[本編] 春川 樹生 編
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慣れているのか、聞き込みを拒否させない貫禄を感じさせる探偵だった。
春川は目を伏せて、黙ったまま立っている。
【国重 昂正】
「えっとですね、亡くなった西尾さんについて話を聞かせてもらいたいんですが…」
【春川 樹生】
「…………」
西尾という名前には俺も覚えがある。
最近亡くなった人物だが、春川の同僚だったので気になっていた。
【国重 昂正】
「西尾さんが、ちまたで有名なリビドーを使っていた事は知ってるね?」
【春川 樹生】
「……そうらしいですね」
【国重 昂正】
「西尾さんとリビドーについて、何か知ってることは?」
リビドーについて、そう聞かれた時、春川の顔がわずかに強張る。
【国重 昂正】
「……ん?」
その瞬間を、探偵も見逃さなかったみたいだ。
【国重 昂正】
「……もしかしてあんたも使ってるのか?」
【春川 樹生】
「……」
【国重 昂正】
「責めてるわけじゃない。誰しも願望を叶えたいって気持ちがあるのは理解できる」
【国重 昂正】
「たとえそれが夢の中の話でもだ」
一気に喋り終えた探偵は、ふうっとため息を吐き、ゆっくりと間を取った。
【春川 樹生】
「……」
【国重 昂正】
「……俺は探偵としてリビドーについての情報を集めてるだけだ」
【国重 昂正】
「誤解しないでくれ。別にあんたを疑ってるわけじゃない」
春川は口を閉ざしたまま目を伏せている。
リビドーは裏サイトの商品だ。軽々しく口に出来ないことは、俺にも分かる。
【春川 樹生】
「オレは、何も知りません」
【国重 昂正】
「……そうか。とにかく情報が必要でね」
【国重 昂正】
「邪魔したみたいで、すまなかったな……また来るよ」
探偵が立ち去って、春川は一人残される。
立ち尽くして何か考えているみたいだ。
表情も、どことなく暗く見える。
【春川 樹生】
「……やっぱり、事件に繋がるような装置なんだな…」
寂しげな呟きが聞こえてくる。
自分の手にした物が、危険なものだと実感したのだとすれば、俺には好都合なんだけど。
【春川 樹生】
「……でも……っ。ダメだ」
【春川 樹生】
「オレは、生汰に会いたい……」
春川は立ちすくんだまま、唇を噛み締めていたけど。
しばらくして、仕事の事を思い出したのか、自分のトラックに走って行く。
【クロノ】
(……探偵とのやりとりくらいじゃ、考え直したりはしないか……)
俺も、これ以上ここに居ても意味が無いと判断し、死神界に帰ることにする。
家に戻り報告書を作っていると、じいが大慌てで部屋に駆け込んできた。
【クロノ】
「どうしたの、そんなに慌てて……」
【アンク】
「朗報ですぞー!クロノ様!」
【アンク】
「クロノ様!新しいリビドーが完成しましたぞ!」
【クロノ】
「新しいリビドー?」
目をキラキラとさせたじいが、差し出してきた手には、リビドーが乗っていた。
……今までと同じに見えるけど。
【クロノ】
(何が新しいんだ…?)
【クロノ】
「……まさかそれでじいまで夢の中に入ってきたりとか……考えただけでゾッとする」
【アンク】
「ゾッとするとは失敬な。死神長様の命令とあらばそう致しますが……」
【アンク】
「実は、このリビドーには新しい機能を付け加えました」
【アンク】
「悪夢から覚醒させる機能です」
【クロノ】
「へえ。春川が悪夢を見ていても、すぐ助けられるってこと?」
【アンク】
「いかにもその通りでございます!」
【アンク】
「昨日、クロノ様を介して春川さんから得たデータを解析したところ、とある発見をいたしました」
【アンク】
「悪夢の中には、必ず『綻び』があるはずでございます」
【アンク】
「それこそが、正しい夢の名残、夢の始まりでございます。悪夢をほどく箇所なのです」
【アンク】
「夢に介入している最中、悪夢が訪れたら『綻び』を破壊して下さいませ」
【アンク】
「それで悪夢がほどけ、春川さんを救うことが出来るのでございます」
【クロノ】
「綻び……ね」
【クロノ】
「それってどんな形で、どんな色なの? どこあるの?」
【アンク】
「それは分かりかねますが、例えば夢が始まる場所……」
【アンク】
「悪夢の原因となる所にあるのではないでしょうか」
【アンク】
「そこを突けば、悪夢は破壊され、悪夢化される前の夢へと戻る事でしょう」
【アンク】
「もともとは願望通りの夢ですが、悪夢はそれを侵食するように発生するようですし」
願望を侵食する悪夢、……何かの例え話みたいだ。
俺が納得して頷くと、じいは胸を張ってから口を開いた。
……どうやら頑張って調べた事を話したいらしい。褒めてといわんばかりの表情だ。
【アンク】
「科学的な解説をいたしますと……」
【アンク】
「悪夢の原因はリビドーとLIPの使用で、
脳の情報許容量がオーバーしてしまう事にあるようですな」
【アンク】
「この新型リビドーは、装着したクロノ様を介し、
安全な脳波を送る事で悪夢を解消する仕組みです」
【クロノ】
「なるほど、便利だ」
【アンク】
「ただ、使ってみなければ効果のほどはわかりませんが……」
【クロノ】
「まあ、何とかなるでしょ。ありがとう、じい。助かる」
【クロノ】
「よし……そろそろ時間だし、それ持って人間界に下りるよ」
【クロノ】
「たぶん、春川は昨日から悪夢を見始めてる。……早くやめさせないと」
夢の中の春川の部屋で、兄弟はいつものように楽しそうに過ごしていた。
―――俺が現れるまでは。
春川は、俺の姿を認めると表情を曇らせる。
弟の方は、俺をジッと見つめていた。無表情のまま、まるで何かの置物みたいな顔で。
【クロノ】
「……俺、そんなに嫌われるような事、したっけ?」
【春川 樹生】
「…………」
【クロノ】
「だんまり? 俺とは会話もしたくないって?」
春川は目を伏せて、黙ったまま立っている。
【国重 昂正】
「えっとですね、亡くなった西尾さんについて話を聞かせてもらいたいんですが…」
【春川 樹生】
「…………」
西尾という名前には俺も覚えがある。
最近亡くなった人物だが、春川の同僚だったので気になっていた。
【国重 昂正】
「西尾さんが、ちまたで有名なリビドーを使っていた事は知ってるね?」
【春川 樹生】
「……そうらしいですね」
【国重 昂正】
「西尾さんとリビドーについて、何か知ってることは?」
リビドーについて、そう聞かれた時、春川の顔がわずかに強張る。
【国重 昂正】
「……ん?」
その瞬間を、探偵も見逃さなかったみたいだ。
【国重 昂正】
「……もしかしてあんたも使ってるのか?」
【春川 樹生】
「……」
【国重 昂正】
「責めてるわけじゃない。誰しも願望を叶えたいって気持ちがあるのは理解できる」
【国重 昂正】
「たとえそれが夢の中の話でもだ」
一気に喋り終えた探偵は、ふうっとため息を吐き、ゆっくりと間を取った。
【春川 樹生】
「……」
【国重 昂正】
「……俺は探偵としてリビドーについての情報を集めてるだけだ」
【国重 昂正】
「誤解しないでくれ。別にあんたを疑ってるわけじゃない」
春川は口を閉ざしたまま目を伏せている。
リビドーは裏サイトの商品だ。軽々しく口に出来ないことは、俺にも分かる。
【春川 樹生】
「オレは、何も知りません」
【国重 昂正】
「……そうか。とにかく情報が必要でね」
【国重 昂正】
「邪魔したみたいで、すまなかったな……また来るよ」
探偵が立ち去って、春川は一人残される。
立ち尽くして何か考えているみたいだ。
表情も、どことなく暗く見える。
【春川 樹生】
「……やっぱり、事件に繋がるような装置なんだな…」
寂しげな呟きが聞こえてくる。
自分の手にした物が、危険なものだと実感したのだとすれば、俺には好都合なんだけど。
【春川 樹生】
「……でも……っ。ダメだ」
【春川 樹生】
「オレは、生汰に会いたい……」
春川は立ちすくんだまま、唇を噛み締めていたけど。
しばらくして、仕事の事を思い出したのか、自分のトラックに走って行く。
【クロノ】
(……探偵とのやりとりくらいじゃ、考え直したりはしないか……)
俺も、これ以上ここに居ても意味が無いと判断し、死神界に帰ることにする。
家に戻り報告書を作っていると、じいが大慌てで部屋に駆け込んできた。
【クロノ】
「どうしたの、そんなに慌てて……」
【アンク】
「朗報ですぞー!クロノ様!」
【アンク】
「クロノ様!新しいリビドーが完成しましたぞ!」
【クロノ】
「新しいリビドー?」
目をキラキラとさせたじいが、差し出してきた手には、リビドーが乗っていた。
……今までと同じに見えるけど。
【クロノ】
(何が新しいんだ…?)
【クロノ】
「……まさかそれでじいまで夢の中に入ってきたりとか……考えただけでゾッとする」
【アンク】
「ゾッとするとは失敬な。死神長様の命令とあらばそう致しますが……」
【アンク】
「実は、このリビドーには新しい機能を付け加えました」
【アンク】
「悪夢から覚醒させる機能です」
【クロノ】
「へえ。春川が悪夢を見ていても、すぐ助けられるってこと?」
【アンク】
「いかにもその通りでございます!」
【アンク】
「昨日、クロノ様を介して春川さんから得たデータを解析したところ、とある発見をいたしました」
【アンク】
「悪夢の中には、必ず『綻び』があるはずでございます」
【アンク】
「それこそが、正しい夢の名残、夢の始まりでございます。悪夢をほどく箇所なのです」
【アンク】
「夢に介入している最中、悪夢が訪れたら『綻び』を破壊して下さいませ」
【アンク】
「それで悪夢がほどけ、春川さんを救うことが出来るのでございます」
【クロノ】
「綻び……ね」
【クロノ】
「それってどんな形で、どんな色なの? どこあるの?」
【アンク】
「それは分かりかねますが、例えば夢が始まる場所……」
【アンク】
「悪夢の原因となる所にあるのではないでしょうか」
【アンク】
「そこを突けば、悪夢は破壊され、悪夢化される前の夢へと戻る事でしょう」
【アンク】
「もともとは願望通りの夢ですが、悪夢はそれを侵食するように発生するようですし」
願望を侵食する悪夢、……何かの例え話みたいだ。
俺が納得して頷くと、じいは胸を張ってから口を開いた。
……どうやら頑張って調べた事を話したいらしい。褒めてといわんばかりの表情だ。
【アンク】
「科学的な解説をいたしますと……」
【アンク】
「悪夢の原因はリビドーとLIPの使用で、
脳の情報許容量がオーバーしてしまう事にあるようですな」
【アンク】
「この新型リビドーは、装着したクロノ様を介し、
安全な脳波を送る事で悪夢を解消する仕組みです」
【クロノ】
「なるほど、便利だ」
【アンク】
「ただ、使ってみなければ効果のほどはわかりませんが……」
【クロノ】
「まあ、何とかなるでしょ。ありがとう、じい。助かる」
【クロノ】
「よし……そろそろ時間だし、それ持って人間界に下りるよ」
【クロノ】
「たぶん、春川は昨日から悪夢を見始めてる。……早くやめさせないと」
夢の中の春川の部屋で、兄弟はいつものように楽しそうに過ごしていた。
―――俺が現れるまでは。
春川は、俺の姿を認めると表情を曇らせる。
弟の方は、俺をジッと見つめていた。無表情のまま、まるで何かの置物みたいな顔で。
【クロノ】
「……俺、そんなに嫌われるような事、したっけ?」
【春川 樹生】
「…………」
【クロノ】
「だんまり? 俺とは会話もしたくないって?」
