[本編] 綾 上総 編
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【ユリス】
「この期に及んで、まーだリビドー使う、あんな奴のどこがいいのか教えてよ」
【クロノ】
「今回のは、上総が自主的にリビドーを使ったわけじゃないだろ」
【ユリス】
「はっ……」
ユリスは鼻で笑うような声を出すと、少しだけ首を傾げて、両手を挙げた。
【ユリス】
「降参。俺は丸腰だよ?もう離してよ」
【クロノ】
「……」
無抵抗のヤツを攻撃するほど、俺は落ちぶれてない。
ユリスを開放して、次は上総を捕らえている化物を消そうと思った時。
【綾 上総】
「――――ッ!!!!!」
上総が何か伝えようと、必死に声を出している。
弾かれたように振り返ると、そこには鎌を振りかぶったユリスの姿があった。
【ユリス】
「お人よしもほどほどにな!!!!」
咄嗟に身をかわしたけれど――、それこそがユリスの狙いだったようだ。
ユリスは化物のもとへと駆け寄ると、拘束されたままの上総の首に鎌を押し当てて、ケラケラと笑った。
【ユリス】
「形勢逆転ってやつ~?コイツを殺されたくなかったら、俺の言うこと、聞いてもらおうかな」
【クロノ】
「……ムカつく」
形勢逆転されたとは思わなかったけど、ただ、俺の怒りを増大させる効果はあった。
ユリスの目が俺の目を見つめて、うっとりと歪む。
【ユリス】
「……お前って、キレると瞳の色少し変わるんだよね」
【ユリス】
「すごく綺麗だから、お前が怒ってるとこも結構いいなって思ってる」
【クロノ】
「褒めてる場合?俺はお前を殺す気でいるのに」
【ユリス】
「まあまあ」
【ユリス】
「それじゃコイツについて、少し話をしようよ」
クマはやっと上総の口から、長い爪を引き抜いた。
【綾 上総】
「クロノ。話なんかすんじゃねーぞ!どうせロクなこと言わねえよコイツ!」
【綾 上総】
「親父やクロノを触手塗れにしたのは、あんたか! ユリス!」
【綾 上総】
「俺の夢を勝手に弄りやがって、さっさと解放しやがれ! このチビ!」
やっと口が自由になった上総は、拘束されながらも大声で怒鳴る。
けど、ユリスは余裕の表情でチラリと上総を見やる。
【ユリス】
「うるさいなあ。裸で、こんな化物に捕まって。惨めじゃないの?」
【綾 上総】
「未経験のてめーと違って、裸で恥じらう程ウブじゃねーんだよ」
【ユリス】
「へぇ……」
ユリスが剣呑な目付きになる。
【綾 上総】
「……っぐ……!」
上総の体を這い回る触手の動きが早くなり、クマの手がやさしく上総の太ももを撫でる。
上総の腰が、逃げるようにも快感を求めるようにも見える動きで揺れ始めていた。
【ユリス】
「……ねえ、クロノ」
【ユリス】
「こんなクズ、もうほっときなよ。自分一人じゃなにも出来ないくせに、態度ばっかり偉そうで」
【ユリス】
「父親に愛されたいくせに、愛されなくて、憎んでいるくせに、甘えたがって」
【ユリス】
「見てるだけでイライラするんだよね、俺」
【クロノ】
「それが人間ってものじゃないの?黒か白かだけじゃ、測れない」
俺が鎌を構えようとすると、ユリスが鋭く叫ぶ。
【ユリス】
「動くな!!動いたらコイツを殺す!!」
【クロノ】
「人質とか……。ほんと卑怯だね、お前」
上総の首に、ぐっと鎌が押し付けられる。上総は青ざめて、自然と身じろぎが止まった。
一つ溜息をついて、俺は自分の鎌を消失させた。今は、上総の安全が第一だ。
そんな俺の姿を見て、ユリスは満足そうに微笑む。
【ユリス】
「俺はね、確実に勝てる勝負しかしないんだよね」
【ユリス】
「魂狩りだって、確実にトップになれるようにしただけ」
【クロノ】
「そう。それで、要求はなに?」
【クロノ】
「上総を殺さないで人質にしたのは、俺に要求があるからだろ?」
ユリスは俺の真意を測るように、少しの間黙っていたけど、やがてゆっくり口を開いた。
【ユリス】
「俺が逃げる手伝いをしてよ」
【ユリス】
「クロノなら長からも信頼されてるし、死神界の撹乱くらい簡単だろ?」
【ユリス】
「それで、一緒に行こう。俺は死神界とか糞食らえだし」
上総が驚いたようにユリスの顔を見た。
俺も正直驚いた。なんでそんな風に思うに至ったのか、さっぱり分からない。
でも、分からないとは言え答えは一つだ。
【クロノ】
「無理。お前と一緒には行けないし、逃げる手伝いもしない」
【クロノ】
「俺は上総を助けて、お前を死神界に引き渡す」
俺の返事を聞いたユリスの顔が強張って……、すぐに笑顔になった。
【ユリス】
「だよな~、予想通りの答えだったわ」
【ユリス】
「でも、あーあ、残念。これで綾上総は死ぬこと決定~!」
【ユリス】
「殺したくなんかなかったのにな?本当は! あはははははははは!!」
ユリスが、上総の首に鎌の刃を当てたままで笑う。
【ユリス】
「なあ、クロノ。夢の中で死んだらどうなると思う?」
【クロノ】
「さあ」
内心の動揺を悟られないよう、冷静な顔を作って答える。
ユリスの狙いはおそらく、俺の動揺のはずだから。
【ユリス】
「心が死ぬんだよな、実は」
【ユリス】
「言ってる意味、分かる? 夢の中で死んだら、綾上総は現実でも死ぬの」
【クロノ】
「ふーん」
……ことの重大さを、理解できなかったわけじゃない。
だが、弱みを見せたら絶対につけ込まれる。こいつはそういう性格だ。
【ユリス】
「あ、もしかして、そんなバカなことがあってたまるかとか思ってる?」
【ユリス】
「でも本当なんだよね、これが」
【ユリス】
「リビドーは、脳波を無理矢理動かす装置だからさー。普通の夢とはシステムが違う」
【ユリス】
「脳波が狂えば脳も狂う。それって心の死なんだよ。わかる?」
【クロノ】
「それは分かったけど、そもそも、なんで上総を殺す必要がある?」
【クロノ】
「お前が死神界から追われているのは、自業自得だろ。上総のせいじゃない」
【クロノ】
「まぁ、お前を直接追い込んだ俺を殺したいって言うなら、分かるんだけど」
「この期に及んで、まーだリビドー使う、あんな奴のどこがいいのか教えてよ」
【クロノ】
「今回のは、上総が自主的にリビドーを使ったわけじゃないだろ」
【ユリス】
「はっ……」
ユリスは鼻で笑うような声を出すと、少しだけ首を傾げて、両手を挙げた。
【ユリス】
「降参。俺は丸腰だよ?もう離してよ」
【クロノ】
「……」
無抵抗のヤツを攻撃するほど、俺は落ちぶれてない。
ユリスを開放して、次は上総を捕らえている化物を消そうと思った時。
【綾 上総】
「――――ッ!!!!!」
上総が何か伝えようと、必死に声を出している。
弾かれたように振り返ると、そこには鎌を振りかぶったユリスの姿があった。
【ユリス】
「お人よしもほどほどにな!!!!」
咄嗟に身をかわしたけれど――、それこそがユリスの狙いだったようだ。
ユリスは化物のもとへと駆け寄ると、拘束されたままの上総の首に鎌を押し当てて、ケラケラと笑った。
【ユリス】
「形勢逆転ってやつ~?コイツを殺されたくなかったら、俺の言うこと、聞いてもらおうかな」
【クロノ】
「……ムカつく」
形勢逆転されたとは思わなかったけど、ただ、俺の怒りを増大させる効果はあった。
ユリスの目が俺の目を見つめて、うっとりと歪む。
【ユリス】
「……お前って、キレると瞳の色少し変わるんだよね」
【ユリス】
「すごく綺麗だから、お前が怒ってるとこも結構いいなって思ってる」
【クロノ】
「褒めてる場合?俺はお前を殺す気でいるのに」
【ユリス】
「まあまあ」
【ユリス】
「それじゃコイツについて、少し話をしようよ」
クマはやっと上総の口から、長い爪を引き抜いた。
【綾 上総】
「クロノ。話なんかすんじゃねーぞ!どうせロクなこと言わねえよコイツ!」
【綾 上総】
「親父やクロノを触手塗れにしたのは、あんたか! ユリス!」
【綾 上総】
「俺の夢を勝手に弄りやがって、さっさと解放しやがれ! このチビ!」
やっと口が自由になった上総は、拘束されながらも大声で怒鳴る。
けど、ユリスは余裕の表情でチラリと上総を見やる。
【ユリス】
「うるさいなあ。裸で、こんな化物に捕まって。惨めじゃないの?」
【綾 上総】
「未経験のてめーと違って、裸で恥じらう程ウブじゃねーんだよ」
【ユリス】
「へぇ……」
ユリスが剣呑な目付きになる。
【綾 上総】
「……っぐ……!」
上総の体を這い回る触手の動きが早くなり、クマの手がやさしく上総の太ももを撫でる。
上総の腰が、逃げるようにも快感を求めるようにも見える動きで揺れ始めていた。
【ユリス】
「……ねえ、クロノ」
【ユリス】
「こんなクズ、もうほっときなよ。自分一人じゃなにも出来ないくせに、態度ばっかり偉そうで」
【ユリス】
「父親に愛されたいくせに、愛されなくて、憎んでいるくせに、甘えたがって」
【ユリス】
「見てるだけでイライラするんだよね、俺」
【クロノ】
「それが人間ってものじゃないの?黒か白かだけじゃ、測れない」
俺が鎌を構えようとすると、ユリスが鋭く叫ぶ。
【ユリス】
「動くな!!動いたらコイツを殺す!!」
【クロノ】
「人質とか……。ほんと卑怯だね、お前」
上総の首に、ぐっと鎌が押し付けられる。上総は青ざめて、自然と身じろぎが止まった。
一つ溜息をついて、俺は自分の鎌を消失させた。今は、上総の安全が第一だ。
そんな俺の姿を見て、ユリスは満足そうに微笑む。
【ユリス】
「俺はね、確実に勝てる勝負しかしないんだよね」
【ユリス】
「魂狩りだって、確実にトップになれるようにしただけ」
【クロノ】
「そう。それで、要求はなに?」
【クロノ】
「上総を殺さないで人質にしたのは、俺に要求があるからだろ?」
ユリスは俺の真意を測るように、少しの間黙っていたけど、やがてゆっくり口を開いた。
【ユリス】
「俺が逃げる手伝いをしてよ」
【ユリス】
「クロノなら長からも信頼されてるし、死神界の撹乱くらい簡単だろ?」
【ユリス】
「それで、一緒に行こう。俺は死神界とか糞食らえだし」
上総が驚いたようにユリスの顔を見た。
俺も正直驚いた。なんでそんな風に思うに至ったのか、さっぱり分からない。
でも、分からないとは言え答えは一つだ。
【クロノ】
「無理。お前と一緒には行けないし、逃げる手伝いもしない」
【クロノ】
「俺は上総を助けて、お前を死神界に引き渡す」
俺の返事を聞いたユリスの顔が強張って……、すぐに笑顔になった。
【ユリス】
「だよな~、予想通りの答えだったわ」
【ユリス】
「でも、あーあ、残念。これで綾上総は死ぬこと決定~!」
【ユリス】
「殺したくなんかなかったのにな?本当は! あはははははははは!!」
ユリスが、上総の首に鎌の刃を当てたままで笑う。
【ユリス】
「なあ、クロノ。夢の中で死んだらどうなると思う?」
【クロノ】
「さあ」
内心の動揺を悟られないよう、冷静な顔を作って答える。
ユリスの狙いはおそらく、俺の動揺のはずだから。
【ユリス】
「心が死ぬんだよな、実は」
【ユリス】
「言ってる意味、分かる? 夢の中で死んだら、綾上総は現実でも死ぬの」
【クロノ】
「ふーん」
……ことの重大さを、理解できなかったわけじゃない。
だが、弱みを見せたら絶対につけ込まれる。こいつはそういう性格だ。
【ユリス】
「あ、もしかして、そんなバカなことがあってたまるかとか思ってる?」
【ユリス】
「でも本当なんだよね、これが」
【ユリス】
「リビドーは、脳波を無理矢理動かす装置だからさー。普通の夢とはシステムが違う」
【ユリス】
「脳波が狂えば脳も狂う。それって心の死なんだよ。わかる?」
【クロノ】
「それは分かったけど、そもそも、なんで上総を殺す必要がある?」
【クロノ】
「お前が死神界から追われているのは、自業自得だろ。上総のせいじゃない」
【クロノ】
「まぁ、お前を直接追い込んだ俺を殺したいって言うなら、分かるんだけど」
