[本編] 綾 上総 編
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俺は居ても立っても居られずに、二人のもとへ駆け出した。
【クロノ】
(ったく、なんでこんな夢見てるんだよ…!)
走りながら死神の鎌を生成し、同時に飛び跳ねる。
上から下へ、叩きつけるように鎌を振り下ろして、上総を辱める偽者を切り捨てた。
【クロノ】
「上総!出てこい!」
【クロノ】
「命を削ってまで見たい夢がこれか?!
言いたい事があるなら、本物の俺に言え!」
けど、呼びかけても返事はない。
突然、俺の足許で四肢を投げ出している上総が答えた。
【綾 上総】
「あんたって本当に、俺がリビドー使ったら、必ず来るんだな」
【クロノ】
「え?」
【クロノ】
「あんた……、本物の上総?」
【綾 上総】
「そうだけど。なんだよその顔」
劇に登場している操り人形かと思っていたから、驚いた。
慌てて上総を立たせようとするけど、上総は言うことを聞いてくれない。
駄々をこねる子供のように、頑なに、立ち上がることを拒否する。
【クロノ】
「ずっとここにいるつもり?」
【綾 上総】
「うるせーな。あんたの指図は受けねーよ」
【クロノ】
「なに?」
【クロノ】
「昼間、なにかあったの?」
【綾 上総】
「……」
今度はだんまりだ。
言ってくれなきゃ分からないのに。
そう言おうと口を開いた、その時――。
――空に、亀裂が入った。
悪夢化し始めているのは間違いない。
【クロノ】
「我儘言ってないで、早く立って」
【クロノ】
「それとも、化物に犯されたいの?昨日だって危なかったのに」
【綾 上総】
「……」
【クロノ】
「なにかあったなら、話くらい聞くから」
【綾 上総】
「……」
ダメだ。会話をする気はないらしい。
【クロノ】
「仕方のないヤツ」
遊具の影が盛り上がり、真っ黒い塊が生まれ――、
父親の姿へと変化した。
体中のいたるところから触手を生やして、ウネウネと蠢きながら近寄ってくる。
すぐに死神の鎌で綻びを切って、消滅させたけど――。
またすぐに黒い塊が生まれ、触手が生えた父親が次々と現れる。
【クロノ】
「禍々しいなあ……、もう!」
切っても切っても、すぐに次が生まれてきてキリがない。
【クロノ】
「上総! 無理矢理起こすからな。それと……」
【クロノ】
「起きたら、詳しい話を聞かせてもらうから、そのつもりで」
【クロノ】
「黙秘権を行使するなら、お仕置きだから」
聞いているのかいないのか、上総はボーっとしたまま、視線だけを俺に寄越した。
【クロノ】
「本当に世話の焼けるヤツ……」
目を覚まして直ぐに、まだ眠っている上総の顔を覗き込んだ。
息は荒く、苦しそうなのに……、時折妙に満たされたような表情を浮かべる。
【クロノ】
(なんでこんな顔するんだろう…)
理由は分からないけど、とにかく目を覚まさせないといけない。
リビドーの裏スイッチを押して、脳波を送り込みながら、上総に口付ける。
昨日やったのと同じ手順、同じ要領だ。
【綾 上総】
「……ん」
上総が小さく呻いた。その声に艶が乗っているような気がする。
【クロノ】
(今頃、夢の中で触手にヤられてたりして……)
【クロノ】
(イイ夢見てたら悪いんだけど、こっちとしては、起きてもらわないと困るんで)
けど。何度口付けても、安全な脳波を送り込んでも。
上総は目を覚まさない。それどころか、苦しそうに肩で息をし始めた。
【クロノ】
「どうなってるの?……昨日はこれで問題なかったはず」
【アンク】
「キスだけではダメなのかもしれません」
そう言って、突然じいが現れた。
【クロノ】
「うわ、びっくりした!じい、どうしてここに?」
【アンク】
「少し気がかりなことがありまして……」
【クロノ】
「気がかりなことって?今の、この上総の状況?」
【アンク】
「はい。悪夢化の回数を重ねる程、脳波の乱れが深刻になり、やがて――
死に至ります」
【アンク】
「脳波の乱れが酷くなるのなら、覚醒の際の刺激も強めなければならないのではと、思っておりました」
【クロノ】
「キスだけじゃ足りないってこと?」
【アンク】
「はい。理論上、脳波を送ればいい状態だったものが、キスも必要になり…」
【アンク】
「次はキス以上の行為が必要に……」
【クロノ】
「なるほどね…」
【アンク】
「加えて、綾さんの精神状態も、深く関わっているのかもしれません」
【クロノ】
「どういうこと?」
【アンク】
「先程、paraisoで、綾さんのチャットログを見ました」
なにかあったのかと、いくら訊いても、なにも答えなかった上総の顔が、脳裏を過った。
【クロノ】
「…どんな会話してたの?」
【アンク】
「悪夢化は死へのカウントダウン、と言われており…」
【クロノ】
「まさか…」
【クロノ】
「自分が本当に死ぬって、思ってなかった?」
【クロノ】
「忠告したのは一度じゃないのに。上総って、ほんとバカ」
【アンク】
「……今、綾さんは、強く強く現実逃避をしているのかもしれませんな」
【アンク】
「現実に戻りたくないと望んでいるのなら、夢への依存が特に強い状態なのかもしれません」
【アンク】
「ですから、強い刺激を与えて、無理矢理覚醒させるしか…」
【クロノ】
「分かった。……じいは先に帰ってて」
【クロノ】
(ったく、なんでこんな夢見てるんだよ…!)
走りながら死神の鎌を生成し、同時に飛び跳ねる。
上から下へ、叩きつけるように鎌を振り下ろして、上総を辱める偽者を切り捨てた。
【クロノ】
「上総!出てこい!」
【クロノ】
「命を削ってまで見たい夢がこれか?!
言いたい事があるなら、本物の俺に言え!」
けど、呼びかけても返事はない。
突然、俺の足許で四肢を投げ出している上総が答えた。
【綾 上総】
「あんたって本当に、俺がリビドー使ったら、必ず来るんだな」
【クロノ】
「え?」
【クロノ】
「あんた……、本物の上総?」
【綾 上総】
「そうだけど。なんだよその顔」
劇に登場している操り人形かと思っていたから、驚いた。
慌てて上総を立たせようとするけど、上総は言うことを聞いてくれない。
駄々をこねる子供のように、頑なに、立ち上がることを拒否する。
【クロノ】
「ずっとここにいるつもり?」
【綾 上総】
「うるせーな。あんたの指図は受けねーよ」
【クロノ】
「なに?」
【クロノ】
「昼間、なにかあったの?」
【綾 上総】
「……」
今度はだんまりだ。
言ってくれなきゃ分からないのに。
そう言おうと口を開いた、その時――。
――空に、亀裂が入った。
悪夢化し始めているのは間違いない。
【クロノ】
「我儘言ってないで、早く立って」
【クロノ】
「それとも、化物に犯されたいの?昨日だって危なかったのに」
【綾 上総】
「……」
【クロノ】
「なにかあったなら、話くらい聞くから」
【綾 上総】
「……」
ダメだ。会話をする気はないらしい。
【クロノ】
「仕方のないヤツ」
遊具の影が盛り上がり、真っ黒い塊が生まれ――、
父親の姿へと変化した。
体中のいたるところから触手を生やして、ウネウネと蠢きながら近寄ってくる。
すぐに死神の鎌で綻びを切って、消滅させたけど――。
またすぐに黒い塊が生まれ、触手が生えた父親が次々と現れる。
【クロノ】
「禍々しいなあ……、もう!」
切っても切っても、すぐに次が生まれてきてキリがない。
【クロノ】
「上総! 無理矢理起こすからな。それと……」
【クロノ】
「起きたら、詳しい話を聞かせてもらうから、そのつもりで」
【クロノ】
「黙秘権を行使するなら、お仕置きだから」
聞いているのかいないのか、上総はボーっとしたまま、視線だけを俺に寄越した。
【クロノ】
「本当に世話の焼けるヤツ……」
目を覚まして直ぐに、まだ眠っている上総の顔を覗き込んだ。
息は荒く、苦しそうなのに……、時折妙に満たされたような表情を浮かべる。
【クロノ】
(なんでこんな顔するんだろう…)
理由は分からないけど、とにかく目を覚まさせないといけない。
リビドーの裏スイッチを押して、脳波を送り込みながら、上総に口付ける。
昨日やったのと同じ手順、同じ要領だ。
【綾 上総】
「……ん」
上総が小さく呻いた。その声に艶が乗っているような気がする。
【クロノ】
(今頃、夢の中で触手にヤられてたりして……)
【クロノ】
(イイ夢見てたら悪いんだけど、こっちとしては、起きてもらわないと困るんで)
けど。何度口付けても、安全な脳波を送り込んでも。
上総は目を覚まさない。それどころか、苦しそうに肩で息をし始めた。
【クロノ】
「どうなってるの?……昨日はこれで問題なかったはず」
【アンク】
「キスだけではダメなのかもしれません」
そう言って、突然じいが現れた。
【クロノ】
「うわ、びっくりした!じい、どうしてここに?」
【アンク】
「少し気がかりなことがありまして……」
【クロノ】
「気がかりなことって?今の、この上総の状況?」
【アンク】
「はい。悪夢化の回数を重ねる程、脳波の乱れが深刻になり、やがて――
死に至ります」
【アンク】
「脳波の乱れが酷くなるのなら、覚醒の際の刺激も強めなければならないのではと、思っておりました」
【クロノ】
「キスだけじゃ足りないってこと?」
【アンク】
「はい。理論上、脳波を送ればいい状態だったものが、キスも必要になり…」
【アンク】
「次はキス以上の行為が必要に……」
【クロノ】
「なるほどね…」
【アンク】
「加えて、綾さんの精神状態も、深く関わっているのかもしれません」
【クロノ】
「どういうこと?」
【アンク】
「先程、paraisoで、綾さんのチャットログを見ました」
なにかあったのかと、いくら訊いても、なにも答えなかった上総の顔が、脳裏を過った。
【クロノ】
「…どんな会話してたの?」
【アンク】
「悪夢化は死へのカウントダウン、と言われており…」
【クロノ】
「まさか…」
【クロノ】
「自分が本当に死ぬって、思ってなかった?」
【クロノ】
「忠告したのは一度じゃないのに。上総って、ほんとバカ」
【アンク】
「……今、綾さんは、強く強く現実逃避をしているのかもしれませんな」
【アンク】
「現実に戻りたくないと望んでいるのなら、夢への依存が特に強い状態なのかもしれません」
【アンク】
「ですから、強い刺激を与えて、無理矢理覚醒させるしか…」
【クロノ】
「分かった。……じいは先に帰ってて」