[本編] 浅多 侑思 編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【浅多 侑思】
「そうか。その調子で頼むぞ。とは言っても、出来る事と出来ない事があるだろうから」
【浅多 侑思】
「本当に無理なことは断っていい。その辺は僕がフォローするから」
【クロノ】
「ありがとう。侑思」
ほっとした顔を見て、今の僕にこいつを守れる力があることを少し誇りに思った。
仕事が終わって、一度侑思の家に戻ってから。
俺は長に伺いを立てるため、数カ月ぶりの死神界へやって来た。
【クロノ】
「なーんも変わってないな。当たり前だけど」
長の部屋に、直接移動した方が早かったけど、街の様子を見たくて歩いて行くことに決めていた。
行き交う死神の姿を見ながら、今まで自分が本当の人間のような心地でいたことに気づく。
死神としての仕事は、じいが月に数回持ってくる依頼をこなすだけ。
黒乃として会社にいる時間の方が長いし濃いから、
人間っぽくなるのは仕方ないことなのかもしれないけど。
ここを出てからまだ少ししか経ってないというのに、俺はすっかりヨントリーの部長代理だ。
【クロノ】
(PV出演かあ……変に目立ちたくないんだけどな)
仕事相手にどう思われてるかは知らない。でも、人間としての仕事じゃなくたって、人前に出るのは苦手だ。
【クロノ】
(……なんでこんなことに)
そもそも一体どんなことをやらされるのかも気になる。
死神だということがうっかり露呈するような事態にはなりようがないとは思うけど。
侑思がやれって言うだろうと思ったから仕方なく了承した部分もあったりして、やっぱり乗り気じゃない。
【クロノ】
「はあ……」
でもまあ。
侑思が頑張れって言ってくれるなら、幾らでも頑張れる気はする。
うちのチームの評価が上がるなら、この部長代理、一肌脱いでやろうじゃないの。
………やっぱなし。0.5肌で。
【長】
「おお、クロノ。息災であったか」
【クロノ】
「まあ…はい。長の取り計らいのおかげで」
【クロノ】
「っていうか、じいから俺の近況報告くらい、受けてるんでしょう…?」
【長】
「当然だ。お前が恋人とどのように過ごしてるかも把握済みだ」
【クロノ】
「そーですか。じゃあ俺が、どういう要件でここに来たかも知ってるわけですね」
【長】
「話が早くて良いだろう? 結論から言えば、問題ない」
【長】
「存分にPVとやらで暴れてこい」
【クロノ】
「……そ、それだけ?」
【クロノ】
「俺一応、長に話通さなきゃって、わざわざ律儀にここまで来たのに」
【長】
「まだ話は終わっておらんぞ。お前が入社する際に、履歴書や経歴を魔法で作っただろう?」
【クロノ】
「そうですね」
【長】
「その部分だけが気がかりだ。何かあった際のために、アンクを同行させる」
【クロノ】
「えっ。それって……じいも俺達と一緒についてくるってことですか」
【長】
「そうだ。何も四六時中とは言わん。会社の関係者と一緒にいる時だけで構わん」
【長】
「アンク。アンクはいるか」
俺が口を出す暇もなく、じいが現れて。一連の話を聞くと
【アンク】
「久し振りにクロノ様と居られますな」
なんて嬉しそうに言われたから、それ以上文句を言う気にもなれず。
のほほんとしたじいを連れて、げんなりしつつ侑思のマンションの前へ移動した。
突然じいを連れて帰ったら驚かれるだろうから。
一度侑思に連絡を入れるため、一度立ち止まって電話をかける。
【アンク】
「ほう……。それが、すまほというものなのですね」
【アンク】
「実にスマートにすまーとほんを使いこなすクロノ様……美しいですぞ」
【クロノ】
「これから嫌っていう程目にする光景だから。ちょっと待ってて」
だけどいくら呼び出しても繋がらない。残業中だろうか。
だったら何度もかけるのは迷惑かと電話を切って、じいに向き直る。
【クロノ】
「侑思出ないから、このまま部屋に行こう。じいを連れて帰ること、一度報告しておきたかったんだけど」
【アンク】
「わかりました。何でしたら話し終わるまで、私は部屋の外で待っていても構いませんぞ」
【クロノ】
「なんかそれはそれで、じいのことが気になって微妙だし」
人間の姿に戻り、いいからとじいを手招きしてマンションの中へ足を伸ばす。
玄関を開けると、キッチンの先にある侑思の部屋から灯りが漏れていることに気づく。
【クロノ】
(もしかして、疲れて眠りこけて電話に出られなかったとか…?)
じいにひとまず待っているように告げて、リビングの扉を小さくノックする。
すると中からガタガタッと物音が聞こえた。
驚いて何か取り落としたかと察して、少し待ってから声をかける。
【クロノ】
「入るよ?」
【浅多 侑思】
「……ああ、大丈夫だ」
きいとドアを開けて中に入ると、侑思は沈鬱な表情でベッドに座っていた。
膝にはA4サイズの白い封筒が置かれている。
じいを連れ帰ったことと侑思の暗い顔のこと、どちらを先に解決すべきか迷って、口を開く。
【クロノ】
「どうしたの。何かあった?」
【浅多 侑思】
「……ああ。……」
【クロノ】
「……言いにくいことなら、頭の中で整理できてからでもいいよ」
【浅多 侑思】
「……いや……。先延ばしにしても仕方ないことだから、言う」
侑思の顔つきが変わったのを見て、俺は隣に腰掛ける。
【浅多 侑思】
「家から、見合い写真が送られてきた」
【クロノ】
「……」
【浅多 侑思】
「同封の手紙には、早く孫の顔が見たいとも書いてあった」
【クロノ】
「そっか……独りでそれを読んだの、辛かったね」
【浅多 侑思】
「……っ、すまない。けど、自業自得のようなものだろ」
【クロノ】
「親御さんには言ってないんだもんな。……そうなるよな」
俺の何とも言えない雰囲気を感じたのか、侑思はすかさず俺に向き直る。
【浅多 侑思】
「勿論、僕は見合いを受ける気はないからな」
【クロノ】
「うん、有難う」
小さく微笑んだのを見て、侑思はほっとしたように息を吐いたけど。
顔色は優れないまま、腿の上でぎゅっとを拳を握り締める。
【浅多 侑思】
「自分が情けない」
【浅多 侑思】
「お前とこういう関係になって長いのに」
【浅多 侑思】
「未だに、同棲の恋人ができたと言えないなんて」
【クロノ】
「……気にしないで。言いにくいことだから、仕方ないよ」
【浅多 侑思】
「…………」
黙って侑思の肩を抱き寄せて、あやすようにぽんぽんと叩く。
かける言葉が見つからないから、そうすることしかできなかった。
人間として暮らしていても、根底にある死神としての恋愛観や倫理観はそうそう変えられない。
「そうか。その調子で頼むぞ。とは言っても、出来る事と出来ない事があるだろうから」
【浅多 侑思】
「本当に無理なことは断っていい。その辺は僕がフォローするから」
【クロノ】
「ありがとう。侑思」
ほっとした顔を見て、今の僕にこいつを守れる力があることを少し誇りに思った。
仕事が終わって、一度侑思の家に戻ってから。
俺は長に伺いを立てるため、数カ月ぶりの死神界へやって来た。
【クロノ】
「なーんも変わってないな。当たり前だけど」
長の部屋に、直接移動した方が早かったけど、街の様子を見たくて歩いて行くことに決めていた。
行き交う死神の姿を見ながら、今まで自分が本当の人間のような心地でいたことに気づく。
死神としての仕事は、じいが月に数回持ってくる依頼をこなすだけ。
黒乃として会社にいる時間の方が長いし濃いから、
人間っぽくなるのは仕方ないことなのかもしれないけど。
ここを出てからまだ少ししか経ってないというのに、俺はすっかりヨントリーの部長代理だ。
【クロノ】
(PV出演かあ……変に目立ちたくないんだけどな)
仕事相手にどう思われてるかは知らない。でも、人間としての仕事じゃなくたって、人前に出るのは苦手だ。
【クロノ】
(……なんでこんなことに)
そもそも一体どんなことをやらされるのかも気になる。
死神だということがうっかり露呈するような事態にはなりようがないとは思うけど。
侑思がやれって言うだろうと思ったから仕方なく了承した部分もあったりして、やっぱり乗り気じゃない。
【クロノ】
「はあ……」
でもまあ。
侑思が頑張れって言ってくれるなら、幾らでも頑張れる気はする。
うちのチームの評価が上がるなら、この部長代理、一肌脱いでやろうじゃないの。
………やっぱなし。0.5肌で。
【長】
「おお、クロノ。息災であったか」
【クロノ】
「まあ…はい。長の取り計らいのおかげで」
【クロノ】
「っていうか、じいから俺の近況報告くらい、受けてるんでしょう…?」
【長】
「当然だ。お前が恋人とどのように過ごしてるかも把握済みだ」
【クロノ】
「そーですか。じゃあ俺が、どういう要件でここに来たかも知ってるわけですね」
【長】
「話が早くて良いだろう? 結論から言えば、問題ない」
【長】
「存分にPVとやらで暴れてこい」
【クロノ】
「……そ、それだけ?」
【クロノ】
「俺一応、長に話通さなきゃって、わざわざ律儀にここまで来たのに」
【長】
「まだ話は終わっておらんぞ。お前が入社する際に、履歴書や経歴を魔法で作っただろう?」
【クロノ】
「そうですね」
【長】
「その部分だけが気がかりだ。何かあった際のために、アンクを同行させる」
【クロノ】
「えっ。それって……じいも俺達と一緒についてくるってことですか」
【長】
「そうだ。何も四六時中とは言わん。会社の関係者と一緒にいる時だけで構わん」
【長】
「アンク。アンクはいるか」
俺が口を出す暇もなく、じいが現れて。一連の話を聞くと
【アンク】
「久し振りにクロノ様と居られますな」
なんて嬉しそうに言われたから、それ以上文句を言う気にもなれず。
のほほんとしたじいを連れて、げんなりしつつ侑思のマンションの前へ移動した。
突然じいを連れて帰ったら驚かれるだろうから。
一度侑思に連絡を入れるため、一度立ち止まって電話をかける。
【アンク】
「ほう……。それが、すまほというものなのですね」
【アンク】
「実にスマートにすまーとほんを使いこなすクロノ様……美しいですぞ」
【クロノ】
「これから嫌っていう程目にする光景だから。ちょっと待ってて」
だけどいくら呼び出しても繋がらない。残業中だろうか。
だったら何度もかけるのは迷惑かと電話を切って、じいに向き直る。
【クロノ】
「侑思出ないから、このまま部屋に行こう。じいを連れて帰ること、一度報告しておきたかったんだけど」
【アンク】
「わかりました。何でしたら話し終わるまで、私は部屋の外で待っていても構いませんぞ」
【クロノ】
「なんかそれはそれで、じいのことが気になって微妙だし」
人間の姿に戻り、いいからとじいを手招きしてマンションの中へ足を伸ばす。
玄関を開けると、キッチンの先にある侑思の部屋から灯りが漏れていることに気づく。
【クロノ】
(もしかして、疲れて眠りこけて電話に出られなかったとか…?)
じいにひとまず待っているように告げて、リビングの扉を小さくノックする。
すると中からガタガタッと物音が聞こえた。
驚いて何か取り落としたかと察して、少し待ってから声をかける。
【クロノ】
「入るよ?」
【浅多 侑思】
「……ああ、大丈夫だ」
きいとドアを開けて中に入ると、侑思は沈鬱な表情でベッドに座っていた。
膝にはA4サイズの白い封筒が置かれている。
じいを連れ帰ったことと侑思の暗い顔のこと、どちらを先に解決すべきか迷って、口を開く。
【クロノ】
「どうしたの。何かあった?」
【浅多 侑思】
「……ああ。……」
【クロノ】
「……言いにくいことなら、頭の中で整理できてからでもいいよ」
【浅多 侑思】
「……いや……。先延ばしにしても仕方ないことだから、言う」
侑思の顔つきが変わったのを見て、俺は隣に腰掛ける。
【浅多 侑思】
「家から、見合い写真が送られてきた」
【クロノ】
「……」
【浅多 侑思】
「同封の手紙には、早く孫の顔が見たいとも書いてあった」
【クロノ】
「そっか……独りでそれを読んだの、辛かったね」
【浅多 侑思】
「……っ、すまない。けど、自業自得のようなものだろ」
【クロノ】
「親御さんには言ってないんだもんな。……そうなるよな」
俺の何とも言えない雰囲気を感じたのか、侑思はすかさず俺に向き直る。
【浅多 侑思】
「勿論、僕は見合いを受ける気はないからな」
【クロノ】
「うん、有難う」
小さく微笑んだのを見て、侑思はほっとしたように息を吐いたけど。
顔色は優れないまま、腿の上でぎゅっとを拳を握り締める。
【浅多 侑思】
「自分が情けない」
【浅多 侑思】
「お前とこういう関係になって長いのに」
【浅多 侑思】
「未だに、同棲の恋人ができたと言えないなんて」
【クロノ】
「……気にしないで。言いにくいことだから、仕方ないよ」
【浅多 侑思】
「…………」
黙って侑思の肩を抱き寄せて、あやすようにぽんぽんと叩く。
かける言葉が見つからないから、そうすることしかできなかった。
人間として暮らしていても、根底にある死神としての恋愛観や倫理観はそうそう変えられない。
