[本編] 春川 樹生 編
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【クロノ】
「……そう言ってるわりには、あんまり驚いてないように見えるけど」
【春川 樹生】
「なんだろうな。昨日も会ったからか…少し慣れて来たのかもしれない」
【春川 樹生】
「……あんたに会うのが楽しくなってきたのかもな」
【クロノ】
「へ?死神に会うのが楽しくなって来たの?」
春川のセリフに、驚く反面嬉しいと感じてしまった。……そんな風に思ってはいけないのに。
【クロノ】
「……あんた、変わってるよ」
【春川 樹生】
「オレを救うために毎日訪ねてくる死神だって、変わってるんじゃないか?」
春川は自嘲するように笑った。
【春川 樹生】
「……立ってないで座ってくれよ」
春川は自分が座っているベッドの横を、手でぽんぽん叩く。
俺は遠慮なくそこに座り、遠慮なく聞きたい事を聞くことにする。
【クロノ】
「ねえ……俺に心を開いてくれたってことか?」
【春川 樹生】
「轢かれそうになった時…助けてくれたの、あんただろ?」
デリカシーの無い質問の仕方かもしれない。けど、春川はちゃんと答えてくれた。
春川の目は真剣だった。本当のことを言ってくれと、訴えかけてくるみたいに。
【クロノ】
「うん。危機一髪だった」
【春川 樹生】
「……だと思ったよ。昨日はお礼言えなかったな」
【春川 樹生】
「助かったよ……ありがとう」
春川が嬉しそうに笑う。……俺は思わずドキッとする。
夢の中にいる時や、仕事中のものとは違う、初めて見る笑顔。
【クロノ】
(―――こういう顔もするんだ)
【春川 樹生】
「オレはあんたに命を救われたんだよ。だからその……心を開いたっていうか、許したって言うか……」
【春川 樹生】
「こういうこと言うのは恥ずかしいな」
ほんのり顔を赤くした春川が、それを隠すように窓を見やる。
【クロノ】
「そっか。素直に嬉しいよ」
【春川 樹生】
「……そういえばまだ、あんたの名前訊いてなかったな。死神にも名前とかあるのかな?」
【クロノ】
「もちろん、あるよ。俺の名前は、クロノ=クロノ=リーパー……でいいや」
【クロノ】
「大体はクロノって呼ばれるかな。フルネームは、もっと長いんだけどね」
【クロノ】
「正しく名前呼ばれると相手に支配されちゃうから」
【春川 樹生】
「よく解らないけど大変そうだな。そうか…クロノって言うのか……」
【クロノ】
「それで、話を戻すんだけど……俺がここにいるって事は、まだあんたは助かって無いって事になる」
【クロノ】
「真剣に聞いて。……あんたの寿命はあと、たったの9日だ」
【春川 樹生】
「……っ!」
【春川 樹生】
「……9日、か。あんたが言うなら間違いないんだろうな」
【クロノ】
「このまま行けば、そうなる。もちろんリビドーのせいでね」
春川の目が虚ろになって肩ががっくり落ちる。
その姿に、胸が張り裂けそうになって、今すぐ抱き締めてやりたいような衝動に駆られる。
衝動をぐっとこらえながら、俺は落ち着いた口調で言う。
【クロノ】
「……ショックだろうけど、あんまり気にしない方がいいよ」
【春川 樹生】
「気にするなって……そんなのできるわけないだろ」
【クロノ】
「あんたにはまだ希望があるだろ」
【春川 樹生】
「希望……?」
【クロノ】
「俺。あんたのたった一つの希望が俺」
【春川 樹生】
「くっ………あはははは!」
【クロノ】
「ちょ、ちょっと、笑うトコじゃないだろ。真剣に話してる」
【春川 樹生】
「すまない。なんだか頼もしくて。……安心したんだよ」
頼もしいと笑えるんだろうか?俺にはよくわからない感情だけど。
【クロノ】
「だから教えて欲しいんだ。なんでリビドーを使い続けるのか」
【クロノ】
「……弟が関係してるってのは、何となくわかるんだけど」
【春川 樹生】
「……そうだ。あいつを死なせたのはオレなんだ」
さっきまで笑っていた春川が、今度は辛そうに顔を歪ませた。
【春川 樹生】
「オレのせいで、弟は事故に遭って……」
【クロノ】
「……他に何か理由があるんじゃないの?じゃなきゃそこまで思い詰めない」
【春川 樹生】
「……すまない。これは自分一人で背負っていかなきゃいけない問題だから」
【クロノ】
「だから他の人を避けてるわけ?同僚とも話さず、友達も作らず」
【春川 樹生】
「……そうだよ。……オレは……人を不幸にしてしまうから」
【クロノ】
(弟の事が酷いトラウマになってるのは分かる)
【クロノ】
(でも……それを引きずってても意味ないのに)
【アンク】
「調査対象にのめり込みすぎませぬよう、ご注意くだされ」
【クロノ】
(……なんて、偉そうなことは言えない。過去に囚われてるのは俺も同じ)
【クロノ】
「……弟と何があったか、教えてくれない?」
【春川 樹生】
「…………」
春川は頑なに口を閉ざしている。俯いた顔からは表情を読み取る事ができない。
【クロノ】
「話したくないなら、今はいい」
【クロノ】
「……また来る」
そう言ってクロノは消えた。
―――オレの命を救ってくれたクロノ。
人を避けて生きてきたオレと、真剣に話してくれる唯一の存在だ。
いつも突然現れて、言いたい事言って帰って行く、つかみどころのないやつだけど。
不器用だし、冷たい所もあるけど。
オレはクロノのことが嫌いじゃない。むしろ、最近は会いたいとすら思う時がある。
でも―――クロノが言うように、リビドーを止めることは、絶対に出来ない。
たとえ寿命があと僅かだと分かってしまってもだ。
オレは……生汰に会わなければいけないんだ。
クロノが去った後、オレはparaisoでリビドーに関する情報を集める。
それはいつの間にか日課のようになってしまっていた。
様々な人間の欲望を眺めていると、不思議とリビドーを使うことを肯定されているような気になる。
気が楽になるんだ。……だからparaisoを見ているのかもしれない。
夜を待って、頭にリビドーをセットした。
ベッドに横になって、スイッチを入れる。
【クロノ】
「あんたにはまだ希望があるだろ」
ふと、クロノの言葉を思い出した。
オレの希望になってくれるのか?こんなどうしようもないオレの希望に……。
クロノの顔と、生汰の顔が交互に思い浮かんで―――思考が沈んでいく。
隣にはいつものように生汰が座っていた。オレに気がつくと、喜んでくっついてくる。
「……そう言ってるわりには、あんまり驚いてないように見えるけど」
【春川 樹生】
「なんだろうな。昨日も会ったからか…少し慣れて来たのかもしれない」
【春川 樹生】
「……あんたに会うのが楽しくなってきたのかもな」
【クロノ】
「へ?死神に会うのが楽しくなって来たの?」
春川のセリフに、驚く反面嬉しいと感じてしまった。……そんな風に思ってはいけないのに。
【クロノ】
「……あんた、変わってるよ」
【春川 樹生】
「オレを救うために毎日訪ねてくる死神だって、変わってるんじゃないか?」
春川は自嘲するように笑った。
【春川 樹生】
「……立ってないで座ってくれよ」
春川は自分が座っているベッドの横を、手でぽんぽん叩く。
俺は遠慮なくそこに座り、遠慮なく聞きたい事を聞くことにする。
【クロノ】
「ねえ……俺に心を開いてくれたってことか?」
【春川 樹生】
「轢かれそうになった時…助けてくれたの、あんただろ?」
デリカシーの無い質問の仕方かもしれない。けど、春川はちゃんと答えてくれた。
春川の目は真剣だった。本当のことを言ってくれと、訴えかけてくるみたいに。
【クロノ】
「うん。危機一髪だった」
【春川 樹生】
「……だと思ったよ。昨日はお礼言えなかったな」
【春川 樹生】
「助かったよ……ありがとう」
春川が嬉しそうに笑う。……俺は思わずドキッとする。
夢の中にいる時や、仕事中のものとは違う、初めて見る笑顔。
【クロノ】
(―――こういう顔もするんだ)
【春川 樹生】
「オレはあんたに命を救われたんだよ。だからその……心を開いたっていうか、許したって言うか……」
【春川 樹生】
「こういうこと言うのは恥ずかしいな」
ほんのり顔を赤くした春川が、それを隠すように窓を見やる。
【クロノ】
「そっか。素直に嬉しいよ」
【春川 樹生】
「……そういえばまだ、あんたの名前訊いてなかったな。死神にも名前とかあるのかな?」
【クロノ】
「もちろん、あるよ。俺の名前は、クロノ=クロノ=リーパー……でいいや」
【クロノ】
「大体はクロノって呼ばれるかな。フルネームは、もっと長いんだけどね」
【クロノ】
「正しく名前呼ばれると相手に支配されちゃうから」
【春川 樹生】
「よく解らないけど大変そうだな。そうか…クロノって言うのか……」
【クロノ】
「それで、話を戻すんだけど……俺がここにいるって事は、まだあんたは助かって無いって事になる」
【クロノ】
「真剣に聞いて。……あんたの寿命はあと、たったの9日だ」
【春川 樹生】
「……っ!」
【春川 樹生】
「……9日、か。あんたが言うなら間違いないんだろうな」
【クロノ】
「このまま行けば、そうなる。もちろんリビドーのせいでね」
春川の目が虚ろになって肩ががっくり落ちる。
その姿に、胸が張り裂けそうになって、今すぐ抱き締めてやりたいような衝動に駆られる。
衝動をぐっとこらえながら、俺は落ち着いた口調で言う。
【クロノ】
「……ショックだろうけど、あんまり気にしない方がいいよ」
【春川 樹生】
「気にするなって……そんなのできるわけないだろ」
【クロノ】
「あんたにはまだ希望があるだろ」
【春川 樹生】
「希望……?」
【クロノ】
「俺。あんたのたった一つの希望が俺」
【春川 樹生】
「くっ………あはははは!」
【クロノ】
「ちょ、ちょっと、笑うトコじゃないだろ。真剣に話してる」
【春川 樹生】
「すまない。なんだか頼もしくて。……安心したんだよ」
頼もしいと笑えるんだろうか?俺にはよくわからない感情だけど。
【クロノ】
「だから教えて欲しいんだ。なんでリビドーを使い続けるのか」
【クロノ】
「……弟が関係してるってのは、何となくわかるんだけど」
【春川 樹生】
「……そうだ。あいつを死なせたのはオレなんだ」
さっきまで笑っていた春川が、今度は辛そうに顔を歪ませた。
【春川 樹生】
「オレのせいで、弟は事故に遭って……」
【クロノ】
「……他に何か理由があるんじゃないの?じゃなきゃそこまで思い詰めない」
【春川 樹生】
「……すまない。これは自分一人で背負っていかなきゃいけない問題だから」
【クロノ】
「だから他の人を避けてるわけ?同僚とも話さず、友達も作らず」
【春川 樹生】
「……そうだよ。……オレは……人を不幸にしてしまうから」
【クロノ】
(弟の事が酷いトラウマになってるのは分かる)
【クロノ】
(でも……それを引きずってても意味ないのに)
【アンク】
「調査対象にのめり込みすぎませぬよう、ご注意くだされ」
【クロノ】
(……なんて、偉そうなことは言えない。過去に囚われてるのは俺も同じ)
【クロノ】
「……弟と何があったか、教えてくれない?」
【春川 樹生】
「…………」
春川は頑なに口を閉ざしている。俯いた顔からは表情を読み取る事ができない。
【クロノ】
「話したくないなら、今はいい」
【クロノ】
「……また来る」
そう言ってクロノは消えた。
―――オレの命を救ってくれたクロノ。
人を避けて生きてきたオレと、真剣に話してくれる唯一の存在だ。
いつも突然現れて、言いたい事言って帰って行く、つかみどころのないやつだけど。
不器用だし、冷たい所もあるけど。
オレはクロノのことが嫌いじゃない。むしろ、最近は会いたいとすら思う時がある。
でも―――クロノが言うように、リビドーを止めることは、絶対に出来ない。
たとえ寿命があと僅かだと分かってしまってもだ。
オレは……生汰に会わなければいけないんだ。
クロノが去った後、オレはparaisoでリビドーに関する情報を集める。
それはいつの間にか日課のようになってしまっていた。
様々な人間の欲望を眺めていると、不思議とリビドーを使うことを肯定されているような気になる。
気が楽になるんだ。……だからparaisoを見ているのかもしれない。
夜を待って、頭にリビドーをセットした。
ベッドに横になって、スイッチを入れる。
【クロノ】
「あんたにはまだ希望があるだろ」
ふと、クロノの言葉を思い出した。
オレの希望になってくれるのか?こんなどうしようもないオレの希望に……。
クロノの顔と、生汰の顔が交互に思い浮かんで―――思考が沈んでいく。
隣にはいつものように生汰が座っていた。オレに気がつくと、喜んでくっついてくる。
