[本編] 綾 上総 編
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【クロノ】
「……なんか最近、自殺者多いよね」
【アンク】
「その件で死神長からお話があるそうです」
【アンク】
「一度死神界へ戻るようにと、言伝を承っております」
【クロノ】
「…? わかった」
紙袋を置くために一度上総の部屋へ戻ってから、じいと共に死神界へ移動した。
【クロノ】
(ここに戻るのも…随分久しぶりだな)
たった数年で何かが変わるわけもなく、死神界は以前と同じ景色で俺を出迎えてくれた。
死神の詰め所などを通りかかると、懐かしい顔が見えて。
久しぶりだなとか、今は何してるんだとか、軽く雑談なんかを交わした後。
じいにせっつかれるようにして、長の部屋へ向かった。
【アンク】
「死神長様、クロノ様をお連れ致しました」
【クロノ】
「……どうも」
長は、パソコンから顔を上げて俺の姿を見とめると、何故か顔をしかめた。
【長】
「小憎たらしい。相変わらず元気そうだな」
【クロノ】
「そこは素直に喜んでくださいよ」
【クロノ】
「…長のおかげで、毎日楽しく暮らせてます」
【長】
「フン。おだてても仕事は減らさんからな」
【クロノ】
「はいはい…。で、何ですか? 用件って」
【長】
「うむ。一度送り出しておいて、この様な頼み事は心苦しいのだがな」
【長】
「率直に言うと、人手が足りん」
【クロノ】
「……はあ」
【長】
「というわけで、戻ってこい」
【クロノ】
「いや、待ってください。え? いきなりすぎませんか…?」
【長】
「言うな、わかっておる。恋人はどうするんだという話だろう?」
【長】
「安心しろ。完全にこっちに戻って来いと言ってるのではない」
【長】
「多忙な時期だけ少し多めに手伝え、と言っている」
【クロノ】
「ええー…」
思わず嫌そうな顔をしたら、長の顔が険しくなった。
【長】
「死亡者リストを見ただろう?」
【クロノ】
「…………」
【長】
「自殺者が激増している」
【長】
「こちらの調査によると、人外の力が関与している可能性が高い」
【クロノ】
「だからって俺…?」
【クロノ】
「いや、そっちで何とかなりませんか」
【長】
「こっちも一つの事件だけ追っているわけにはいかんのだ」
【長】
「ちょうど別の厄介な事件が起こっていてな。そちらに半数以上の人員を割いている」
【クロノ】
「…………」
【長】
「お前に拒否権はないぞ。断れば恋人の命は無いなどと、外道なことは言わん」
【長】
「死神の端くれなら、元職場のヘルプくらい買って出ろ」
【クロノ】
「……まずは資料見せてください」
【長】
「アンク。クロノに事件の概要を」
【アンク】
「はい」
【アンク】
「クロノ様、こちらの映像を御覧くださいませ」
真っ白な壁に映し出された資料をレーザーポインターで示しながら、
じいが説明してくれたのは以下の通り。
急増した自殺者の身辺調査をしているうちに、わかったことが幾つかある。
自殺者の大半が半年以内に『grief(グリーフ)』というサイトにアクセスしていた形跡があった。
そこは動画を一つ置いてあるだけのサイトだったが、
その動画には、人に白昼夢を見せて負の感情を増幅させる効果があった。
サーバーの方に働きかけて、動画自体を削除しようと考えたが。
複数のミラーサイトが作られており、根絶には時間がかかりそうだった。
既に動画を見てしまった人間の自殺を食い止める対策班、
日々増える魂狩りの対応などで、死神界は多忙を極めている。
そして、これらの事件の犯人として、真っ先に浮かんだのが――――。
【アンク】
「ユリス、というわけでございます」
【クロノ】
「……あいつ……」
【アンク】
「リビドー事件の後から、捜索は続いておりますが」
【アンク】
「足取りは依然として掴めておりません」
だから余計に人手が足らん、と長が不機嫌そうに付け加えた。
【アンク】
「以上のことを踏まえまして」
【アンク】
「一時的にクロノ様のお力をお借りしたい…ということです」
【長】
「事件解決まで、しばらく死神業に復帰しろ」
寿命の長い死神の時間感覚では、『しばらく』とは数十年単位を指す。
その間、ずっと上総と会えないということはないだろうけど。
すくなくとも、今まで通りの生活は送れなくなる。
副社長補佐の仕事はできないし、一緒に眠ることも難しくなるだろう。
【クロノ】
(そんなの……嫌に決まってる)
「……なんか最近、自殺者多いよね」
【アンク】
「その件で死神長からお話があるそうです」
【アンク】
「一度死神界へ戻るようにと、言伝を承っております」
【クロノ】
「…? わかった」
紙袋を置くために一度上総の部屋へ戻ってから、じいと共に死神界へ移動した。
【クロノ】
(ここに戻るのも…随分久しぶりだな)
たった数年で何かが変わるわけもなく、死神界は以前と同じ景色で俺を出迎えてくれた。
死神の詰め所などを通りかかると、懐かしい顔が見えて。
久しぶりだなとか、今は何してるんだとか、軽く雑談なんかを交わした後。
じいにせっつかれるようにして、長の部屋へ向かった。
【アンク】
「死神長様、クロノ様をお連れ致しました」
【クロノ】
「……どうも」
長は、パソコンから顔を上げて俺の姿を見とめると、何故か顔をしかめた。
【長】
「小憎たらしい。相変わらず元気そうだな」
【クロノ】
「そこは素直に喜んでくださいよ」
【クロノ】
「…長のおかげで、毎日楽しく暮らせてます」
【長】
「フン。おだてても仕事は減らさんからな」
【クロノ】
「はいはい…。で、何ですか? 用件って」
【長】
「うむ。一度送り出しておいて、この様な頼み事は心苦しいのだがな」
【長】
「率直に言うと、人手が足りん」
【クロノ】
「……はあ」
【長】
「というわけで、戻ってこい」
【クロノ】
「いや、待ってください。え? いきなりすぎませんか…?」
【長】
「言うな、わかっておる。恋人はどうするんだという話だろう?」
【長】
「安心しろ。完全にこっちに戻って来いと言ってるのではない」
【長】
「多忙な時期だけ少し多めに手伝え、と言っている」
【クロノ】
「ええー…」
思わず嫌そうな顔をしたら、長の顔が険しくなった。
【長】
「死亡者リストを見ただろう?」
【クロノ】
「…………」
【長】
「自殺者が激増している」
【長】
「こちらの調査によると、人外の力が関与している可能性が高い」
【クロノ】
「だからって俺…?」
【クロノ】
「いや、そっちで何とかなりませんか」
【長】
「こっちも一つの事件だけ追っているわけにはいかんのだ」
【長】
「ちょうど別の厄介な事件が起こっていてな。そちらに半数以上の人員を割いている」
【クロノ】
「…………」
【長】
「お前に拒否権はないぞ。断れば恋人の命は無いなどと、外道なことは言わん」
【長】
「死神の端くれなら、元職場のヘルプくらい買って出ろ」
【クロノ】
「……まずは資料見せてください」
【長】
「アンク。クロノに事件の概要を」
【アンク】
「はい」
【アンク】
「クロノ様、こちらの映像を御覧くださいませ」
真っ白な壁に映し出された資料をレーザーポインターで示しながら、
じいが説明してくれたのは以下の通り。
急増した自殺者の身辺調査をしているうちに、わかったことが幾つかある。
自殺者の大半が半年以内に『grief(グリーフ)』というサイトにアクセスしていた形跡があった。
そこは動画を一つ置いてあるだけのサイトだったが、
その動画には、人に白昼夢を見せて負の感情を増幅させる効果があった。
サーバーの方に働きかけて、動画自体を削除しようと考えたが。
複数のミラーサイトが作られており、根絶には時間がかかりそうだった。
既に動画を見てしまった人間の自殺を食い止める対策班、
日々増える魂狩りの対応などで、死神界は多忙を極めている。
そして、これらの事件の犯人として、真っ先に浮かんだのが――――。
【アンク】
「ユリス、というわけでございます」
【クロノ】
「……あいつ……」
【アンク】
「リビドー事件の後から、捜索は続いておりますが」
【アンク】
「足取りは依然として掴めておりません」
だから余計に人手が足らん、と長が不機嫌そうに付け加えた。
【アンク】
「以上のことを踏まえまして」
【アンク】
「一時的にクロノ様のお力をお借りしたい…ということです」
【長】
「事件解決まで、しばらく死神業に復帰しろ」
寿命の長い死神の時間感覚では、『しばらく』とは数十年単位を指す。
その間、ずっと上総と会えないということはないだろうけど。
すくなくとも、今まで通りの生活は送れなくなる。
副社長補佐の仕事はできないし、一緒に眠ることも難しくなるだろう。
【クロノ】
(そんなの……嫌に決まってる)