[本編] 春川 樹生 編
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さっきより深い口づけに、春川の動きが止まる。
そのまま春川を抱きしめ、背中をさすると、春川が大きくビクついた。
どうやら我に返ったみたいだ。
【春川 樹生】
「……ふ、」
しばらくそうしていると、徐々に呼吸が落ち着いてくる。
【クロノ】
「……もう大丈夫?」
【春川 樹生】
「……今、の……」
少し離れて見てみると、春川が真っ赤な顔で俺を見ていた。
【クロノ】
「今の……ああ、キスのこと?」
コクコクとうなずく春川に、どうってことないように言う。
【クロノ】
「俺は人間じゃないんだから、気にするな」
【春川 樹生】
「そ、そういうもんか?いや、すまん……その、驚いちまって」
【クロノ】
(…納得しちゃった。冗談のつもりだったんだけど……まぁ、いいか……)
【春川 樹生】
「…これも夢の続きか?」
落ち着いたと思ったら、どうやら現実世界に俺の姿があることに驚いているらしい。
【クロノ】
「夢じゃない。普通はこうやって姿を見せる事はない。
今回は……まあ、特別」
【春川 樹生】
「死神って……本当にいるんだな」
不意に、春川の手が伸びて、俺の頬に触れる。
存在を確認するように、輪郭をなぞってくる―――くすぐったい。
自分がしている事に気がつくと、春川は驚いたように手を引っ込めた。
なんだかそれがおかくて、俺は少し笑う。
【春川 樹生】
「……死神って笑うんだな」
【クロノ】
「信じた?俺が死神で、ここが現実だって」
【春川 樹生】
「ああ。死神のいる現実なのは、信じる」
【春川 樹生】
「……でも、オレのことは助けなくていい。放っておいてくれて構わない」
【春川 樹生】
「オレは死んでも文句言えないような人間だから」
その言葉の意味が、心に引っかかっている。何が春川にそこまで言わせたのか。
どんな事件が起きれば―――自分の生命の価値を放棄するような言葉が言えるのか。
【クロノ】
(それに―――弟の夢を見ていたときの、少し異常な兄弟愛も相変わらず気になる……)
【クロノ】
(どうして春川はそんな夢を見ている?)
【クロノ】
(弟が交通事故にあった日の揉め事……これらの事実が関係してるのか?)
最近、気付くと春川の事を考えてる
【クロノ】
(知れば知るほど…放っておけなくなる)
【クロノ】
(……また、前みたいになるのは嫌なのに)
【クロノ】
(だから、誰にも……深入りしないようにしてたのに)
春川が仕事をしている姿を見ながら、俺はため息を吐いた。
【アンク】
「クロノ様。調査の途中で申し訳ないのですが……」
気がつくと隣にじいが立っていた。
【クロノ】
「じいか……何?」
【アンク】
「調べていたparaisoの運営者の件ですが、サーバー情報はunknown。つまり、不明ということです」
【アンク】
「人間界の回線ではないということ、そこから先は厳重なロックがかかっていることが分かりました」
【アンク】
「またリビドーを販売している裏サイト、rakudoについても調べましたが……同じ状況でございました」
【クロノ】
「……人ならざる者の仕組んだストーリーってわけ?」
【アンク】
「はい。そう見て間違いないでしょう」
【クロノ】
「……わかった。もう少しその辺りを調べてみて」
【アンク】
「かしこまりました」
じいが音もなく姿を消した。
【クロノ】
(リビドーを売ってるのが人間じゃない……その可能性は考えてなかったな)
【クロノ】
(厄介な調査になりそうだけど……残り時間は後9日だ)
【クロノ】
(早く手がかりを手に入れないと)
ふと春川を見ると、トラックに荷物を積みこんでいるところだった。
話しかけてきた同僚とも、必要最低限しか話さず、もくもくと仕事に打ち込んでいる。
【クロノ】
(そういえば春川って、友達もほとんどいないって資料に書いてあったな……)
【クロノ】
(前に様子を見に来た時も、一人で淡々と作業してた)
【クロノ】
(これも弟を失ったトラウマのせいだったりするのか?だとしたら……淋しいだろうな)
俺の気持ちなど知らない春川がトラックに乗り込み、配達先に向かう。
【春川 樹生】
「お疲れ様です!集荷に伺いました!」
春川の、よく通る元気な声には、どこか人をほっとさせる雰囲気があるなと、何となく思う。
きっとこれが春川の本質なんじゃないだろうか。
事務の女性に促され、オフィスの中にある荷物に向かう春川を追いかけていくと。
眼鏡をかけた男のデスクの横に、荷物は置かれていた。
【綾 上総】
「浅多、昨日の話聞いたぜ」
話しかけられた眼鏡の男は驚いて振り向いた。
【浅多 侑思】
「綾さん……。昨日の話とは、何の事ですか?」
【綾 上総】
「営業成績に決まってるだろ。言われなきゃわからないのか?」
【浅多 侑思】
「っ……昨日は、確かに成績が落ちましたが……」
【綾 上総】
「部下に負けて悔しくないのかよ?営業成績が奮わないなら、リーダー降格もありえるぜ?」
【綾 上総】
「……そう言えばお前、リビドー使ってるって噂が立ってんな?」
【春川 樹生】
「……っ……」
リビドーという言葉一つで、春川の手が止まる。
【浅多 侑思】
「……何の事ですか?」
【綾 上総】
「リーダーになってから日に日に顔色が悪くなってんだよ」
【綾 上総】
「自分じゃ気付いてないかもしれないけどな、社員はそういう所も見てる」
【綾 上総】
「使い方間違えると死ぬらしいから、注意しとけ」
【浅多 侑思】
「……誤解です。リビドーなんて知りません」
【春川 樹生】
「………………」
はっと気がついたように春川は仕事を再開した。
荷物を抱えて、逃げるようにしてその場を去る。
……いたたまれなくなったんだろうか、真っ青な顔をして何かを考えていた。
会社を出ても、春川の考え事は止まらないようだった。
自分の車に向かうため、道路をまっすぐに進んでいく―――1台のトラックが近づいている事にも気づかずに。
【クロノ】
(あいつ、周りが見えてないのか……!)
そのまま春川を抱きしめ、背中をさすると、春川が大きくビクついた。
どうやら我に返ったみたいだ。
【春川 樹生】
「……ふ、」
しばらくそうしていると、徐々に呼吸が落ち着いてくる。
【クロノ】
「……もう大丈夫?」
【春川 樹生】
「……今、の……」
少し離れて見てみると、春川が真っ赤な顔で俺を見ていた。
【クロノ】
「今の……ああ、キスのこと?」
コクコクとうなずく春川に、どうってことないように言う。
【クロノ】
「俺は人間じゃないんだから、気にするな」
【春川 樹生】
「そ、そういうもんか?いや、すまん……その、驚いちまって」
【クロノ】
(…納得しちゃった。冗談のつもりだったんだけど……まぁ、いいか……)
【春川 樹生】
「…これも夢の続きか?」
落ち着いたと思ったら、どうやら現実世界に俺の姿があることに驚いているらしい。
【クロノ】
「夢じゃない。普通はこうやって姿を見せる事はない。
今回は……まあ、特別」
【春川 樹生】
「死神って……本当にいるんだな」
不意に、春川の手が伸びて、俺の頬に触れる。
存在を確認するように、輪郭をなぞってくる―――くすぐったい。
自分がしている事に気がつくと、春川は驚いたように手を引っ込めた。
なんだかそれがおかくて、俺は少し笑う。
【春川 樹生】
「……死神って笑うんだな」
【クロノ】
「信じた?俺が死神で、ここが現実だって」
【春川 樹生】
「ああ。死神のいる現実なのは、信じる」
【春川 樹生】
「……でも、オレのことは助けなくていい。放っておいてくれて構わない」
【春川 樹生】
「オレは死んでも文句言えないような人間だから」
その言葉の意味が、心に引っかかっている。何が春川にそこまで言わせたのか。
どんな事件が起きれば―――自分の生命の価値を放棄するような言葉が言えるのか。
【クロノ】
(それに―――弟の夢を見ていたときの、少し異常な兄弟愛も相変わらず気になる……)
【クロノ】
(どうして春川はそんな夢を見ている?)
【クロノ】
(弟が交通事故にあった日の揉め事……これらの事実が関係してるのか?)
最近、気付くと春川の事を考えてる
【クロノ】
(知れば知るほど…放っておけなくなる)
【クロノ】
(……また、前みたいになるのは嫌なのに)
【クロノ】
(だから、誰にも……深入りしないようにしてたのに)
春川が仕事をしている姿を見ながら、俺はため息を吐いた。
【アンク】
「クロノ様。調査の途中で申し訳ないのですが……」
気がつくと隣にじいが立っていた。
【クロノ】
「じいか……何?」
【アンク】
「調べていたparaisoの運営者の件ですが、サーバー情報はunknown。つまり、不明ということです」
【アンク】
「人間界の回線ではないということ、そこから先は厳重なロックがかかっていることが分かりました」
【アンク】
「またリビドーを販売している裏サイト、rakudoについても調べましたが……同じ状況でございました」
【クロノ】
「……人ならざる者の仕組んだストーリーってわけ?」
【アンク】
「はい。そう見て間違いないでしょう」
【クロノ】
「……わかった。もう少しその辺りを調べてみて」
【アンク】
「かしこまりました」
じいが音もなく姿を消した。
【クロノ】
(リビドーを売ってるのが人間じゃない……その可能性は考えてなかったな)
【クロノ】
(厄介な調査になりそうだけど……残り時間は後9日だ)
【クロノ】
(早く手がかりを手に入れないと)
ふと春川を見ると、トラックに荷物を積みこんでいるところだった。
話しかけてきた同僚とも、必要最低限しか話さず、もくもくと仕事に打ち込んでいる。
【クロノ】
(そういえば春川って、友達もほとんどいないって資料に書いてあったな……)
【クロノ】
(前に様子を見に来た時も、一人で淡々と作業してた)
【クロノ】
(これも弟を失ったトラウマのせいだったりするのか?だとしたら……淋しいだろうな)
俺の気持ちなど知らない春川がトラックに乗り込み、配達先に向かう。
【春川 樹生】
「お疲れ様です!集荷に伺いました!」
春川の、よく通る元気な声には、どこか人をほっとさせる雰囲気があるなと、何となく思う。
きっとこれが春川の本質なんじゃないだろうか。
事務の女性に促され、オフィスの中にある荷物に向かう春川を追いかけていくと。
眼鏡をかけた男のデスクの横に、荷物は置かれていた。
【綾 上総】
「浅多、昨日の話聞いたぜ」
話しかけられた眼鏡の男は驚いて振り向いた。
【浅多 侑思】
「綾さん……。昨日の話とは、何の事ですか?」
【綾 上総】
「営業成績に決まってるだろ。言われなきゃわからないのか?」
【浅多 侑思】
「っ……昨日は、確かに成績が落ちましたが……」
【綾 上総】
「部下に負けて悔しくないのかよ?営業成績が奮わないなら、リーダー降格もありえるぜ?」
【綾 上総】
「……そう言えばお前、リビドー使ってるって噂が立ってんな?」
【春川 樹生】
「……っ……」
リビドーという言葉一つで、春川の手が止まる。
【浅多 侑思】
「……何の事ですか?」
【綾 上総】
「リーダーになってから日に日に顔色が悪くなってんだよ」
【綾 上総】
「自分じゃ気付いてないかもしれないけどな、社員はそういう所も見てる」
【綾 上総】
「使い方間違えると死ぬらしいから、注意しとけ」
【浅多 侑思】
「……誤解です。リビドーなんて知りません」
【春川 樹生】
「………………」
はっと気がついたように春川は仕事を再開した。
荷物を抱えて、逃げるようにしてその場を去る。
……いたたまれなくなったんだろうか、真っ青な顔をして何かを考えていた。
会社を出ても、春川の考え事は止まらないようだった。
自分の車に向かうため、道路をまっすぐに進んでいく―――1台のトラックが近づいている事にも気づかずに。
【クロノ】
(あいつ、周りが見えてないのか……!)
