[本編] 綾 上総 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【綾 上総】
「クロノ……?!」
クロノが、穏やかな微笑みを浮かべて立っていた。
【綾 上総】
「何であいつが……。これ、俺の憧憬夢だろ…?」
親父の代わりに、クロノが出てくるってことは、まさか。
【クロノ】
「昼間は、酷いこと言ってごめんな」
クロノが言う。今までに聞いた事もないような、優しい声で。
【クロノ】
「あんたが本気で心配だったから、つい声を荒げてしまった」
いつの間にか、俺の前にクロノが立っていた。
子供の俺はいなくなっていて、親父の姿も見当たらない。
【綾 上総】
「お、俺は……」
【クロノ】
「もっとあんたのこと、理解してやりたいと思ってる」
【綾 上総】
「あ……」
そう言って、クロノが俺に一歩踏み出し、―――そっと、抱き締めてくる。
温かさが全身に沁みてきて、よく分からない気持ちになった。
泣きたいような突っ撥ねたいような……、嬉しいような。
【綾 上総】
「―――分かってる。俺だって、本当は分かってるんだ」
【綾 上総】
「金がいくらあったって、権力がいくらあったって、手に入らないものはあるって」
まるで懺悔するように、俺は言い続ける。
【綾 上総】
「愛されたことなんか、ねえよ。全部偽物なんだって、分かってんだよ」
そう。この夢は、俺の人生そのものなんだ。
キラキラしてるけど、誰もいない遊園地。
そこで愛される子供を、ただ眺めるだけの毎日。
【綾 上総】
「俺がいい加減に生きたって、親父は心配もしない」
【綾 上総】
「でも、それは親父がおかしいんじゃなくて――、俺が、その程度のヤツだからなんだよな」
【綾 上総】
「どんな人間関係でも同じだ。会社の後継ぎじゃなかったら、誰も俺なんか相手にしねーよ」
【綾 上総】
「だって俺、しょーもないヤツだから」
クロノは俺を抱き締めたまま、黙って話を聞いてくれる。
【綾 上総】
「あんたは俺を、仕事とはいえ、心配してくれるし、死から救おうとしてくれてる」
【綾 上総】
「他の誰がそんなことしてくれ…るよ?」
唇が震えて、涙が出た。喉が詰まって、語尾が震えた。
【綾 上総】
「俺が死んでも、親父は悲しまない。せいぜい、後継ぎいなくなって、人事がめんどくせーってくらいだろ」
【綾 上総】
「会社の幹部は、副社長の座が空いて大喜びだ」
【綾 上総】
「つるんでたヤツらはどうかなー。奢ってもらえなくなったって、悲しむかな?」
今まで、自分の中で何度も何度も考えたことを、夢の中とはいえ初めて口にした。
――こんな、空虚な自分に耐えられなくて、リビドーを使い続けた。
俺を愛さない人間の象徴である、親父を登場させて。
【綾 上総】
「全部……、分かってるんだって……」
夢の中のクロノに向けて、全てを話して。
こんな姿は、やっぱり誰にも見せられねーなと思った時。
【クロノ】
「またリビドー使ってる。本当に死にたいの」
少し怒りの滲んだ声が、聞こえた。
【クロノ】
「死んでもいいなんて、売り言葉に買い言葉だと思ってたけど」
【クロノ】
「あんたって本当に面倒くさいヤツ」
慌てて涙を拭って振り返ると、そこには。
【クロノ】
「そういう事は、偽物じゃなくて、本物の俺に言ってくれればいいのに」
もう一人のクロノが、呆れたような眼差しで立っていて。
そっちこそが、俺を心配してくれる本物だと、俺はわけもなく確信した。
俺は弾かれたように、偽物のクロノから離れる。
【綾 上総】
「あ、あんた…!また来たのかよ!」
【クロノ】
「来るよ。ていうか、コレが今のあんたの願望なんだ」
【クロノ】
「あんた……」
【クロノ】
「あんた、やっと自分を主役にしたんだな。いい事だと思う」
【綾 上総】
「…っ」
【クロノ】
「愛されるわけないと思いながらも、愛されたくて、でも愛されるのが怖くて」
【クロノ】
「人形劇に逃げ込んでたあんたが、ようやく自分を主役にして」
誤魔化そうと、一生懸命言い訳を考えるけど、なにも思い浮かばない。
偽物のクロノを見ると、突っ立ったまま、無理しなくていいよって言うように微笑んでいて。
本物のクロノは、無表情のまま、つかつかと俺の方に歩み寄って来て。
目の前で立ち止まると、俺に手を差し出した。
【綾 上総】
「……なんだよ」
【クロノ】
「なんだよはないだろ。帰るんだよ、現実に。
あー、本当に面倒くさいヤツ」
【綾 上総】
「うるせえ!あんた、今日夢に来てからニ回も俺に『面倒くさい』て言いやがって…!」
【クロノ】
「だって本当に面倒くさいんだよ」
【クロノ】
「…なのになんでだろ。放っておけない」
【綾 上総】
「………え?」
【クロノ】
「早く手を取れよ。引っ込めるよ?」
俺は魔法にかけられたように、差し出された手に、そっと手を伸ばした。
クロノの手を握ると、強く握り返された。
【綾 上総】
「……俺に命令すんな」
色んな感情が頭の中をぐるぐると回って、整理が出来ていなかったけど。
この手が引っ張ってくれるなら、とりあえずは現実に戻ってもいいかなと思った。
その時、遠くの空に亀裂が入ったのが見えた。
【クロノ】
「どうしたの?」
【綾 上総】
「あれ見ろよ。あの亀裂。夢がおかしくなった時にもなかったか?」
「クロノ……?!」
クロノが、穏やかな微笑みを浮かべて立っていた。
【綾 上総】
「何であいつが……。これ、俺の憧憬夢だろ…?」
親父の代わりに、クロノが出てくるってことは、まさか。
【クロノ】
「昼間は、酷いこと言ってごめんな」
クロノが言う。今までに聞いた事もないような、優しい声で。
【クロノ】
「あんたが本気で心配だったから、つい声を荒げてしまった」
いつの間にか、俺の前にクロノが立っていた。
子供の俺はいなくなっていて、親父の姿も見当たらない。
【綾 上総】
「お、俺は……」
【クロノ】
「もっとあんたのこと、理解してやりたいと思ってる」
【綾 上総】
「あ……」
そう言って、クロノが俺に一歩踏み出し、―――そっと、抱き締めてくる。
温かさが全身に沁みてきて、よく分からない気持ちになった。
泣きたいような突っ撥ねたいような……、嬉しいような。
【綾 上総】
「―――分かってる。俺だって、本当は分かってるんだ」
【綾 上総】
「金がいくらあったって、権力がいくらあったって、手に入らないものはあるって」
まるで懺悔するように、俺は言い続ける。
【綾 上総】
「愛されたことなんか、ねえよ。全部偽物なんだって、分かってんだよ」
そう。この夢は、俺の人生そのものなんだ。
キラキラしてるけど、誰もいない遊園地。
そこで愛される子供を、ただ眺めるだけの毎日。
【綾 上総】
「俺がいい加減に生きたって、親父は心配もしない」
【綾 上総】
「でも、それは親父がおかしいんじゃなくて――、俺が、その程度のヤツだからなんだよな」
【綾 上総】
「どんな人間関係でも同じだ。会社の後継ぎじゃなかったら、誰も俺なんか相手にしねーよ」
【綾 上総】
「だって俺、しょーもないヤツだから」
クロノは俺を抱き締めたまま、黙って話を聞いてくれる。
【綾 上総】
「あんたは俺を、仕事とはいえ、心配してくれるし、死から救おうとしてくれてる」
【綾 上総】
「他の誰がそんなことしてくれ…るよ?」
唇が震えて、涙が出た。喉が詰まって、語尾が震えた。
【綾 上総】
「俺が死んでも、親父は悲しまない。せいぜい、後継ぎいなくなって、人事がめんどくせーってくらいだろ」
【綾 上総】
「会社の幹部は、副社長の座が空いて大喜びだ」
【綾 上総】
「つるんでたヤツらはどうかなー。奢ってもらえなくなったって、悲しむかな?」
今まで、自分の中で何度も何度も考えたことを、夢の中とはいえ初めて口にした。
――こんな、空虚な自分に耐えられなくて、リビドーを使い続けた。
俺を愛さない人間の象徴である、親父を登場させて。
【綾 上総】
「全部……、分かってるんだって……」
夢の中のクロノに向けて、全てを話して。
こんな姿は、やっぱり誰にも見せられねーなと思った時。
【クロノ】
「またリビドー使ってる。本当に死にたいの」
少し怒りの滲んだ声が、聞こえた。
【クロノ】
「死んでもいいなんて、売り言葉に買い言葉だと思ってたけど」
【クロノ】
「あんたって本当に面倒くさいヤツ」
慌てて涙を拭って振り返ると、そこには。
【クロノ】
「そういう事は、偽物じゃなくて、本物の俺に言ってくれればいいのに」
もう一人のクロノが、呆れたような眼差しで立っていて。
そっちこそが、俺を心配してくれる本物だと、俺はわけもなく確信した。
俺は弾かれたように、偽物のクロノから離れる。
【綾 上総】
「あ、あんた…!また来たのかよ!」
【クロノ】
「来るよ。ていうか、コレが今のあんたの願望なんだ」
【クロノ】
「あんた……」
【クロノ】
「あんた、やっと自分を主役にしたんだな。いい事だと思う」
【綾 上総】
「…っ」
【クロノ】
「愛されるわけないと思いながらも、愛されたくて、でも愛されるのが怖くて」
【クロノ】
「人形劇に逃げ込んでたあんたが、ようやく自分を主役にして」
誤魔化そうと、一生懸命言い訳を考えるけど、なにも思い浮かばない。
偽物のクロノを見ると、突っ立ったまま、無理しなくていいよって言うように微笑んでいて。
本物のクロノは、無表情のまま、つかつかと俺の方に歩み寄って来て。
目の前で立ち止まると、俺に手を差し出した。
【綾 上総】
「……なんだよ」
【クロノ】
「なんだよはないだろ。帰るんだよ、現実に。
あー、本当に面倒くさいヤツ」
【綾 上総】
「うるせえ!あんた、今日夢に来てからニ回も俺に『面倒くさい』て言いやがって…!」
【クロノ】
「だって本当に面倒くさいんだよ」
【クロノ】
「…なのになんでだろ。放っておけない」
【綾 上総】
「………え?」
【クロノ】
「早く手を取れよ。引っ込めるよ?」
俺は魔法にかけられたように、差し出された手に、そっと手を伸ばした。
クロノの手を握ると、強く握り返された。
【綾 上総】
「……俺に命令すんな」
色んな感情が頭の中をぐるぐると回って、整理が出来ていなかったけど。
この手が引っ張ってくれるなら、とりあえずは現実に戻ってもいいかなと思った。
その時、遠くの空に亀裂が入ったのが見えた。
【クロノ】
「どうしたの?」
【綾 上総】
「あれ見ろよ。あの亀裂。夢がおかしくなった時にもなかったか?」
