[本編] 日留川 凌央 編
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母親と2人きりの部屋。
俺がずっと、避け続けていたシチュエーションだった。
暗がりにいるから気持ちまで沈むのかもしれないと電気をつけ、静かに蛍光灯を見つめる。
部屋着に着替えて、気休めだとしても表情を隠すためのマフラーを巻いた。
【日留川 凌央】
「…………………………」
【日留川 凌央】
「………。…何か、飲も」
見ないようにと思うほど、ソファに横たわっている人影に視線が流れそうになる。
それを誤魔化すためにキッチンへ立って。
思わず2人分のコーヒーを淹れて戻ってきてしまった。
ようやくその時、母親の分は必要なかったと後悔する。
【日留川 凌央】
「………………」
とりあえず、向かいのソファに腰掛けてカップを傾ける。
眠っている人を眺めながら、
とりあえずテーブルにその人用のカップを置く。
そして、やることが無くなってしまった。
【日留川 凌央】
(いきなり、クロノを刺すなんて……)
【日留川 凌央】
(さっきのこの人は、まともな精神状況じゃなかったんだろう)
【日留川 凌央】
(クロノも、自分が人間の武器じゃ死なないことがわかってたからって、避けもせずに刺されて……)
【日留川 凌央】
(……クロノはすぐに戻ってきてくれるだろうか)
【日留川 凌央】
(この状況を、早くなんとかしてくれるだろうか)
そこで、自分の表情が暗くなっていることに気がつく。
それだけじゃない。
同時に、俺が人並みに、母親であった人のことを心配しているという事実にも気付く。
そして、縁を切ったはずの母親と同じ空間に取り残されて。
この場から今すぐ逃げ出したいくらい、居た堪れなくて、情けない気持ちになっていることに気がつく。
そして、縁を切ったはずの母親と同じ空間に取り残されて。
この場から今すぐ逃げ出したいくらい、居た堪れなくて、情けない気持ちになっていることに気がつく。
【日留川 凌央】
(違う…俺は、強くなったはずだ)
過去に囚われずに生きるんだ。
クロノだって、俺がそうしたいならそうすれば良いって言ってた。
今更こんな風に。
意識を失っている母親を見て、焦るような気持ちなんて。
とうの昔に捨てたはずなんだ。
【日留川母】
「……凌央……」
突然名前を呼ばれて、カップを取り落としそうになった。
だけど目も開けてないし、うわ言かとわかってほっと胸を撫で下ろす。
【日留川 凌央】
「…ちっ」
【日留川 凌央】
「なんで俺が…こんな思いしなきゃいけないんだよ…」
【日留川母】
「凌央……り、お……」
【日留川 凌央】
「…………」
【日留川母】
「ごめん……なさい……」
【日留川 凌央】
「………っ」
【日留川母】
「ごめんね…ごめんね……」
【日留川母】
「母さんを、許して……」
俺はカップを握りしめたまま。
一応寝室から持ってきていた毛布を、どうすることもできないまま。
苦しそうにうなされている人を、ただじっと見詰めていることしかできなかった。
―――――……
【クロノ】
「……じい、いる?」
【アンク】
「お久しぶりでございますな、クロノ様!」
【クロノ】
「うわっ、今日はまた随分すぐ出てきたね」
【アンク】
「当然でございます!」
【アンク】
「クロノ様からのお呼び出しを今か今かとお待ちしておりました!」
【クロノ】
「それで用件なんだけど、ちょっと人間界で厄介なことがあって」
【クロノ】
「ちょっと夢の中に入りたい人がいるんだ」
【クロノ】
「リビドー事件の時に使ったサンプルって、まだ持ってる?」
【アンク】
「もちろんでございます」
【アンク】
「サンプルどころか、私めが日々改良を重ねていた新型リビドーがございます!」
【クロノ】
「新型…?」
【アンク】
「以前は出来なかったことが色々と可能に…」
【アンク】
「おっと、説明をしている場合ではありませんな」
【アンク】
「今すぐ持って参りますので、少々お待ちくださいませ!」
そして色々と抱えてきたじいと、俺達は再び凌央の自宅に向かった。
凌央は突然現れた俺達を見て、ソファから飛び上がった。
そんな凌央ににこやかな挨拶をかけながらも、じいはソファに横たわる女性を認めて。
すぐに状況を理解したのか、速やかにリビドーを設置し始めた。
【日留川 凌央】
「……な、……ど、どうする気だよ」
【クロノ】
「うん、ちょっとお母さんの夢の中に入ってみる」
【日留川 凌央】
「大丈夫か? 危なくないのか?」
【クロノ】
「……大丈夫だよ、信じて」
【日留川 凌央】
「それならいいんだけど…怪我するなよ」
不安そうな凌央の頭を撫でて、俺は床に寝転がって。
リビドーを装着して、久しぶりの夢の世界へと飛び込んだ。
濃い煙を抜けた先に、鮮やかな映像が見えてきた。
同時に誰かの悲鳴や、ヒステリックな怒声など。
何が起こっているのか不安を抱えながら潜っていくと。
そこには、沢山の凌央がいた。
幼少期の凌央、小学生、中学生、高校生、今現在の凌央。
彼らの傍らには、必ず一人の母親が立っていて。
寂しいと泣いている凌央を、無視したり。
怒鳴り散らしている凌央を、口汚く罵ったりしている。
【クロノ】
(これは……母親の方もまた随分溜め込んでるなぁ…)
凄惨な現場から目を背けると。
そこに蹲っている母親は、窓枠のようなものにしがみついていて。
わなわなと震えながら、中を覗き込んでいる。
少し近付いて彼女の脇から中を見てみると、そこはオフィスのような場所だった。
その中央に、沢山の社員に囲まれて。
堂々とした態度を取っている凌央の姿がある。
【クロノ】
(……これは、母親がこうであってほしい…っていう願望かな)
就業時刻を迎えたのか、凌央は全ての社員を見送ってから。
今までの表情からは想像もつかないほど、
陰鬱な表情になって、がっくりと肩を落とした。
【日留川 凌央】
『社員も皆帰っちゃった……。僕もそろそろ帰らないと……』
【クロノ】
(? 何か嫌なことでもあるのかな)
【日留川 凌央】
『…嫌だなぁ』
【日留川 凌央】
『帰ったら、またあいつに酷いことされるのかな……』
【クロノ】
(……なんか、夢の中とは言え気分悪いな)
【日留川 凌央】
『ううん、もうあいつは僕の家には帰れない。大丈夫、大丈夫なんだから…』
俺がずっと、避け続けていたシチュエーションだった。
暗がりにいるから気持ちまで沈むのかもしれないと電気をつけ、静かに蛍光灯を見つめる。
部屋着に着替えて、気休めだとしても表情を隠すためのマフラーを巻いた。
【日留川 凌央】
「…………………………」
【日留川 凌央】
「………。…何か、飲も」
見ないようにと思うほど、ソファに横たわっている人影に視線が流れそうになる。
それを誤魔化すためにキッチンへ立って。
思わず2人分のコーヒーを淹れて戻ってきてしまった。
ようやくその時、母親の分は必要なかったと後悔する。
【日留川 凌央】
「………………」
とりあえず、向かいのソファに腰掛けてカップを傾ける。
眠っている人を眺めながら、
とりあえずテーブルにその人用のカップを置く。
そして、やることが無くなってしまった。
【日留川 凌央】
(いきなり、クロノを刺すなんて……)
【日留川 凌央】
(さっきのこの人は、まともな精神状況じゃなかったんだろう)
【日留川 凌央】
(クロノも、自分が人間の武器じゃ死なないことがわかってたからって、避けもせずに刺されて……)
【日留川 凌央】
(……クロノはすぐに戻ってきてくれるだろうか)
【日留川 凌央】
(この状況を、早くなんとかしてくれるだろうか)
そこで、自分の表情が暗くなっていることに気がつく。
それだけじゃない。
同時に、俺が人並みに、母親であった人のことを心配しているという事実にも気付く。
そして、縁を切ったはずの母親と同じ空間に取り残されて。
この場から今すぐ逃げ出したいくらい、居た堪れなくて、情けない気持ちになっていることに気がつく。
そして、縁を切ったはずの母親と同じ空間に取り残されて。
この場から今すぐ逃げ出したいくらい、居た堪れなくて、情けない気持ちになっていることに気がつく。
【日留川 凌央】
(違う…俺は、強くなったはずだ)
過去に囚われずに生きるんだ。
クロノだって、俺がそうしたいならそうすれば良いって言ってた。
今更こんな風に。
意識を失っている母親を見て、焦るような気持ちなんて。
とうの昔に捨てたはずなんだ。
【日留川母】
「……凌央……」
突然名前を呼ばれて、カップを取り落としそうになった。
だけど目も開けてないし、うわ言かとわかってほっと胸を撫で下ろす。
【日留川 凌央】
「…ちっ」
【日留川 凌央】
「なんで俺が…こんな思いしなきゃいけないんだよ…」
【日留川母】
「凌央……り、お……」
【日留川 凌央】
「…………」
【日留川母】
「ごめん……なさい……」
【日留川 凌央】
「………っ」
【日留川母】
「ごめんね…ごめんね……」
【日留川母】
「母さんを、許して……」
俺はカップを握りしめたまま。
一応寝室から持ってきていた毛布を、どうすることもできないまま。
苦しそうにうなされている人を、ただじっと見詰めていることしかできなかった。
―――――……
【クロノ】
「……じい、いる?」
【アンク】
「お久しぶりでございますな、クロノ様!」
【クロノ】
「うわっ、今日はまた随分すぐ出てきたね」
【アンク】
「当然でございます!」
【アンク】
「クロノ様からのお呼び出しを今か今かとお待ちしておりました!」
【クロノ】
「それで用件なんだけど、ちょっと人間界で厄介なことがあって」
【クロノ】
「ちょっと夢の中に入りたい人がいるんだ」
【クロノ】
「リビドー事件の時に使ったサンプルって、まだ持ってる?」
【アンク】
「もちろんでございます」
【アンク】
「サンプルどころか、私めが日々改良を重ねていた新型リビドーがございます!」
【クロノ】
「新型…?」
【アンク】
「以前は出来なかったことが色々と可能に…」
【アンク】
「おっと、説明をしている場合ではありませんな」
【アンク】
「今すぐ持って参りますので、少々お待ちくださいませ!」
そして色々と抱えてきたじいと、俺達は再び凌央の自宅に向かった。
凌央は突然現れた俺達を見て、ソファから飛び上がった。
そんな凌央ににこやかな挨拶をかけながらも、じいはソファに横たわる女性を認めて。
すぐに状況を理解したのか、速やかにリビドーを設置し始めた。
【日留川 凌央】
「……な、……ど、どうする気だよ」
【クロノ】
「うん、ちょっとお母さんの夢の中に入ってみる」
【日留川 凌央】
「大丈夫か? 危なくないのか?」
【クロノ】
「……大丈夫だよ、信じて」
【日留川 凌央】
「それならいいんだけど…怪我するなよ」
不安そうな凌央の頭を撫でて、俺は床に寝転がって。
リビドーを装着して、久しぶりの夢の世界へと飛び込んだ。
濃い煙を抜けた先に、鮮やかな映像が見えてきた。
同時に誰かの悲鳴や、ヒステリックな怒声など。
何が起こっているのか不安を抱えながら潜っていくと。
そこには、沢山の凌央がいた。
幼少期の凌央、小学生、中学生、高校生、今現在の凌央。
彼らの傍らには、必ず一人の母親が立っていて。
寂しいと泣いている凌央を、無視したり。
怒鳴り散らしている凌央を、口汚く罵ったりしている。
【クロノ】
(これは……母親の方もまた随分溜め込んでるなぁ…)
凄惨な現場から目を背けると。
そこに蹲っている母親は、窓枠のようなものにしがみついていて。
わなわなと震えながら、中を覗き込んでいる。
少し近付いて彼女の脇から中を見てみると、そこはオフィスのような場所だった。
その中央に、沢山の社員に囲まれて。
堂々とした態度を取っている凌央の姿がある。
【クロノ】
(……これは、母親がこうであってほしい…っていう願望かな)
就業時刻を迎えたのか、凌央は全ての社員を見送ってから。
今までの表情からは想像もつかないほど、
陰鬱な表情になって、がっくりと肩を落とした。
【日留川 凌央】
『社員も皆帰っちゃった……。僕もそろそろ帰らないと……』
【クロノ】
(? 何か嫌なことでもあるのかな)
【日留川 凌央】
『…嫌だなぁ』
【日留川 凌央】
『帰ったら、またあいつに酷いことされるのかな……』
【クロノ】
(……なんか、夢の中とは言え気分悪いな)
【日留川 凌央】
『ううん、もうあいつは僕の家には帰れない。大丈夫、大丈夫なんだから…』
