[本編] 綾 上総 編
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【クロノ】
「信じてくれと言ったことはないし」
【クロノ】
「俺はずっと、お前を拒絶し続けてるつもりだったんだけどな」
【ユリス】
「黙れ!」
激昂したユリスが、死神の鎌を生成しながら高く飛んだ。
そのまま落下のスピードに乗せて、俺に切り掛かってくる。
【アンク】
「クロノ様!避けて下さい!」
【クロノ】
「大丈夫」
俺は避ける事はせず、鎌で鎌を受け止める。
ガキンと、耳障りな金属音が辺りに響いた。
【クロノ】
「じい、容疑者に怪我ってさせてもいいんだっけ?」
【アンク】
「ある程度は許されるはずですが……!」
【ユリス】
「クロノなんかに、俺が傷つけられるとでも思ってんのかよ!」
【クロノ】
「うるさいな。痛い目見ないと分かんないの?」
そのまま、力押しでユリスの体を振り払う。
体重の軽いユリスは吹っ飛んで、地面に叩きつけられた。
【ユリス】
「あがっ……! クッソ……!」
すぐに立ち上がって体勢を立て直したユリスが、今度は頭を低くした姿勢で切り掛かってくる。
【クロノ】
「っと……!」
一撃目は軽くかわしたけど、すぐに素早い鎌が迫ってくる。
幾撃かの攻撃をかわし、鎌を振るう。鎌の切っ先がユリスの服を裂いて、
胸元を切った。
【ユリス】
「ぎゃああっ……!!」
ユリスはその場に膝をついて、ゼェゼェと荒い息を繰り返した。
【クロノ】
「もう降参?じい、早く捕まえちゃおう」
【アンク】
「流石でございます、クロノ様!」
【クロノ】
「褒めるのは後でいいから、早く」
―――胸を押さえたユリスが、ゆらりと立ち上がった。
指の隙間から、赤いものがとめどなく流れている。
大量の血が、ユリスの服を染めていた。
けど、死神はこれくらいじゃ死なない。
ユリスは顔を真っ青にして苦しそうだが、瞳に宿る怒りの炎は消えていない。
【ユリス】
「ったく、少しは手加減しろよ……」
【クロノ】
「手加減したつもりなんだけど。これでもさ」
【ユリス】
「あ、そ。手加減したのかよ。……だから」
【ユリス】
「こんなに逃げやすいわけだ!」
ユリスが手の中に握り締めていた砂を、俺の顔めがけて叩き付けるように撒く。
【クロノ】
「わっ……!」
【アンク】
「クロノ様!大丈夫でございますか!」
砂で視界を潰された俺の耳に、俺を心配するじいの声と、ユリスの高笑いが響いた。
【ユリス】
「そんな簡単に捕まらねーんだよ!俺は!」
ユリスの声が、突然遠くなった。――どこかへ移動を始めたんだろう。
【アンク】
「させませんぞ!卑怯な手を使いおって!」
【ユリス】
「卑怯でもなんでも勝てばいいんだよ!じゃあな!」
【アンク】
「待ちなさい……ッ!」
そして、静寂。
視力が回復した頃には、そこにユリスの姿はなかった。
じいが申し訳なさそうに、俺に頭を下げる。
【アンク】
「申し訳ございません、取り逃がしてしまいました」
【クロノ】
「ううん。…俺も油断してた」
【クロノ】
「まさか、あんな原始的な方法を使われるとは思わなかった…」
【アンク】
「これからいかがいたしましょう」
【クロノ】
「じいは引き続き、ユリスの行方を追って」
【クロノ】
「俺は……、上総の身辺警護を続けるつもり」
【クロノ】
「ユリスは上総を狙っているみたいだったし、きっとまた現れると思う」
【アンク】
「かしこまりました」
【アンク】
「死神界の方でも、ユリスの捜索の人員を増やすよう申請致します」
【クロノ】
「うん。よろしく」
【アンク】
「クロノ様もご無理はなさいませんよう。では、失礼いたします」
マンションに戻った俺は、上総の隣に寝転んだ。
眠る気にはなれなくて、ずっと上総の寝顔を眺めながら。
明日からどうするか、そればかりを考えていた。
―――そして、朝。
【綾 上総】
「クロノ?いきなりなにしてんだよ」
目が覚めた上総の体を、思いっきり抱き締めた。
上総は戸惑ったような、どこか呆れたような風だったけど。
嫌がっている様子はなく、俺を受け入れてくれていた。
【綾 上総】
「怖い夢でも見たのか?朝っぱらから暑苦しいな」
【クロノ】
「このまま聞いて」
俺の口調が真剣なものだったからか、上総は口を閉じる。
【クロノ】
「昨日の夜、上総が寝てから、ちょっと色々あってさ」
【クロノ】
「リビドー事件の犯人に、逃げられちゃった」
【綾 上総】
「へえ……。あんたでも、油断することあるんだな」
【クロノ】
「少しアイツのこと、見くびってたかも。………で」
【クロノ】
「犯人は、上総のことを狙っているみたいだった」
【クロノ】
「でも安心して。上総のことは、俺が守るから」
【綾 上総】
「仕事だからな?」
【クロノ】
「仕事ってだけじゃないよ、もう」
【綾 上総】
「あ、そ。……で、結局、リビドー事件の犯人って何者?」
【クロノ】
「死神仲間。……まあ、身内の不始末ってやつかな」
【綾 上総】
「そいつがリビドーを売ってたのか?――死者を増やす為に?」
【クロノ】
「そう。人間の弱い心につけこんで」
俺の腕の中で、上総が小さく身じろぎする。
人間の弱さを、悪意を持って利用する……。
そんなタチの悪い事件だったことに、複雑な思いを抱いたんだろう。
【綾 上総】
「それにしても、死神ってただ魂持っていくだけじゃないんだな」
【クロノ】
「それが本来の仕事だけど。……犯人は、そういうのをかったるいって、考えてたのかも」
だからリビドーを使って、死に逝く魂を故意に増やしたんだろう。
【クロノ】
「上総、もうリビドーは使わないって約束して」
「信じてくれと言ったことはないし」
【クロノ】
「俺はずっと、お前を拒絶し続けてるつもりだったんだけどな」
【ユリス】
「黙れ!」
激昂したユリスが、死神の鎌を生成しながら高く飛んだ。
そのまま落下のスピードに乗せて、俺に切り掛かってくる。
【アンク】
「クロノ様!避けて下さい!」
【クロノ】
「大丈夫」
俺は避ける事はせず、鎌で鎌を受け止める。
ガキンと、耳障りな金属音が辺りに響いた。
【クロノ】
「じい、容疑者に怪我ってさせてもいいんだっけ?」
【アンク】
「ある程度は許されるはずですが……!」
【ユリス】
「クロノなんかに、俺が傷つけられるとでも思ってんのかよ!」
【クロノ】
「うるさいな。痛い目見ないと分かんないの?」
そのまま、力押しでユリスの体を振り払う。
体重の軽いユリスは吹っ飛んで、地面に叩きつけられた。
【ユリス】
「あがっ……! クッソ……!」
すぐに立ち上がって体勢を立て直したユリスが、今度は頭を低くした姿勢で切り掛かってくる。
【クロノ】
「っと……!」
一撃目は軽くかわしたけど、すぐに素早い鎌が迫ってくる。
幾撃かの攻撃をかわし、鎌を振るう。鎌の切っ先がユリスの服を裂いて、
胸元を切った。
【ユリス】
「ぎゃああっ……!!」
ユリスはその場に膝をついて、ゼェゼェと荒い息を繰り返した。
【クロノ】
「もう降参?じい、早く捕まえちゃおう」
【アンク】
「流石でございます、クロノ様!」
【クロノ】
「褒めるのは後でいいから、早く」
―――胸を押さえたユリスが、ゆらりと立ち上がった。
指の隙間から、赤いものがとめどなく流れている。
大量の血が、ユリスの服を染めていた。
けど、死神はこれくらいじゃ死なない。
ユリスは顔を真っ青にして苦しそうだが、瞳に宿る怒りの炎は消えていない。
【ユリス】
「ったく、少しは手加減しろよ……」
【クロノ】
「手加減したつもりなんだけど。これでもさ」
【ユリス】
「あ、そ。手加減したのかよ。……だから」
【ユリス】
「こんなに逃げやすいわけだ!」
ユリスが手の中に握り締めていた砂を、俺の顔めがけて叩き付けるように撒く。
【クロノ】
「わっ……!」
【アンク】
「クロノ様!大丈夫でございますか!」
砂で視界を潰された俺の耳に、俺を心配するじいの声と、ユリスの高笑いが響いた。
【ユリス】
「そんな簡単に捕まらねーんだよ!俺は!」
ユリスの声が、突然遠くなった。――どこかへ移動を始めたんだろう。
【アンク】
「させませんぞ!卑怯な手を使いおって!」
【ユリス】
「卑怯でもなんでも勝てばいいんだよ!じゃあな!」
【アンク】
「待ちなさい……ッ!」
そして、静寂。
視力が回復した頃には、そこにユリスの姿はなかった。
じいが申し訳なさそうに、俺に頭を下げる。
【アンク】
「申し訳ございません、取り逃がしてしまいました」
【クロノ】
「ううん。…俺も油断してた」
【クロノ】
「まさか、あんな原始的な方法を使われるとは思わなかった…」
【アンク】
「これからいかがいたしましょう」
【クロノ】
「じいは引き続き、ユリスの行方を追って」
【クロノ】
「俺は……、上総の身辺警護を続けるつもり」
【クロノ】
「ユリスは上総を狙っているみたいだったし、きっとまた現れると思う」
【アンク】
「かしこまりました」
【アンク】
「死神界の方でも、ユリスの捜索の人員を増やすよう申請致します」
【クロノ】
「うん。よろしく」
【アンク】
「クロノ様もご無理はなさいませんよう。では、失礼いたします」
マンションに戻った俺は、上総の隣に寝転んだ。
眠る気にはなれなくて、ずっと上総の寝顔を眺めながら。
明日からどうするか、そればかりを考えていた。
―――そして、朝。
【綾 上総】
「クロノ?いきなりなにしてんだよ」
目が覚めた上総の体を、思いっきり抱き締めた。
上総は戸惑ったような、どこか呆れたような風だったけど。
嫌がっている様子はなく、俺を受け入れてくれていた。
【綾 上総】
「怖い夢でも見たのか?朝っぱらから暑苦しいな」
【クロノ】
「このまま聞いて」
俺の口調が真剣なものだったからか、上総は口を閉じる。
【クロノ】
「昨日の夜、上総が寝てから、ちょっと色々あってさ」
【クロノ】
「リビドー事件の犯人に、逃げられちゃった」
【綾 上総】
「へえ……。あんたでも、油断することあるんだな」
【クロノ】
「少しアイツのこと、見くびってたかも。………で」
【クロノ】
「犯人は、上総のことを狙っているみたいだった」
【クロノ】
「でも安心して。上総のことは、俺が守るから」
【綾 上総】
「仕事だからな?」
【クロノ】
「仕事ってだけじゃないよ、もう」
【綾 上総】
「あ、そ。……で、結局、リビドー事件の犯人って何者?」
【クロノ】
「死神仲間。……まあ、身内の不始末ってやつかな」
【綾 上総】
「そいつがリビドーを売ってたのか?――死者を増やす為に?」
【クロノ】
「そう。人間の弱い心につけこんで」
俺の腕の中で、上総が小さく身じろぎする。
人間の弱さを、悪意を持って利用する……。
そんなタチの悪い事件だったことに、複雑な思いを抱いたんだろう。
【綾 上総】
「それにしても、死神ってただ魂持っていくだけじゃないんだな」
【クロノ】
「それが本来の仕事だけど。……犯人は、そういうのをかったるいって、考えてたのかも」
だからリビドーを使って、死に逝く魂を故意に増やしたんだろう。
【クロノ】
「上総、もうリビドーは使わないって約束して」