[本編] 日留川 凌央 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふーふーと息を吹きかけてカップを傾ける日留川社長は。
最近、必要事項の質問などをしっかりした態度でこなせるようになった。
進行は俺がするけど、それ以外の出番はほぼ無いと言っていい。
凌央の前髪をそっと掻き分けて、身を屈めてキスを落とす。
【クロノ】
「これはご褒美」
【日留川 凌央】
「……まだまだだよ。アガるし、冷や汗出るし、声裏返りそうになるし」
【クロノ】
「何言ってんの。十分、ちゃんと社長っぽかった」
【クロノ】
「余裕のある優しい上司。そんな風に見えたけど」
【日留川 凌央】
「…………」
【クロノ】
「前は知らない人に会うのすら怖がってたのにねぇ……随分進歩したよ、凌央」
【日留川 凌央】
「そうかな……ううう疲れた…」
【クロノ】
「あれ、まだ元気は戻らない?」
【日留川 凌央】
「そ、そりゃキスは嬉しいけど。元気になるかと言われたら、また別の話だろ」
【クロノ】
「そっか。まあ、いっぱい頑張ったご褒美がキスだけじゃ社長のやる気も半減するか」
【日留川 凌央】
「やる気と元気って関係ある…?」
もちろん、と言いながら社長イスをくるりと回して。
呆気に取られている凌央の股間をそっと撫で上げる。
俺の意図に気付いた凌央は体をビクリと震わせて、慌てて俺の手首を掴む。
【日留川 凌央】
「……!! こ、こんな所で何考えてんだよ!」
【クロノ】
「何度もやってるから別にいいじゃない。別に酷くするつもりなんてないし」
【クロノ】
「だってご褒美だよ? 優しく気持ち良くしてあげるって言ってるだけなのに」
【日留川 凌央】
「いっ、いらない! 今は駄目……、うっ」
【クロノ】
「ははは、凌央は本当に感じ易いなぁ」
凌央の体から力が抜けた瞬間を狙って、ズボンのベルトを外そうとした時。
内線通知が入って俺達は固まった。
無視して事を進めようとしたら渾身の力で跳ね飛ばされてしまったので、
仕方なく通話ボタンを押す。
無視して事を進めようとしたら渾身の力で跳ね飛ばされてしまったので、仕方なく通話ボタンを押す。
【受付嬢】
『…社長にお電話が入っております…』
ちなみに、うちの看板娘はとても丁寧ではあるが声が暗いことで評判だ。
凌央はブンブンと首を振って、お前が出ろと顎をしゃくる。
【クロノ】
「わかった、繋いで」
社長が不在という理由をつけて出てみると、有名な出版社からで。
急成長中のITベンチャー企業の特集記事を作ることになったので、
取材に応じてほしいとのことだった。
少し待ってもらって、凌央に事情を説明する。
【日留川 凌央】
「しゅ、取材……!?」
【クロノ】
「待たせてるから早めに決めて。どうする?」
【日留川 凌央】
「むむむ無理! 絶対無理!」
【日留川 凌央】
「それって、俺だって喋らなきゃならないだろ!?」
【クロノ】
「そりゃ社長なんだから。凌央が主役みたいなもんでしょ」
【日留川 凌央】
「別に宣伝されなくても仕事入ってきてるし、今のままで十分だから断って!」
【クロノ】
「……わかったよ」
【クロノ】
「大変長らくお待たせして申し訳ございません。ただ今の件ですが、申し訳ありませんが…」
【クロノ】
「……はい、……そうですか…」
【クロノ】
「えー……、度々申し訳ございません。改めてこちらからご連絡差し上げます」
【クロノ】
「はい。はい。それでは失礼致します……」
受話器を置いた俺を、凌央が不安そうに見上げてくる。
【クロノ】
「どうしても取材したいって」
【日留川 凌央】
「畜生…!!」
【クロノ】
「いや、そこで地面に這いつくばることないでしょ」
【クロノ】
「サイトに載ってる連絡用アドレスに、メール送っておいたから、検討してほしいって」
【日留川 凌央】
「……」
【クロノ】
「せっかくだし応じてみれば?」
凌央はイスに戻ったけど、浮かない顔でボールペンをいじっている。
【クロノ】
「大々的に雑誌に載るんだよ」
【クロノ】
「もちろん大手出版社の雑誌だから色んな人が手に取るし、話題にもなる」
【クロノ】
「中学時代に凌央をいじめてた連中を見返す、良いチャンスでもあるんじゃない?」
【日留川 凌央】
「……」
【日留川 凌央】
「もう少し、考えさせて」
【日留川 凌央】
「今はまだ……決断できない」
【クロノ】
「…わかった」
項垂れたままの凌央のコーヒーを淹れ直して、差し出してやった。
前よりもコミュニケーション能力が上がったとは言っても。
凌央はまだ人前に出ることを嫌がっている。
大衆の目に触れるなんて、即決しろという方が無理な話だ。
【クロノ】
(今回ばかりは、俺が決めることじゃないからな)
【クロノ】
(無理に促したところで表に立つのは社長の方だ)
【クロノ】
(もう少し様子を見るしかないか……)
オフィスを出て、2人で一緒に凌央のマンションに向かう。
郵便受けに入っていた手紙や広告など確認しながら、エレベーターで自室へ。
光熱費の通知に混ざって、一通の手紙が入っていたため凌央に手渡すと。
差出人を見た途端、ぐしゃっと握りつぶしてゴミ箱に捨ててしまった。
【クロノ】
「……誰から?」
【日留川 凌央】
「ダイレクトメール」
【クロノ】
「手紙の差出人、『日留川』ってあったと思ったんだけど」
凌央は脱ぎかけの上着をソファにかけても、なかなか振り返らない。
【日留川 凌央】
「母親だった奴だけど、今は他人」
【クロノ】
「……見なくていいの?」
【日留川 凌央】
「別に見たって仕方ないし」
【日留川 凌央】
「そんなことよりメシ食おうぜ! ピザがいい」
不自然に明るく言う姿に、それ以上を尋ねることはできなかった。
夕食と風呂を済ませた後、寝室に入ると。
突然、首裏に手を回されて激しく唇を奪われた。
珍しく積極的に口内を荒らす舌に困惑しながらも、腰を抱き寄せて応戦する。
ぷは、と互いに息継ぎをして顔を離した時には既に。
凌央の表情は蠱惑的に染まっていた。
最近、必要事項の質問などをしっかりした態度でこなせるようになった。
進行は俺がするけど、それ以外の出番はほぼ無いと言っていい。
凌央の前髪をそっと掻き分けて、身を屈めてキスを落とす。
【クロノ】
「これはご褒美」
【日留川 凌央】
「……まだまだだよ。アガるし、冷や汗出るし、声裏返りそうになるし」
【クロノ】
「何言ってんの。十分、ちゃんと社長っぽかった」
【クロノ】
「余裕のある優しい上司。そんな風に見えたけど」
【日留川 凌央】
「…………」
【クロノ】
「前は知らない人に会うのすら怖がってたのにねぇ……随分進歩したよ、凌央」
【日留川 凌央】
「そうかな……ううう疲れた…」
【クロノ】
「あれ、まだ元気は戻らない?」
【日留川 凌央】
「そ、そりゃキスは嬉しいけど。元気になるかと言われたら、また別の話だろ」
【クロノ】
「そっか。まあ、いっぱい頑張ったご褒美がキスだけじゃ社長のやる気も半減するか」
【日留川 凌央】
「やる気と元気って関係ある…?」
もちろん、と言いながら社長イスをくるりと回して。
呆気に取られている凌央の股間をそっと撫で上げる。
俺の意図に気付いた凌央は体をビクリと震わせて、慌てて俺の手首を掴む。
【日留川 凌央】
「……!! こ、こんな所で何考えてんだよ!」
【クロノ】
「何度もやってるから別にいいじゃない。別に酷くするつもりなんてないし」
【クロノ】
「だってご褒美だよ? 優しく気持ち良くしてあげるって言ってるだけなのに」
【日留川 凌央】
「いっ、いらない! 今は駄目……、うっ」
【クロノ】
「ははは、凌央は本当に感じ易いなぁ」
凌央の体から力が抜けた瞬間を狙って、ズボンのベルトを外そうとした時。
内線通知が入って俺達は固まった。
無視して事を進めようとしたら渾身の力で跳ね飛ばされてしまったので、
仕方なく通話ボタンを押す。
無視して事を進めようとしたら渾身の力で跳ね飛ばされてしまったので、仕方なく通話ボタンを押す。
【受付嬢】
『…社長にお電話が入っております…』
ちなみに、うちの看板娘はとても丁寧ではあるが声が暗いことで評判だ。
凌央はブンブンと首を振って、お前が出ろと顎をしゃくる。
【クロノ】
「わかった、繋いで」
社長が不在という理由をつけて出てみると、有名な出版社からで。
急成長中のITベンチャー企業の特集記事を作ることになったので、
取材に応じてほしいとのことだった。
少し待ってもらって、凌央に事情を説明する。
【日留川 凌央】
「しゅ、取材……!?」
【クロノ】
「待たせてるから早めに決めて。どうする?」
【日留川 凌央】
「むむむ無理! 絶対無理!」
【日留川 凌央】
「それって、俺だって喋らなきゃならないだろ!?」
【クロノ】
「そりゃ社長なんだから。凌央が主役みたいなもんでしょ」
【日留川 凌央】
「別に宣伝されなくても仕事入ってきてるし、今のままで十分だから断って!」
【クロノ】
「……わかったよ」
【クロノ】
「大変長らくお待たせして申し訳ございません。ただ今の件ですが、申し訳ありませんが…」
【クロノ】
「……はい、……そうですか…」
【クロノ】
「えー……、度々申し訳ございません。改めてこちらからご連絡差し上げます」
【クロノ】
「はい。はい。それでは失礼致します……」
受話器を置いた俺を、凌央が不安そうに見上げてくる。
【クロノ】
「どうしても取材したいって」
【日留川 凌央】
「畜生…!!」
【クロノ】
「いや、そこで地面に這いつくばることないでしょ」
【クロノ】
「サイトに載ってる連絡用アドレスに、メール送っておいたから、検討してほしいって」
【日留川 凌央】
「……」
【クロノ】
「せっかくだし応じてみれば?」
凌央はイスに戻ったけど、浮かない顔でボールペンをいじっている。
【クロノ】
「大々的に雑誌に載るんだよ」
【クロノ】
「もちろん大手出版社の雑誌だから色んな人が手に取るし、話題にもなる」
【クロノ】
「中学時代に凌央をいじめてた連中を見返す、良いチャンスでもあるんじゃない?」
【日留川 凌央】
「……」
【日留川 凌央】
「もう少し、考えさせて」
【日留川 凌央】
「今はまだ……決断できない」
【クロノ】
「…わかった」
項垂れたままの凌央のコーヒーを淹れ直して、差し出してやった。
前よりもコミュニケーション能力が上がったとは言っても。
凌央はまだ人前に出ることを嫌がっている。
大衆の目に触れるなんて、即決しろという方が無理な話だ。
【クロノ】
(今回ばかりは、俺が決めることじゃないからな)
【クロノ】
(無理に促したところで表に立つのは社長の方だ)
【クロノ】
(もう少し様子を見るしかないか……)
オフィスを出て、2人で一緒に凌央のマンションに向かう。
郵便受けに入っていた手紙や広告など確認しながら、エレベーターで自室へ。
光熱費の通知に混ざって、一通の手紙が入っていたため凌央に手渡すと。
差出人を見た途端、ぐしゃっと握りつぶしてゴミ箱に捨ててしまった。
【クロノ】
「……誰から?」
【日留川 凌央】
「ダイレクトメール」
【クロノ】
「手紙の差出人、『日留川』ってあったと思ったんだけど」
凌央は脱ぎかけの上着をソファにかけても、なかなか振り返らない。
【日留川 凌央】
「母親だった奴だけど、今は他人」
【クロノ】
「……見なくていいの?」
【日留川 凌央】
「別に見たって仕方ないし」
【日留川 凌央】
「そんなことよりメシ食おうぜ! ピザがいい」
不自然に明るく言う姿に、それ以上を尋ねることはできなかった。
夕食と風呂を済ませた後、寝室に入ると。
突然、首裏に手を回されて激しく唇を奪われた。
珍しく積極的に口内を荒らす舌に困惑しながらも、腰を抱き寄せて応戦する。
ぷは、と互いに息継ぎをして顔を離した時には既に。
凌央の表情は蠱惑的に染まっていた。