[本編] 日留川 凌央 編
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【クロノ】
「ぶって、あざをつけて、縛り付けて、そうやってお前を支配して、自分だけのものにしたい」
……全然、優しい目をしてなかった。
【日留川 凌央】
「……ねえ」
【クロノ】
「なに? 俺の凌央。もっと痛くしてほしい?」
違ぇよ、バカか。
【日留川 凌央】
「お前なんか、クロノじゃない」
そう言った俺の目の前を、紅葉が1枚掠めていった。
【日留川 凌央】
「……い」
眠ったまま凌央が、何か言ったような気がして、視線を向ける。
ユリスも鎌を構えたまま、注意深く凌央を見下ろしている。
【クロノ】
「なんだ? 凌央!! どうした!?」
血の気の引いた上 凌央の唇が動く。
【日留川 凌央】
「……クロノは……こんなこと……しない」
ユリスの目が見開かれる。
【クロノ】
「―――――」
―――そうか。
凌央も、夢の中で必死に戦ってるんだ。
俺も我に返り、目の前のユリスを凝視する。
さっきの戦闘の間中、こいつの攻撃は、なんだか手応えがなかった。いくらなんでも軽すぎる。
その微かな違和感を頼り、ユリスの体を確認していくと……綻びがあった。
【クロノ】
(こいつ、やっぱり悪夢の一部か……!)
【ユリス】
「! 動くな!!動くとこいつを斬―――」
だけど既に俺の鎌の切っ先は、ユリスの胴体にある綻びを突いていて。
忌々しそうに見つめてくる視線を、真っ向から受け止めて――、
俺達は僅かな間、無言でいた。
【ユリス】
「―――クソ」
その言葉を残してユリスの影が掻き消えるや否や、凌央を抱き起こす。
【クロノ】
「凌央! 凌央! 起きろ!」
ユリスの幻は去った。景色も元に戻っている。
凌央の目はまだ、開かない。
だけど寝顔は、安らかなものになってて、それだけで胸を撫で下ろす。
【クロノ】
「だけどまだ、夢を見てるんだよな……」
ユリスは、誰もここには入れないと言っていた。
なんとかして目覚める方法はないかと考え込んでいると、天から声が響いてきた。
【アンク】
「無事でございますか!?じいはここにおりますぞ!!」
【クロノ】
「じい!? ちょうど良かった、聞いてくれ、夢が二重になってる!どうしたらいい?」
【アンク】
「そ、そんなことがあるのですね……!」
【アンク】
「それでは、いつものあれで脳波に刺激を与えてみてはいかがでしょう」
のほほんとした声に、俺もだいぶ冷静になれた。
凌央の頭を膝の上に乗せて、額を撫でてやる。
【クロノ】
「いつものあれって……キスしろってこと?」
【アンク】
「さようでございます」
【クロノ】
「効果あるの……?さっきダメだったんだけど」
【アンク】
「先ほどと今とで、状況は何も変わっていませんか?」
【クロノ】
「一重目って言うの?今俺がいるところの悪夢化は解けた」
【アンク】
「それでは、効果のほどは定かではないのでは?悪夢化を解く前に起こす時は今までも苦労されたでしょう」
【クロノ】
「なるほど……わかった、やってみる」
【アンク】
「ご健闘を!現実世界でお待ちしておりますぞ!」
じいの声が消えたあと、俺は深呼吸して。
そっと、凌央の唇に口付けた……。
何かを分け与えるようにと意識しながら、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
そして凌央の目が開くのをじっと待つ。
【クロノ】
(頼む、起きてくれ……)
俺は…
まだお前と、話したいことが沢山あるんだ……!
死神が何かに願うなんて、変な話だけど。
この時だけは、何かに祈るような思いでいた。
【日留川 凌央】
「……ん」
【クロノ】
「凌央……!」
【日留川 凌央】
「え……?あれ?」
がむしゃらに体を抱きしめても、混乱しているのか、凌央の反応は鈍い。
【クロノ】
「大丈夫か?感覚はある?」
【日留川 凌央】
「そりゃ、あるけど……」
【日留川 凌央】
「いや、ちょっと待って。ここってどこ?」
【クロノ】
「お前の夢の中」
【日留川 凌央】
「……そう。だけど……なんだろう、俺、確か他に夢を…、―――――っ!」
何かを思い出したのか、みるみる内に凌央の顔が赤くなる。
【日留川 凌央】
「おっ、俺、俺っ……」
【クロノ】
「その話は今はしないでいい。俺も後ろめたいこと、色々やったから」
【クロノ】
「今回もおあいこってことで」
【日留川 凌央】
「…ってことは、やっぱり、見、見っ……」
【クロノ】
「いや、お前が見てた夢には入れなかった。俺が来れたのはここまで」
【日留川 凌央】
「は? は? どういう……」
混乱している凌央を抱き上げて、俺は窓の向こうを仰いだ。
【日留川 凌央】
「ちょっ……降ろせ、自分で立てっ……立てるから!」
【クロノ】
「駄目。このまま飛ぶから、しっかり捕まってて」
【日留川 凌央】
「は!? 飛……」
抱きかかえたまま窓を開け放ち、空を切って天高く舞い上がると。
【日留川 凌央】
「ぎゃああああああああああああ!!」
日留川の悲鳴が、夢の世界の中に響き渡った。
【クロノ】
「ちゃんと見ておけ。多分もう、お前が見ることのない景色だから」
落ち着いた声で告げると、日留川はちらりと顔を上げて。
震えながらも首を伸ばし、言われた通りに世界を見た。
【日留川 凌央】
「……た、確かに…」
【日留川 凌央】
「……この景色は、学校から見える景色だからな……」
「ぶって、あざをつけて、縛り付けて、そうやってお前を支配して、自分だけのものにしたい」
……全然、優しい目をしてなかった。
【日留川 凌央】
「……ねえ」
【クロノ】
「なに? 俺の凌央。もっと痛くしてほしい?」
違ぇよ、バカか。
【日留川 凌央】
「お前なんか、クロノじゃない」
そう言った俺の目の前を、紅葉が1枚掠めていった。
【日留川 凌央】
「……い」
眠ったまま凌央が、何か言ったような気がして、視線を向ける。
ユリスも鎌を構えたまま、注意深く凌央を見下ろしている。
【クロノ】
「なんだ? 凌央!! どうした!?」
血の気の引いた上 凌央の唇が動く。
【日留川 凌央】
「……クロノは……こんなこと……しない」
ユリスの目が見開かれる。
【クロノ】
「―――――」
―――そうか。
凌央も、夢の中で必死に戦ってるんだ。
俺も我に返り、目の前のユリスを凝視する。
さっきの戦闘の間中、こいつの攻撃は、なんだか手応えがなかった。いくらなんでも軽すぎる。
その微かな違和感を頼り、ユリスの体を確認していくと……綻びがあった。
【クロノ】
(こいつ、やっぱり悪夢の一部か……!)
【ユリス】
「! 動くな!!動くとこいつを斬―――」
だけど既に俺の鎌の切っ先は、ユリスの胴体にある綻びを突いていて。
忌々しそうに見つめてくる視線を、真っ向から受け止めて――、
俺達は僅かな間、無言でいた。
【ユリス】
「―――クソ」
その言葉を残してユリスの影が掻き消えるや否や、凌央を抱き起こす。
【クロノ】
「凌央! 凌央! 起きろ!」
ユリスの幻は去った。景色も元に戻っている。
凌央の目はまだ、開かない。
だけど寝顔は、安らかなものになってて、それだけで胸を撫で下ろす。
【クロノ】
「だけどまだ、夢を見てるんだよな……」
ユリスは、誰もここには入れないと言っていた。
なんとかして目覚める方法はないかと考え込んでいると、天から声が響いてきた。
【アンク】
「無事でございますか!?じいはここにおりますぞ!!」
【クロノ】
「じい!? ちょうど良かった、聞いてくれ、夢が二重になってる!どうしたらいい?」
【アンク】
「そ、そんなことがあるのですね……!」
【アンク】
「それでは、いつものあれで脳波に刺激を与えてみてはいかがでしょう」
のほほんとした声に、俺もだいぶ冷静になれた。
凌央の頭を膝の上に乗せて、額を撫でてやる。
【クロノ】
「いつものあれって……キスしろってこと?」
【アンク】
「さようでございます」
【クロノ】
「効果あるの……?さっきダメだったんだけど」
【アンク】
「先ほどと今とで、状況は何も変わっていませんか?」
【クロノ】
「一重目って言うの?今俺がいるところの悪夢化は解けた」
【アンク】
「それでは、効果のほどは定かではないのでは?悪夢化を解く前に起こす時は今までも苦労されたでしょう」
【クロノ】
「なるほど……わかった、やってみる」
【アンク】
「ご健闘を!現実世界でお待ちしておりますぞ!」
じいの声が消えたあと、俺は深呼吸して。
そっと、凌央の唇に口付けた……。
何かを分け与えるようにと意識しながら、ゆっくりと呼吸を繰り返す。
そして凌央の目が開くのをじっと待つ。
【クロノ】
(頼む、起きてくれ……)
俺は…
まだお前と、話したいことが沢山あるんだ……!
死神が何かに願うなんて、変な話だけど。
この時だけは、何かに祈るような思いでいた。
【日留川 凌央】
「……ん」
【クロノ】
「凌央……!」
【日留川 凌央】
「え……?あれ?」
がむしゃらに体を抱きしめても、混乱しているのか、凌央の反応は鈍い。
【クロノ】
「大丈夫か?感覚はある?」
【日留川 凌央】
「そりゃ、あるけど……」
【日留川 凌央】
「いや、ちょっと待って。ここってどこ?」
【クロノ】
「お前の夢の中」
【日留川 凌央】
「……そう。だけど……なんだろう、俺、確か他に夢を…、―――――っ!」
何かを思い出したのか、みるみる内に凌央の顔が赤くなる。
【日留川 凌央】
「おっ、俺、俺っ……」
【クロノ】
「その話は今はしないでいい。俺も後ろめたいこと、色々やったから」
【クロノ】
「今回もおあいこってことで」
【日留川 凌央】
「…ってことは、やっぱり、見、見っ……」
【クロノ】
「いや、お前が見てた夢には入れなかった。俺が来れたのはここまで」
【日留川 凌央】
「は? は? どういう……」
混乱している凌央を抱き上げて、俺は窓の向こうを仰いだ。
【日留川 凌央】
「ちょっ……降ろせ、自分で立てっ……立てるから!」
【クロノ】
「駄目。このまま飛ぶから、しっかり捕まってて」
【日留川 凌央】
「は!? 飛……」
抱きかかえたまま窓を開け放ち、空を切って天高く舞い上がると。
【日留川 凌央】
「ぎゃああああああああああああ!!」
日留川の悲鳴が、夢の世界の中に響き渡った。
【クロノ】
「ちゃんと見ておけ。多分もう、お前が見ることのない景色だから」
落ち着いた声で告げると、日留川はちらりと顔を上げて。
震えながらも首を伸ばし、言われた通りに世界を見た。
【日留川 凌央】
「……た、確かに…」
【日留川 凌央】
「……この景色は、学校から見える景色だからな……」