[本編] 綾 上総 編
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【綾 上総】
「そこでタクシー捕まえて最短距離でぶっ飛ばさせたら結構すぐ着いた」
【クロノ】
「そう……」
【アンク】
「…如何なさいますか、クロノ様」
【クロノ】
「どうするって言っても……もう、仕方ないじゃん」
早いところ救出してやらないと、精神力がもたないかもしれない。
頷いたじいが鞄から改良したリビドーを取り出して、色々設置していると。
上総が身を屈めて、決意に満ちた眼差しで俺を見上げた。
【綾 上総】
「夢の中、行くんだな」
【クロノ】
「まあ…それしか解決方法がないから」
【綾 上総】
「俺も行く」
【クロノ】
「上総……どうしても、連れて行けない」
【綾 上総】
「何でだよ! 納得できねぇ!」
【綾 上総】
「俺だって悪夢の中にいたことあんだぞ!」
【クロノ】
「元々そこに居たっていうだけでしょ?」
【クロノ】
「他人の夢に入るのとは訳が違うんだよ!」
【クロノ】
「いい? 夢の中で死ぬと、精神が死ぬんだ」
上総は唇を噛み締めて、言いたいことを堪えているらしい。
おそらく俺の言いたいことを察したのだろう。
そんな上総の肩を優しく掴んで、冷静に告げる。
【クロノ】
「上総が見た悪夢の状況、うっすらと覚えてるだろ?」
【クロノ】
「浅多の夢もあんな風になってる可能性が高い」
【クロノ】
「俺は確かに上総を守るけど、もし守りきれなかったら」
【クロノ】
「俺は一生自分を恨むことになるし、その逆だってあり得る」
【綾 上総】
「逆…?」
【クロノ】
「上総を庇って、俺が死ぬって場合」
【綾 上総】
「……」
【クロノ】
「そんなの、俺達はどっちも望んでないはずだろ」
上総は表情を歪めたまま目を伏せて、すっと一歩身を引いた。
感情では納得してなくても、理屈では納得してくれたらしい。
今のうちにと思って、じいに目線で合図をしてリビドーを装着する。
浅多のベッドの横に横たわると、上総が傍に膝をついて。
俺の胸元に、そっと掌を置いた。
【綾 上総】
「……絶対、ちゃんと戻って来いよ」
【クロノ】
「もちろん」
夢の中へ飛び込んで、魔力を探りながら広大な意識の中を進んでいく。
するとモヤのような人影が見えて、俺は静かに立ち止まる。
浅多は、黒い人影に囲まれるようにしてうずくまっていた。
――――その人影の中には、上総の姿もあった。
【綾 上総】
『おい、浅多』
【綾 上総】
『この資料昨日までに直せって言っといたよな?』
【綾 上総】
『なんで直ってねえんだよ。ほんとてめえは使えねえな』
【綾 上総】
『何時まで経ってもそんなんだから出世もろくにできねえんだよ。違うか?』
【綾 上総】
『無駄に頭硬ぇばっかでよ、融通もきかねえんじゃそりゃ黒乃にも抜かれるだろって話だわ』
【クロノ】
「…………」
上総の言葉に重ねるようにして、他の人影からも罵声が浴びせられる。
次に姿を表したのは年配の男女。
顔はモヤが掛かってて曖昧だが……どことなく、浅多に似ている気がする。両親だろうか。
【浅多母】
『ねえ侑思。どうしていつまで経ってもできないの?』
【浅多母】
『不出来な息子のせいで、母さんご近所でも肩身が狭いのよ』
【浅多父】
『お前は本当に出来損ないだな』
【浅多父】
『何をやらせてもまともにできない。しかも未だに恋人の一人も連れて来ない』
【浅多父】
『お前がもっと仕事が出来る人間だったら良かったのにな』
その他にも、会社で見たことのある顔になじられたりもしていた。
取引先の相手まで出てきて、嘲笑したり、浅多の過去の失敗を責め立てている。
どうやら悪夢の中の浅多は、
仕事の人間関係が上手くいかず、両親とも不仲で、恋人もできない男。
暴言を吐く輪の中心にいる浅多が、耳を塞いだままうずくまって動かないのは。
孤独に打ちひしがれているからと考えるのが妥当だろうか。
【クロノ】
「浅多、聞こえるか」
近付いて、輪の間から声をかけてみる。
すると罵声が大きくなって、俺の声を掻き消してしまう。
大声を出せば出すほど周囲の声も大きくなって埒が明かない。
輪の間に割り込み、浅多に目線を合わせるように屈んで、
体を揺さぶりながら話しかけることにした。
【クロノ】
「浅多。ここはお前の夢の中だ」
【クロノ】
「お前が見ているものは全て幻だ。目を覚ませ!」
その時、空からじいの声が降ってきた。
【アンク】
『クロノ様、ただ今アンチスペルの魔力を流しましたので』
【アンク】
『悪夢の原因となっているものは消えるでしょう。その上で呼びかけてみてください』
【クロノ】
「わかった!」
すぐに、悪夢の人影は陽炎のように揺らめいて姿を消し、
残されたのは浅多ただ一人となった。
改めて肩を揺さぶり、さっきよりも強い声で語りかける。
だけど、色んな方向から説得を試みても反応はなく、虚ろな目で涙を流している。
【クロノ】
(うーん……これは、一旦作戦を練り直そう)
急浮上して現実に戻ってリビドーを外すと、
上総が真っ先に顔を近づけてきた。
【綾 上総】
「どうだった?」
【クロノ】
「駄目、反応がない」
【アンク】
「悪夢の幻影は消えたようでしたか?」
【クロノ】
「ああ、それは問題なく。ただ残された浅多にいくら話しかけても返事がなくて」
【綾 上総】
「……」
【アンク】
「そうですか…」
【アンク】
「確かに、クロノ様は浅多さんとは余り親しくありませんからね」
【アンク】
「彼のトラウマや、彼が不安に思っていることなど、その根本的な悩みを解決できるような」
【アンク】
「的確な言葉を投げないと、彼の深層心理には届かないのでしょう」
【クロノ】
「じゃあどうすんの。今から浅多のこと調べる?」
【クロノ】
「いくら死神界の資料でも、そこまでは載ってないよね?」
「そこでタクシー捕まえて最短距離でぶっ飛ばさせたら結構すぐ着いた」
【クロノ】
「そう……」
【アンク】
「…如何なさいますか、クロノ様」
【クロノ】
「どうするって言っても……もう、仕方ないじゃん」
早いところ救出してやらないと、精神力がもたないかもしれない。
頷いたじいが鞄から改良したリビドーを取り出して、色々設置していると。
上総が身を屈めて、決意に満ちた眼差しで俺を見上げた。
【綾 上総】
「夢の中、行くんだな」
【クロノ】
「まあ…それしか解決方法がないから」
【綾 上総】
「俺も行く」
【クロノ】
「上総……どうしても、連れて行けない」
【綾 上総】
「何でだよ! 納得できねぇ!」
【綾 上総】
「俺だって悪夢の中にいたことあんだぞ!」
【クロノ】
「元々そこに居たっていうだけでしょ?」
【クロノ】
「他人の夢に入るのとは訳が違うんだよ!」
【クロノ】
「いい? 夢の中で死ぬと、精神が死ぬんだ」
上総は唇を噛み締めて、言いたいことを堪えているらしい。
おそらく俺の言いたいことを察したのだろう。
そんな上総の肩を優しく掴んで、冷静に告げる。
【クロノ】
「上総が見た悪夢の状況、うっすらと覚えてるだろ?」
【クロノ】
「浅多の夢もあんな風になってる可能性が高い」
【クロノ】
「俺は確かに上総を守るけど、もし守りきれなかったら」
【クロノ】
「俺は一生自分を恨むことになるし、その逆だってあり得る」
【綾 上総】
「逆…?」
【クロノ】
「上総を庇って、俺が死ぬって場合」
【綾 上総】
「……」
【クロノ】
「そんなの、俺達はどっちも望んでないはずだろ」
上総は表情を歪めたまま目を伏せて、すっと一歩身を引いた。
感情では納得してなくても、理屈では納得してくれたらしい。
今のうちにと思って、じいに目線で合図をしてリビドーを装着する。
浅多のベッドの横に横たわると、上総が傍に膝をついて。
俺の胸元に、そっと掌を置いた。
【綾 上総】
「……絶対、ちゃんと戻って来いよ」
【クロノ】
「もちろん」
夢の中へ飛び込んで、魔力を探りながら広大な意識の中を進んでいく。
するとモヤのような人影が見えて、俺は静かに立ち止まる。
浅多は、黒い人影に囲まれるようにしてうずくまっていた。
――――その人影の中には、上総の姿もあった。
【綾 上総】
『おい、浅多』
【綾 上総】
『この資料昨日までに直せって言っといたよな?』
【綾 上総】
『なんで直ってねえんだよ。ほんとてめえは使えねえな』
【綾 上総】
『何時まで経ってもそんなんだから出世もろくにできねえんだよ。違うか?』
【綾 上総】
『無駄に頭硬ぇばっかでよ、融通もきかねえんじゃそりゃ黒乃にも抜かれるだろって話だわ』
【クロノ】
「…………」
上総の言葉に重ねるようにして、他の人影からも罵声が浴びせられる。
次に姿を表したのは年配の男女。
顔はモヤが掛かってて曖昧だが……どことなく、浅多に似ている気がする。両親だろうか。
【浅多母】
『ねえ侑思。どうしていつまで経ってもできないの?』
【浅多母】
『不出来な息子のせいで、母さんご近所でも肩身が狭いのよ』
【浅多父】
『お前は本当に出来損ないだな』
【浅多父】
『何をやらせてもまともにできない。しかも未だに恋人の一人も連れて来ない』
【浅多父】
『お前がもっと仕事が出来る人間だったら良かったのにな』
その他にも、会社で見たことのある顔になじられたりもしていた。
取引先の相手まで出てきて、嘲笑したり、浅多の過去の失敗を責め立てている。
どうやら悪夢の中の浅多は、
仕事の人間関係が上手くいかず、両親とも不仲で、恋人もできない男。
暴言を吐く輪の中心にいる浅多が、耳を塞いだままうずくまって動かないのは。
孤独に打ちひしがれているからと考えるのが妥当だろうか。
【クロノ】
「浅多、聞こえるか」
近付いて、輪の間から声をかけてみる。
すると罵声が大きくなって、俺の声を掻き消してしまう。
大声を出せば出すほど周囲の声も大きくなって埒が明かない。
輪の間に割り込み、浅多に目線を合わせるように屈んで、
体を揺さぶりながら話しかけることにした。
【クロノ】
「浅多。ここはお前の夢の中だ」
【クロノ】
「お前が見ているものは全て幻だ。目を覚ませ!」
その時、空からじいの声が降ってきた。
【アンク】
『クロノ様、ただ今アンチスペルの魔力を流しましたので』
【アンク】
『悪夢の原因となっているものは消えるでしょう。その上で呼びかけてみてください』
【クロノ】
「わかった!」
すぐに、悪夢の人影は陽炎のように揺らめいて姿を消し、
残されたのは浅多ただ一人となった。
改めて肩を揺さぶり、さっきよりも強い声で語りかける。
だけど、色んな方向から説得を試みても反応はなく、虚ろな目で涙を流している。
【クロノ】
(うーん……これは、一旦作戦を練り直そう)
急浮上して現実に戻ってリビドーを外すと、
上総が真っ先に顔を近づけてきた。
【綾 上総】
「どうだった?」
【クロノ】
「駄目、反応がない」
【アンク】
「悪夢の幻影は消えたようでしたか?」
【クロノ】
「ああ、それは問題なく。ただ残された浅多にいくら話しかけても返事がなくて」
【綾 上総】
「……」
【アンク】
「そうですか…」
【アンク】
「確かに、クロノ様は浅多さんとは余り親しくありませんからね」
【アンク】
「彼のトラウマや、彼が不安に思っていることなど、その根本的な悩みを解決できるような」
【アンク】
「的確な言葉を投げないと、彼の深層心理には届かないのでしょう」
【クロノ】
「じゃあどうすんの。今から浅多のこと調べる?」
【クロノ】
「いくら死神界の資料でも、そこまでは載ってないよね?」
