[本編] 春川 樹生 編
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そのまま、夢の中の俺は春川の下半身に手を伸ばして……。
いや、これ以上見るのはやめよう。どうせなら現実でした方がいいことだ、これは。
止まっていた足を動かして、先を急ぐ。
やがて、景色に変化が現れた。
映像の中に映し出される春川がどんどん若くなっている。
奥に進むに従って、古い記憶に遡っていくらしい。
既に映像の中の春川は、高校生程の年齢になっていた。
【クロノ】
(そうだ―――春川の弟が死んだのって、確かこの辺りの年齢のはず……)
弟の映像はまだ現れていない。
ということは、もう少し奥の方にあるのかもしれない。
注意して進むと、一際大きな画面になっている映像があった。
―――他のものとは明らかに違う存在感。
春川は、何度も何度もその「思い出」を繰り返したのだろう。
細部まではっきりとした映像に……弟が登場している。
【春川 樹生】
「オレに話ってなんだ?」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、そこに座って」
二人はベッドの上に並んで座る。
春川の実家……だろうか?現在の春川の部屋ではない。
ベッドに並んで座る二人は、いかにも仲良さそうで、楽しそうで―――強い既視感を覚える。
【クロノ】
(これ、春川がいつも見ていた夢とまったく同じ構図だ……)
夢のモデルになった場面なのかも知れない。重要な思い出っていうやつだ。
二人はじゃれあうように体を寄せ合い、話を続けている。
話題は、ちょっとした面白い事件や、冗談。ありふれた生活の中の幸福。
【春川 樹生】
「……それで、生汰。なにか話したい事があったんじゃないのか?」
ひとしきり話を終えた後、春川が頃合いを見計らったように言った。
【春川 生汰】
「うん。……お兄ちゃん、ちょっと目閉じてよ」
【春川 樹生】
「目を……?」
【春川 樹生】
「さては、何かいたずらでもしようとしてるだろ?」
【春川 生汰】
「……いたずらなんかじゃないよ。お願い、目を閉じて」
からかうように笑う春川に、弟はなおも懇願する
【春川 樹生】
「はいはい」
【春川 樹生】
「………これでいいか?」
―――言われるがままに春川は、静かに目を閉じた。
……ジーッスル……
【クロノ】
(お、おいおい……)
その後、俺の目の前で弟がとった行動は…予想外のものだった
【春川 樹生】
「ちょ、おい生汰……!?」
弟が、春川のズボンのファスナーを下ろして、そこへ顔を寄せてきたのだ
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、今から僕が…お兄ちゃんを気持ち良くしてあげるね」
【春川 樹生】
「や、やめろ生汰!どうしたんだ?友達になにか言われたのか?それとも学校の性教育の授業で……」
【春川 生汰】
「ううん、違うよお兄ちゃん僕、お兄ちゃんのことが好きだから、だからこういうことしたいんだ」
【春川 樹生】
「やめろ…って!ダメだ生汰、俺たち…血の繋がった兄弟だろ!?」
【春川 生汰】
「いやだ!やめない!」
春川は慌てて股間から顔を引き剥がそうとするが、弟は必死で食い下がる
【春川 樹生】
「…僕、小さい頃から誰よりもお兄ちゃんが好きなんだ!恋愛の意味で、好きなんだ!」
「…生まれてからずっと、お兄ちゃんだけが好きだったんだ。クラスの女子になんて、全然興味持ったこともないよ」
【春川 生汰】
「お兄ちゃんが好きで…、好きで…。1人でするときも、ずっとお兄ちゃんのことだけ考えてた……」
【春川 生汰】
「ねえ、いいでしょう?お兄ちゃん……。頑張って、お兄ちゃんのこと気持ち良くするから…ね?」
そういいながら、口元に笑みを浮かべる弟の声が、湿り気を帯びて震えていることに…恐らく春川も気づいたのだろう…
【春川 樹生】
「………本気、なのか?」
低く押し殺した声で、春川は呟いた
【春川 生汰】
「うん、本気だよ。僕、本気でお兄ちゃんが好きだ」
【春川 樹生】
「……だから、俺たちは兄弟で……」
【春川 生汰】
「兄弟でも関係ない!お兄ちゃんが好きなんだ!」
ぐ…と、春川が言葉を呑みこんだ
「ねえ……お兄ちゃん。僕たちが兄弟だから駄目なの?
それとも…男同士だから?」
【春川 樹生】
「……」
春川は、呆然自失の顔で…無言のまま弟を見つめている
弟の顔が、どんどん不安そうに曇っていく。
【春川 生汰】
「……お兄ちゃん……答え、てよ……」
【春川 樹生】
「…………………ごめん」
絞り出すように発せられたその一言に、どんな意図があったのか俺には分からない。
【春川 生汰】
「……っ……!」
―バン!トタトタトタトタ……
弟は弾かれた様にベッドから下りると、ドアを乱暴に開けて部屋を出て行った……腕で、目元を拭いながら
【春川 樹生】
「…………しょう…た…」
部屋に残された春川は、弟が出て行ったドアを、しばらくぼうっと見つめ……
【春川 樹生】
「………………」
その後、痛みに耐えるかのようにじっと瞳を閉じていたが……
【春川 樹生】
「―生汰!!」
―突然、我に返ったように立ち上がり、部屋を後にした
…………そして
キキキキ―ッ
ド―――ン!!!!
車のブレーキ音。悲鳴。地面に広がった血だまり。
……それが、春川の記憶の中で一番鮮明な、トラウマの正体だった。
【クロノ】
(……これが全ての原因。春川のトラウマ、か)
【クロノ】
(春川はこの時の自分をずっとずっと責め続けている)
【クロノ】
(夢の中の幸せそうな光景は、死んだ弟に会いたいだけ…、という単純なものじゃなかった)
【クロノ】
(弟の想いに応える事が出来なかった事に対する、罪の意識もあったんだ)
―――唇を噛み締めて、俺は歩き出す。奥へ続く道は、もうすぐ終わりそうだ。
【クロノ】
(春川……待ってて。俺が迎えに行ってやるから)
映像の数はどんどん少なくなっていく。忘れかけた記憶は色褪せている。
映像の中の春川は、優しげな笑顔の中学生になり、活発そうな小学生になり、足元のおぼつかない幼児になり……
それがやがて、ぼんやりした抽象的なイメージに変わり、ついに光だけになった。
夢の道の終わり、人間の一番最初の記憶のある場所―――春川はそこにいた。
春川は、彼が生まれた時に感じたはずの強烈な光の中、たった一人でうずくまっていた。
俺は春川の隣に座る。赤ん坊のように体を丸めた春川の背中をそっと撫でる。
【クロノ】
「やあ、春川。気分はどう?」
【春川 樹生】
「…………」
死んだように動かない春川の背中に向かって、俺は続ける。
【クロノ】
「現実世界に戻ろう。こんな所でいじけてたって、何も変わらないだろ」
【春川 樹生】
「……」
いや、これ以上見るのはやめよう。どうせなら現実でした方がいいことだ、これは。
止まっていた足を動かして、先を急ぐ。
やがて、景色に変化が現れた。
映像の中に映し出される春川がどんどん若くなっている。
奥に進むに従って、古い記憶に遡っていくらしい。
既に映像の中の春川は、高校生程の年齢になっていた。
【クロノ】
(そうだ―――春川の弟が死んだのって、確かこの辺りの年齢のはず……)
弟の映像はまだ現れていない。
ということは、もう少し奥の方にあるのかもしれない。
注意して進むと、一際大きな画面になっている映像があった。
―――他のものとは明らかに違う存在感。
春川は、何度も何度もその「思い出」を繰り返したのだろう。
細部まではっきりとした映像に……弟が登場している。
【春川 樹生】
「オレに話ってなんだ?」
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、そこに座って」
二人はベッドの上に並んで座る。
春川の実家……だろうか?現在の春川の部屋ではない。
ベッドに並んで座る二人は、いかにも仲良さそうで、楽しそうで―――強い既視感を覚える。
【クロノ】
(これ、春川がいつも見ていた夢とまったく同じ構図だ……)
夢のモデルになった場面なのかも知れない。重要な思い出っていうやつだ。
二人はじゃれあうように体を寄せ合い、話を続けている。
話題は、ちょっとした面白い事件や、冗談。ありふれた生活の中の幸福。
【春川 樹生】
「……それで、生汰。なにか話したい事があったんじゃないのか?」
ひとしきり話を終えた後、春川が頃合いを見計らったように言った。
【春川 生汰】
「うん。……お兄ちゃん、ちょっと目閉じてよ」
【春川 樹生】
「目を……?」
【春川 樹生】
「さては、何かいたずらでもしようとしてるだろ?」
【春川 生汰】
「……いたずらなんかじゃないよ。お願い、目を閉じて」
からかうように笑う春川に、弟はなおも懇願する
【春川 樹生】
「はいはい」
【春川 樹生】
「………これでいいか?」
―――言われるがままに春川は、静かに目を閉じた。
……ジーッスル……
【クロノ】
(お、おいおい……)
その後、俺の目の前で弟がとった行動は…予想外のものだった
【春川 樹生】
「ちょ、おい生汰……!?」
弟が、春川のズボンのファスナーを下ろして、そこへ顔を寄せてきたのだ
【春川 生汰】
「お兄ちゃん、今から僕が…お兄ちゃんを気持ち良くしてあげるね」
【春川 樹生】
「や、やめろ生汰!どうしたんだ?友達になにか言われたのか?それとも学校の性教育の授業で……」
【春川 生汰】
「ううん、違うよお兄ちゃん僕、お兄ちゃんのことが好きだから、だからこういうことしたいんだ」
【春川 樹生】
「やめろ…って!ダメだ生汰、俺たち…血の繋がった兄弟だろ!?」
【春川 生汰】
「いやだ!やめない!」
春川は慌てて股間から顔を引き剥がそうとするが、弟は必死で食い下がる
【春川 樹生】
「…僕、小さい頃から誰よりもお兄ちゃんが好きなんだ!恋愛の意味で、好きなんだ!」
「…生まれてからずっと、お兄ちゃんだけが好きだったんだ。クラスの女子になんて、全然興味持ったこともないよ」
【春川 生汰】
「お兄ちゃんが好きで…、好きで…。1人でするときも、ずっとお兄ちゃんのことだけ考えてた……」
【春川 生汰】
「ねえ、いいでしょう?お兄ちゃん……。頑張って、お兄ちゃんのこと気持ち良くするから…ね?」
そういいながら、口元に笑みを浮かべる弟の声が、湿り気を帯びて震えていることに…恐らく春川も気づいたのだろう…
【春川 樹生】
「………本気、なのか?」
低く押し殺した声で、春川は呟いた
【春川 生汰】
「うん、本気だよ。僕、本気でお兄ちゃんが好きだ」
【春川 樹生】
「……だから、俺たちは兄弟で……」
【春川 生汰】
「兄弟でも関係ない!お兄ちゃんが好きなんだ!」
ぐ…と、春川が言葉を呑みこんだ
「ねえ……お兄ちゃん。僕たちが兄弟だから駄目なの?
それとも…男同士だから?」
【春川 樹生】
「……」
春川は、呆然自失の顔で…無言のまま弟を見つめている
弟の顔が、どんどん不安そうに曇っていく。
【春川 生汰】
「……お兄ちゃん……答え、てよ……」
【春川 樹生】
「…………………ごめん」
絞り出すように発せられたその一言に、どんな意図があったのか俺には分からない。
【春川 生汰】
「……っ……!」
―バン!トタトタトタトタ……
弟は弾かれた様にベッドから下りると、ドアを乱暴に開けて部屋を出て行った……腕で、目元を拭いながら
【春川 樹生】
「…………しょう…た…」
部屋に残された春川は、弟が出て行ったドアを、しばらくぼうっと見つめ……
【春川 樹生】
「………………」
その後、痛みに耐えるかのようにじっと瞳を閉じていたが……
【春川 樹生】
「―生汰!!」
―突然、我に返ったように立ち上がり、部屋を後にした
…………そして
キキキキ―ッ
ド―――ン!!!!
車のブレーキ音。悲鳴。地面に広がった血だまり。
……それが、春川の記憶の中で一番鮮明な、トラウマの正体だった。
【クロノ】
(……これが全ての原因。春川のトラウマ、か)
【クロノ】
(春川はこの時の自分をずっとずっと責め続けている)
【クロノ】
(夢の中の幸せそうな光景は、死んだ弟に会いたいだけ…、という単純なものじゃなかった)
【クロノ】
(弟の想いに応える事が出来なかった事に対する、罪の意識もあったんだ)
―――唇を噛み締めて、俺は歩き出す。奥へ続く道は、もうすぐ終わりそうだ。
【クロノ】
(春川……待ってて。俺が迎えに行ってやるから)
映像の数はどんどん少なくなっていく。忘れかけた記憶は色褪せている。
映像の中の春川は、優しげな笑顔の中学生になり、活発そうな小学生になり、足元のおぼつかない幼児になり……
それがやがて、ぼんやりした抽象的なイメージに変わり、ついに光だけになった。
夢の道の終わり、人間の一番最初の記憶のある場所―――春川はそこにいた。
春川は、彼が生まれた時に感じたはずの強烈な光の中、たった一人でうずくまっていた。
俺は春川の隣に座る。赤ん坊のように体を丸めた春川の背中をそっと撫でる。
【クロノ】
「やあ、春川。気分はどう?」
【春川 樹生】
「…………」
死んだように動かない春川の背中に向かって、俺は続ける。
【クロノ】
「現実世界に戻ろう。こんな所でいじけてたって、何も変わらないだろ」
【春川 樹生】
「……」
