[本編] 日留川 凌央 編
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――もう俺の領域に無断で入ってくるの、やめてくれない?
そう告げた後、あいつは黙っていた。
別に傷ついた風でも、怒った風でも、失望した風でもなかった。
ただ興味なさそうに、ゆっくりと瞬きをしただけだ。
だからちょっと安心したんだ。
失望されるほど踏み込まれてないって知って、ほっとしたんだ。
俺は、夢の中で起こったことは、きちんと覚えている。
今尚憎悪する奴らに、またいじめられそうになって。
みっともなく泣きわめいて、取り乱して。
錯乱して、必死にすがり付いたのが、あいつだったことも覚えてる。
だけどさ、『これ』を認めたらそれで終わり。それで最後なんだよ。
だから俺は行けるとこまで行く。行き着く先がどこだとしても。
誰の手も借りず、誰も踏み込ませず。俺は1人、孤独の闇の中、生きていく。
―――死ぬまでずっと、独りで。
【春川 樹生】
「お届け物です」
チャイムが鳴ってドアを開けると、宅配便だった。
サインをしてる時、兄ちゃんの視線が俺の部屋の中へ向いて。そして、露骨に慌てて、持ってた荷物を取り落とした。
【春川 樹生】
「も、申し訳ございません!」
何を見て慌てたのかなんて、すぐに予想がついた。――床に落ちたリビドーが、見えた。
【日留川 凌央】
「悪夢を見てから13日後に死神が来るらしいね。……あんたは大丈夫?」
小さく微笑みながら告げると、配達員は真顔になり、会釈をして足早に立ち去った。
通販で取り寄せたのは、夢の中でもいい、奴らにもっと苦痛を与える参考資料に買ったモノ達だ。
――俺はもうすぐ、死ぬのだろう。
お前の才能は神様からの贈り物だと、父さんに言われたことがある。
―――その贈り物のせいで、俺は死ぬ。
昨夜すぐ帰ってきた俺に、じいは何も言わなかった。
ただ今朝一言、「これが、貴方のお仕事ですよ」と言われた。……解ってる。
今日は冷静に日留川と会おうと決めて、俺は来たのだが。
日留川はまた、リビドーを装着して眠っていた。
予想していたけれど、
実際目の当たりにすると……
呆れずにはいられなかった。
【アンク】
「どうしてもやめる気はないようですね」
【クロノ】
「ほんと頭痛い。……ここまで来るといっそ感心する」
夢なんて、決して現実にはならないのに。
命を削ってでも逃避したいなんて、俺には考えられない。
【アンク】
「色々な考えの人間がいるものです」
【アンク】
「例えそれが他人には理解されなくとも」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「他人の手を一切借りずに、自分の殻に篭ったまま死んでいく……それを彼が望むのなら」
【アンク】
「それはもう、仕方のないことなのかもしれませんな」
【アンク】
「私も死神長様も、人を不幸にしたいわけではございません」
何が何でも助けろと、言われるかと思ってたのに。
意外と深い言葉に、俺は少し驚いていた。
じいが、今まで俺が使っていたリビドーを差し出す。
【アンク】
「ですが、彼が助けを求めるようならば、これをお使いくださいませ」
【クロノ】
「今まで通りのリビドーに見えるけど」
【アンク】
「悪夢は脳波の乱れによるもの。正常な脳波に戻せば、悪夢は夢に戻ります」
【アンク】
「日留川さんのリビドーと繋いで、この裏側についているスイッチを押せば、安全脳波が送られます」
改造が施されたリビドーを装着し、いつも通り日留川のリビドーと繋いで……。
俺は目を閉じた。
ここにいると心地いい。
むかつく奴らに、思う増分仕返しができる。
俺を1人にした奴らに、父さん母さんに嫌な思いをさせた奴らに、思い知らせてやることができる。
だから誰にも邪魔させない。ここは俺だけの城だ。
そして今日も、俺は学生に戻る。
1番辛くて、1番死にたくて、1番世界を呪っていたあの頃に。
【日留川 凌央】
「顔上げろよ、豚野郎」
【ヤンキー風生徒】
「う……」
【日留川 凌央】
「あ、無理か。俺が頭踏んでんだもんな。ははは」
【日留川 凌央】
「今日は……、そうだなー。何してもらおうかなー……あ、そうだ」
【日留川 凌央】
「いくら豚でも、この前教えた言葉くらいは覚えてるよな?ちゃんと言えたらご褒美やるよ」
【ヤンキー風生徒】
「……どうかお願いします。豚野郎を罵ってください……」
【日留川 凌央】
「聞こえない。『クズで臭くて汚い豚野郎です』て、教えたはずだけどなー、言えないのかなー」
【ヤンキー風生徒】
「クズで臭くて汚い……どうしようもない豚野郎を、お許し下さい…………!!」
【日留川 凌央】
「あはははは!神聖な学び舎でキモいこと言ってんじゃねーよ、マジで引くわ!」
【日留川 凌央】
「ほら、ついでにまた、そこで自分でシてみろよ。どうせなら後ろも使ってみ」
俺が願うと、片手で握りこめないサイズのバイブが現れた。現実で握った質感と同じで、思わず俺は笑った。
【日留川 凌央】
「うーわー。これ後ろに入れたら痛いんだろうなー。……ほら」
それを転がしてやると、そいつは震える手でそれを手にして、ズボンを下ろす。下着のそこがすでに盛り上がっていた。
【日留川 凌央】
「ありえねー!豚の体はあさましいな、気持ち悪い!!」
ああ、笑いが止まらない。楽しくて仕方がない。
ここにいれば、こいつらを何度でも俺の好きに出来る。
俺が願えば何でも叶う、最高の世界だ。ここでは俺は、万能の神になれる。
その光景を目にして、俺は押し黙った。
狂ったように笑い声をあげている日留川は、もはや正気とは思えなかった。
既に教室に入って、傍らに立ってるというのに、俺の方を見てもいない。
……今、日留川が足蹴にしている生徒。
彼には、2日前に同じことをして、痛い目を見せられたというのに。
また性懲りもなく、同じことを繰り返している。
人間なんてどうでもいいし、興味もないし。
―――なのに、
どうしてこんなにイラつくんだろう。
俺は日留川に向かってこう言った
【クロノ】
「おい、引きこもり」
案の定、日留川の笑い声が止まった。
【日留川 凌央】
「……なにアンタ。踏み込んで来るなって言ったのに、また来たの」
【クロノ】
「生憎これが仕事だから。とっととリビドー使うのやめてもらわないと困る」
【日留川 凌央】
「お前の事情なんて俺の知った事じゃない。俺がどうなろうと幽霊のアンタには関係ないだろ」
【クロノ】
「だから死神だって……もういい。とにかく今すぐこの世界から出ろ」
【日留川 凌央】
「ふざけんなよ。俺は俺のやりたいようにやる。もう放っとけよ」
俺は、拳を握り締めた。
こいつが俺の言うことを聞かないからじゃない。
【クロノ】
「なんで、夢の世界でそんなことをやる必要がある」
日留川が足蹴にしている生徒を指さして、続けた。
【クロノ】
「やるなら現実世界でやれ。それができないから、夢の世界でやってるのか?」
【日留川 凌央】
「……っ」
【クロノ】
「まったく、くだらないな。お前は恥の塊だ」
【日留川 凌央】
「…あんただって、とんだ恥知らずだろうか」
【クロノ】
「なんだ?図星を指されてキレちゃったか?」
「!!」
俺がそう言った途端、日留川の顔が憎悪に歪んだ
そして、床に這いつくばっていた生徒が立ち上がる。……1人だったはずなのに、いつの間にか数十人に増えている。
その顔は原型を留めないほど大きく崩れていた。
俺は素早く鎌を生成して構えた。
だけど日留川は―――どういうわけか微動だにしない。
俯いたまま、口を震わせて立ち尽くしている。
生徒達がどんどん融合していき、1つの大きな塊になっていく。
【クロノ】
「おい!早くそこから逃げ―――」
そう告げた後、あいつは黙っていた。
別に傷ついた風でも、怒った風でも、失望した風でもなかった。
ただ興味なさそうに、ゆっくりと瞬きをしただけだ。
だからちょっと安心したんだ。
失望されるほど踏み込まれてないって知って、ほっとしたんだ。
俺は、夢の中で起こったことは、きちんと覚えている。
今尚憎悪する奴らに、またいじめられそうになって。
みっともなく泣きわめいて、取り乱して。
錯乱して、必死にすがり付いたのが、あいつだったことも覚えてる。
だけどさ、『これ』を認めたらそれで終わり。それで最後なんだよ。
だから俺は行けるとこまで行く。行き着く先がどこだとしても。
誰の手も借りず、誰も踏み込ませず。俺は1人、孤独の闇の中、生きていく。
―――死ぬまでずっと、独りで。
【春川 樹生】
「お届け物です」
チャイムが鳴ってドアを開けると、宅配便だった。
サインをしてる時、兄ちゃんの視線が俺の部屋の中へ向いて。そして、露骨に慌てて、持ってた荷物を取り落とした。
【春川 樹生】
「も、申し訳ございません!」
何を見て慌てたのかなんて、すぐに予想がついた。――床に落ちたリビドーが、見えた。
【日留川 凌央】
「悪夢を見てから13日後に死神が来るらしいね。……あんたは大丈夫?」
小さく微笑みながら告げると、配達員は真顔になり、会釈をして足早に立ち去った。
通販で取り寄せたのは、夢の中でもいい、奴らにもっと苦痛を与える参考資料に買ったモノ達だ。
――俺はもうすぐ、死ぬのだろう。
お前の才能は神様からの贈り物だと、父さんに言われたことがある。
―――その贈り物のせいで、俺は死ぬ。
昨夜すぐ帰ってきた俺に、じいは何も言わなかった。
ただ今朝一言、「これが、貴方のお仕事ですよ」と言われた。……解ってる。
今日は冷静に日留川と会おうと決めて、俺は来たのだが。
日留川はまた、リビドーを装着して眠っていた。
予想していたけれど、
実際目の当たりにすると……
呆れずにはいられなかった。
【アンク】
「どうしてもやめる気はないようですね」
【クロノ】
「ほんと頭痛い。……ここまで来るといっそ感心する」
夢なんて、決して現実にはならないのに。
命を削ってでも逃避したいなんて、俺には考えられない。
【アンク】
「色々な考えの人間がいるものです」
【アンク】
「例えそれが他人には理解されなくとも」
【クロノ】
「……」
【アンク】
「他人の手を一切借りずに、自分の殻に篭ったまま死んでいく……それを彼が望むのなら」
【アンク】
「それはもう、仕方のないことなのかもしれませんな」
【アンク】
「私も死神長様も、人を不幸にしたいわけではございません」
何が何でも助けろと、言われるかと思ってたのに。
意外と深い言葉に、俺は少し驚いていた。
じいが、今まで俺が使っていたリビドーを差し出す。
【アンク】
「ですが、彼が助けを求めるようならば、これをお使いくださいませ」
【クロノ】
「今まで通りのリビドーに見えるけど」
【アンク】
「悪夢は脳波の乱れによるもの。正常な脳波に戻せば、悪夢は夢に戻ります」
【アンク】
「日留川さんのリビドーと繋いで、この裏側についているスイッチを押せば、安全脳波が送られます」
改造が施されたリビドーを装着し、いつも通り日留川のリビドーと繋いで……。
俺は目を閉じた。
ここにいると心地いい。
むかつく奴らに、思う増分仕返しができる。
俺を1人にした奴らに、父さん母さんに嫌な思いをさせた奴らに、思い知らせてやることができる。
だから誰にも邪魔させない。ここは俺だけの城だ。
そして今日も、俺は学生に戻る。
1番辛くて、1番死にたくて、1番世界を呪っていたあの頃に。
【日留川 凌央】
「顔上げろよ、豚野郎」
【ヤンキー風生徒】
「う……」
【日留川 凌央】
「あ、無理か。俺が頭踏んでんだもんな。ははは」
【日留川 凌央】
「今日は……、そうだなー。何してもらおうかなー……あ、そうだ」
【日留川 凌央】
「いくら豚でも、この前教えた言葉くらいは覚えてるよな?ちゃんと言えたらご褒美やるよ」
【ヤンキー風生徒】
「……どうかお願いします。豚野郎を罵ってください……」
【日留川 凌央】
「聞こえない。『クズで臭くて汚い豚野郎です』て、教えたはずだけどなー、言えないのかなー」
【ヤンキー風生徒】
「クズで臭くて汚い……どうしようもない豚野郎を、お許し下さい…………!!」
【日留川 凌央】
「あはははは!神聖な学び舎でキモいこと言ってんじゃねーよ、マジで引くわ!」
【日留川 凌央】
「ほら、ついでにまた、そこで自分でシてみろよ。どうせなら後ろも使ってみ」
俺が願うと、片手で握りこめないサイズのバイブが現れた。現実で握った質感と同じで、思わず俺は笑った。
【日留川 凌央】
「うーわー。これ後ろに入れたら痛いんだろうなー。……ほら」
それを転がしてやると、そいつは震える手でそれを手にして、ズボンを下ろす。下着のそこがすでに盛り上がっていた。
【日留川 凌央】
「ありえねー!豚の体はあさましいな、気持ち悪い!!」
ああ、笑いが止まらない。楽しくて仕方がない。
ここにいれば、こいつらを何度でも俺の好きに出来る。
俺が願えば何でも叶う、最高の世界だ。ここでは俺は、万能の神になれる。
その光景を目にして、俺は押し黙った。
狂ったように笑い声をあげている日留川は、もはや正気とは思えなかった。
既に教室に入って、傍らに立ってるというのに、俺の方を見てもいない。
……今、日留川が足蹴にしている生徒。
彼には、2日前に同じことをして、痛い目を見せられたというのに。
また性懲りもなく、同じことを繰り返している。
人間なんてどうでもいいし、興味もないし。
―――なのに、
どうしてこんなにイラつくんだろう。
俺は日留川に向かってこう言った
【クロノ】
「おい、引きこもり」
案の定、日留川の笑い声が止まった。
【日留川 凌央】
「……なにアンタ。踏み込んで来るなって言ったのに、また来たの」
【クロノ】
「生憎これが仕事だから。とっととリビドー使うのやめてもらわないと困る」
【日留川 凌央】
「お前の事情なんて俺の知った事じゃない。俺がどうなろうと幽霊のアンタには関係ないだろ」
【クロノ】
「だから死神だって……もういい。とにかく今すぐこの世界から出ろ」
【日留川 凌央】
「ふざけんなよ。俺は俺のやりたいようにやる。もう放っとけよ」
俺は、拳を握り締めた。
こいつが俺の言うことを聞かないからじゃない。
【クロノ】
「なんで、夢の世界でそんなことをやる必要がある」
日留川が足蹴にしている生徒を指さして、続けた。
【クロノ】
「やるなら現実世界でやれ。それができないから、夢の世界でやってるのか?」
【日留川 凌央】
「……っ」
【クロノ】
「まったく、くだらないな。お前は恥の塊だ」
【日留川 凌央】
「…あんただって、とんだ恥知らずだろうか」
【クロノ】
「なんだ?図星を指されてキレちゃったか?」
「!!」
俺がそう言った途端、日留川の顔が憎悪に歪んだ
そして、床に這いつくばっていた生徒が立ち上がる。……1人だったはずなのに、いつの間にか数十人に増えている。
その顔は原型を留めないほど大きく崩れていた。
俺は素早く鎌を生成して構えた。
だけど日留川は―――どういうわけか微動だにしない。
俯いたまま、口を震わせて立ち尽くしている。
生徒達がどんどん融合していき、1つの大きな塊になっていく。
【クロノ】
「おい!早くそこから逃げ―――」
