[本編] 日留川 凌央 編
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俺が必要、か……。
凌央にそう言って貰えるのは素直に嬉しかった。
気持ちとしては、俺もこのまま凌央と人間界で暮らしたい。
……それでも簡単には答えを出せない。事件が解決してしまった以上、人間界に残る事は難しい気がする。
【日留川 凌央】
「……なあ、どうなんだよ」
【日留川 凌央】
「クロノは、ここに居てくれるのか?」
焦れた凌央がすがるように聞いてくる。
【クロノ】
「……簡単に決められる事じゃない」
【クロノ】
「俺は死神だから、人間界にいるには理由が必要」
【クロノ】
「でも、もう人間界での仕事は終わってる」
【日留川 凌央】
「それは……分かってるって」
【日留川 凌央】
「分かった上で、一緒に居たいって言ってるんだよ」
凌央が残念そうに項垂れて言う。
【クロノ】
「凌央がそう思ってくれてるのは嬉しいよ」
その言葉に、勢いよく顔を上げた凌央が目を輝かせた。
【日留川 凌央】
「じゃあ……!」
【クロノ】
「けど、今はまだはっきりした事は言えない」
その言葉で、再び凌央が落ち込むのが分かった。
俺の言葉一つで、ここまで感情を乱してしまう凌央を放っておけない気持ちが強くなる。
……けど、人間界に死神が住むなんて、長が許さないだろうな。
【日留川 凌央】
「……どうしてもダメなのか?」
【日留川 凌央】
「何か方法とか、抜け道とか、あるんだろ?」
【クロノ】
「あるかもしれないけど……難しいだろうね」
歯切れの悪い答えしか出来ないのが悔しいけど、今はこう言うのが精一杯だ。
【日留川 凌央】
「あんたなら、一緒にいてくれると思ってたのにさ……」
【クロノ】
「俺もここで暮らしたいと思ってるよ。でも……上司に聞いてみないと、何とも言えない」
【クロノ】
「……人間界に死神が住むなんて、きっと許されないだろうけど」
いじけたように凌央はしょんぼりと肩を落とす。
その子供っぽい仕草が妙に可愛らしく見えて、思わず抱きしめていた。
腕の中でまだ拗ねているのか、身じろぎもしないけど。
【クロノ】
「そんなに暗い顔しないでよ。なんだかこっちが悪いみたいな気になるだろ」
【日留川 凌央】
「別に、そんなつもりじゃないけどさ」
【日留川 凌央】
「ただ本当に……がっかりしただけ、」
言葉を遮るようにキスをする。
――どれだけ言葉を費やした所で、凌央の望み通りの言葉を口にすることは出来ないだろうから。
だから、気持ちを行動で現す事にした。
【日留川 凌央】
「は、はあ?なんだよ突然……!」
驚いて目を見開いている凌央が言う。
【クロノ】
「凌央の暗い顔、見たくないし」
【日留川 凌央】
「っ……そんなんで誤魔化されると思ってんのかよって」
【クロノ】
「誤魔化してなんかない。
――でも今は、凌央を喜ばせられるようなこと言えない」
【日留川 凌央】
「……」
俺を悲しげな瞳で見る凌央に、さっきよりも長いキスをした。
【日留川 凌央】
「ん……はぁ……っ……」
キスを終え顔を離すと、少し機嫌を戻してくれたみたいだった。
【クロノ】
「……俺は一旦死神界に戻るね。人間界にいれるか聞いてくるから待ってて」
【日留川 凌央】
「……良い答え期待してるからな」
むくれた顔をした凌央の頭を撫で、死神界に戻る事にした。
死神界に帰った俺は、人間界での事を相談するために部屋にじいを呼んだ。
【アンク】
「おかえりなさいませ!人間界はどうでしたかな?」
事件が解決してからというもの、じいはいつも上機嫌で、今も満面の笑みだ。
【クロノ】
「楽しかったよ。ケア役は仕事だけど。あいつといると楽しいから」
【アンク】
「そうでございますか! じいは嬉しいですぞ!ところで、相談とはどんな事ですかな?」
【クロノ】
「うん。人間界の事なんだけど」
ほう、とじいが居住まいを正す。
【クロノ】
「人間界で死神が暮らす事って出来るかな」
言葉を聞き終えたじいは、あんぐりと口を開けたまま身動きを止めた。
……魂が抜けたんじゃないかと不安になる。
【アンク】
「な、なんと。そんな事を考えていたとは……」
【クロノ】
「うん。これから長の所に行くつもりだけど、その前にじいの話を聞いておきたくてさ」
【アンク】
「そうでございましたか……。いや、驚いて二の句が継げませんでしたが、私はクロノ様の味方ですぞ」
じいが胸をどんと叩いて、頼もしい笑顔を見せてくれた。
【アンク】
「さて、人間界に残りたいという理由の事ですが……日留川さんが理由ですな?」
流石に古参の死神は察しがよくて助かるけど、見透かされていたようで複雑な気分……。
【クロノ】
「そう。……おかしいかな。人間のために死神界を去ろうとしてるなんて」
【アンク】
「そんな事はございませんぞ。愛の前にはどんな犠牲だってあり得るのです!」
【クロノ】
「……じい、ちょっと落ち着いて」
【アンク】
「死神長様の所へは、ご一緒しますぞ!」
【アンク】
「かなり難しいとは思いますが、2人で説得すれば、あるいはどうにかなるかもしれません!」
【クロノ】
「それは助かるけどさ……まあ、いいか。頼りにしてるよ、じい」
相談もそこそこに興奮気味のじいと2人、長の部屋に移動する事にした。
どうせ考えても策は無いんだから、この勢いのまま出たトコ勝負に賭けてみよう。
部屋に入り、長の視線が俺を捉えてすぐに、深々と頭を下げた。
【死神長】
「……クロノ、いったい何の真似だ?」
【クロノ】
「突然ですが、お願いがあって来ました」
顔を上げ、ありったけの情熱を込めて長を見つめる。
【クロノ】
「人間界で暮したいんです。許可を下さい」
【死神長】
「自分が何を言ってるのか分かっているのか?……もちろん許可は出せない」
【アンク】
「死神長様、無理を承知でこうしてやって来たのです。どうか、クロノの言い分を聞いてやって下さい」
じいがチラリと俺を見て、助け舟を出してくれる。
凌央にそう言って貰えるのは素直に嬉しかった。
気持ちとしては、俺もこのまま凌央と人間界で暮らしたい。
……それでも簡単には答えを出せない。事件が解決してしまった以上、人間界に残る事は難しい気がする。
【日留川 凌央】
「……なあ、どうなんだよ」
【日留川 凌央】
「クロノは、ここに居てくれるのか?」
焦れた凌央がすがるように聞いてくる。
【クロノ】
「……簡単に決められる事じゃない」
【クロノ】
「俺は死神だから、人間界にいるには理由が必要」
【クロノ】
「でも、もう人間界での仕事は終わってる」
【日留川 凌央】
「それは……分かってるって」
【日留川 凌央】
「分かった上で、一緒に居たいって言ってるんだよ」
凌央が残念そうに項垂れて言う。
【クロノ】
「凌央がそう思ってくれてるのは嬉しいよ」
その言葉に、勢いよく顔を上げた凌央が目を輝かせた。
【日留川 凌央】
「じゃあ……!」
【クロノ】
「けど、今はまだはっきりした事は言えない」
その言葉で、再び凌央が落ち込むのが分かった。
俺の言葉一つで、ここまで感情を乱してしまう凌央を放っておけない気持ちが強くなる。
……けど、人間界に死神が住むなんて、長が許さないだろうな。
【日留川 凌央】
「……どうしてもダメなのか?」
【日留川 凌央】
「何か方法とか、抜け道とか、あるんだろ?」
【クロノ】
「あるかもしれないけど……難しいだろうね」
歯切れの悪い答えしか出来ないのが悔しいけど、今はこう言うのが精一杯だ。
【日留川 凌央】
「あんたなら、一緒にいてくれると思ってたのにさ……」
【クロノ】
「俺もここで暮らしたいと思ってるよ。でも……上司に聞いてみないと、何とも言えない」
【クロノ】
「……人間界に死神が住むなんて、きっと許されないだろうけど」
いじけたように凌央はしょんぼりと肩を落とす。
その子供っぽい仕草が妙に可愛らしく見えて、思わず抱きしめていた。
腕の中でまだ拗ねているのか、身じろぎもしないけど。
【クロノ】
「そんなに暗い顔しないでよ。なんだかこっちが悪いみたいな気になるだろ」
【日留川 凌央】
「別に、そんなつもりじゃないけどさ」
【日留川 凌央】
「ただ本当に……がっかりしただけ、」
言葉を遮るようにキスをする。
――どれだけ言葉を費やした所で、凌央の望み通りの言葉を口にすることは出来ないだろうから。
だから、気持ちを行動で現す事にした。
【日留川 凌央】
「は、はあ?なんだよ突然……!」
驚いて目を見開いている凌央が言う。
【クロノ】
「凌央の暗い顔、見たくないし」
【日留川 凌央】
「っ……そんなんで誤魔化されると思ってんのかよって」
【クロノ】
「誤魔化してなんかない。
――でも今は、凌央を喜ばせられるようなこと言えない」
【日留川 凌央】
「……」
俺を悲しげな瞳で見る凌央に、さっきよりも長いキスをした。
【日留川 凌央】
「ん……はぁ……っ……」
キスを終え顔を離すと、少し機嫌を戻してくれたみたいだった。
【クロノ】
「……俺は一旦死神界に戻るね。人間界にいれるか聞いてくるから待ってて」
【日留川 凌央】
「……良い答え期待してるからな」
むくれた顔をした凌央の頭を撫で、死神界に戻る事にした。
死神界に帰った俺は、人間界での事を相談するために部屋にじいを呼んだ。
【アンク】
「おかえりなさいませ!人間界はどうでしたかな?」
事件が解決してからというもの、じいはいつも上機嫌で、今も満面の笑みだ。
【クロノ】
「楽しかったよ。ケア役は仕事だけど。あいつといると楽しいから」
【アンク】
「そうでございますか! じいは嬉しいですぞ!ところで、相談とはどんな事ですかな?」
【クロノ】
「うん。人間界の事なんだけど」
ほう、とじいが居住まいを正す。
【クロノ】
「人間界で死神が暮らす事って出来るかな」
言葉を聞き終えたじいは、あんぐりと口を開けたまま身動きを止めた。
……魂が抜けたんじゃないかと不安になる。
【アンク】
「な、なんと。そんな事を考えていたとは……」
【クロノ】
「うん。これから長の所に行くつもりだけど、その前にじいの話を聞いておきたくてさ」
【アンク】
「そうでございましたか……。いや、驚いて二の句が継げませんでしたが、私はクロノ様の味方ですぞ」
じいが胸をどんと叩いて、頼もしい笑顔を見せてくれた。
【アンク】
「さて、人間界に残りたいという理由の事ですが……日留川さんが理由ですな?」
流石に古参の死神は察しがよくて助かるけど、見透かされていたようで複雑な気分……。
【クロノ】
「そう。……おかしいかな。人間のために死神界を去ろうとしてるなんて」
【アンク】
「そんな事はございませんぞ。愛の前にはどんな犠牲だってあり得るのです!」
【クロノ】
「……じい、ちょっと落ち着いて」
【アンク】
「死神長様の所へは、ご一緒しますぞ!」
【アンク】
「かなり難しいとは思いますが、2人で説得すれば、あるいはどうにかなるかもしれません!」
【クロノ】
「それは助かるけどさ……まあ、いいか。頼りにしてるよ、じい」
相談もそこそこに興奮気味のじいと2人、長の部屋に移動する事にした。
どうせ考えても策は無いんだから、この勢いのまま出たトコ勝負に賭けてみよう。
部屋に入り、長の視線が俺を捉えてすぐに、深々と頭を下げた。
【死神長】
「……クロノ、いったい何の真似だ?」
【クロノ】
「突然ですが、お願いがあって来ました」
顔を上げ、ありったけの情熱を込めて長を見つめる。
【クロノ】
「人間界で暮したいんです。許可を下さい」
【死神長】
「自分が何を言ってるのか分かっているのか?……もちろん許可は出せない」
【アンク】
「死神長様、無理を承知でこうしてやって来たのです。どうか、クロノの言い分を聞いてやって下さい」
じいがチラリと俺を見て、助け舟を出してくれる。
