[本編] 綾 上総 編
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【浅多 侑思】
「…………」
浅多が現実に戻ってきたのと同時にじいは一旦姿を消し、俺は素早く人間の姿に戻った。
当然、部屋の主は驚いた顔で、いつの間にか部屋に上がり込んでいた俺と上総を見上げている。
夢の中で、死神の姿でいた所を見られたかもしれないけど。
何か言われたら、『夢じゃない?』でシラを切り通すつもりだ。
【浅多 侑思】
「なんでここに……」
【綾 上総】
「心配で様子見に来たんだよ」
【綾 上総】
「だってお前仕事来ねえし、他の奴が連絡したら様子おかしいし」
【浅多 侑思】
「え……、あ」
浅多はきょとんとしたけど、枕元にあるデジタル時計の日付を見て青ざめた。
【浅多 侑思】
「……僕、無断欠勤していましたね」
【綾 上総】
「でも、今回お前が厄介な事件に巻き込まれてるってわかったから」
【綾 上総】
「処罰の対象にならねえように、俺が何とかしてやっからな」
【浅多 侑思】
「で、でも……」
【綾 上総】
「いいから。こういう時になんとかすんのが副社長ってもんだろ」
【浅多 侑思】
「…ご迷惑をおかけして、すみません」
【綾 上総】
「気にすんな!」
上総は笑って、浅多の背中を思い切り叩いた。
【浅多 侑思】
「い、いたた……」
【クロノ】
「ところで浅多、どうしてあんなことになったのか、心当たりはある?」
顎に手をやって、難しい顔で考えている仕草の浅多を、俺と上総はじっと見つめる。
【浅多 侑思】
「……確か」
【浅多 侑思】
「深夜のオフィスで残業していた時に、怪しい男が現れて」
【浅多 侑思】
「小柄で…顔に包帯が巻いてあって……確か、髪が紫色っぽかったような」
【浅多 侑思】
「そいつに、液晶端末のようなものを見せられて」
【浅多 侑思】
「すぐに頭がぼんやりして……こころが、闇に覆われるような暗い気持ちになって……」
【クロノ】
「……なるほど」
上総は浅多に近付いて屈むと、肩を軽く叩いた。
【綾 上総】
「俺としては、お前には期待してるし」
【綾 上総】
「お前は思った以上に評価されてるんだから、もっと自信を持て」
【綾 上総】
「今度飲みに行こうぜ。黒乃と3人でよ」
ちょっと暗い顔になっていた浅多は目を丸くして。
上総の笑顔につられたように、穏やかに表情を緩めた。
【浅多 侑思】
「ところで、黒乃」
【浅多 侑思】
「お前、有給休暇中だったはずじゃないのか。何故ここにいるんだ」
【クロノ】
「え。あ、あーと」
【クロノ】
「ホラ、引き継ぎで浅多の負担を増やしたのは俺のせいだし」
【クロノ】
「それに副社長が泣きつくから、一時的に用事を抜け出してきた」
【綾 上総】
「口から出任せは、さすがだな……」
ボソッと、浅多には聞こえないくらいの小さな声で上総が呟いた。
【クロノ】
「何か言った? 全然聞こえない」
【綾 上総】
「別にー」
【浅多 侑思】
「……??」
【綾 上総】
「ああ、俺だけじゃ解決出来なそうだったから、こいつにも相談したんだわ」
【綾 上総】
「あ、言ってなかったと思うけど、黒乃と俺、デキてるから」
一瞬、俺達の間の空気が固まった。
【クロノ】
「え?えーと、そうだね」
【綾 上総】
「そーそー、そういうこと」
【浅多 侑思】
「……は?」
【綾 上総】
「だからー、恋人同士だってんだよ」
【綾 上総】
「あ、くれぐれも他の奴には言うなよ。まだお前にしか言ってないんだから」
【綾 上総】
「このことは3人だけの秘密だかんなー」
【浅多 侑思】
「…本当なのか、黒乃」
【クロノ】
「うん、まあ」
副社長と社員が男同士でカップルになっているとは思ってなかったのか。
浅多は相当驚いた様子だったけど、
上総の『3人だけの秘密』という言葉が嬉しかったのか、やがて噛みしめるように頷いた。
それから、上総と俺は浅多の家を出て。
俺は瞬間移動で部屋まで上総を送ってから、じいと共に死神界へ戻った。
まだ、俺達にはやるべきことが残ってるから。
俺の部屋につくと、じいはさっそくパソコンを開いて。
浅多の部屋で聞いた情報をまとめ始めた。
【アンク】
「浅多さんに聞いた包帯男の特徴から言って、十中八九ユリスでしょうな」
【クロノ】
「…だろうね」
【クロノ】
「前に俺が病院で聞いた噂……あれも関係してると思う」
【アンク】
「ええ、おそらく」
【アンク】
「クロノ様が病院で聞いた噂も併せて考えてみますと…」
【アンク】
「ユリスが何らかのデバイスを持って」
【アンク】
「浅多さんの時と同様に、特定のターゲットに見せて回っているのではないでしょうか」
【アンク】
「病院での不可解な自殺増加は、ユリスによる実験だったのかもしれません」
【クロノ】
「……なるほど」
【クロノ】
「詳しくは、もう少し調査してみないとわかんないか…」
【クロノ】
「だけど、なんでユリスは上総じゃなくて、浅多を狙ったんだろう」
【アンク】
「それは、今のところの全く謎に包まれておりますな」
【アンク】
「ユリスの思考の話なら、クロノ様の方がお詳しいかと思いますが」
【クロノ】
「詳しいと思われてるのは、癪だけど……」
【クロノ】
「単純に嫌がらせとかじゃないの? どうでもいいけど」
「…………」
浅多が現実に戻ってきたのと同時にじいは一旦姿を消し、俺は素早く人間の姿に戻った。
当然、部屋の主は驚いた顔で、いつの間にか部屋に上がり込んでいた俺と上総を見上げている。
夢の中で、死神の姿でいた所を見られたかもしれないけど。
何か言われたら、『夢じゃない?』でシラを切り通すつもりだ。
【浅多 侑思】
「なんでここに……」
【綾 上総】
「心配で様子見に来たんだよ」
【綾 上総】
「だってお前仕事来ねえし、他の奴が連絡したら様子おかしいし」
【浅多 侑思】
「え……、あ」
浅多はきょとんとしたけど、枕元にあるデジタル時計の日付を見て青ざめた。
【浅多 侑思】
「……僕、無断欠勤していましたね」
【綾 上総】
「でも、今回お前が厄介な事件に巻き込まれてるってわかったから」
【綾 上総】
「処罰の対象にならねえように、俺が何とかしてやっからな」
【浅多 侑思】
「で、でも……」
【綾 上総】
「いいから。こういう時になんとかすんのが副社長ってもんだろ」
【浅多 侑思】
「…ご迷惑をおかけして、すみません」
【綾 上総】
「気にすんな!」
上総は笑って、浅多の背中を思い切り叩いた。
【浅多 侑思】
「い、いたた……」
【クロノ】
「ところで浅多、どうしてあんなことになったのか、心当たりはある?」
顎に手をやって、難しい顔で考えている仕草の浅多を、俺と上総はじっと見つめる。
【浅多 侑思】
「……確か」
【浅多 侑思】
「深夜のオフィスで残業していた時に、怪しい男が現れて」
【浅多 侑思】
「小柄で…顔に包帯が巻いてあって……確か、髪が紫色っぽかったような」
【浅多 侑思】
「そいつに、液晶端末のようなものを見せられて」
【浅多 侑思】
「すぐに頭がぼんやりして……こころが、闇に覆われるような暗い気持ちになって……」
【クロノ】
「……なるほど」
上総は浅多に近付いて屈むと、肩を軽く叩いた。
【綾 上総】
「俺としては、お前には期待してるし」
【綾 上総】
「お前は思った以上に評価されてるんだから、もっと自信を持て」
【綾 上総】
「今度飲みに行こうぜ。黒乃と3人でよ」
ちょっと暗い顔になっていた浅多は目を丸くして。
上総の笑顔につられたように、穏やかに表情を緩めた。
【浅多 侑思】
「ところで、黒乃」
【浅多 侑思】
「お前、有給休暇中だったはずじゃないのか。何故ここにいるんだ」
【クロノ】
「え。あ、あーと」
【クロノ】
「ホラ、引き継ぎで浅多の負担を増やしたのは俺のせいだし」
【クロノ】
「それに副社長が泣きつくから、一時的に用事を抜け出してきた」
【綾 上総】
「口から出任せは、さすがだな……」
ボソッと、浅多には聞こえないくらいの小さな声で上総が呟いた。
【クロノ】
「何か言った? 全然聞こえない」
【綾 上総】
「別にー」
【浅多 侑思】
「……??」
【綾 上総】
「ああ、俺だけじゃ解決出来なそうだったから、こいつにも相談したんだわ」
【綾 上総】
「あ、言ってなかったと思うけど、黒乃と俺、デキてるから」
一瞬、俺達の間の空気が固まった。
【クロノ】
「え?えーと、そうだね」
【綾 上総】
「そーそー、そういうこと」
【浅多 侑思】
「……は?」
【綾 上総】
「だからー、恋人同士だってんだよ」
【綾 上総】
「あ、くれぐれも他の奴には言うなよ。まだお前にしか言ってないんだから」
【綾 上総】
「このことは3人だけの秘密だかんなー」
【浅多 侑思】
「…本当なのか、黒乃」
【クロノ】
「うん、まあ」
副社長と社員が男同士でカップルになっているとは思ってなかったのか。
浅多は相当驚いた様子だったけど、
上総の『3人だけの秘密』という言葉が嬉しかったのか、やがて噛みしめるように頷いた。
それから、上総と俺は浅多の家を出て。
俺は瞬間移動で部屋まで上総を送ってから、じいと共に死神界へ戻った。
まだ、俺達にはやるべきことが残ってるから。
俺の部屋につくと、じいはさっそくパソコンを開いて。
浅多の部屋で聞いた情報をまとめ始めた。
【アンク】
「浅多さんに聞いた包帯男の特徴から言って、十中八九ユリスでしょうな」
【クロノ】
「…だろうね」
【クロノ】
「前に俺が病院で聞いた噂……あれも関係してると思う」
【アンク】
「ええ、おそらく」
【アンク】
「クロノ様が病院で聞いた噂も併せて考えてみますと…」
【アンク】
「ユリスが何らかのデバイスを持って」
【アンク】
「浅多さんの時と同様に、特定のターゲットに見せて回っているのではないでしょうか」
【アンク】
「病院での不可解な自殺増加は、ユリスによる実験だったのかもしれません」
【クロノ】
「……なるほど」
【クロノ】
「詳しくは、もう少し調査してみないとわかんないか…」
【クロノ】
「だけど、なんでユリスは上総じゃなくて、浅多を狙ったんだろう」
【アンク】
「それは、今のところの全く謎に包まれておりますな」
【アンク】
「ユリスの思考の話なら、クロノ様の方がお詳しいかと思いますが」
【クロノ】
「詳しいと思われてるのは、癪だけど……」
【クロノ】
「単純に嫌がらせとかじゃないの? どうでもいいけど」
