[本編] 日留川 凌央 編
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【クロノ】
「何故か、お前を放っておけない。死なせたくないって思う。それだけ」
すると日留川は、きょとんと目を丸くして、咳をした。
【日留川 凌央】
「な……なんだよ、それ」
何故か嬉しそうだな。俺の勘違いかもしれないけど。
それからしばらく、乱れた布団や暴れた時の片付けを手伝っていると。
日留川が、俺から少し離れた所で屈み、控えめに問うてきた。
【日留川 凌央】
「死んで、あんたらに狩られた魂って、どうなんの……言いたくないならいいけど」
【クロノ】
「別に。機密事項でもないし。意識は無に帰って、こんな風に話すことはできなくなる」
【日留川 凌央】
「……ふーん」
その時の日留川の顔は、何故か寂しそうに見えた。
何かかける言葉があるかと探しても、俺の中にある事実が全ての言葉を遮った。
――死神と人間では、生きる場所も寿命も、何もかも違う。
そして俺も、自分の言葉によって胸が痛むのを感じていた。
その後、部屋に戻ってきた俺は一眠りして朝を迎えた。
早い時間に目が覚めたため、いつもより念入りに身支度を整えていると、じいから連絡が入った。
【クロノ】
「おはよう。なにか進捗はあった?」
【アンク】
「おはようございます。残念ですが、進捗というよりはご報告ですな」
残念ながらという言葉に、姿勢を正す。
【アンク】
「ユリスが完全に行方をくらましました」
【クロノ】
「は……!?」
【アンク】
「こちらの動きに気付かれたようです。死神界へ戻った痕跡ももはや残っておりません」
【クロノ】
「……人間界に行ったか」
【アンク】
「その可能性は高いと思われます」
俺は考え込んだ。
人間界にあいつが逃げ込んだとなると、ますます探し難くなる。
……いや、待て。
どうせ今までだって、死神界を探しまわってたけど見つからなかったんだ。
犯人が分かっている以上、あとは探せばいいだけとも言い換えられる。
【クロノ】
「人間界に行ったあいつの狙いは、やっぱり……」
【アンク】
「魂狩り、でしょうな」
俺とじいは顔を見合わせて、頷く。
【クロノ】
「まずは、日留川の命を救うところから始めよう」
【アンク】
「ええ、私も同意見でございます。それでは私は足取りを追ってみます」
【アンク】
「何かあったら、すぐにお呼びくださいませ」
そう言って足早に消えたじいを追うように、俺も部屋を飛び出した。
そして、人間界へ向かう。
日留川に魔の手が伸びる前に―――。
せっかく気持ちよく寝てたのに、玄関のチャイムで起こされた。……まだ朝の9時じゃねーか。
インターホンについてるモニターを覗くと、宅配便の配達員がいた。何も頼んだ覚えはないし、俺が使わない業者だ。
不審に思いながら、そっと玄関を開ける。渡された伝票には……リビドーを買った時と同じ住所が書いてあった。
【日留川 凌央】
「……ちょっとそこで待ってて」
【配達員】
「はい、かしこまりました」
そう言って俺が背を向けた時、配達員はキャップをつばを引いて、その陰で笑った。
俺はダンボールをこじ開けて――中から出てきたものを見て、言葉を失う。
【日留川 凌央】
「なんだよこれ……新型……リビドー……?」
取説と一緒に入っていた送付状を取り出す。新型リビドーのモニターに当選したと書かれていた。
モニターに応募した覚えもない。しかもあの死神の話によれば、今回の事件の犯人は、paraisoの管理人だ。
……どう考えても怪しい。何かの罠に決まってる。
俺は急いでダンボールに封をし、配達員の元へ戻る。
【日留川 凌央】
「代金払うんで、返却してください」
【配達員】
「あ、そうですか。構いませんよ」
【日留川 凌央】
「……伝票くれませんか」
【配達員】
「ああ、そうですね、少々お待ち下さい」
【配達員】
「でも変ですね。楽しければなんでもいいんだろ、あんた」
なんだこいつ、新人か? タメ口かよ……。いや、待て――その言葉には覚えがある。
俺が以前チャットで話したんだ……管理人と。
俺はすかさずそいつに背を向けて、ドアを閉めようとしたが、どういうわけかドアが閉まらない。
諦めて部屋の中へ走り出したら、背後からそいつの声が聞こえてきた。
【???】
「また会おうって言ったよね。チャットじゃないところでさ。今がその時だよ」
そして目の前が真っ暗になって、そこから先の意識が途切れた。
【???】
「夢から出たくなくなるくらい、良い夢だよ。一生眠ってな、バーカ」
「何故か、お前を放っておけない。死なせたくないって思う。それだけ」
すると日留川は、きょとんと目を丸くして、咳をした。
【日留川 凌央】
「な……なんだよ、それ」
何故か嬉しそうだな。俺の勘違いかもしれないけど。
それからしばらく、乱れた布団や暴れた時の片付けを手伝っていると。
日留川が、俺から少し離れた所で屈み、控えめに問うてきた。
【日留川 凌央】
「死んで、あんたらに狩られた魂って、どうなんの……言いたくないならいいけど」
【クロノ】
「別に。機密事項でもないし。意識は無に帰って、こんな風に話すことはできなくなる」
【日留川 凌央】
「……ふーん」
その時の日留川の顔は、何故か寂しそうに見えた。
何かかける言葉があるかと探しても、俺の中にある事実が全ての言葉を遮った。
――死神と人間では、生きる場所も寿命も、何もかも違う。
そして俺も、自分の言葉によって胸が痛むのを感じていた。
その後、部屋に戻ってきた俺は一眠りして朝を迎えた。
早い時間に目が覚めたため、いつもより念入りに身支度を整えていると、じいから連絡が入った。
【クロノ】
「おはよう。なにか進捗はあった?」
【アンク】
「おはようございます。残念ですが、進捗というよりはご報告ですな」
残念ながらという言葉に、姿勢を正す。
【アンク】
「ユリスが完全に行方をくらましました」
【クロノ】
「は……!?」
【アンク】
「こちらの動きに気付かれたようです。死神界へ戻った痕跡ももはや残っておりません」
【クロノ】
「……人間界に行ったか」
【アンク】
「その可能性は高いと思われます」
俺は考え込んだ。
人間界にあいつが逃げ込んだとなると、ますます探し難くなる。
……いや、待て。
どうせ今までだって、死神界を探しまわってたけど見つからなかったんだ。
犯人が分かっている以上、あとは探せばいいだけとも言い換えられる。
【クロノ】
「人間界に行ったあいつの狙いは、やっぱり……」
【アンク】
「魂狩り、でしょうな」
俺とじいは顔を見合わせて、頷く。
【クロノ】
「まずは、日留川の命を救うところから始めよう」
【アンク】
「ええ、私も同意見でございます。それでは私は足取りを追ってみます」
【アンク】
「何かあったら、すぐにお呼びくださいませ」
そう言って足早に消えたじいを追うように、俺も部屋を飛び出した。
そして、人間界へ向かう。
日留川に魔の手が伸びる前に―――。
せっかく気持ちよく寝てたのに、玄関のチャイムで起こされた。……まだ朝の9時じゃねーか。
インターホンについてるモニターを覗くと、宅配便の配達員がいた。何も頼んだ覚えはないし、俺が使わない業者だ。
不審に思いながら、そっと玄関を開ける。渡された伝票には……リビドーを買った時と同じ住所が書いてあった。
【日留川 凌央】
「……ちょっとそこで待ってて」
【配達員】
「はい、かしこまりました」
そう言って俺が背を向けた時、配達員はキャップをつばを引いて、その陰で笑った。
俺はダンボールをこじ開けて――中から出てきたものを見て、言葉を失う。
【日留川 凌央】
「なんだよこれ……新型……リビドー……?」
取説と一緒に入っていた送付状を取り出す。新型リビドーのモニターに当選したと書かれていた。
モニターに応募した覚えもない。しかもあの死神の話によれば、今回の事件の犯人は、paraisoの管理人だ。
……どう考えても怪しい。何かの罠に決まってる。
俺は急いでダンボールに封をし、配達員の元へ戻る。
【日留川 凌央】
「代金払うんで、返却してください」
【配達員】
「あ、そうですか。構いませんよ」
【日留川 凌央】
「……伝票くれませんか」
【配達員】
「ああ、そうですね、少々お待ち下さい」
【配達員】
「でも変ですね。楽しければなんでもいいんだろ、あんた」
なんだこいつ、新人か? タメ口かよ……。いや、待て――その言葉には覚えがある。
俺が以前チャットで話したんだ……管理人と。
俺はすかさずそいつに背を向けて、ドアを閉めようとしたが、どういうわけかドアが閉まらない。
諦めて部屋の中へ走り出したら、背後からそいつの声が聞こえてきた。
【???】
「また会おうって言ったよね。チャットじゃないところでさ。今がその時だよ」
そして目の前が真っ暗になって、そこから先の意識が途切れた。
【???】
「夢から出たくなくなるくらい、良い夢だよ。一生眠ってな、バーカ」