[本編] 綾 上総 編
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一緒にいるなんて言っても、言葉通りに四六時中一緒にいられる訳がない。
クロノは、死神界から呼び出しが来たと言って姿を消した。
すぐに戻るから外には出るな、なんて心配そうに繰り返して。
クロノに、外に出ないと約束させられてから、
仕事は休めばいいやと今日の日付を確認して―――、今日が休日だと思い出した。
【綾 上総】
「まさか俺が、休日を忘れるとはねぇ…」
一人で呟いて、一人で笑った。
いつもだったら休みの前日は、誰かしらを誘って酒三昧。
そのまま遊び仲間と雑魚寝して、起きたら奴らと何処かに出かけたりして。
それもこれも、一人でいるのが嫌だったからなのに。
【綾 上総】
「一人でいても、辛くねえな」
人間、変われば変わるものなんだな。
どこか清々しい気持ちで、ブラインドを開ける。
外は快晴。
【綾 上総】
「それにしても、死神界ってどこにあるんだ?空の上か?」
何気なく呟いて、またクロノのことを思い出す。
俺のために、一生懸命になってくれるクロノ。
わざわざ来てくれては、悪夢から何度も救ってくれた。
あいつと一緒にいると、失ったものが戻ってきたような気持ちになる。
そして、なにかが新しく手に入りそうな気になってくる。
【綾 上総】
「男に手を出そうとする変態ヤローだけどな」
【綾 上総】
「けど、あいつが、一緒にいてくれたら」
きっと前よりも、マシな人間になれる。
そんな予感がしていた。
体中が、ギシギシと軋むように痛む。
特に、胸から腹にかけての傷は深刻で、身動き一つしただけで寒気がするほど痛い。
【ユリス】
「クソッ……、何でこんなことに…」
【ユリス】
「成績上げて、あいつに俺のこと見直させたかっただけなのに…!」
【ユリス】
「それだけなのに……、なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだよ…ッ!」
昨日、なんの感情もない目で俺を見た、クロノを思い出す。
悔しさで涙が滲んだ。
俺が何度も話しかけてやったのに。
俺がヒントをやろうとしたのに…。
俺が仲間に入れてやるって、誘ってやったのに……!
【ユリス】
「死神のくせに、人間なんかに肩入れしやがって…!」
【ユリス】
「俺のことは無視するくせに、なんであんな人間に…!」
【ユリス】
「俺より、あんなクズ人間がいいってのかよ…?!」
【ユリス】
「ふざけんなよ…!絶対許さないからな……!」
心の中に、ドス黒い思いが溜まっていく。
その黒は、頭の中のクロノの顔を塗り潰して……俺の思考も塗り潰して……。
全部、完全な黒に染まった。
【ユリス】
「そんなに人間の方がいい?」
【ユリス】
「そんなに人間といちゃつきたいなら、そうなるようにしてやるよ」
【ユリス】
「あは……あはは…っ!あははははははははは!!!!」
俺は震える手でリビドーを掴み、先日開発したばかりのプログラムをインストールした。
上総と話をしている時、じいから連絡があった。
ユリス捜索について、続報が入ったとのことだった。
あのまま人間界に残った方が、上総が安全だと思ったけど。
じいも忙しくて、人間界まで来られないようだったので、俺が死神界へ戻ることにした。
【アンク】
「クロノ様、お疲れ様でございます」
【クロノ】
「じいもお疲れ様。……で、今はどんな状況?」
【アンク】
「昨晩の件を死神長様にお話しましたところ、やはりユリスが犯人ということで」
【アンク】
「死神界にて、大捜索が行われました」
【クロノ】
「ユリスは、見つからなかったんじゃない?」
【アンク】
「…見つかりませんでした。……死神界に、戻ってはおりません」
【クロノ】
「という事は、まだ人間界にいるわけだ」
【アンク】
「ええ。死神長様も同じ判断を下されました」
【アンク】
「そこで今後の捜索は、人間界を中心に行われることになりました」
軽くメシを食ってから、なんとなく部屋の掃除をする。
最近は荒れてることが多かったんで、部屋がマジで汚かった。
【綾 上総】
「すぐ戻るつってたけど…、何時くらいに戻るんだ? あいつ」
掃除する手は止めなかったけれど、俺はまたあいつの事を考えていた。
クロノが帰ってきたら、外食にでも連れてってやるか。
死神界には美味いメシ、あるんかな。
いやいやどうせ粗食だろ。なんか、そんなイメージ。
……そんなことを考えながら、部屋の掃除をしていると。
――ピンポーン。ピンポーン。
ピンポーン。
インターフォンが三回鳴った。
――今日、人が来る予定は無い。クロノだったら、わざわざインターフォンは使わない。
不審に思い、モニターで誰かを確認する。
……運送業の制服を着た、小柄な男だった。
【綾 上総】
「なに?」
【配達員】
『綾上総さんですね?お届け物です』
【綾 上総】
「なんも頼んでないけど。…送付元、教えてくれる?」
【配達員】
『ええと……、ラクドと書かれていますが』
楽土?……いや、rakudoだ。
リビドーを販売しているサイトの名前。
偶然か、それとも、犯人がなんらかのアクションを起こしたのか……。
――どっちにしろ、クロノの調査の役に立つかもしれない。
俺はオートロックの解除ボタンを押して、配達員に言う。
【綾 上総】
「早くそれ、持ってきて。駆け足で頼むわ」
ユリスの捜索は、人間界を中心に行われる……
そうする以外ないと思うけど、俺の知る限りでは、かなり異例の決定だったので少し驚いた。
【クロノ】
「任務に就いてない死神が人間界に居続けられるなんて、聞いたことないし、
案外早く見つかるかもしれないね」
【アンク】
「そうだといいのですが……。なにせ、人間界は広いですからなぁ」
じいは遠くを見るような目で、呟く。
【クロノ】
「それで、他には?」
【アンク】
「そうでした。ええと……、リビドーについてなのですが」
【アンク】
「どうにかして、リビドーのシステム自体を停止させることが出来ればと、研究をしていたのですが」
【クロノ】
「リビドーそのものが動かなくなれば、死者の増加は止められる訳だしね」
【アンク】
「システムに強固なプロテクトがかかっていて、私の腕では無理でした」
【アンク】
「機能停止のためのパスを、ユリスから聞き出すしかないようです」
【アンク】
「そうすれば、全リビドーの機能を停止させることが可能かと」
【クロノ】
「……いざ悪事がバレた時の保険だったのかもね、その機能」
【アンク】
「そうかもしれませんな」
じいは、ふっと一度溜息を吐くと、俺に一礼する。
【アンク】
「ご足労に感謝いたします。今のところ、新しい情報は以上でございます」
クロノは、死神界から呼び出しが来たと言って姿を消した。
すぐに戻るから外には出るな、なんて心配そうに繰り返して。
クロノに、外に出ないと約束させられてから、
仕事は休めばいいやと今日の日付を確認して―――、今日が休日だと思い出した。
【綾 上総】
「まさか俺が、休日を忘れるとはねぇ…」
一人で呟いて、一人で笑った。
いつもだったら休みの前日は、誰かしらを誘って酒三昧。
そのまま遊び仲間と雑魚寝して、起きたら奴らと何処かに出かけたりして。
それもこれも、一人でいるのが嫌だったからなのに。
【綾 上総】
「一人でいても、辛くねえな」
人間、変われば変わるものなんだな。
どこか清々しい気持ちで、ブラインドを開ける。
外は快晴。
【綾 上総】
「それにしても、死神界ってどこにあるんだ?空の上か?」
何気なく呟いて、またクロノのことを思い出す。
俺のために、一生懸命になってくれるクロノ。
わざわざ来てくれては、悪夢から何度も救ってくれた。
あいつと一緒にいると、失ったものが戻ってきたような気持ちになる。
そして、なにかが新しく手に入りそうな気になってくる。
【綾 上総】
「男に手を出そうとする変態ヤローだけどな」
【綾 上総】
「けど、あいつが、一緒にいてくれたら」
きっと前よりも、マシな人間になれる。
そんな予感がしていた。
体中が、ギシギシと軋むように痛む。
特に、胸から腹にかけての傷は深刻で、身動き一つしただけで寒気がするほど痛い。
【ユリス】
「クソッ……、何でこんなことに…」
【ユリス】
「成績上げて、あいつに俺のこと見直させたかっただけなのに…!」
【ユリス】
「それだけなのに……、なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだよ…ッ!」
昨日、なんの感情もない目で俺を見た、クロノを思い出す。
悔しさで涙が滲んだ。
俺が何度も話しかけてやったのに。
俺がヒントをやろうとしたのに…。
俺が仲間に入れてやるって、誘ってやったのに……!
【ユリス】
「死神のくせに、人間なんかに肩入れしやがって…!」
【ユリス】
「俺のことは無視するくせに、なんであんな人間に…!」
【ユリス】
「俺より、あんなクズ人間がいいってのかよ…?!」
【ユリス】
「ふざけんなよ…!絶対許さないからな……!」
心の中に、ドス黒い思いが溜まっていく。
その黒は、頭の中のクロノの顔を塗り潰して……俺の思考も塗り潰して……。
全部、完全な黒に染まった。
【ユリス】
「そんなに人間の方がいい?」
【ユリス】
「そんなに人間といちゃつきたいなら、そうなるようにしてやるよ」
【ユリス】
「あは……あはは…っ!あははははははははは!!!!」
俺は震える手でリビドーを掴み、先日開発したばかりのプログラムをインストールした。
上総と話をしている時、じいから連絡があった。
ユリス捜索について、続報が入ったとのことだった。
あのまま人間界に残った方が、上総が安全だと思ったけど。
じいも忙しくて、人間界まで来られないようだったので、俺が死神界へ戻ることにした。
【アンク】
「クロノ様、お疲れ様でございます」
【クロノ】
「じいもお疲れ様。……で、今はどんな状況?」
【アンク】
「昨晩の件を死神長様にお話しましたところ、やはりユリスが犯人ということで」
【アンク】
「死神界にて、大捜索が行われました」
【クロノ】
「ユリスは、見つからなかったんじゃない?」
【アンク】
「…見つかりませんでした。……死神界に、戻ってはおりません」
【クロノ】
「という事は、まだ人間界にいるわけだ」
【アンク】
「ええ。死神長様も同じ判断を下されました」
【アンク】
「そこで今後の捜索は、人間界を中心に行われることになりました」
軽くメシを食ってから、なんとなく部屋の掃除をする。
最近は荒れてることが多かったんで、部屋がマジで汚かった。
【綾 上総】
「すぐ戻るつってたけど…、何時くらいに戻るんだ? あいつ」
掃除する手は止めなかったけれど、俺はまたあいつの事を考えていた。
クロノが帰ってきたら、外食にでも連れてってやるか。
死神界には美味いメシ、あるんかな。
いやいやどうせ粗食だろ。なんか、そんなイメージ。
……そんなことを考えながら、部屋の掃除をしていると。
――ピンポーン。ピンポーン。
ピンポーン。
インターフォンが三回鳴った。
――今日、人が来る予定は無い。クロノだったら、わざわざインターフォンは使わない。
不審に思い、モニターで誰かを確認する。
……運送業の制服を着た、小柄な男だった。
【綾 上総】
「なに?」
【配達員】
『綾上総さんですね?お届け物です』
【綾 上総】
「なんも頼んでないけど。…送付元、教えてくれる?」
【配達員】
『ええと……、ラクドと書かれていますが』
楽土?……いや、rakudoだ。
リビドーを販売しているサイトの名前。
偶然か、それとも、犯人がなんらかのアクションを起こしたのか……。
――どっちにしろ、クロノの調査の役に立つかもしれない。
俺はオートロックの解除ボタンを押して、配達員に言う。
【綾 上総】
「早くそれ、持ってきて。駆け足で頼むわ」
ユリスの捜索は、人間界を中心に行われる……
そうする以外ないと思うけど、俺の知る限りでは、かなり異例の決定だったので少し驚いた。
【クロノ】
「任務に就いてない死神が人間界に居続けられるなんて、聞いたことないし、
案外早く見つかるかもしれないね」
【アンク】
「そうだといいのですが……。なにせ、人間界は広いですからなぁ」
じいは遠くを見るような目で、呟く。
【クロノ】
「それで、他には?」
【アンク】
「そうでした。ええと……、リビドーについてなのですが」
【アンク】
「どうにかして、リビドーのシステム自体を停止させることが出来ればと、研究をしていたのですが」
【クロノ】
「リビドーそのものが動かなくなれば、死者の増加は止められる訳だしね」
【アンク】
「システムに強固なプロテクトがかかっていて、私の腕では無理でした」
【アンク】
「機能停止のためのパスを、ユリスから聞き出すしかないようです」
【アンク】
「そうすれば、全リビドーの機能を停止させることが可能かと」
【クロノ】
「……いざ悪事がバレた時の保険だったのかもね、その機能」
【アンク】
「そうかもしれませんな」
じいは、ふっと一度溜息を吐くと、俺に一礼する。
【アンク】
「ご足労に感謝いたします。今のところ、新しい情報は以上でございます」
