[本編] 日留川 凌央 編
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―――そんな陰気で幼稚なことやってるからお前、ずっと1人なんじゃないの。
昨日の夢の中で、俺がそう言った時。
あいつは、傷ついた顔をしていた。
後から、酷い事を言ったなとは思ったから。
現実に戻った時に謝ったけど。
本当は、今でもイライラしている。
俺は、開いていた資料から目を上げて、息を吐いた。
昨日こちらに戻ってきてから、どうも集中力が散漫だ。
……あいつのことが気になって。
【クロノ】
「……日留川め」
あいつが、夢の中で足蹴にしていた生徒達は、おそらく自分に酷いことをした連中だろう。
そう予想はついても、俺はあの光景を見ていられなかった。
……何故か。
どうしてだろう。幾ら考えても、それがわからない。
じいに言った通り、あいつのことは多少面白い奴だと思ってる。
からかい甲斐があるし。
悪ぶってる癖に反応が素直だし。
俺は日留川にこう伝えようと思った。
【クロノ】
「……だから、コソコソ隠れて鬱憤を晴らすような姑息な真似はやめてほしい……とか」
自分の気持ちを仮定して口にしてみたが、しっくりこない。
そんな殊勝なことを言えるようなガラか。俺が。
……今は、これ以上考えても時間の無駄だな。
いい加減、資料に最後まで目を通そう。
そう思ってペンを持った時、じいが隣に現れた。
【アンク】
「その後、調子はいかがですか、クロノ様」
【クロノ】
「……」
誰かが空間移動して別の場所に現れる時には、前兆ってものがある。
そこの空間が少し歪んで見えるっていう、うっかり見過ごしてしまいそうな小さな前兆が。
それだけ前兆は小さいので、普通は気を使って、目的地から少し離れた所を出現場所にするもんなんだけど。
俺は、手遊びのようにペンを回しながら、じいさんを怪訝に見上げた。
【クロノ】
「なんていうか、急に出てくるのはやめた方がいいと思う」
【クロノ】
「もし誰かとヤってる最中とかだったらどうするわけ?」
【アンク】
「そう言えば、そんなことも何度かございましたね」
【アンク】
「ですがご安心下さいませ、そんなことは気にしておりません」
俺は脱力した。
そうだった……。もう何度か見られてたんだった。
【クロノ】
「いいやもう……。それで? どうしたの」
【アンク】
「はい、新しく情報を手に入れましたのでご報告にあがりました」
【クロノ】
「詳しく聞かせて」
【アンク】
「もちろんでございます。ではこちらの資料と合わせてお聞きください」
【アンク】
「rakudoやparaisoのサーバー情報を調べたのですが、残念ながらunknownでした」
【クロノ】
「……そうか」
【アンク】
「ですが、1つだけ確実なことがわかりました。人間界の回線ではないということです」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「そこから先は、厳重なロックがかかっていて、解析にはもう少し時間がかかりそうです」
今しばらくお待ち下さいと申し訳なさそうに続けたじいに、力強く言葉を重ねる。
【クロノ】
「なら、犯人の見当はついてる」
【アンク】
「な、なんですと?誰だとお思いなんです?」
【クロノ】
「ユリス」
同僚の死神の名前を挙げると、じいは目を白黒させ……髭を擦った。
【アンク】
「ふむ……何故です?」
【クロノ】
「あいつ今、調子いいだろ?魂狩りの順位、ほぼトップを走ってるし」
【アンク】
「その話なら私も聞き及んでおります。他の死神も不思議がっておりました」
【クロノ】
「数日前にあいつと話したんだけど、リビドーのことで思わせぶりなこと言ってくるし」
【クロノ】
「味方になるなら、今の自分のやり方を教えてやるとか言ってきて……。 怪しいから調べてみた」
テーブルに資料を広げ、じいと一緒に覗き込む。
【クロノ】
「これがユリスの魂狩りの成果。急に魂狩りの数が増えてるだろ?魂の死因の欄も見て。……脳の異常による不審死ばかりなんだ」
顔を上げたじいと目を合わせる。
【アンク】
「つまり……リビドーによる不審死の件とも繋がるわけですな」
【クロノ】
「そう。で、ユリスがこの短期間で、同じ死因の魂ばかり見つける確率は?」
【アンク】
「限りなくゼロに近い確率でしょうな。1度や2度ならまだしも、これだけとなると……」
【クロノ】
「……やっぱり、あいつが仕組んだ可能性が高いと思う」
俺の言葉に、じいも頷いた。
俺達はさっそくユリスを探しまわった。
だけどあいつの部屋にも、死神の詰め所にも、どこにも姿はない。結局、なんの手がかりも掴めなかった。
【クロノ】
「これだけ探してもいないって……どこ行ったんだアイツ」
【アンク】
「……何か、良からぬことを企んでなければ良いのですが」
日留川の姿が脳裏をよぎって、俺は踵を返す。
【クロノ】
「ごめん、ちょっとあいつの様子を見てくる」
【アンク】
「ええ、それが宜しいかと。私は思い当たる所を片っ端から回ってみます」
じいの言葉を待たず、俺は日留川のもとへと急いだ。
急いで日留川の部屋に移動する。
いつものように、パソコンに向かっている背中があったので、とりあえずはほっとした。
何かの気配を感じたのか、突然、日留川が振り返って。
驚きに一瞬だけ目を見開き……モニタを隠すように立ち上がって、顔をしかめた。
【クロノ】
「今更隠しても、無駄」
【クロノ】
「エイの赤ちゃんの動画なら、今まで何度も見てたろ?」
ここ数日、日留川を見ていてわかったのだが。
日留川はチャットで人を煽ったりなんなりした後、必ず動物の動画を見る。特に見てたのが、このエイの赤ちゃんの動画。
意外と動物好きなんだなと思っていた。
【日留川 凌央】
「う、うるさいな!俺がどういうのが好きだろうと勝手だろ!?」
見る見るうちに、日留川の顔が赤くなっていく。
しまいには口をパクパクさせて、俯いてしまった。
【クロノ】
「……何もそんなに恥ずかしがることないだろ。俺もエイは可愛いと思う」
【日留川 凌央】
「……違う!……もういいよ、クソ……」
日留川は、そう言って顔を背ける。
そこでようやく、こいつがなんでこんなに恥ずかしがってるのかがわかった。
おそらく、昨夜のことを言ってるんだろう。
【クロノ】
「昨日のことなら、もう謝ったぞ」
【日留川 凌央】
「……っ」
日留川が再び振り返り、口を大きく開いて……ギリッと強く噛みしめた。
日留川の表情がやけに悔しそうで、俺は記憶を探りながら首を傾げた。
【クロノ】
「そのことじゃないのか……?」
【日留川 凌央】
「もういい……!言わなくていい!」
【クロノ】
「痛い。ものを投げるな」
投げ付けられたノートやペンを拾い上げて、机に戻すと。
日留川は俯いたまま、膝の上で拳を握り締めている。
昨日の夢の中で、俺がそう言った時。
あいつは、傷ついた顔をしていた。
後から、酷い事を言ったなとは思ったから。
現実に戻った時に謝ったけど。
本当は、今でもイライラしている。
俺は、開いていた資料から目を上げて、息を吐いた。
昨日こちらに戻ってきてから、どうも集中力が散漫だ。
……あいつのことが気になって。
【クロノ】
「……日留川め」
あいつが、夢の中で足蹴にしていた生徒達は、おそらく自分に酷いことをした連中だろう。
そう予想はついても、俺はあの光景を見ていられなかった。
……何故か。
どうしてだろう。幾ら考えても、それがわからない。
じいに言った通り、あいつのことは多少面白い奴だと思ってる。
からかい甲斐があるし。
悪ぶってる癖に反応が素直だし。
俺は日留川にこう伝えようと思った。
【クロノ】
「……だから、コソコソ隠れて鬱憤を晴らすような姑息な真似はやめてほしい……とか」
自分の気持ちを仮定して口にしてみたが、しっくりこない。
そんな殊勝なことを言えるようなガラか。俺が。
……今は、これ以上考えても時間の無駄だな。
いい加減、資料に最後まで目を通そう。
そう思ってペンを持った時、じいが隣に現れた。
【アンク】
「その後、調子はいかがですか、クロノ様」
【クロノ】
「……」
誰かが空間移動して別の場所に現れる時には、前兆ってものがある。
そこの空間が少し歪んで見えるっていう、うっかり見過ごしてしまいそうな小さな前兆が。
それだけ前兆は小さいので、普通は気を使って、目的地から少し離れた所を出現場所にするもんなんだけど。
俺は、手遊びのようにペンを回しながら、じいさんを怪訝に見上げた。
【クロノ】
「なんていうか、急に出てくるのはやめた方がいいと思う」
【クロノ】
「もし誰かとヤってる最中とかだったらどうするわけ?」
【アンク】
「そう言えば、そんなことも何度かございましたね」
【アンク】
「ですがご安心下さいませ、そんなことは気にしておりません」
俺は脱力した。
そうだった……。もう何度か見られてたんだった。
【クロノ】
「いいやもう……。それで? どうしたの」
【アンク】
「はい、新しく情報を手に入れましたのでご報告にあがりました」
【クロノ】
「詳しく聞かせて」
【アンク】
「もちろんでございます。ではこちらの資料と合わせてお聞きください」
【アンク】
「rakudoやparaisoのサーバー情報を調べたのですが、残念ながらunknownでした」
【クロノ】
「……そうか」
【アンク】
「ですが、1つだけ確実なことがわかりました。人間界の回線ではないということです」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「そこから先は、厳重なロックがかかっていて、解析にはもう少し時間がかかりそうです」
今しばらくお待ち下さいと申し訳なさそうに続けたじいに、力強く言葉を重ねる。
【クロノ】
「なら、犯人の見当はついてる」
【アンク】
「な、なんですと?誰だとお思いなんです?」
【クロノ】
「ユリス」
同僚の死神の名前を挙げると、じいは目を白黒させ……髭を擦った。
【アンク】
「ふむ……何故です?」
【クロノ】
「あいつ今、調子いいだろ?魂狩りの順位、ほぼトップを走ってるし」
【アンク】
「その話なら私も聞き及んでおります。他の死神も不思議がっておりました」
【クロノ】
「数日前にあいつと話したんだけど、リビドーのことで思わせぶりなこと言ってくるし」
【クロノ】
「味方になるなら、今の自分のやり方を教えてやるとか言ってきて……。 怪しいから調べてみた」
テーブルに資料を広げ、じいと一緒に覗き込む。
【クロノ】
「これがユリスの魂狩りの成果。急に魂狩りの数が増えてるだろ?魂の死因の欄も見て。……脳の異常による不審死ばかりなんだ」
顔を上げたじいと目を合わせる。
【アンク】
「つまり……リビドーによる不審死の件とも繋がるわけですな」
【クロノ】
「そう。で、ユリスがこの短期間で、同じ死因の魂ばかり見つける確率は?」
【アンク】
「限りなくゼロに近い確率でしょうな。1度や2度ならまだしも、これだけとなると……」
【クロノ】
「……やっぱり、あいつが仕組んだ可能性が高いと思う」
俺の言葉に、じいも頷いた。
俺達はさっそくユリスを探しまわった。
だけどあいつの部屋にも、死神の詰め所にも、どこにも姿はない。結局、なんの手がかりも掴めなかった。
【クロノ】
「これだけ探してもいないって……どこ行ったんだアイツ」
【アンク】
「……何か、良からぬことを企んでなければ良いのですが」
日留川の姿が脳裏をよぎって、俺は踵を返す。
【クロノ】
「ごめん、ちょっとあいつの様子を見てくる」
【アンク】
「ええ、それが宜しいかと。私は思い当たる所を片っ端から回ってみます」
じいの言葉を待たず、俺は日留川のもとへと急いだ。
急いで日留川の部屋に移動する。
いつものように、パソコンに向かっている背中があったので、とりあえずはほっとした。
何かの気配を感じたのか、突然、日留川が振り返って。
驚きに一瞬だけ目を見開き……モニタを隠すように立ち上がって、顔をしかめた。
【クロノ】
「今更隠しても、無駄」
【クロノ】
「エイの赤ちゃんの動画なら、今まで何度も見てたろ?」
ここ数日、日留川を見ていてわかったのだが。
日留川はチャットで人を煽ったりなんなりした後、必ず動物の動画を見る。特に見てたのが、このエイの赤ちゃんの動画。
意外と動物好きなんだなと思っていた。
【日留川 凌央】
「う、うるさいな!俺がどういうのが好きだろうと勝手だろ!?」
見る見るうちに、日留川の顔が赤くなっていく。
しまいには口をパクパクさせて、俯いてしまった。
【クロノ】
「……何もそんなに恥ずかしがることないだろ。俺もエイは可愛いと思う」
【日留川 凌央】
「……違う!……もういいよ、クソ……」
日留川は、そう言って顔を背ける。
そこでようやく、こいつがなんでこんなに恥ずかしがってるのかがわかった。
おそらく、昨夜のことを言ってるんだろう。
【クロノ】
「昨日のことなら、もう謝ったぞ」
【日留川 凌央】
「……っ」
日留川が再び振り返り、口を大きく開いて……ギリッと強く噛みしめた。
日留川の表情がやけに悔しそうで、俺は記憶を探りながら首を傾げた。
【クロノ】
「そのことじゃないのか……?」
【日留川 凌央】
「もういい……!言わなくていい!」
【クロノ】
「痛い。ものを投げるな」
投げ付けられたノートやペンを拾い上げて、机に戻すと。
日留川は俯いたまま、膝の上で拳を握り締めている。
