[本編] 国重 昴正 編
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俺が部屋へ戻って暫くたっても、じいはまだ姿を現さない。まだ仕事が残っているんだろう。
【クロノ】
「ってことは、明日の調査も俺一人かな」
今ならやりたい放題だ、なんて考えもしたけど……
一応仕事だし、事件の全容がわかるくらいまでは頑張るかと思い直す。
【クロノ】
「明日はどうするかな」
進展といえば、paraisoという謎のチャットサイトのこと。
チャットの内容を覗くことができれば、新しい情報が手に入るかもしれない。
【クロノ】
「まあ、チャットの事は明日かな。もう夜中だし、国重もそろそろ寝る頃か」
リビドーを使ってないならそれに越したことはないが、使ってるなら憧憬夢に入らなくちゃいけない。
俺は重い腰を上げ、再び国重の自宅へ瞬間移動した。
姿を消して、国重の部屋へ行くと――
国重はparaisoを眺めていた。
【クロノ】
(こんな夜中までチャットなんかするなよ…。寝ろよ…)
そうは思うが、折角なので国重の後ろからモニターを覗く。
夜中ということもあり、チャットは盛り上がっているようだ。
色んなハンドルネームの人物が、次々とログを埋めていく。
チャットでは色んな発言が流れてくるが、よく発言しているのは数名。
イクシード、カイン、マクシミリアヌス……。
【クロノ】
(アヌス……)
何となく顔をしかめたが、HNなんて気にしてる場合じゃない。
国重はログを追っているだけで、発言をする様子はない。
発言を見ながら、気になったことを手帳にまとめているようだ。
【イクシード】
『もしかしてLIPインストール出来てない奴とかイル―?www』
【クロノ】
(『LIP』……? 初めて見る単語だ)
【水城たんラブ】
『バカにしてんのかお前』
【イクシード】
『過去ログ辿ってみww結構いるからwww』
【イクシード】
『LIPインストールすると何が出来るか解ってない奴とかいる?ww』
【クロノ】
(俺がまさに解ってない奴なんだけど…教えてくれるのかな、これ)
【マクシミリアヌス】
『それは無闇に広めるべきじゃない』
【マクシミリアヌス】
『ここは情報交換の場だが、軽々しく話す内容じゃないだろう』
『LIP』というものについて、説明がされないままだ。
もどかしく思っていると、国重が真剣な顔でキーを叩き始めた。
俺が見ていない数時間の間に、練習したんだろうか。
もう一本指ではなく、数本の指でキーを叩けるようになっていたし、打っている間にも少しずつ手付きが慣れていく。
【クロノ】
(飲み込みの早いタイプなのかな)
感心している間に、国重は文を打ち終わり、送信ボタンを押した。
【一匹熊】
『最近LIPを使い始めたんだけど…難しくって(o;ω;o)
どなたか教えてください~(人>ω<*)』
【クロノ】
(え……………)
俺は黙って、国重の顔を見つめる。
まさか…ネカマなのか……?……このオッサン。
【イクシード】
『ggrks』
【カイン】
『あまり深く知らない方がいいと思うよ』
【クロノ】
(情報は出ないか……)
LIPについて知りたいんだけど……、まぁ仕方ないか。
それからも、リビドー使用者の内輪ネタな会話が繰り広げられて―――
俺はどんどんついていけなくなった…。
まずはLIPのことについて、じいに調査してもらった方が良さそうだ。
国重は夜遅くまでチャットを続け、そのまま布団に倒れ込んで爆睡した。
リビドーを使っていなかったので、明け方に俺はやっと部屋に戻れた。
そのまま遠慮なく昼まで眠っていたが、誰かが俺の頬を軽くつついているのに気付いた。
誰が起こしているんだろう。そう思って目を開けると――。
―――じいだった。
【クロノ】
「……おはよう……。ああー、げんなりする………」
【アンク】
「おそようさんに、そんなこと言う資格はありませんぞ! いつまで寝ているのです! …だらしない」
【クロノ】
「朝方まで残業してたのに……、酷い」
【アンク】
「それはそれは。仕事熱心で、サポート役として非常に鼻が高いですぞ」
【クロノ】
「昨日じいにサポートされてないけどね。で、ここに来たってことは、仕事は一段落した?」
【アンク】
「はい、おかげ様で。そちらは何か新たな収穫がありましたか?」
【クロノ】
「国重に、paraisoっていうチャットサイトのアドレスを書いたメールが送られてきた」
【クロノ】
「paraisoでは主にリビドーの話がされてて」
【クロノ】
「そこで初めて『LIP』っていう言葉を見たけど、結局詳しいことは解らなかった」
【アンク】
「わかりました。その件に関しましては、私がこちらで調査してみましょう」
【クロノ】
「うん、頼む」
【アンク】
「では、本日は私は、死神界に残りますので、クロノ様は」
【クロノ】
「わかってる。人間界で引き続き事件の調査」
国重が眠る頃には、じいも人間界に来て合流するということで打ち合わせを終え、じいは調べ物をしに行った。
準備をして部屋を出ようとした時、目の前に人影が現れる。
死神の、ユリスだった。
【ユリス】
「話、聞いてたんだけど。LIPについて調べてるんだって?」
俺は、こいつが苦手だ。言葉数は多いし、声はでかいし、とにかく性格が苦手だ。
【クロノ】
「土足で人の家に入らないでくれる? お前を招いた覚えはないけど」
【ユリス】
「招かれなくても入れちゃうのが、死神様の悲しい能力だよねー」
【クロノ】
「とにかく出てって。お前がいると、部屋から出られない」
【ユリス】
「そうそう。LIPについて調べに、人間界に行くんだっけ?」
【クロノ】
「……盗み聞きとか、感心しないんだけど」
【ユリス】
「聞こえてきちゃったもんは仕方ないだろうが! …で、何かわかった?」
【クロノ】
「調査結果の全ては、依頼者のみに報告する」
国重の言葉を借りて告げると、ユリスは笑った。
【ユリス】
「面白いよねえ、あのオッサン」
何かを探るような嫌らしい表情で、顔を覗きこんでくる。
露骨に怪しい。……何か知っているのかもしれないけど、今はこいつに構ってる暇はない。
【ユリス】
「クロノが調査対象として選んだって聞いて、興味わいたからさ」
【ユリス】
「ちょっと見に行ったんだけどさあ…。机の一番下の引き出しに、男の写真隠してるよ」
【ユリス】
「リビドー使ってどんな夢見てるんだろうね!? あははは!」
【クロノ】
(また下らない話が始まった…)
だからコイツとは話したくない。いつまでも興味の無い話を聞かされるから。
ちょっとムカついたので、顔を近付けて言ってやる。
【クロノ】
「あいつの性癖に興味があるのか」
【クロノ】
「物欲しそうな顔で、裏腹なことを言うのはみっともないぜ」
【クロノ】
「ってことは、明日の調査も俺一人かな」
今ならやりたい放題だ、なんて考えもしたけど……
一応仕事だし、事件の全容がわかるくらいまでは頑張るかと思い直す。
【クロノ】
「明日はどうするかな」
進展といえば、paraisoという謎のチャットサイトのこと。
チャットの内容を覗くことができれば、新しい情報が手に入るかもしれない。
【クロノ】
「まあ、チャットの事は明日かな。もう夜中だし、国重もそろそろ寝る頃か」
リビドーを使ってないならそれに越したことはないが、使ってるなら憧憬夢に入らなくちゃいけない。
俺は重い腰を上げ、再び国重の自宅へ瞬間移動した。
姿を消して、国重の部屋へ行くと――
国重はparaisoを眺めていた。
【クロノ】
(こんな夜中までチャットなんかするなよ…。寝ろよ…)
そうは思うが、折角なので国重の後ろからモニターを覗く。
夜中ということもあり、チャットは盛り上がっているようだ。
色んなハンドルネームの人物が、次々とログを埋めていく。
チャットでは色んな発言が流れてくるが、よく発言しているのは数名。
イクシード、カイン、マクシミリアヌス……。
【クロノ】
(アヌス……)
何となく顔をしかめたが、HNなんて気にしてる場合じゃない。
国重はログを追っているだけで、発言をする様子はない。
発言を見ながら、気になったことを手帳にまとめているようだ。
【イクシード】
『もしかしてLIPインストール出来てない奴とかイル―?www』
【クロノ】
(『LIP』……? 初めて見る単語だ)
【水城たんラブ】
『バカにしてんのかお前』
【イクシード】
『過去ログ辿ってみww結構いるからwww』
【イクシード】
『LIPインストールすると何が出来るか解ってない奴とかいる?ww』
【クロノ】
(俺がまさに解ってない奴なんだけど…教えてくれるのかな、これ)
【マクシミリアヌス】
『それは無闇に広めるべきじゃない』
【マクシミリアヌス】
『ここは情報交換の場だが、軽々しく話す内容じゃないだろう』
『LIP』というものについて、説明がされないままだ。
もどかしく思っていると、国重が真剣な顔でキーを叩き始めた。
俺が見ていない数時間の間に、練習したんだろうか。
もう一本指ではなく、数本の指でキーを叩けるようになっていたし、打っている間にも少しずつ手付きが慣れていく。
【クロノ】
(飲み込みの早いタイプなのかな)
感心している間に、国重は文を打ち終わり、送信ボタンを押した。
【一匹熊】
『最近LIPを使い始めたんだけど…難しくって(o;ω;o)
どなたか教えてください~(人>ω<*)』
【クロノ】
(え……………)
俺は黙って、国重の顔を見つめる。
まさか…ネカマなのか……?……このオッサン。
【イクシード】
『ggrks』
【カイン】
『あまり深く知らない方がいいと思うよ』
【クロノ】
(情報は出ないか……)
LIPについて知りたいんだけど……、まぁ仕方ないか。
それからも、リビドー使用者の内輪ネタな会話が繰り広げられて―――
俺はどんどんついていけなくなった…。
まずはLIPのことについて、じいに調査してもらった方が良さそうだ。
国重は夜遅くまでチャットを続け、そのまま布団に倒れ込んで爆睡した。
リビドーを使っていなかったので、明け方に俺はやっと部屋に戻れた。
そのまま遠慮なく昼まで眠っていたが、誰かが俺の頬を軽くつついているのに気付いた。
誰が起こしているんだろう。そう思って目を開けると――。
―――じいだった。
【クロノ】
「……おはよう……。ああー、げんなりする………」
【アンク】
「おそようさんに、そんなこと言う資格はありませんぞ! いつまで寝ているのです! …だらしない」
【クロノ】
「朝方まで残業してたのに……、酷い」
【アンク】
「それはそれは。仕事熱心で、サポート役として非常に鼻が高いですぞ」
【クロノ】
「昨日じいにサポートされてないけどね。で、ここに来たってことは、仕事は一段落した?」
【アンク】
「はい、おかげ様で。そちらは何か新たな収穫がありましたか?」
【クロノ】
「国重に、paraisoっていうチャットサイトのアドレスを書いたメールが送られてきた」
【クロノ】
「paraisoでは主にリビドーの話がされてて」
【クロノ】
「そこで初めて『LIP』っていう言葉を見たけど、結局詳しいことは解らなかった」
【アンク】
「わかりました。その件に関しましては、私がこちらで調査してみましょう」
【クロノ】
「うん、頼む」
【アンク】
「では、本日は私は、死神界に残りますので、クロノ様は」
【クロノ】
「わかってる。人間界で引き続き事件の調査」
国重が眠る頃には、じいも人間界に来て合流するということで打ち合わせを終え、じいは調べ物をしに行った。
準備をして部屋を出ようとした時、目の前に人影が現れる。
死神の、ユリスだった。
【ユリス】
「話、聞いてたんだけど。LIPについて調べてるんだって?」
俺は、こいつが苦手だ。言葉数は多いし、声はでかいし、とにかく性格が苦手だ。
【クロノ】
「土足で人の家に入らないでくれる? お前を招いた覚えはないけど」
【ユリス】
「招かれなくても入れちゃうのが、死神様の悲しい能力だよねー」
【クロノ】
「とにかく出てって。お前がいると、部屋から出られない」
【ユリス】
「そうそう。LIPについて調べに、人間界に行くんだっけ?」
【クロノ】
「……盗み聞きとか、感心しないんだけど」
【ユリス】
「聞こえてきちゃったもんは仕方ないだろうが! …で、何かわかった?」
【クロノ】
「調査結果の全ては、依頼者のみに報告する」
国重の言葉を借りて告げると、ユリスは笑った。
【ユリス】
「面白いよねえ、あのオッサン」
何かを探るような嫌らしい表情で、顔を覗きこんでくる。
露骨に怪しい。……何か知っているのかもしれないけど、今はこいつに構ってる暇はない。
【ユリス】
「クロノが調査対象として選んだって聞いて、興味わいたからさ」
【ユリス】
「ちょっと見に行ったんだけどさあ…。机の一番下の引き出しに、男の写真隠してるよ」
【ユリス】
「リビドー使ってどんな夢見てるんだろうね!? あははは!」
【クロノ】
(また下らない話が始まった…)
だからコイツとは話したくない。いつまでも興味の無い話を聞かされるから。
ちょっとムカついたので、顔を近付けて言ってやる。
【クロノ】
「あいつの性癖に興味があるのか」
【クロノ】
「物欲しそうな顔で、裏腹なことを言うのはみっともないぜ」