[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
(でも、サーバーは人間界以外のどこかに繋がっているから)
【クロノ】
(それが死神界でもおかしくない)
【クロノ】
(何だか、これからの事考えると…頭が痛くなる…)
思わず考え込んでしまった俺に一礼をして、じいが部屋を出て行く。
立ち上がって人間界に行く準備をする。そろそろ、春川の調査に向かう時間だった。
もし、死神が犯人だとしたら。春川は、同じ死神の俺のことを、どう思うだろう……。
春川のトラックは、広い公園の駐車場に停められていた。
車内の春川は、運転席で弁当をかき込んでいる。
【クロノ】
(そっか……ちょうど昼食の時間)
周りに人がいないのを確認したあと、俺は春川の車の助手席で姿を現した。
【春川 樹生】
「……んグっ!」
ご飯を頬張っていた春川が、俺に驚いてご飯をのどに詰まらせたらしい。目を白黒させている。
【クロノ】
「やあ、お昼時だけど邪魔する。はい、お茶」
【春川 樹生】
「ゴホゴホッ!……あんた、今みたいに突然現れるの、絶対わざとだろ?」
【春川 樹生】
「オレを驚かして楽しんでんのか?」
【クロノ】
「少しはそういう気持ちもあるけど、それだけじゃない。あんたに気を使ってないだけ」
【春川 樹生】
「……そうか。まあ、その方が、なんかあんたらしいよ」
【春川 樹生】
「つかみどころがないって言うか。とにかく、不思議な奴だよな、あんた」
春川は弁当の続きを一気に食べ終え、お茶をぐいっと呷った。
職場での春川は、なんていうか動きにキレがあって、見ていて楽しい。
空になった容器をビニール袋に入れて、春川は公園の方に目をやった。
数人の子ども達が、ボール投げをして遊んでいるのを眺める。
【春川 樹生】
「なあ……今日は何しに来たんだ?」
【クロノ】
「あんたに会いに来た」
【春川 樹生】
「えっ……?」
少なくとも嘘じゃない。
死神界での調査はじいがやってくれているし、純粋に春川の動向が気になってもいたから。
【クロノ】
「それに、俺の目的は、あんたも知ってるだろ?」
【春川 樹生】
「そうか……そうだよな」
春川はどこか嬉しそうな顔をした。
だけどすぐに、真剣な表情になって―――
【春川 樹生】
「なあ、昨日の事聞いていいか?」
【クロノ】
「昨日の事って?」
【春川 樹生】
「オレの夢の中に出てきた……あんたの知り合いの事」
【クロノ】
「……」
春川の悪夢の中で、化物になった弟から聞こえてきた声。
―――俺の、思い出したくない、思い出の声。
【クロノ】
「まあ…昨日、話すって言ったしね。楽しい話じゃないけど、それでもいい?」
【春川 樹生】
「いいよ。……あんたのこと、知りたいんだ。何でか」
春川の真剣な眼差しに、胸が浮くような沈むような、不思議な感覚を覚える。
俺のことを知りたいって?
知ってどうするんだよって思いながら、知って欲しいと思う自分がいて…不思議だった。
【クロノ】
「……俺がまだ、何も知らなかった頃」
【クロノ】
「一人の人間を、死に追いやった事がある」
【春川 樹生】
「……死神は寿命が来た人間の魂を持っていくだけだって……」
【クロノ】
「俺は、そいつを助けようとしたんだ」
【クロノ】
「ちょうど……あんたにこうしてるみたいに」
【春川 樹生】
「……」
【クロノ】
「……けど出来なかった」
【クロノ】
「逆に、死期を早める事になった。……それだけ」
【クロノ】
「昨日の声は、そいつの声だった。何であんたの夢から声がしたのかは…わからない」
【クロノ】
「詳しい話は、長くなるから。時間がある時に教える」
【春川 樹生】
「その……変な事聞いちまったな。すまない」
話を聞いた春川が、気まずそうにきょろきょろと目を泳がせたあと。
―――突然、身を乗り出して、俺を抱き締めた。
【クロノ】
「なに、どうしたの突然?」
俺を抱き締めている春川の体は熱い。元から体温が高めなのかもしれない。
【クロノ】
「気にするなよ。昔の話だし、聞いたあんたも悪くない」
あいつのことは……心のどこかには、引っかかったままだろうけど。
【クロノ】
「そういう過去があるから、俺はあんたを助けるよ」
【クロノ】
「もう同じ失敗はしない」
春川は黙ったまま、俺を抱き締める腕に力を込める。
言葉より行動で、謝罪と慰めをくれているのかもしれなかった。
……そんな実直な性格に、俺は好感を抱く。
【クロノ】
「それに、俺は意外とあんたを気に入ってるから、やっぱり助けたいと思う」
【春川 樹生】
「なんだ、よ……いきなり……」
人と接する事を避けていた春川には、いきなりの好意がくすぐったいのかもしれない。
ゆっくりと俺から離れた春川の頬は、赤くなっていた。
【クロノ】
「それで、あんたは?」
【春川 樹生】
「…………」
春川は頑なに口を閉ざしている。俯いた顔からは表情を読み取る事ができない。
【クロノ】
「話したくないなら、今はいい」
リビドーはもう使わないで欲しい。けど、春川はきっと寿命が尽きるまで使うだろう。
優しく、人の痛みがわかる人間だからこそ、弟の幸せを願うからこそ。
【クロノ】
(残された時間は短い。どうすれば春川を助けられる……?)
【クロノ】
「……また来る」
――俺は春川の返事を待たずに姿を消した。
配送の仕事を終えたオレは、PCの前で疲れた体を休めていた。
モニターには、paraisoが表示されている。
―――サイトの中にも親しい人間はいない。
paraisoでは相変わらず、どんな夢を見たとか、もっと長い夢を見るにはどうすればいいかとか。
そういったやり取りが交わされている。
いつもなら会話に混ざって情報交換をするところだけど。
【春川 樹生】
「今日は……やめておくか」
チャットをする気になれなかった。
PCの電源を落とし、リビドーを手に取る。
今日のプログラムは、いつもと違う夢にした。
……クロノと過ごす夢に、した。
【春川 樹生】
(生汰……ごめん。……今日だけだから。明日からはちゃんと、お前に会いに行くから…)
(でも、サーバーは人間界以外のどこかに繋がっているから)
【クロノ】
(それが死神界でもおかしくない)
【クロノ】
(何だか、これからの事考えると…頭が痛くなる…)
思わず考え込んでしまった俺に一礼をして、じいが部屋を出て行く。
立ち上がって人間界に行く準備をする。そろそろ、春川の調査に向かう時間だった。
もし、死神が犯人だとしたら。春川は、同じ死神の俺のことを、どう思うだろう……。
春川のトラックは、広い公園の駐車場に停められていた。
車内の春川は、運転席で弁当をかき込んでいる。
【クロノ】
(そっか……ちょうど昼食の時間)
周りに人がいないのを確認したあと、俺は春川の車の助手席で姿を現した。
【春川 樹生】
「……んグっ!」
ご飯を頬張っていた春川が、俺に驚いてご飯をのどに詰まらせたらしい。目を白黒させている。
【クロノ】
「やあ、お昼時だけど邪魔する。はい、お茶」
【春川 樹生】
「ゴホゴホッ!……あんた、今みたいに突然現れるの、絶対わざとだろ?」
【春川 樹生】
「オレを驚かして楽しんでんのか?」
【クロノ】
「少しはそういう気持ちもあるけど、それだけじゃない。あんたに気を使ってないだけ」
【春川 樹生】
「……そうか。まあ、その方が、なんかあんたらしいよ」
【春川 樹生】
「つかみどころがないって言うか。とにかく、不思議な奴だよな、あんた」
春川は弁当の続きを一気に食べ終え、お茶をぐいっと呷った。
職場での春川は、なんていうか動きにキレがあって、見ていて楽しい。
空になった容器をビニール袋に入れて、春川は公園の方に目をやった。
数人の子ども達が、ボール投げをして遊んでいるのを眺める。
【春川 樹生】
「なあ……今日は何しに来たんだ?」
【クロノ】
「あんたに会いに来た」
【春川 樹生】
「えっ……?」
少なくとも嘘じゃない。
死神界での調査はじいがやってくれているし、純粋に春川の動向が気になってもいたから。
【クロノ】
「それに、俺の目的は、あんたも知ってるだろ?」
【春川 樹生】
「そうか……そうだよな」
春川はどこか嬉しそうな顔をした。
だけどすぐに、真剣な表情になって―――
【春川 樹生】
「なあ、昨日の事聞いていいか?」
【クロノ】
「昨日の事って?」
【春川 樹生】
「オレの夢の中に出てきた……あんたの知り合いの事」
【クロノ】
「……」
春川の悪夢の中で、化物になった弟から聞こえてきた声。
―――俺の、思い出したくない、思い出の声。
【クロノ】
「まあ…昨日、話すって言ったしね。楽しい話じゃないけど、それでもいい?」
【春川 樹生】
「いいよ。……あんたのこと、知りたいんだ。何でか」
春川の真剣な眼差しに、胸が浮くような沈むような、不思議な感覚を覚える。
俺のことを知りたいって?
知ってどうするんだよって思いながら、知って欲しいと思う自分がいて…不思議だった。
【クロノ】
「……俺がまだ、何も知らなかった頃」
【クロノ】
「一人の人間を、死に追いやった事がある」
【春川 樹生】
「……死神は寿命が来た人間の魂を持っていくだけだって……」
【クロノ】
「俺は、そいつを助けようとしたんだ」
【クロノ】
「ちょうど……あんたにこうしてるみたいに」
【春川 樹生】
「……」
【クロノ】
「……けど出来なかった」
【クロノ】
「逆に、死期を早める事になった。……それだけ」
【クロノ】
「昨日の声は、そいつの声だった。何であんたの夢から声がしたのかは…わからない」
【クロノ】
「詳しい話は、長くなるから。時間がある時に教える」
【春川 樹生】
「その……変な事聞いちまったな。すまない」
話を聞いた春川が、気まずそうにきょろきょろと目を泳がせたあと。
―――突然、身を乗り出して、俺を抱き締めた。
【クロノ】
「なに、どうしたの突然?」
俺を抱き締めている春川の体は熱い。元から体温が高めなのかもしれない。
【クロノ】
「気にするなよ。昔の話だし、聞いたあんたも悪くない」
あいつのことは……心のどこかには、引っかかったままだろうけど。
【クロノ】
「そういう過去があるから、俺はあんたを助けるよ」
【クロノ】
「もう同じ失敗はしない」
春川は黙ったまま、俺を抱き締める腕に力を込める。
言葉より行動で、謝罪と慰めをくれているのかもしれなかった。
……そんな実直な性格に、俺は好感を抱く。
【クロノ】
「それに、俺は意外とあんたを気に入ってるから、やっぱり助けたいと思う」
【春川 樹生】
「なんだ、よ……いきなり……」
人と接する事を避けていた春川には、いきなりの好意がくすぐったいのかもしれない。
ゆっくりと俺から離れた春川の頬は、赤くなっていた。
【クロノ】
「それで、あんたは?」
【春川 樹生】
「…………」
春川は頑なに口を閉ざしている。俯いた顔からは表情を読み取る事ができない。
【クロノ】
「話したくないなら、今はいい」
リビドーはもう使わないで欲しい。けど、春川はきっと寿命が尽きるまで使うだろう。
優しく、人の痛みがわかる人間だからこそ、弟の幸せを願うからこそ。
【クロノ】
(残された時間は短い。どうすれば春川を助けられる……?)
【クロノ】
「……また来る」
――俺は春川の返事を待たずに姿を消した。
配送の仕事を終えたオレは、PCの前で疲れた体を休めていた。
モニターには、paraisoが表示されている。
―――サイトの中にも親しい人間はいない。
paraisoでは相変わらず、どんな夢を見たとか、もっと長い夢を見るにはどうすればいいかとか。
そういったやり取りが交わされている。
いつもなら会話に混ざって情報交換をするところだけど。
【春川 樹生】
「今日は……やめておくか」
チャットをする気になれなかった。
PCの電源を落とし、リビドーを手に取る。
今日のプログラムは、いつもと違う夢にした。
……クロノと過ごす夢に、した。
【春川 樹生】
(生汰……ごめん。……今日だけだから。明日からはちゃんと、お前に会いに行くから…)
