[本編] 浅多 侑思 編
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【クロノ】
「ちょっと、侑思!! やめろ……!!」
俺も混乱しているなりに、今の侑思の状況が普通ではないことくらいはわかる。
必死に止めようとしたけど、考えられないような力で振り払われ、獣のように侑思は暴れ続ける。
見開いた目からは涙が散り、怒声には苦痛が混じっていて、聞いていて胸が張り裂けそうになる。
多少手荒にしてでも止めるべきだと判断した時、
ふっと侑思が動きを止めてその場に倒れそうになる。
慌てて受け止めたけど、反応がない。
【クロノ】
「ゆっ……侑思、おい!」
【???】
「ご安心ください、魔力で眠らせただけでございます」
闇からぬっと現れたのは、じいだった。
【クロノ】
「じい!! い、いつからいたの……」
【アンク】
「最初からというのが正しいでしょうかね。…それにしても派手に暴れられたようで」
【クロノ】
「……眠らせてくれたのは、礼を言う。できるなら、俺の力でなんとかしたかったとこだけど」
【アンク】
「そうでしょうとも。私もそうするべきだと思います」
【アンク】
「ですが、浅多さんの体から、覚えのある魔力を感じたため出張って参りました」
【クロノ】
「……やっぱり、何かの術をかけられてたのか」
【アンク】
「まあ、浅多さんの行動は、少し常軌を逸しておりましたからな」
【アンク】
「クロノ様も、異変を感じたのなら一度立ち止まってみるべきですぞ」
【クロノ】
「……ん…」
【アンク】
「まあ、どんな種族でも、恋愛のこととなると今まで通りには参りませんな」
じいの言葉を苦々しく聞きながら、深呼吸して。
侑思の体から漂う微弱な魔力に神経を集中させる。
そして、髪の毛が逆立つのを感じた。
【クロノ】
「ユリス……」
【アンク】
「左様でございます」
【クロノ】
「まだ俺達の前に出てくるか、あいつめ。……ユリスってことは、またリビドー関連?」
【アンク】
「そう見るのが妥当でしょう。ですから、持って参りました」
じいが懐から取り出したのは、リビドーによく似た機械だった。
【アンク】
「ユリスが捕まっていない以上、同じようなことが起こる可能性は否定できませんでしたから」
【アンク】
「密かに研究を続けておりました。改良型の装置で、以前よりも可能なことが増えております」
【クロノ】
「じゃあまた、それを使って夢の中に行けばなんとかなる……かな」
【アンク】
「まずは、考えるよりも動いてみよ、でございますな」
頭にリビドーを被せられるのと同時に、俺はその場に横たわって目を閉じる。
今回もサポートはお任せくださいという、頼もしい声を聞きながら。
【クロノ】
(うっ……夢の中に入る感触も、久し振りだな)
暗闇の世界の中で侑思の気配を探していると、どこからか声が聞こえてきた。
【???】
『出来損ない』
【???】
『お前なんて生むんじゃなかった』
聞き覚えのあるセリフの発生源に侑思もいると見当をつけて、
空気を掻き分けて近付こうと試みる。
すると侑思は、黒い人影に囲まれて項垂れていた。
……違う、土下座をしていた。
【浅多父】
『親の期待に全く応えられない上に子孫も残せないなんて』
【浅多母】
『その上その恋人とやらも傷つけて、裏切ったのね。償いなさい』
【浅多 侑思】
「すみません、本当に……」
【浅多父】
『お前のような出来損ないに価値などない。とっととこの世から去ってしまえ』
【浅多母】
『そうね、その後に父さんと母さんも逝くわ。こんなんじゃ恥ずかしくて外も歩けないもの』
【浅多 侑思】
「すみません、すみません、申し訳ありません……」
地面から人の形をしたモノが生えて、輪に加わる。
それは綾の妹と、……俺だった。
【綾の妹】
『私は黒乃さんと結婚します。彼から聞きましたわ、あなたとは遊びだったと』
【クロノ】
『俺は彼女と一緒になる。裏切り者のお前とはもう一緒にいたくない』
【浅多 侑思】
「……すまない、クロノ……、ごめんな、ごめん…」
【綾の妹】
『私の方が間違いなく彼を幸せにできます。そうね、浅多さんはもう死んだって構いませんわ』
【クロノ】
『そうだね。お前より、この女の方が上等だ。お前は独りだ。今までもこれからも』
【クロノ】
『これで満足だろ? 俺を罵って俺を傷つけて、俺の気持ちを踏みにじったんだから』
【浅多 侑思】
「ご……ごめんなさ……」
もう黙っては見ていられない。
俺は…
傍に駆け寄り、うずくまる侑思を周囲の目から庇うように抱きしめる。一瞬、侑思の肩がビクリと震えた。
【クロノ】
「こんなのは全部夢だ、侑思! 何も聞く必要なんてない!」
【浅多 侑思】
「すみません、すみません、ごめ……」
侑思は焦点の合わない目で涙を流し続けている。
俺は何の意味もないとわかっていながら、未だ罵声を浴びせ続ける幻影を睨みつけた。
これは間違いなく、侑思にとっての地獄。
こんなに追い詰められるまで、放置しておいた俺の責任だ。
考えが甘かった。
見合い写真に悩み始めた素振りを見せた時点で、会社を辞めてでも話し合うべきだった。
俺がここからお前を引きずり上げてやる。
待ってろ、侑思。
顔を近付けて、現実を映していない瞳を覗き込んで、その奥の心へと訴えかける。
【クロノ】
「聞いて」
【クロノ】
「俺は、800年以上生きた死神だけど」
【クロノ】
「それを捨ててでも、侑思が欲しいと思って決意して、人間界に残ったんだ」
侑思の目が動いた気がした。
【クロノ】
「両親に言えないなら、言わなくていい」
【クロノ】
「子供が欲しいなら、女と結婚したっていい」
【クロノ】
「侑思が心から幸せだと笑えるなら、なんだっていいんだ」
【クロノ】
「俺はもう侑思しかいらないって決めてる」
【クロノ】
「俺みたいに、侑思も自分で決めていい」
【クロノ】
「一番大事なものは、自分で選べ。誰の目も気にする必要なんてない」
【クロノ】
「好きなように生きろ。侑思にはそれが一番大事なことだ」
【クロノ】
「好きなように生きろ。侑思にはそれが一番大事なことだ」
そう言うと、暗闇が渦巻く世界に光が注いで、ゆっくりと侑思が瞬きをした。
ぼんやりと首を動かして俺を見上げ、こちらもまた見つめ返す。
その目に涙が滲み、次から次へと溢れてきた。
【浅多 侑思】
「すまない……僕は、お前を傷つけた……」
「ちょっと、侑思!! やめろ……!!」
俺も混乱しているなりに、今の侑思の状況が普通ではないことくらいはわかる。
必死に止めようとしたけど、考えられないような力で振り払われ、獣のように侑思は暴れ続ける。
見開いた目からは涙が散り、怒声には苦痛が混じっていて、聞いていて胸が張り裂けそうになる。
多少手荒にしてでも止めるべきだと判断した時、
ふっと侑思が動きを止めてその場に倒れそうになる。
慌てて受け止めたけど、反応がない。
【クロノ】
「ゆっ……侑思、おい!」
【???】
「ご安心ください、魔力で眠らせただけでございます」
闇からぬっと現れたのは、じいだった。
【クロノ】
「じい!! い、いつからいたの……」
【アンク】
「最初からというのが正しいでしょうかね。…それにしても派手に暴れられたようで」
【クロノ】
「……眠らせてくれたのは、礼を言う。できるなら、俺の力でなんとかしたかったとこだけど」
【アンク】
「そうでしょうとも。私もそうするべきだと思います」
【アンク】
「ですが、浅多さんの体から、覚えのある魔力を感じたため出張って参りました」
【クロノ】
「……やっぱり、何かの術をかけられてたのか」
【アンク】
「まあ、浅多さんの行動は、少し常軌を逸しておりましたからな」
【アンク】
「クロノ様も、異変を感じたのなら一度立ち止まってみるべきですぞ」
【クロノ】
「……ん…」
【アンク】
「まあ、どんな種族でも、恋愛のこととなると今まで通りには参りませんな」
じいの言葉を苦々しく聞きながら、深呼吸して。
侑思の体から漂う微弱な魔力に神経を集中させる。
そして、髪の毛が逆立つのを感じた。
【クロノ】
「ユリス……」
【アンク】
「左様でございます」
【クロノ】
「まだ俺達の前に出てくるか、あいつめ。……ユリスってことは、またリビドー関連?」
【アンク】
「そう見るのが妥当でしょう。ですから、持って参りました」
じいが懐から取り出したのは、リビドーによく似た機械だった。
【アンク】
「ユリスが捕まっていない以上、同じようなことが起こる可能性は否定できませんでしたから」
【アンク】
「密かに研究を続けておりました。改良型の装置で、以前よりも可能なことが増えております」
【クロノ】
「じゃあまた、それを使って夢の中に行けばなんとかなる……かな」
【アンク】
「まずは、考えるよりも動いてみよ、でございますな」
頭にリビドーを被せられるのと同時に、俺はその場に横たわって目を閉じる。
今回もサポートはお任せくださいという、頼もしい声を聞きながら。
【クロノ】
(うっ……夢の中に入る感触も、久し振りだな)
暗闇の世界の中で侑思の気配を探していると、どこからか声が聞こえてきた。
【???】
『出来損ない』
【???】
『お前なんて生むんじゃなかった』
聞き覚えのあるセリフの発生源に侑思もいると見当をつけて、
空気を掻き分けて近付こうと試みる。
すると侑思は、黒い人影に囲まれて項垂れていた。
……違う、土下座をしていた。
【浅多父】
『親の期待に全く応えられない上に子孫も残せないなんて』
【浅多母】
『その上その恋人とやらも傷つけて、裏切ったのね。償いなさい』
【浅多 侑思】
「すみません、本当に……」
【浅多父】
『お前のような出来損ないに価値などない。とっととこの世から去ってしまえ』
【浅多母】
『そうね、その後に父さんと母さんも逝くわ。こんなんじゃ恥ずかしくて外も歩けないもの』
【浅多 侑思】
「すみません、すみません、申し訳ありません……」
地面から人の形をしたモノが生えて、輪に加わる。
それは綾の妹と、……俺だった。
【綾の妹】
『私は黒乃さんと結婚します。彼から聞きましたわ、あなたとは遊びだったと』
【クロノ】
『俺は彼女と一緒になる。裏切り者のお前とはもう一緒にいたくない』
【浅多 侑思】
「……すまない、クロノ……、ごめんな、ごめん…」
【綾の妹】
『私の方が間違いなく彼を幸せにできます。そうね、浅多さんはもう死んだって構いませんわ』
【クロノ】
『そうだね。お前より、この女の方が上等だ。お前は独りだ。今までもこれからも』
【クロノ】
『これで満足だろ? 俺を罵って俺を傷つけて、俺の気持ちを踏みにじったんだから』
【浅多 侑思】
「ご……ごめんなさ……」
もう黙っては見ていられない。
俺は…
傍に駆け寄り、うずくまる侑思を周囲の目から庇うように抱きしめる。一瞬、侑思の肩がビクリと震えた。
【クロノ】
「こんなのは全部夢だ、侑思! 何も聞く必要なんてない!」
【浅多 侑思】
「すみません、すみません、ごめ……」
侑思は焦点の合わない目で涙を流し続けている。
俺は何の意味もないとわかっていながら、未だ罵声を浴びせ続ける幻影を睨みつけた。
これは間違いなく、侑思にとっての地獄。
こんなに追い詰められるまで、放置しておいた俺の責任だ。
考えが甘かった。
見合い写真に悩み始めた素振りを見せた時点で、会社を辞めてでも話し合うべきだった。
俺がここからお前を引きずり上げてやる。
待ってろ、侑思。
顔を近付けて、現実を映していない瞳を覗き込んで、その奥の心へと訴えかける。
【クロノ】
「聞いて」
【クロノ】
「俺は、800年以上生きた死神だけど」
【クロノ】
「それを捨ててでも、侑思が欲しいと思って決意して、人間界に残ったんだ」
侑思の目が動いた気がした。
【クロノ】
「両親に言えないなら、言わなくていい」
【クロノ】
「子供が欲しいなら、女と結婚したっていい」
【クロノ】
「侑思が心から幸せだと笑えるなら、なんだっていいんだ」
【クロノ】
「俺はもう侑思しかいらないって決めてる」
【クロノ】
「俺みたいに、侑思も自分で決めていい」
【クロノ】
「一番大事なものは、自分で選べ。誰の目も気にする必要なんてない」
【クロノ】
「好きなように生きろ。侑思にはそれが一番大事なことだ」
【クロノ】
「好きなように生きろ。侑思にはそれが一番大事なことだ」
そう言うと、暗闇が渦巻く世界に光が注いで、ゆっくりと侑思が瞬きをした。
ぼんやりと首を動かして俺を見上げ、こちらもまた見つめ返す。
その目に涙が滲み、次から次へと溢れてきた。
【浅多 侑思】
「すまない……僕は、お前を傷つけた……」
