[本編] 綾 上総 編
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【クロノ】
「俺を意識してんの? 可愛いね」
普段は偉そうにしている綾を苛めるのが楽しくなってきて、からかうように言った。
綾はカッとなったように俺に詰め寄ってくる。
【綾 上総】
「俺のことは、もうほっとけよ」
【綾 上総】
「お前がいると気が散る!」
【クロノ】
「ふーん」
【綾 上総】
「憧憬夢を見てるのは俺の意思だ!」
【クロノ】
「……」
【綾 上総】
「その為なら、今ここで死んでも構わねーし?!」
【クロノ】
「……何言ってるの?」
綾の言葉を聞いた瞬間、冷たい怒りが湧いてくるのを感じた。
今ここで死んでも構わないなんて、命を救いに来た奴の前で言うか?
憧憬夢なんかの為に命を捨てても構わないなんて、よく口に出来るな。
命を大事に出来ないヤツが、俺は一番嫌いなんだ。
俺の表情が、冷たいものになっていたんだろう。
綾が、少し怯んだように言った。
【綾 上総】
「…なんだよ、その顔」
昔の話。俺は、ある人間と深く関わった。
「死にたい」と「生きたい」が複雑に絡み合った『彼』は――、生を望んだまま、死んだ。
だから、命を大切に出来ないヤツが許せない。
生きたくても生きられなかったヤツをバカにしてる。
だから、許せなかった。
たとえそれが、俺を追い払う為だけの言葉だと分かっていても。
【クロノ】
「命は大切なものって、先生に教わらなかった?」
【綾 上総】
「んっ……ぐ!」
綾の顎を掴んで、俺の方に引き寄せる。
【綾 上総】
「……なに?言葉じゃ勝てないからって暴力かよ」
【クロノ】
「答えろよ。習わなかった?」
【綾 上総】
「……」
綾は反抗心を剥き出しにした視線を、俺に向ける。
【クロノ】
「答えないんだ。まあ、期待してないし、別にいいけど」
【クロノ】
「あんな不用意な発言をするほど、バカなんだってことが分かったし」
手を離し、綾を解放する。
綾は数歩後ろによろけた後、棒立ちになったまま、俺の顔を凝視している。
【クロノ】
「命を大切に出来ないヤツが、愛されたいなんておこがましい」
【クロノ】
「だから、あんたは愛されないんだよ」
【綾 上総】
「……」
傷付いた顔をしている綾から、スッと目を逸らした。
俺は、ひとまず死神界に戻ることにした。
【綾 上総】
「クソっ……!」
俺が部屋を去る時、綾は真っ赤な顔をして、八つ当たりのようにゴミ箱を蹴飛ばしていた。
【アンク】
「おやおや、どうされました?虫の居所が悪そうですな」
【クロノ】
「ほんと頭痛い。綾のバカさ加減にはうんざりする」
【クロノ】
「幸せな夢へ逃避する為に命を削るなんて、俺には考えられない」
【アンク】
「綾さんにとって、まだ死が身近ではないからでしょう。自分だけは大丈夫だと」
【クロノ】
「ほんと、バカ」
……でも、だから、放っておけないのかもしれない。
綾が見せた弱さや、愛されたいって願望を知ってるから――、バカだけど、やっぱり放っておけない。
【アンク】
「そうそう。悪夢化についての調査結果ですが」
【アンク】
「LIP使用による長時間の憧憬夢が、何らかのきっかけで悪夢化するようでございます」
【アンク】
「そのきっかけはまだ不明ですが、悪夢化は死へのカウントダウンだと、噂が流れているようですな」
【クロノ】
「……対処法はないの?」
そう言うと、じいがリビドーを差し出した。
【アンク】
「これをお使いくださいませ」
【クロノ】
「今まで通りのリビドーに見えるけど」
【アンク】
「悪夢は脳波の乱れによるもの。正常な脳波に戻せば、悪夢は普通の夢に戻ります」
【アンク】
「綾さんのリビドーと繋いで、この裏側についているスイッチを押せば、安全な脳波が送られます」
ニコニコと説明するじいから、リビドーを受け取った。
【クロノ】
「ふーん、便利そう。ありがとう、助かる」
【アンク】
「また、悪夢には必ず綻びがあるとも言われております」
【クロノ】
「綻び?」
【アンク】
「はい。夢に入っている時に、憧憬夢が悪夢化した場合、その綻びを切って下さい」
【アンク】
「そうすれば悪夢は崩れ、悪夢化される前の夢へと戻ることでしょう」
具体的にはよく解らなかったけれど。
対策は分かったし、時間になったので、俺は人間界へ戻ることにした。
【綾 上総】
「クソッ……」
家に戻って酒を呷る。……何杯飲んでも酔えないまま、
時間だけが過ぎていく。
【綾 上総】
「なにが、あんたは愛されない、だ」
クロノの言葉が、胸に突き刺さって抜けない。
どうしようもない苛立ちが、俺を酔わせてくれない。
【綾 上総】
「もうやめだ、やめ。寝ちまうに限る」
誰にともなく呟いて、着替えもせずにそのままベッドに潜り込む。
リビドーを装着して、今夜こそは心地いい夢が見たいと願いながら、目を閉じた。
俺の望みは、親父に愛されること。
深い愛なんて贅沢は言わない。俺を気に掛けてくれるだけでいい。
どうして親父は、それすらしてくれないんだろう?
俺が……、愛するに足らないから?
……俺が、愛されない人間だから……?
【子供の上総】
「パパ、今度はメリーゴーランドに乗ろうよ」
【綾 上総】
「いいとも。馬と馬車、どっちがいいんだ?」
【子供の上総】
「うーん、パパと一緒に馬車に乗る!」
今日も俺はこうして、「愛される自分」を眺めるだけ。
まだガキだった頃、こうしてほしいと願っていた光景を再現して。
夢だっつーのに、俺は子供になりきることが出来なかった。
クロノは、俺がリアリストだからと言っていたが……、だからかな。
俺の願いは叶わないと思っているから、こんなことになっている、と。
【綾 上総】
「……クソ。アイツのことなんか、どうでもいいじゃねーか」
意識をクロノから、子供の俺と親父の方に集中する。
けど、その時。
【綾 上総】
「え…?!」
子供の俺の隣にいたのは、親父ではなく。
「俺を意識してんの? 可愛いね」
普段は偉そうにしている綾を苛めるのが楽しくなってきて、からかうように言った。
綾はカッとなったように俺に詰め寄ってくる。
【綾 上総】
「俺のことは、もうほっとけよ」
【綾 上総】
「お前がいると気が散る!」
【クロノ】
「ふーん」
【綾 上総】
「憧憬夢を見てるのは俺の意思だ!」
【クロノ】
「……」
【綾 上総】
「その為なら、今ここで死んでも構わねーし?!」
【クロノ】
「……何言ってるの?」
綾の言葉を聞いた瞬間、冷たい怒りが湧いてくるのを感じた。
今ここで死んでも構わないなんて、命を救いに来た奴の前で言うか?
憧憬夢なんかの為に命を捨てても構わないなんて、よく口に出来るな。
命を大事に出来ないヤツが、俺は一番嫌いなんだ。
俺の表情が、冷たいものになっていたんだろう。
綾が、少し怯んだように言った。
【綾 上総】
「…なんだよ、その顔」
昔の話。俺は、ある人間と深く関わった。
「死にたい」と「生きたい」が複雑に絡み合った『彼』は――、生を望んだまま、死んだ。
だから、命を大切に出来ないヤツが許せない。
生きたくても生きられなかったヤツをバカにしてる。
だから、許せなかった。
たとえそれが、俺を追い払う為だけの言葉だと分かっていても。
【クロノ】
「命は大切なものって、先生に教わらなかった?」
【綾 上総】
「んっ……ぐ!」
綾の顎を掴んで、俺の方に引き寄せる。
【綾 上総】
「……なに?言葉じゃ勝てないからって暴力かよ」
【クロノ】
「答えろよ。習わなかった?」
【綾 上総】
「……」
綾は反抗心を剥き出しにした視線を、俺に向ける。
【クロノ】
「答えないんだ。まあ、期待してないし、別にいいけど」
【クロノ】
「あんな不用意な発言をするほど、バカなんだってことが分かったし」
手を離し、綾を解放する。
綾は数歩後ろによろけた後、棒立ちになったまま、俺の顔を凝視している。
【クロノ】
「命を大切に出来ないヤツが、愛されたいなんておこがましい」
【クロノ】
「だから、あんたは愛されないんだよ」
【綾 上総】
「……」
傷付いた顔をしている綾から、スッと目を逸らした。
俺は、ひとまず死神界に戻ることにした。
【綾 上総】
「クソっ……!」
俺が部屋を去る時、綾は真っ赤な顔をして、八つ当たりのようにゴミ箱を蹴飛ばしていた。
【アンク】
「おやおや、どうされました?虫の居所が悪そうですな」
【クロノ】
「ほんと頭痛い。綾のバカさ加減にはうんざりする」
【クロノ】
「幸せな夢へ逃避する為に命を削るなんて、俺には考えられない」
【アンク】
「綾さんにとって、まだ死が身近ではないからでしょう。自分だけは大丈夫だと」
【クロノ】
「ほんと、バカ」
……でも、だから、放っておけないのかもしれない。
綾が見せた弱さや、愛されたいって願望を知ってるから――、バカだけど、やっぱり放っておけない。
【アンク】
「そうそう。悪夢化についての調査結果ですが」
【アンク】
「LIP使用による長時間の憧憬夢が、何らかのきっかけで悪夢化するようでございます」
【アンク】
「そのきっかけはまだ不明ですが、悪夢化は死へのカウントダウンだと、噂が流れているようですな」
【クロノ】
「……対処法はないの?」
そう言うと、じいがリビドーを差し出した。
【アンク】
「これをお使いくださいませ」
【クロノ】
「今まで通りのリビドーに見えるけど」
【アンク】
「悪夢は脳波の乱れによるもの。正常な脳波に戻せば、悪夢は普通の夢に戻ります」
【アンク】
「綾さんのリビドーと繋いで、この裏側についているスイッチを押せば、安全な脳波が送られます」
ニコニコと説明するじいから、リビドーを受け取った。
【クロノ】
「ふーん、便利そう。ありがとう、助かる」
【アンク】
「また、悪夢には必ず綻びがあるとも言われております」
【クロノ】
「綻び?」
【アンク】
「はい。夢に入っている時に、憧憬夢が悪夢化した場合、その綻びを切って下さい」
【アンク】
「そうすれば悪夢は崩れ、悪夢化される前の夢へと戻ることでしょう」
具体的にはよく解らなかったけれど。
対策は分かったし、時間になったので、俺は人間界へ戻ることにした。
【綾 上総】
「クソッ……」
家に戻って酒を呷る。……何杯飲んでも酔えないまま、
時間だけが過ぎていく。
【綾 上総】
「なにが、あんたは愛されない、だ」
クロノの言葉が、胸に突き刺さって抜けない。
どうしようもない苛立ちが、俺を酔わせてくれない。
【綾 上総】
「もうやめだ、やめ。寝ちまうに限る」
誰にともなく呟いて、着替えもせずにそのままベッドに潜り込む。
リビドーを装着して、今夜こそは心地いい夢が見たいと願いながら、目を閉じた。
俺の望みは、親父に愛されること。
深い愛なんて贅沢は言わない。俺を気に掛けてくれるだけでいい。
どうして親父は、それすらしてくれないんだろう?
俺が……、愛するに足らないから?
……俺が、愛されない人間だから……?
【子供の上総】
「パパ、今度はメリーゴーランドに乗ろうよ」
【綾 上総】
「いいとも。馬と馬車、どっちがいいんだ?」
【子供の上総】
「うーん、パパと一緒に馬車に乗る!」
今日も俺はこうして、「愛される自分」を眺めるだけ。
まだガキだった頃、こうしてほしいと願っていた光景を再現して。
夢だっつーのに、俺は子供になりきることが出来なかった。
クロノは、俺がリアリストだからと言っていたが……、だからかな。
俺の願いは叶わないと思っているから、こんなことになっている、と。
【綾 上総】
「……クソ。アイツのことなんか、どうでもいいじゃねーか」
意識をクロノから、子供の俺と親父の方に集中する。
けど、その時。
【綾 上総】
「え…?!」
子供の俺の隣にいたのは、親父ではなく。
