[本編] 日留川 凌央 編
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【???】
「……」
俺は、潜伏先に戻り、パソコン画面に向かった。
だけどいつも通り、落ち着いて作業ができない。
【ユリス】
「クソッ!」
その辺にあった書類をばら撒くけど、まったく気が晴れない。
【ユリス】
「なんでこんなことになった……ちょっと魂を多く狩りたかっただけじゃんかよ……」
昨夜見た、クロノとクソ忌々しい人間風情との光景が頭の中から離れない。
【クロノ】
「ああやって酷くされて、イキたいのか」
思い出すだけで、全身が熱くなる。
俺を蔑むあの瞳に、心の底から腹が立つし――。
俺を蔑むあの瞳で、俺の体を見られたい――。
そして、俺の体を指先でいじめ抜かれたい。
いじめられて焦らされて辱しめられて、酷い言葉を浴びせかられて、ぐちゃぐちゃになるまで感じたい。
………昨夜の夢で、あのクズ人間がされていたように。
【ユリス】
「人間なんかに肩入れしやがって。……ふざけんなよ、俺のことは無視するくせに……!!」
【ユリス】
「あのクソ人間もだ!」
【ユリス】
「チャットでは俺がわざわざ特別にシークレットで絡んでやったってのに……」
【ユリス】
「すんなり死ねよ、変態野郎……」
【ユリス】
「俺のことをバカにしやがって……!!」
俺はイスから立ち上がり、開いていたノーパソを地面に叩きつける。
【ユリス】
「そんなに2人がいいなら、永遠にそうなるようにしてやるよ!!あははははは!!」
【日留川 凌央】
「……よいしょ、と」
俺は、リビドーや付属機械をゴミ袋に詰めた。rakudoやparaisoのブクマも、ついさっき消した。
……なんでだろうな。
昨夜、あいつにリビドーを捨ててくれって言われた時、なぜか救われた気がしたんだ。
リビドー無しじゃ生きられないなんて、そんな風に思ったことすらあったのに。
今はもう、憧憬夢に対しての未練はない。
【日留川 凌央】
「……あいつが……」
あんなに必死に、何度も何度もしつこく、リビドーをやめろ、死にたいのかっていうから。
根負けしたのかな。
そう思うとなんだか可笑しくて、俺は小さく笑った。
ゴミ袋の口を縛って、そのまま不燃物の袋の中に捨てる。
もうこれが無くても大丈夫、そう思える。
ふと、リビドーをよく置いてた枕元を見やる。そこにはもう何もないけど、やはり未練は湧いてこなかった。
未練があるとすれば、今まで無駄にしてきた時間にだけ。
【日留川 凌央】
「……さて」
いい機会だから、何か別のことでもしようかな。
【日留川 凌央】
「……久々に、リビドー以外のことでも検索してみるか」
そういう風に思えるようになった自分に気付く。
少し前までは、リビドーに関することへの興味や―――
過去に自分をいじめた奴ら、孤立させた奴らへの憎しみしかなかったのに。
今はすべて、もうどうでもよくなってしまった気がする。さっぱりとした気分だ。
なにか新しいことを始めたい。
そんな風に思えた。
【日留川 凌央】
「……何があるか、わかんないもんだな」
ぼんやりと呟いて、台所へ向かい、久し振りに料理を作った。
何だか生まれ変わったみたいに、頭の中がすっきりしていて。
窓から見える外の世界が、やけに眩しく思えた。
どうしてこうなったのか、作ったメシを食いながら考える。
……やっぱり、あいつが一生懸命、俺のために動いてくれてるっていう事実が、自分を変えたんだ。
そうとしか考えられなくて、俺はテーブルに伏せた。
【日留川 凌央】
「なんだよ……それ……!」
あいつが俺を変えた?それどこのドラマの台詞だってんだよ!
熱くなった頬を擦りながら、恥ずかしさに身悶える。
そんなこと、興味無かった筈だ。
自分のことを思ってくれる知人も友人も恋人もいらない。
俺はただ、独りでひっそり生きて死んでいくんだ。
そういう風に、もうっずっと思ってきたじゃないか……!
ベッドに直行して、枕に顔を埋めてバタバタして。
落ち着いたら起き上がり、ぼんやりと、あいつが部屋に来た時に食い残した箱菓子を見つめる。
ネットしながら食うかと思って、持ってはきたけど。
結局あれから1つも減らないまま、賞味期限が近付いてる。
【日留川 凌央】
「……あいつ、これ、美味いって言ってたよな」
菓子を1つ摘んで、パソコンの前に座った。
もしまたここに来たら、あいつ、これ食うかな。
PCでネットしながら、俺はおもむろにメモ帳を開いて。
最新プログラムやシステムの動向や、まとめサイトを眺めながら、気になったことを書き込んでいく。
……リビドーにはまってた間に、色んなことが発達していた事がわかって、少し悔しくなった。
前のアナグラムを作ってから、自分のスキルを上げようなんていう気持ちは起きなかったのに。
本当に、変わったんだな、俺。
そのことが何だか嬉しくて新鮮で、そのまま熱中してしまった。
ふと時計を見ると、もう夜だった。
ピザでも頼もうかなと思ったけど、材料を買って自炊することにする。
メニューは何がいいかななんて、主婦のブログなんか確認したりして。
【日留川 凌央】
「ふあ~……ちょっと眠いな」
盛大に欠伸をしながら、キーを叩く。
久し振りに朝から起きてたから仕方ないかと思いつつも。
せっかくなんだから、眠るのは夜まで待とうと我慢してたけど。
その眠りは強くて、どんどん意識がなくなっていく。
【日留川 凌央】
「……? うわ、めっちゃ眠い……なんだこれ」
唐突に、抗えないほどの眠気が襲ってきて、テーブルに両手をつく。
そのまま吸い込まれるように、俺の体は眠りの泉へと沈み込んでいく。
……料理、しなきゃいけないのに。
……あいつに次に会う時までに変わって、びっくりさせてやりたいのに。
……俺みたいな引きこもりだって、まともな生活できるんだぜって、見せて、やりたい……のに……。
……。
【???】
「……ふん、やっと眠ったか。バーカ」
【???】
「永遠の眠りにようこそ~なんてな」
死神界で報告書の作成を終えた俺は、すぐに日留川の部屋へ向かった。
今までと違い、今日は気持ちが軽かった。
もうきっと、あいつはリビドーを使わない。そう思えるからだ。
以前に1度、こういう風に思って裏切られたこともあったけど、今回は違う。
昨夜、あいつを抱きしめながら、リビドーは捨ててくれと頼んだ時。
あいつは、小さくだけど、きちんと頷いた。
その目にしっかりとした意思を宿して、頷いてくれたんだ。
だからもう問題ないと思っていた。
―――そして今、日留川は俺の目の前で、机に伏して眠っている。
リビドーを装着して。
【クロノ】
「……」
怒りより先に、違和感が心の中を支配して、俺は慌てて日留川を揺り起こそうと試みる。
【クロノ】
「日留川、おい! 起きろ!」
とにかくキスでもなんでもいい、こいつを覚醒させないと。
また強めに触れて起こしてやろうと、体を裏返そうとした時に気付いた。
このリビドー、日留川が今まで使っていたものと違う。
よく見ると、耳にあてる部分の色が明らかに違って、血の気が引いた。
―――誰かに強制的に装着させられた?
それなら、ベッドには入らず、机で眠っていることも頷ける。
誰かとは―――ユリスに決まってる。
俺は素早く自分のリビドーをつけて、夢の中へ飛び込んだ。
辿り着いた先は、いつも通りの学校の教室。
だけどそこには日留川の姿もないし、生徒も教師もいない。
急いで他の教室も探し、校内を駆けまわったけど。
人の気配すらどこにもない。
どれだけ探しまわったかわからなくなった頃、1度教室に戻ることにしてみた。
すると、中程の席に座っている日留川がいた。
それを見た俺はすぐにわかった。あれは偽物の日留川だ。
俺の存在に気付いたのか、偽物が緩慢に俺を振り返って、艷やかに微笑んだ。
【日留川 凌央】
「ふふふ、また会いに来てくれたの?」
無視して他の教室を探しにいこうと、踵を返した時、偽物の笑みが深まるのが視界の端に映る。
【クロノ】
「……なに」
【日留川 凌央】
「必死に探してるんだなと思って。俺の事は無視なのにさ。あいつにしか興味ないんだ」
【日留川 凌央】
「でもいいよ、そういうのゾクゾクする」
……あいつ。
【クロノ】
「それ、誰のことを言ってる?」
「……」
俺は、潜伏先に戻り、パソコン画面に向かった。
だけどいつも通り、落ち着いて作業ができない。
【ユリス】
「クソッ!」
その辺にあった書類をばら撒くけど、まったく気が晴れない。
【ユリス】
「なんでこんなことになった……ちょっと魂を多く狩りたかっただけじゃんかよ……」
昨夜見た、クロノとクソ忌々しい人間風情との光景が頭の中から離れない。
【クロノ】
「ああやって酷くされて、イキたいのか」
思い出すだけで、全身が熱くなる。
俺を蔑むあの瞳に、心の底から腹が立つし――。
俺を蔑むあの瞳で、俺の体を見られたい――。
そして、俺の体を指先でいじめ抜かれたい。
いじめられて焦らされて辱しめられて、酷い言葉を浴びせかられて、ぐちゃぐちゃになるまで感じたい。
………昨夜の夢で、あのクズ人間がされていたように。
【ユリス】
「人間なんかに肩入れしやがって。……ふざけんなよ、俺のことは無視するくせに……!!」
【ユリス】
「あのクソ人間もだ!」
【ユリス】
「チャットでは俺がわざわざ特別にシークレットで絡んでやったってのに……」
【ユリス】
「すんなり死ねよ、変態野郎……」
【ユリス】
「俺のことをバカにしやがって……!!」
俺はイスから立ち上がり、開いていたノーパソを地面に叩きつける。
【ユリス】
「そんなに2人がいいなら、永遠にそうなるようにしてやるよ!!あははははは!!」
【日留川 凌央】
「……よいしょ、と」
俺は、リビドーや付属機械をゴミ袋に詰めた。rakudoやparaisoのブクマも、ついさっき消した。
……なんでだろうな。
昨夜、あいつにリビドーを捨ててくれって言われた時、なぜか救われた気がしたんだ。
リビドー無しじゃ生きられないなんて、そんな風に思ったことすらあったのに。
今はもう、憧憬夢に対しての未練はない。
【日留川 凌央】
「……あいつが……」
あんなに必死に、何度も何度もしつこく、リビドーをやめろ、死にたいのかっていうから。
根負けしたのかな。
そう思うとなんだか可笑しくて、俺は小さく笑った。
ゴミ袋の口を縛って、そのまま不燃物の袋の中に捨てる。
もうこれが無くても大丈夫、そう思える。
ふと、リビドーをよく置いてた枕元を見やる。そこにはもう何もないけど、やはり未練は湧いてこなかった。
未練があるとすれば、今まで無駄にしてきた時間にだけ。
【日留川 凌央】
「……さて」
いい機会だから、何か別のことでもしようかな。
【日留川 凌央】
「……久々に、リビドー以外のことでも検索してみるか」
そういう風に思えるようになった自分に気付く。
少し前までは、リビドーに関することへの興味や―――
過去に自分をいじめた奴ら、孤立させた奴らへの憎しみしかなかったのに。
今はすべて、もうどうでもよくなってしまった気がする。さっぱりとした気分だ。
なにか新しいことを始めたい。
そんな風に思えた。
【日留川 凌央】
「……何があるか、わかんないもんだな」
ぼんやりと呟いて、台所へ向かい、久し振りに料理を作った。
何だか生まれ変わったみたいに、頭の中がすっきりしていて。
窓から見える外の世界が、やけに眩しく思えた。
どうしてこうなったのか、作ったメシを食いながら考える。
……やっぱり、あいつが一生懸命、俺のために動いてくれてるっていう事実が、自分を変えたんだ。
そうとしか考えられなくて、俺はテーブルに伏せた。
【日留川 凌央】
「なんだよ……それ……!」
あいつが俺を変えた?それどこのドラマの台詞だってんだよ!
熱くなった頬を擦りながら、恥ずかしさに身悶える。
そんなこと、興味無かった筈だ。
自分のことを思ってくれる知人も友人も恋人もいらない。
俺はただ、独りでひっそり生きて死んでいくんだ。
そういう風に、もうっずっと思ってきたじゃないか……!
ベッドに直行して、枕に顔を埋めてバタバタして。
落ち着いたら起き上がり、ぼんやりと、あいつが部屋に来た時に食い残した箱菓子を見つめる。
ネットしながら食うかと思って、持ってはきたけど。
結局あれから1つも減らないまま、賞味期限が近付いてる。
【日留川 凌央】
「……あいつ、これ、美味いって言ってたよな」
菓子を1つ摘んで、パソコンの前に座った。
もしまたここに来たら、あいつ、これ食うかな。
PCでネットしながら、俺はおもむろにメモ帳を開いて。
最新プログラムやシステムの動向や、まとめサイトを眺めながら、気になったことを書き込んでいく。
……リビドーにはまってた間に、色んなことが発達していた事がわかって、少し悔しくなった。
前のアナグラムを作ってから、自分のスキルを上げようなんていう気持ちは起きなかったのに。
本当に、変わったんだな、俺。
そのことが何だか嬉しくて新鮮で、そのまま熱中してしまった。
ふと時計を見ると、もう夜だった。
ピザでも頼もうかなと思ったけど、材料を買って自炊することにする。
メニューは何がいいかななんて、主婦のブログなんか確認したりして。
【日留川 凌央】
「ふあ~……ちょっと眠いな」
盛大に欠伸をしながら、キーを叩く。
久し振りに朝から起きてたから仕方ないかと思いつつも。
せっかくなんだから、眠るのは夜まで待とうと我慢してたけど。
その眠りは強くて、どんどん意識がなくなっていく。
【日留川 凌央】
「……? うわ、めっちゃ眠い……なんだこれ」
唐突に、抗えないほどの眠気が襲ってきて、テーブルに両手をつく。
そのまま吸い込まれるように、俺の体は眠りの泉へと沈み込んでいく。
……料理、しなきゃいけないのに。
……あいつに次に会う時までに変わって、びっくりさせてやりたいのに。
……俺みたいな引きこもりだって、まともな生活できるんだぜって、見せて、やりたい……のに……。
……。
【???】
「……ふん、やっと眠ったか。バーカ」
【???】
「永遠の眠りにようこそ~なんてな」
死神界で報告書の作成を終えた俺は、すぐに日留川の部屋へ向かった。
今までと違い、今日は気持ちが軽かった。
もうきっと、あいつはリビドーを使わない。そう思えるからだ。
以前に1度、こういう風に思って裏切られたこともあったけど、今回は違う。
昨夜、あいつを抱きしめながら、リビドーは捨ててくれと頼んだ時。
あいつは、小さくだけど、きちんと頷いた。
その目にしっかりとした意思を宿して、頷いてくれたんだ。
だからもう問題ないと思っていた。
―――そして今、日留川は俺の目の前で、机に伏して眠っている。
リビドーを装着して。
【クロノ】
「……」
怒りより先に、違和感が心の中を支配して、俺は慌てて日留川を揺り起こそうと試みる。
【クロノ】
「日留川、おい! 起きろ!」
とにかくキスでもなんでもいい、こいつを覚醒させないと。
また強めに触れて起こしてやろうと、体を裏返そうとした時に気付いた。
このリビドー、日留川が今まで使っていたものと違う。
よく見ると、耳にあてる部分の色が明らかに違って、血の気が引いた。
―――誰かに強制的に装着させられた?
それなら、ベッドには入らず、机で眠っていることも頷ける。
誰かとは―――ユリスに決まってる。
俺は素早く自分のリビドーをつけて、夢の中へ飛び込んだ。
辿り着いた先は、いつも通りの学校の教室。
だけどそこには日留川の姿もないし、生徒も教師もいない。
急いで他の教室も探し、校内を駆けまわったけど。
人の気配すらどこにもない。
どれだけ探しまわったかわからなくなった頃、1度教室に戻ることにしてみた。
すると、中程の席に座っている日留川がいた。
それを見た俺はすぐにわかった。あれは偽物の日留川だ。
俺の存在に気付いたのか、偽物が緩慢に俺を振り返って、艷やかに微笑んだ。
【日留川 凌央】
「ふふふ、また会いに来てくれたの?」
無視して他の教室を探しにいこうと、踵を返した時、偽物の笑みが深まるのが視界の端に映る。
【クロノ】
「……なに」
【日留川 凌央】
「必死に探してるんだなと思って。俺の事は無視なのにさ。あいつにしか興味ないんだ」
【日留川 凌央】
「でもいいよ、そういうのゾクゾクする」
……あいつ。
【クロノ】
「それ、誰のことを言ってる?」