[本編] 日留川 凌央 編
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俺がそれに噛み付いたとたん、偽物は体を反り返らせて大きく口を開ける。
【日留川 凌央】
「ああああああああーっ!!」
校舎に響き渡るような絶叫とともに、大量の欲望が俺の口や顔目掛けて噴き出す。
【日留川 凌央】
「ああああまだ出る、まだ出るよおおお!!」
【日留川 凌央】
「止まらないイ、止まらないよおおおお」
【クロノ】
「……! くっ……」
偽物自身もそう宣言している通り、迸りは止まらない。
俺はひたすら顔をしかめて、出るものが収まるまで耐えて……目を開けた。
偽物は、内股になってガクガクと体を揺らしながら、その場にへたり込む。
【日留川 凌央】
「はあ、はあ、はあ、はあ、き、気持ち良か……た……」
【クロノ】
「そうか。それは良かったな」
顔に、口に出されたものをどうしようかと、途方に暮れていると。
偽物が四つん這いで俺に近づいてきて。
どこから出したのか、ウェットティッシュで丁寧にそれを拭きとっていく。
……これには、少し驚いた。
でもよく考えれば、俺の妄想なんだから、あり得る話か。
あの時日留川がしてくれたことを、偽物も真似ているというだけだろう。
【日留川 凌央】
「ふふ、ごめんなさい。凄いいっぱい出ちゃった」
【クロノ】
「……」
俺の顔を拭く指を何気無く見下ろす。
それは現実の日留川と同じように、細く、生白い指。
幻なんだとしても、その気遣いに少し感心した。
【クロノ】
「それで、お前の本体はどこ」
すっかり顔をきれいにしてもらってから尋ねると、偽物は瞬きをして、小さく笑う。
【日留川 凌央】
「酷いな、忘れちゃったの?虐めてって言ったのに」
そうだった、まだあるのか……。
こんなことをしてて、本当に間に合うのか。
頭の中はぼんやりしてるけど、まだ思考能力は残ってる。
この行為が長引けば……
俺もどうなってしまうかわからない。
幻とは言え、体は日留川そのものだ。
艶めかしく誘われて、また、何でもしていいなんて言われたら、理性を保っていられるかどうか。
……そうなると、多分終わりだ。
俺もこの夢に取り込まれて……多分もう現実に戻れない。
【クロノ】
「……はあ」
でも、仕方ない。
何とかするしかないんだよな。
【クロノ】
「わかった、付き合う……」
【日留川 凌央】
「本当!?」
【クロノ】
「本当……」
だってそれしか手段がない。
俺に力があれば、別の方法も選べたんだろうか。
……俺も、日留川のように頭が良ければな。
そう自嘲的に考えていた時、ふと視線を感じて顔を上げると。
偽物が、柔らかな表情で俺を見ていた。
【クロノ】
「……?」
【日留川 凌央】
「ふふふ、やっぱりかわいいね、あんた」
【クロノ】
「……幻に褒められても嬉しくない」
【日留川 凌央】
「そんなつれないこと言わないでよ。せっかく俺が、気変わりしそうだってのに」
【クロノ】
「は?」
【日留川 凌央】
「あーあ。本当は、縛ったり吊るしたり、酷いこと一杯してもらいたかったのになー」
【日留川 凌央】
「でもダメみたい。すっごい抵抗されてるもん」
【クロノ】
「抵抗って……誰に。俺か?」
【日留川 凌央】
「ううん、違う」
そう言って、偽物はピョンと1歩下がり、校舎の外を見つめた。
そこには、永遠に沈まない夕陽がある。
【日留川 凌央】
「ここから見える景色、本当は好きだったんだ」
【日留川 凌央】
「あそこに小さく山が見えるでしょ?あそこに夕陽が沈むとね」
【日留川 凌央】
「俺の席に、ちょうど夕陽が差し込んでくるんだ。いっつもこの時間にね」
【日留川 凌央】
「俺の席は、ここ。ほら、見える? 机が真っ赤になるんだよ。これがキレイでさ……」
偽物が、俺の隣にある机を示して、嬉しそうに笑う。
見ると確かに、机に太い赤線が引かれているようだった。
【日留川 凌央】
「だけどね。この時間まで、俺はこの教室にはいられなかった」
【日留川 凌央】
「いつまでもここにいると……言われるから。早く帰れって」
【日留川 凌央】
「消えちまえって。……俺なんか、目障りだって」
偽物の声は、淋しげで透き通っている。
俺はいつからかその声を、その姿を、偽物だとは思えなくなっていた。
―――日留川は。
赤く染まった机の表面をなぞりながら、優しい表情で続ける。
【日留川 凌央】
「問題。俺が1番好きな場所は、どこでしょうか」
【クロノ】
「……机」
【日留川 凌央】
「はは、それ、今俺が言ったばっかじゃん。他のにして」
【クロノ】
「他のって。だって、1番好きな場所だろ?」
【日留川 凌央】
「それは、昔の話。今は違うんだよ」
俺は必死に考える。
あいつが1番好きな場所……?
【クロノ】
「ベッド?」
【日留川 凌央】
「ブー。確かにリビドーは毎回そこで使ってたけど、それは寝てる時に使うからってだけ」
【クロノ】
「……じゃあ、自分の部屋」
【日留川 凌央】
「ああもう、ロマンがないなあ」
【日留川 凌央】
「1人になれる場所なんてどこにもない。それが今の俺の持論なの」
【日留川 凌央】
「部屋にいたって来るなって拒んだって、鍵をこじ開けて入ってくるヤツがいるってこと―――」
【日留川 凌央】
「教えてくれたの、あんたでしょ。泥棒さん」
そう呟いた日留川の表情が、夕陽の色に染まっていく。
【日留川 凌央】
「はい、そろそろ時間切れ。答え合わせの時間だよ」
日留川の姿が、足の方から薄くなっていく。
【日留川 凌央】
「俺が今、1番好きな場所はね……」
そして、はらりと1枚、朱色の落ち葉が舞う。
【日留川 凌央】
「あんたの隣」
紅葉だと思っていたそれは、あの日、日留川が俺にくれた、甘い菓子の包みだった。
長い夢を見ていたような気がして、俺はしばし呆然としていた。
それが現実だったと示すように、俺の膝の上には菓子の包みが乗っている。
【日留川 凌央】
「ああああああああーっ!!」
校舎に響き渡るような絶叫とともに、大量の欲望が俺の口や顔目掛けて噴き出す。
【日留川 凌央】
「ああああまだ出る、まだ出るよおおお!!」
【日留川 凌央】
「止まらないイ、止まらないよおおおお」
【クロノ】
「……! くっ……」
偽物自身もそう宣言している通り、迸りは止まらない。
俺はひたすら顔をしかめて、出るものが収まるまで耐えて……目を開けた。
偽物は、内股になってガクガクと体を揺らしながら、その場にへたり込む。
【日留川 凌央】
「はあ、はあ、はあ、はあ、き、気持ち良か……た……」
【クロノ】
「そうか。それは良かったな」
顔に、口に出されたものをどうしようかと、途方に暮れていると。
偽物が四つん這いで俺に近づいてきて。
どこから出したのか、ウェットティッシュで丁寧にそれを拭きとっていく。
……これには、少し驚いた。
でもよく考えれば、俺の妄想なんだから、あり得る話か。
あの時日留川がしてくれたことを、偽物も真似ているというだけだろう。
【日留川 凌央】
「ふふ、ごめんなさい。凄いいっぱい出ちゃった」
【クロノ】
「……」
俺の顔を拭く指を何気無く見下ろす。
それは現実の日留川と同じように、細く、生白い指。
幻なんだとしても、その気遣いに少し感心した。
【クロノ】
「それで、お前の本体はどこ」
すっかり顔をきれいにしてもらってから尋ねると、偽物は瞬きをして、小さく笑う。
【日留川 凌央】
「酷いな、忘れちゃったの?虐めてって言ったのに」
そうだった、まだあるのか……。
こんなことをしてて、本当に間に合うのか。
頭の中はぼんやりしてるけど、まだ思考能力は残ってる。
この行為が長引けば……
俺もどうなってしまうかわからない。
幻とは言え、体は日留川そのものだ。
艶めかしく誘われて、また、何でもしていいなんて言われたら、理性を保っていられるかどうか。
……そうなると、多分終わりだ。
俺もこの夢に取り込まれて……多分もう現実に戻れない。
【クロノ】
「……はあ」
でも、仕方ない。
何とかするしかないんだよな。
【クロノ】
「わかった、付き合う……」
【日留川 凌央】
「本当!?」
【クロノ】
「本当……」
だってそれしか手段がない。
俺に力があれば、別の方法も選べたんだろうか。
……俺も、日留川のように頭が良ければな。
そう自嘲的に考えていた時、ふと視線を感じて顔を上げると。
偽物が、柔らかな表情で俺を見ていた。
【クロノ】
「……?」
【日留川 凌央】
「ふふふ、やっぱりかわいいね、あんた」
【クロノ】
「……幻に褒められても嬉しくない」
【日留川 凌央】
「そんなつれないこと言わないでよ。せっかく俺が、気変わりしそうだってのに」
【クロノ】
「は?」
【日留川 凌央】
「あーあ。本当は、縛ったり吊るしたり、酷いこと一杯してもらいたかったのになー」
【日留川 凌央】
「でもダメみたい。すっごい抵抗されてるもん」
【クロノ】
「抵抗って……誰に。俺か?」
【日留川 凌央】
「ううん、違う」
そう言って、偽物はピョンと1歩下がり、校舎の外を見つめた。
そこには、永遠に沈まない夕陽がある。
【日留川 凌央】
「ここから見える景色、本当は好きだったんだ」
【日留川 凌央】
「あそこに小さく山が見えるでしょ?あそこに夕陽が沈むとね」
【日留川 凌央】
「俺の席に、ちょうど夕陽が差し込んでくるんだ。いっつもこの時間にね」
【日留川 凌央】
「俺の席は、ここ。ほら、見える? 机が真っ赤になるんだよ。これがキレイでさ……」
偽物が、俺の隣にある机を示して、嬉しそうに笑う。
見ると確かに、机に太い赤線が引かれているようだった。
【日留川 凌央】
「だけどね。この時間まで、俺はこの教室にはいられなかった」
【日留川 凌央】
「いつまでもここにいると……言われるから。早く帰れって」
【日留川 凌央】
「消えちまえって。……俺なんか、目障りだって」
偽物の声は、淋しげで透き通っている。
俺はいつからかその声を、その姿を、偽物だとは思えなくなっていた。
―――日留川は。
赤く染まった机の表面をなぞりながら、優しい表情で続ける。
【日留川 凌央】
「問題。俺が1番好きな場所は、どこでしょうか」
【クロノ】
「……机」
【日留川 凌央】
「はは、それ、今俺が言ったばっかじゃん。他のにして」
【クロノ】
「他のって。だって、1番好きな場所だろ?」
【日留川 凌央】
「それは、昔の話。今は違うんだよ」
俺は必死に考える。
あいつが1番好きな場所……?
【クロノ】
「ベッド?」
【日留川 凌央】
「ブー。確かにリビドーは毎回そこで使ってたけど、それは寝てる時に使うからってだけ」
【クロノ】
「……じゃあ、自分の部屋」
【日留川 凌央】
「ああもう、ロマンがないなあ」
【日留川 凌央】
「1人になれる場所なんてどこにもない。それが今の俺の持論なの」
【日留川 凌央】
「部屋にいたって来るなって拒んだって、鍵をこじ開けて入ってくるヤツがいるってこと―――」
【日留川 凌央】
「教えてくれたの、あんたでしょ。泥棒さん」
そう呟いた日留川の表情が、夕陽の色に染まっていく。
【日留川 凌央】
「はい、そろそろ時間切れ。答え合わせの時間だよ」
日留川の姿が、足の方から薄くなっていく。
【日留川 凌央】
「俺が今、1番好きな場所はね……」
そして、はらりと1枚、朱色の落ち葉が舞う。
【日留川 凌央】
「あんたの隣」
紅葉だと思っていたそれは、あの日、日留川が俺にくれた、甘い菓子の包みだった。
長い夢を見ていたような気がして、俺はしばし呆然としていた。
それが現実だったと示すように、俺の膝の上には菓子の包みが乗っている。