[本編] 綾 上総 編
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【綾 上総】
「勝手なことばっかぬかしやがって…」
【綾 上総】
「誰がそんな話信じるか、バカ」
【クロノ】
「信じられないなら、今はそれでもいいよ」
【クロノ】
「これから信じさせるだけだし」
【クロノ】
「それにしても……。ただのいけ好かない、世間知らずのボンボンかと思ってたけど」
【綾 上総】
「ああ!?」
【クロノ】
「リアリストでもあったんだな、あんた」
【クロノ】
「本当のあんたは、ここが夢で、現実じゃないことを理解していて」
【クロノ】
「今から子供に戻ることなんか出来ないって分かってる」
【綾 上総】
「……」
綾の表情が少し変わる。
隠してきた心の中を、ずばり言い当てられたんだろう。本気で睨み付けてくる。
【クロノ】
「だから、この遊園地の世界を作ったんだろ?」
【クロノ】
「登場人物は、父親と、子供の自分。観客は、本物の綾」
【クロノ】
「まるで予定調和のお芝居みたいな、夢の世界」
俺の言葉に、綾がカッと赤くなった。
言葉そのものに苛立ったのか、心の中を暴かれたせいか。
どちらかは分からないけど……、小刻みに震え出す。
【クロノ】
「父親に愛されるなんてありえないと思ってるから」
【綾 上総】
「黙れ……」
【クロノ】
「せめてもの慰めに、偽りの人形を動かしていたんだ?」
【綾 上総】
「うるせえ!黙れっつってんだろーが!」
綾が叫んだその瞬間。
遊園地の照明が、一斉に消えた。すぐに、音楽もやむ。
【クロノ】
「……何?」
【綾 上総】
「は……? え?なんだコレ」
俺は、いつでも鎌を具現化できるように気を張りながら、様子を見守った。
【綾 上総】
「おい!あんた、なにをした?」
【クロノ】
「なにもしてないけど?」
【綾 上総】
「こんなこと初めてなんですけど?あんたのせいじゃねーの?」
【クロノ】
「責任転嫁しないでくれる?」
【クロノ】
「俺は何もしてないよ。ここはあんたの夢なんだから」
【クロノ】
「なにかしたとしたら、あんただろ」
突然綾が、俺の後ろに目を留めたまま、驚愕に目を見開いた。
綾の視線を追って、後ろを振り返ると。
【綾 上総】
「なんだよ、あれ……!」
父親が……、異形の姿になっていた。
その頭上、遠くの空に、真っ黒な亀裂が入っている。
【クロノ】
「なんだ……?」
異形の父親は体を左右に揺らしながら、意味の分からない独り言を呟いている。
その隣で、子供の綾も、足許から侵食されるように、黒く染まっていく。
【子供の上総】
「―――ひっ……」
【綾 上総】
「な、なんとかしろよ、あんた死神なんだろ?!」
【クロノ】
「この現象の理由も分からないのに?無理」
綾はこのおぞましい光景に震えながら、俺の背後に隠れる。
【クロノ】
(…おいおい。さっきまで言い争ってた相手を盾にするのかよ…)
俺の視線に気付いたのか、綾が不機嫌そうに口を開く。
【綾 上総】
「あんたが来なきゃ平和な夢だったんだから、あんたにも責任はある」
【綾 上総】
「だから、あんたには、解決する義務がある!」
綾の言葉に呆れたけど、これから何が起きるのかも分からないし……。
とりあえず、盾にされてることは置いておくとして。
まずは、この現象をどうにかすることが先決だ。
異形の姿になった父親に、黒く染まりかけている子供の綾が縋り付く。
【子供の上総】
「パパ、怖い! これなに?!なんとかして!」
【綾 一輝】
「……~~、ひ……う―――、・・・」
【子供の上総】
「パパ!パパァ!怖いよ!助けて!」
【綾 一輝】
「……そうか。それでは今から社に向かう。日曜? 私には休日など関係ない」
初めて父親の独り言がはっきりと聞こえた。今までも、仕事について、なにか言っていたのだろうか。
その言葉を聞いた瞬間、―――綾の顔が恐怖に染まった。
夢の世界に異変が起きても、ある程度は平気そうにしていたのに。
【クロノ】
(これは……。綾のトラウマを、もっと知ることが出来るかもしれない)
【クロノ】
(このトラウマを克服できれば――、リビドーは不要になる)
一か八かの賭けだったけど、俺はそのまま様子を見ることにした。
【子供の上総】
「パパ!俺が一人でこいつらをやっつけたら、
褒めてくれる?!」
【綾 一輝】
「構わん。夕飯は、勉強が全て終わってからと、
指示してある」
【子供の上総】
「パパ? パパは俺を愛してるよね?ねえ、褒めてくれるよね?!
抱き締めてくれるよね?!」
【綾 一輝】
「運動会? その日は大事な会議がある。弁当は家政婦に届けてもらえ」
【子供の上総】
「パパ、……俺を愛してないの?」
子供の綾が、哀しみだけを映した瞳で、大人の綾を見上げる。
【子供の上総】
「ねえ。誰も、俺を愛してくれないの……?」
【綾 上総】
「や……やめ……」
絞り出すような声を発して、綾が頭を抱え込んだ。
力なくその場にしゃがみ込んで、ガタガタと震えている。
……それでも、もう異形になった父親から、綾は目を離さない。
【クロノ】
「おい……」
【綾 上総】
「もう……、やめてくれ……」
綾の顔は血色を失い、真っ青になっていた。
目の前の父親の姿から目を離せないまま、ボロボロと涙をこぼしている。
【クロノ】
(ヤバイ…か?パニックになってるかもしれない…)
そろそろ、夢から脱出した方がいいかもしれない。
そう思って、万が一の武器にと死神の鎌を生成した時。
「勝手なことばっかぬかしやがって…」
【綾 上総】
「誰がそんな話信じるか、バカ」
【クロノ】
「信じられないなら、今はそれでもいいよ」
【クロノ】
「これから信じさせるだけだし」
【クロノ】
「それにしても……。ただのいけ好かない、世間知らずのボンボンかと思ってたけど」
【綾 上総】
「ああ!?」
【クロノ】
「リアリストでもあったんだな、あんた」
【クロノ】
「本当のあんたは、ここが夢で、現実じゃないことを理解していて」
【クロノ】
「今から子供に戻ることなんか出来ないって分かってる」
【綾 上総】
「……」
綾の表情が少し変わる。
隠してきた心の中を、ずばり言い当てられたんだろう。本気で睨み付けてくる。
【クロノ】
「だから、この遊園地の世界を作ったんだろ?」
【クロノ】
「登場人物は、父親と、子供の自分。観客は、本物の綾」
【クロノ】
「まるで予定調和のお芝居みたいな、夢の世界」
俺の言葉に、綾がカッと赤くなった。
言葉そのものに苛立ったのか、心の中を暴かれたせいか。
どちらかは分からないけど……、小刻みに震え出す。
【クロノ】
「父親に愛されるなんてありえないと思ってるから」
【綾 上総】
「黙れ……」
【クロノ】
「せめてもの慰めに、偽りの人形を動かしていたんだ?」
【綾 上総】
「うるせえ!黙れっつってんだろーが!」
綾が叫んだその瞬間。
遊園地の照明が、一斉に消えた。すぐに、音楽もやむ。
【クロノ】
「……何?」
【綾 上総】
「は……? え?なんだコレ」
俺は、いつでも鎌を具現化できるように気を張りながら、様子を見守った。
【綾 上総】
「おい!あんた、なにをした?」
【クロノ】
「なにもしてないけど?」
【綾 上総】
「こんなこと初めてなんですけど?あんたのせいじゃねーの?」
【クロノ】
「責任転嫁しないでくれる?」
【クロノ】
「俺は何もしてないよ。ここはあんたの夢なんだから」
【クロノ】
「なにかしたとしたら、あんただろ」
突然綾が、俺の後ろに目を留めたまま、驚愕に目を見開いた。
綾の視線を追って、後ろを振り返ると。
【綾 上総】
「なんだよ、あれ……!」
父親が……、異形の姿になっていた。
その頭上、遠くの空に、真っ黒な亀裂が入っている。
【クロノ】
「なんだ……?」
異形の父親は体を左右に揺らしながら、意味の分からない独り言を呟いている。
その隣で、子供の綾も、足許から侵食されるように、黒く染まっていく。
【子供の上総】
「―――ひっ……」
【綾 上総】
「な、なんとかしろよ、あんた死神なんだろ?!」
【クロノ】
「この現象の理由も分からないのに?無理」
綾はこのおぞましい光景に震えながら、俺の背後に隠れる。
【クロノ】
(…おいおい。さっきまで言い争ってた相手を盾にするのかよ…)
俺の視線に気付いたのか、綾が不機嫌そうに口を開く。
【綾 上総】
「あんたが来なきゃ平和な夢だったんだから、あんたにも責任はある」
【綾 上総】
「だから、あんたには、解決する義務がある!」
綾の言葉に呆れたけど、これから何が起きるのかも分からないし……。
とりあえず、盾にされてることは置いておくとして。
まずは、この現象をどうにかすることが先決だ。
異形の姿になった父親に、黒く染まりかけている子供の綾が縋り付く。
【子供の上総】
「パパ、怖い! これなに?!なんとかして!」
【綾 一輝】
「……~~、ひ……う―――、・・・」
【子供の上総】
「パパ!パパァ!怖いよ!助けて!」
【綾 一輝】
「……そうか。それでは今から社に向かう。日曜? 私には休日など関係ない」
初めて父親の独り言がはっきりと聞こえた。今までも、仕事について、なにか言っていたのだろうか。
その言葉を聞いた瞬間、―――綾の顔が恐怖に染まった。
夢の世界に異変が起きても、ある程度は平気そうにしていたのに。
【クロノ】
(これは……。綾のトラウマを、もっと知ることが出来るかもしれない)
【クロノ】
(このトラウマを克服できれば――、リビドーは不要になる)
一か八かの賭けだったけど、俺はそのまま様子を見ることにした。
【子供の上総】
「パパ!俺が一人でこいつらをやっつけたら、
褒めてくれる?!」
【綾 一輝】
「構わん。夕飯は、勉強が全て終わってからと、
指示してある」
【子供の上総】
「パパ? パパは俺を愛してるよね?ねえ、褒めてくれるよね?!
抱き締めてくれるよね?!」
【綾 一輝】
「運動会? その日は大事な会議がある。弁当は家政婦に届けてもらえ」
【子供の上総】
「パパ、……俺を愛してないの?」
子供の綾が、哀しみだけを映した瞳で、大人の綾を見上げる。
【子供の上総】
「ねえ。誰も、俺を愛してくれないの……?」
【綾 上総】
「や……やめ……」
絞り出すような声を発して、綾が頭を抱え込んだ。
力なくその場にしゃがみ込んで、ガタガタと震えている。
……それでも、もう異形になった父親から、綾は目を離さない。
【クロノ】
「おい……」
【綾 上総】
「もう……、やめてくれ……」
綾の顔は血色を失い、真っ青になっていた。
目の前の父親の姿から目を離せないまま、ボロボロと涙をこぼしている。
【クロノ】
(ヤバイ…か?パニックになってるかもしれない…)
そろそろ、夢から脱出した方がいいかもしれない。
そう思って、万が一の武器にと死神の鎌を生成した時。