻ろう」
【春川 樹生】
「オレは……戻ってもいいのか……?」
【クロノ】
「それは自分が決めること。少なくともここにいるだけじゃ、あんたも弟も救われない」
【クロノ】
「……一緒に帰ろう」
【春川 樹生】
「…わかった」
【クロノ】
「……さっきキスしちゃったけど、続きは現実で」
冗談めかして言ってみる。春川は顔を拭い、今度こそはっきりと笑顔を見せた。
【春川 樹生】
「……変な事、堂々と言うなよ……」
【クロノ】
「……その割には、喜んでるみたいだけど」
春川が言いかけた言い訳を最後まで聞かず、俺は現実に戻る。
ベッドの上の春川と唇を合わせる。
いつもより、唇が熱いような気がしたのは、俺の気のせいだろうか。
そのままキスをしながら、春川の頬、首筋…そして、熱い胸へ手を伸ばした時―――
春川が、ゆっくりを目を開く。
体を横たえたまま俺に手を伸ばし、春川が微笑む。
【春川 樹生】
「おはよう……」
【クロノ】
「おはよう。一つ、言っておくことがある。
さっきは夢の中だったし、言えなかったけど」
【春川 樹生】
「なんだよ……いきなり」
【クロノ】
「春川を追いかけて、悪夢の奥まで進んだ」
【クロノ】
「その途中で、記憶の断片や……あんたの想像を見せてもらった」
【クロノ】
「春川の弟が死んでしまった日の記憶も、見た」
【春川 樹生】
「なっ……!」
春川の顔が恐怖に歪んだ。
【クロノ】
「ごめん。何があったか全部見たんだ」
【クロノ】
「何故あんたがリビドーを使うのか、わかったよ」
途端に春川は片手で顔を隠し、目を閉じる。
俺はその体を抱きしめる。小さく震えているのがわかった。
―――春川の絶望が、肌から直接伝わってくる気がした。
【クロノ】
「……辛かっただろ」
【クロノ】
「でも、いつまでも自分を責めてちゃダメだ」
【クロノ】
「あんたはこれから幸せになるんだ」
【春川 樹生】
「……」
【春川 樹生】
「……オレの事を酷いやつだと思うか?弟を見殺しにしたやつだって」
【クロノ】
「思わない」
【クロノ】
「あんたは何も悪い事はしてないよ」
思っていることを正直に話してやる。これは慰めなんかじゃない。本当のことだ。
【クロノ】
「いいか、春川。―――寿命が人を殺すんだ」
【クロノ】
「人の死は、どんな最期でも…それが人にとっての寿命なんだ」
【クロノ】
「そこには人間も、死神も介入できない」
【クロノ】
「それがこの世の理なんだ」
春川が弱々しく微笑む。不安で仕方ない子供のような目をしていた。
【春川 樹生】
「……弟の事は、誰にも話した事がないんだ」
【春川 樹生】
「クロノ、最初に聞いてくれたのがあんたで、良かった」
【春川 樹生】
「なあ、あんたは、オレの事……」
【クロノ】
「……ん?」
【春川 樹生】
「……なんでもない」
春川はそれ以上を言わず、目を瞑って口を閉ざしてた。
【クロノ】
「もう寝たほうがいい……眠るまで、そばにいてやるから」
俺は春川の隣に寝転がって、その体を抱き締めた。
春川の心を蝕むトラウマごと、受け止められればいいと思いながら。
しばらくそうしていると、寝息が聞こえてきた。随分疲れていたらしく、深く眠っているようだ。
その寝顔を眺めていると、不思議な感情がこみ上げてきた。
この気持ちは、何だろう。春川のことを、放っておけない、だけじゃなかった。
【クロノ】
(俺は―――春川と、もっと一緒にいたい)
それは庇護欲に近くて、友情とは違う感情。守ってやりたいとか、傍にいたいって感情。
強いて言うなら、恋のような……。
【クロノ】
(俺が……人間に恋?もう二度と人間と関わらないと決めた俺が?)
黙ってこうして春川の隣にいると、俺は随分余計なことを考えてしまうらしい。
春川を起こさないように、そっとベッドから抜け出した。
自分の部屋に戻ってくると、少し冷静になれたので、ここぞとばかりに考え事をする。
リビドーによる死亡事故。追加データ「LIP」と悪夢。
人間界以外の場所に繋がってるparaiso。春川がリビドーを使い続ける理由。
ぼんやりしていた事件の概要が、少しずつ見えてきた気がする。
残り時間に余裕があるとは言えない。でも、少しずつ進んでる実感がある。
【クロノ】
(きっともう少しだ。もう少しで……春川を救える)
手元にある資料をめくる。ここ最近でユリスが狩った魂の名前のリストだ。
【クロノ】
「…あれ?西尾って名前、どこかで……」
名前の羅列を確認していくと、不意にあることに気がつく―――。
【アンク】
「失礼します。ご報告がございます」
【クロノ】
「ん……どうしたの?」
【アンク】
「ユリスの行動について調査してまいりました」
じいがやや緊張した面持ちで語る。
【アンク】
「ユリスの行動は、グレー……いえ、黒と言ってもいいでしょう」
【アンク】
「……人間界に頻繁に降りているのが確認されております」
【アンク】
「その回数は、リビドーが話題になった頃から増加しているようです」
【クロノ】
「そっか。俺も今調べてたけど。あいつが狩った魂の名前、どこか見覚えがあったんだ」
【クロノ】
「……人間界のニュースや新聞で見た名前だったんだよ」
【クロノ】
「詳しく調べてみないと確かな事は言えないけど……ほとんど一致する」
「春川は、幸せになっていいんだ」
【春川 樹生】
「………………」
春川が静かに顔を上げ、俺の目を見つめる。その顔には、涙が光っていた。
【春川 樹生】
「オレは……オレだけが幸せになっちゃダメなんだ」
【クロノ】
「それは違う。春川だけでも幸せにならなくちゃダメだ」
【春川 樹生】
「オレだけでも……?」
春川が縋るような目で俺を見る。
―――トラウマに傷つき、囚われ、憔悴しきった顔に涙が伝って――。
その顔を見た瞬間……自分でもわけがわからないけど、春川にキスしていた。
【春川 樹生】
「……!い、いつも突然すぎるぞ」
唇を離すと、春川は目を白黒させていたが、表情から暗さが抜けていた。
【クロノ】
「元気出た?さあ、戻ろう」
【春川 樹生】
「オレは……戻ってもいいのか……?」
【クロノ】
「それは自分が決めること。少なくともここにいるだけじゃ、あんたも弟も救われない」
【クロノ】
「……一緒に帰ろう」
【春川 樹生】
「…わかった」
【クロノ】
「……さっきキスしちゃったけど、続きは現実で」
冗談めかして言ってみる。春川は顔を拭い、今度こそはっきりと笑顔を見せた。
【春川 樹生】
「……変な事、堂々と言うなよ……」
【クロノ】
「……その割には、喜んでるみたいだけど」
春川が言いかけた言い訳を最後まで聞かず、俺は現実に戻る。
ベッドの上の春川と唇を合わせる。
いつもより、唇が熱いような気がしたのは、俺の気のせいだろうか。
そのままキスをしながら、春川の頬、首筋…そして、熱い胸へ手を伸ばした時―――
春川が、ゆっくりを目を開く。
体を横たえたまま俺に手を伸ばし、春川が微笑む。
【春川 樹生】
「おはよう……」
【クロノ】
「おはよう。一つ、言っておくことがある。
さっきは夢の中だったし、言えなかったけど」
【春川 樹生】
「なんだよ……いきなり」
【クロノ】
「春川を追いかけて、悪夢の奥まで進んだ」
【クロノ】
「その途中で、記憶の断片や……あんたの想像を見せてもらった」
【クロノ】
「春川の弟が死んでしまった日の記憶も、見た」
【春川 樹生】
「なっ……!」
春川の顔が恐怖に歪んだ。
【クロノ】
「ごめん。何があったか全部見たんだ」
【クロノ】
「何故あんたがリビドーを使うのか、わかったよ」
途端に春川は片手で顔を隠し、目を閉じる。
俺はその体を抱きしめる。小さく震えているのがわかった。
―――春川の絶望が、肌から直接伝わってくる気がした。
【クロノ】
「……辛かっただろ」
【クロノ】
「でも、いつまでも自分を責めてちゃダメだ」
【クロノ】
「あんたはこれから幸せになるんだ」
【春川 樹生】
「……」
【春川 樹生】
「……オレの事を酷いやつだと思うか?弟を見殺しにしたやつだって」
【クロノ】
「思わない」
【クロノ】
「あんたは何も悪い事はしてないよ」
思っていることを正直に話してやる。これは慰めなんかじゃない。本当のことだ。
【クロノ】
「いいか、春川。―――寿命が人を殺すんだ」
【クロノ】
「人の死は、どんな最期でも…それが人にとっての寿命なんだ」
【クロノ】
「そこには人間も、死神も介入できない」
【クロノ】
「それがこの世の理なんだ」
春川が弱々しく微笑む。不安で仕方ない子供のような目をしていた。
【春川 樹生】
「……弟の事は、誰にも話した事がないんだ」
【春川 樹生】
「クロノ、最初に聞いてくれたのがあんたで、良かった」
【春川 樹生】
「なあ、あんたは、オレの事……」
【クロノ】
「……ん?」
【春川 樹生】
「……なんでもない」
春川はそれ以上を言わず、目を瞑って口を閉ざしてた。
【クロノ】
「もう寝たほうがいい……眠るまで、そばにいてやるから」
俺は春川の隣に寝転がって、その体を抱き締めた。
春川の心を蝕むトラウマごと、受け止められればいいと思いながら。
しばらくそうしていると、寝息が聞こえてきた。随分疲れていたらしく、深く眠っているようだ。
その寝顔を眺めていると、不思議な感情がこみ上げてきた。
この気持ちは、何だろう。春川のことを、放っておけない、だけじゃなかった。
【クロノ】
(俺は―――春川と、もっと一緒にいたい)
それは庇護欲に近くて、友情とは違う感情。守ってやりたいとか、傍にいたいって感情。
強いて言うなら、恋のような……。
【クロノ】
(俺が……人間に恋?もう二度と人間と関わらないと決めた俺が?)
黙ってこうして春川の隣にいると、俺は随分余計なことを考えてしまうらしい。
春川を起こさないように、そっとベッドから抜け出した。
自分の部屋に戻ってくると、少し冷静になれたので、ここぞとばかりに考え事をする。
リビドーによる死亡事故。追加データ「LIP」と悪夢。
人間界以外の場所に繋がってるparaiso。春川がリビドーを使い続ける理由。
ぼんやりしていた事件の概要が、少しずつ見えてきた気がする。
残り時間に余裕があるとは言えない。でも、少しずつ進んでる実感がある。
【クロノ】
(きっともう少しだ。もう少しで……春川を救える)
手元にある資料をめくる。ここ最近でユリスが狩った魂の名前のリストだ。
【クロノ】
「…あれ?西尾って名前、どこかで……」
名前の羅列を確認していくと、不意にあることに気がつく―――。
【アンク】
「失礼します。ご報告がございます」
【クロノ】
「ん……どうしたの?」
【アンク】
「ユリスの行動について調査してまいりました」
じいがやや緊張した面持ちで語る。
【アンク】
「ユリスの行動は、グレー……いえ、黒と言ってもいいでしょう」
【アンク】
「……人間界に頻繁に降りているのが確認されております」
【アンク】
「その回数は、リビドーが話題になった頃から増加しているようです」
【クロノ】
「そっか。俺も今調べてたけど。あいつが狩った魂の名前、どこか見覚えがあったんだ」
【クロノ】
「……人間界のニュースや新聞で見た名前だったんだよ」
【クロノ】
「詳しく調べてみないと確かな事は言えないけど……ほとんど一致する」
