[本編] 日留川 凌央 編
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さっき言った事をもう1度繰り返す。
日留川がいきなり俺の胴に抱きついてきた。
不意打ちで腰を引かれた俺はバランスを崩し、日留川に圧し掛かるように倒れ込んだ。
日留川に当てないよう、咄嗟に手をマットについたので、押し倒したような形になる。
すると日留川が、腕だけでなく脚まで使って俺にしがみ付いてきた。
――正直悪い気はしないし、していいんならするけど、今はそんな場合じゃない。
【クロノ】
「大丈夫だから」
俺は肘をマットにつき、肩を押し付けるようにして、日留川の頭を抱いた。
【クロノ】
「……大丈夫だから」
耳元でもう1度囁くと、日留川の肩がピクンと跳ねた。……以前も耳に反応をしたな。耳が弱いのか。
俺は音を立てて、日留川の耳を舐めた。日留川の体がピクピクと震え始める。
耳を唇で挟んで、耳朶を舌先で弄る。そのまま肌を伝い、耳の後ろにキスをした。
【日留川 凌央】
「あ……っ」
小さな声とともに、日留川の体から力が抜ける。俺は体を離し、潤んで虚ろな瞳をした日留川の頬にキスをした。
【クロノ】
「必ず助けるから」
そう告げて、俺は夢から抜け出した。
【アンク】
「お帰りなさいませ!いかがでしたか?」
俺が戻ってくるのを待ち構えていたらしく、じいの顔が視界に飛び込んでくる。
視線を逸らすと、日留川は苦しそうな顔で眠り続けていた。
1人きりで怯えている日留川の姿が脳裏にちらついた。
【クロノ】
「手短かに説明する。夢の中の役者達が、夢主に襲いかかってた」
【アンク】
「それは……悪夢になっていたということでしょうか」
【クロノ】
「そういうことになると思う。自分の好きなように見ることの出来る夢が、憧憬夢だって聞いてたけど」
【クロノ】
「こいつがあんな夢を望んでたとは思えない。実際、昨日は全く趣向の違う夢だったし」
難しい顔をしたじいが、日留川の額に手を当てる。
【アンク】
「これはいけませんな、早く目を覚まさせてやりませんと」
【クロノ】
「は?自然に覚醒できるもんじゃないの?」
【アンク】
「通常はそうでございますが、今はそれができないようですな」
【クロノ】
「それは……まずいな」
すぐに俺の後を追って覚醒するのを前提にしてたから、置いてきたのに。
時間がかかるようじゃ、見つけられてしまうかもしれない。
日留川の頬を叩いたり、体を揺すったりしてみる。
―――だけど、瞼が開くことはない。
【クロノ】
「……これ、どうすればいい」
【アンク】
「少々お待ち下さいませ!」
じいは急いでパソコンに何かを打ち込み、調べ始めた。
眠りが深すぎて、このまま目覚めなさそうだ。思わず、日留川の胸に耳を当てて鼓動を確認してしまう。
【日留川 凌央】
「……ぅ…」
その時、日留川が何か言ったような気がして、よく聞きとろうと顔を近付けた瞬間。
その目が突然見開かれた。
【日留川 凌央】
「おっ……おわっ!?」
―――起きた。
とりあえずほっとして身を引く。
日留川は俺が自分に触れていたことや、顔が近かったことに動揺しているようで。
真っ赤な顔をして、荒く息をしている。
【日留川 凌央】
「お、お前、なにやって……!」
……顔が近かっただけでここまで反応するのか。
【クロノ】
「……ふーん。夢ではあんなに大胆なのに、現実では可愛いね」
【日留川 凌央】
「夢の中……?あ」
記憶の糸を辿るように視線を逸らした日留川が、合点が行ったように口をつぐみ、赤くなる。
自分が何をしたか、部分的に思い出したのかもしれない。
そして、自分の体を抱きながら……嘲笑した。
【日留川 凌央】
「……これが噂の悪夢化ってやつかよ……」
【クロノ】
「悪夢化? 噂……?」
【クロノ】
「なに、その話。詳しく聞かせて」
【日留川 凌央】
「近寄るな!!」
日留川が、ベッドの上から飛び退いて部屋を飛び出そうとする。
その手首を掴んで何とか止めたものの、激しく暴れられて手がつけられない。
仕方なく、床に引き倒して手足を押さえつける。
多少暴れてみて、逃げられないと知った日留川は、そっぽを向いてしまった。
それから、悪夢化のことや噂のことを何度も尋ねたけど、返事はなかった。
―――こうやって、他人をシャットアウトするのは、夢でも現実でも同じらしい。
……この体勢で逆らわれて、刺激されない男がいると思っているんだろうか。
半端に伸びた日留川の毛先が首筋をするりと滑り落ちた。あらわになった首筋に顔を寄せる。
【日留川 凌央】
「……っ!?あんた、何して……!」
【クロノ】
「教えてくれないから。体にきこうと思って」
首筋に軽くキスをすると、日留川の体が小さく震えた。
いい反応だと思い、舌で首筋に触れると、日留川が小さく声を漏らし、――全力で俺を突き飛ばした。
大した力じゃなかったけど、油断していた俺が体勢を崩した隙に、日留川は俺から距離を取った。
……失敗した。これは今は絶対に教えてもらえない。俺は1つ溜息を吐いた。
【クロノ】
「……まあ、教えてくれなくてもいいや。けど、もうリビドーを使うのはやめろ」
【クロノ】
「このまま使い続けてたら、あんた、また同じような夢を見るよ」
【日留川 凌央】
「……あんた、本当に死神なのか」
部屋の隅から、野良猫のような視線が向けられている。
【クロノ】
「だからそうだって言ってる」
【日留川 凌央】
「証拠は」
【クロノ】
「今までの俺の行動」
【日留川 凌央】
「それで信じられないから、きいてるんだけど」
【日留川 凌央】
「――っ…。」
【クロノ】
「……あんたは、過去に遊び半分で作った、ある検索アルゴリズムが」
【クロノ】
「某大手企業の目に留まって、権利収入があって金には困っていない」
【日留川 凌央】
「そんなの誰にだって調べられる」
肩を竦めて次の手を考えたけど……これだという様な案は浮かばない。
リビドーを使わせないためには、
まずは俺の話を信用してもらうところから始めなきゃならないと思ってたけど……。
死神だと信じてもらえない今、これ以上粘るのは時間の無駄か。
【クロノ】
「調査をされた時点での余命があと13日だったから……。あと11日だな」
【日留川 凌央】
「……あんた、実はただの幽霊なんじゃないの」
幽霊は信じるけど、死神は信じないらしい。……どうでもいいけど。
【クロノ】
「信じないならそれでもいい。じゃ、また来る」
去り際に、――日留川が、さっき俺がキスしたところを掌で押さえたのが見えた。
1度死神界に戻り、長に中間報告をした。
と言っても、今のところ手がかりなしとしか言いようがなかったんだけど。
【クロノ】
「……できれば、早く終わらせたい」
人間とは、あまり深く関わりたくないのに。深く関わらないと、事件の解決ができないような気がしてきた。
この仕事を始める前は、すぐ片付くと思ってたんだけど。
溜息をつきながら歩いていると、向こうから誰か歩いてくるのが見えた。……ユリスだ。
日留川がいきなり俺の胴に抱きついてきた。
不意打ちで腰を引かれた俺はバランスを崩し、日留川に圧し掛かるように倒れ込んだ。
日留川に当てないよう、咄嗟に手をマットについたので、押し倒したような形になる。
すると日留川が、腕だけでなく脚まで使って俺にしがみ付いてきた。
――正直悪い気はしないし、していいんならするけど、今はそんな場合じゃない。
【クロノ】
「大丈夫だから」
俺は肘をマットにつき、肩を押し付けるようにして、日留川の頭を抱いた。
【クロノ】
「……大丈夫だから」
耳元でもう1度囁くと、日留川の肩がピクンと跳ねた。……以前も耳に反応をしたな。耳が弱いのか。
俺は音を立てて、日留川の耳を舐めた。日留川の体がピクピクと震え始める。
耳を唇で挟んで、耳朶を舌先で弄る。そのまま肌を伝い、耳の後ろにキスをした。
【日留川 凌央】
「あ……っ」
小さな声とともに、日留川の体から力が抜ける。俺は体を離し、潤んで虚ろな瞳をした日留川の頬にキスをした。
【クロノ】
「必ず助けるから」
そう告げて、俺は夢から抜け出した。
【アンク】
「お帰りなさいませ!いかがでしたか?」
俺が戻ってくるのを待ち構えていたらしく、じいの顔が視界に飛び込んでくる。
視線を逸らすと、日留川は苦しそうな顔で眠り続けていた。
1人きりで怯えている日留川の姿が脳裏にちらついた。
【クロノ】
「手短かに説明する。夢の中の役者達が、夢主に襲いかかってた」
【アンク】
「それは……悪夢になっていたということでしょうか」
【クロノ】
「そういうことになると思う。自分の好きなように見ることの出来る夢が、憧憬夢だって聞いてたけど」
【クロノ】
「こいつがあんな夢を望んでたとは思えない。実際、昨日は全く趣向の違う夢だったし」
難しい顔をしたじいが、日留川の額に手を当てる。
【アンク】
「これはいけませんな、早く目を覚まさせてやりませんと」
【クロノ】
「は?自然に覚醒できるもんじゃないの?」
【アンク】
「通常はそうでございますが、今はそれができないようですな」
【クロノ】
「それは……まずいな」
すぐに俺の後を追って覚醒するのを前提にしてたから、置いてきたのに。
時間がかかるようじゃ、見つけられてしまうかもしれない。
日留川の頬を叩いたり、体を揺すったりしてみる。
―――だけど、瞼が開くことはない。
【クロノ】
「……これ、どうすればいい」
【アンク】
「少々お待ち下さいませ!」
じいは急いでパソコンに何かを打ち込み、調べ始めた。
眠りが深すぎて、このまま目覚めなさそうだ。思わず、日留川の胸に耳を当てて鼓動を確認してしまう。
【日留川 凌央】
「……ぅ…」
その時、日留川が何か言ったような気がして、よく聞きとろうと顔を近付けた瞬間。
その目が突然見開かれた。
【日留川 凌央】
「おっ……おわっ!?」
―――起きた。
とりあえずほっとして身を引く。
日留川は俺が自分に触れていたことや、顔が近かったことに動揺しているようで。
真っ赤な顔をして、荒く息をしている。
【日留川 凌央】
「お、お前、なにやって……!」
……顔が近かっただけでここまで反応するのか。
【クロノ】
「……ふーん。夢ではあんなに大胆なのに、現実では可愛いね」
【日留川 凌央】
「夢の中……?あ」
記憶の糸を辿るように視線を逸らした日留川が、合点が行ったように口をつぐみ、赤くなる。
自分が何をしたか、部分的に思い出したのかもしれない。
そして、自分の体を抱きながら……嘲笑した。
【日留川 凌央】
「……これが噂の悪夢化ってやつかよ……」
【クロノ】
「悪夢化? 噂……?」
【クロノ】
「なに、その話。詳しく聞かせて」
【日留川 凌央】
「近寄るな!!」
日留川が、ベッドの上から飛び退いて部屋を飛び出そうとする。
その手首を掴んで何とか止めたものの、激しく暴れられて手がつけられない。
仕方なく、床に引き倒して手足を押さえつける。
多少暴れてみて、逃げられないと知った日留川は、そっぽを向いてしまった。
それから、悪夢化のことや噂のことを何度も尋ねたけど、返事はなかった。
―――こうやって、他人をシャットアウトするのは、夢でも現実でも同じらしい。
……この体勢で逆らわれて、刺激されない男がいると思っているんだろうか。
半端に伸びた日留川の毛先が首筋をするりと滑り落ちた。あらわになった首筋に顔を寄せる。
【日留川 凌央】
「……っ!?あんた、何して……!」
【クロノ】
「教えてくれないから。体にきこうと思って」
首筋に軽くキスをすると、日留川の体が小さく震えた。
いい反応だと思い、舌で首筋に触れると、日留川が小さく声を漏らし、――全力で俺を突き飛ばした。
大した力じゃなかったけど、油断していた俺が体勢を崩した隙に、日留川は俺から距離を取った。
……失敗した。これは今は絶対に教えてもらえない。俺は1つ溜息を吐いた。
【クロノ】
「……まあ、教えてくれなくてもいいや。けど、もうリビドーを使うのはやめろ」
【クロノ】
「このまま使い続けてたら、あんた、また同じような夢を見るよ」
【日留川 凌央】
「……あんた、本当に死神なのか」
部屋の隅から、野良猫のような視線が向けられている。
【クロノ】
「だからそうだって言ってる」
【日留川 凌央】
「証拠は」
【クロノ】
「今までの俺の行動」
【日留川 凌央】
「それで信じられないから、きいてるんだけど」
【日留川 凌央】
「――っ…。」
【クロノ】
「……あんたは、過去に遊び半分で作った、ある検索アルゴリズムが」
【クロノ】
「某大手企業の目に留まって、権利収入があって金には困っていない」
【日留川 凌央】
「そんなの誰にだって調べられる」
肩を竦めて次の手を考えたけど……これだという様な案は浮かばない。
リビドーを使わせないためには、
まずは俺の話を信用してもらうところから始めなきゃならないと思ってたけど……。
死神だと信じてもらえない今、これ以上粘るのは時間の無駄か。
【クロノ】
「調査をされた時点での余命があと13日だったから……。あと11日だな」
【日留川 凌央】
「……あんた、実はただの幽霊なんじゃないの」
幽霊は信じるけど、死神は信じないらしい。……どうでもいいけど。
【クロノ】
「信じないならそれでもいい。じゃ、また来る」
去り際に、――日留川が、さっき俺がキスしたところを掌で押さえたのが見えた。
1度死神界に戻り、長に中間報告をした。
と言っても、今のところ手がかりなしとしか言いようがなかったんだけど。
【クロノ】
「……できれば、早く終わらせたい」
人間とは、あまり深く関わりたくないのに。深く関わらないと、事件の解決ができないような気がしてきた。
この仕事を始める前は、すぐ片付くと思ってたんだけど。
溜息をつきながら歩いていると、向こうから誰か歩いてくるのが見えた。……ユリスだ。