[本編] プロローグ
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昨日また一人、人間が死んだ
一昨日死んだ何人かの人間と同じような状況、同じような死に方で
死体の傍らには、いつも同じ『ヘッドセットのような機械』が転がっている
それは通称『Libido(リビドー)』と呼ばれている、夢を操る装置である
【クロノ】
「はあ……」
じいに渡された資料を置いて、俺は溜息をつく
【クロノ】
「キナ臭くて笑っちゃうくらいだ。……で? 用件はなに?」
【アンク】
「この件の調査をクロノ様に命じるとのことです」
【クロノ】
「どうせそんなことだろうとは思ったけど、正直に言っていい?面倒くさい」
【アンク】
「そうおっしゃらずに……まずは死神長様のもとへお急ぎください」
俺の本業は、死期を迎えた人間の魂を狩り取る事だちなみに担当は新宿区
【クロノ】
(調査なんて、本当に面倒くさいな)
今のところ、生活に不満はない
ただ普通に働いて、平穏に暮らせればそれだけで充分なんだけど
なのに最近、人間界が慌ただしくて迷惑している
さっきじいから渡された資料によると、裏ネット通販で、『リビドー』という、自由に夢を見られる器具が出回っているらしい
それを購入・使用した者が死亡するという事件が多発
その問題究明のため、俺に白羽の矢が立ったという訳だ
【クロノ】
(ほんと、いい迷惑だな…)
しぶしぶ長の元へ向かっていると、同僚の姿が視界に入った
【ユリス】
「おっ、クロノじゃん、そんなに急いでどこへお出かけ?」
【クロノ】
「…………」
……俺、こいつ苦手キーキーうるさいから
【ユリス】
「シカトかよ。せっかく声かけてやったんだから返事くらいしたら?」
【クロノ】
「急いでるから。おしゃべり相手が欲しいなら他を当たって。じゃあ」
さっさとユリスの前を通り過ぎようとした時、腕を掴まれた
【ユリス】
「お前のそーゆーとこホントむかつく」
【ユリス】
「けど、俺と仲良くしといた方が、これからのためになると思うけど」
【ユリス】
「例えば今、人間界で起きてる事件のこととか、ね」
【クロノ】
(……何言ってんだこいつ)
あからさまに思わせぶりな台詞だけど、今は構ってやる気が起きない
―ぐい
【ユリス】
「!!??」
ユリスの手首を引っ張り上げて、強引に唇を重ねて黙らせる
男も女も、うるさいのにはこれに限る
【ユリス】
「あ……あ……」
【クロノ】
「そういうことで。じゃあ」
真っ赤になったまま、口をパクパクさせているユリスの横を、今度こそ通り過ぎようとしたのだが…
【ユリス】
「ちょっ、ちょっと待てよ!! おまっ……は!?」
【ユリス】
「何つらっとした顔で立ち去ろうとしてんだオイ!!」
我に返ったようなユリスの声が追いすがってきて、俺は仕方なく振り返った
まったく、本当にしつこい奴
【クロノ】
「先を急いでるって言ったんだけど」
【クロノ】
「それともなに、キスだけじゃ物足りない?」
【ユリス】
「バッ……違ぇよ!! おま……その……今のって、キ、キ……」
【クロノ】
「キス。その先もご所望だって言われても、お前とは無理」
【ユリス】
「―っ!」
【クロノ】
「だけど意外。お前、なりは子供のくせにけっこうがっついてるのな。欲求不満?」
【ユリス】
「―――っ、んなわけねーだろ!! このっ……」
【クロノ】
「続きは必要ないっていうならもう追ってくるな」
【クロノ】
「と言っても、追われてもやってやる気はないけど」
【ユリス】
「なっ……!!」
ユリスの顔が、真っ赤を通り越して、ゆでダコのような色に染まる
それは怒りにも、照れているようにも見えたけど、俺には関係ない話だ
ともかく、ようやく黙ったユリスを置いて、俺はその場を立ち去った
【長】
「本来、死ぬべき予定ではなかった人間の余命が僅かになり、想定外の狩りが増えたことは知っているな」
【クロノ】
「まあ……はい」
【長】
「現段階でわかっていることは、彼らが皆、夢を見ていたということだ」
【長】
「しかしそれは、ただの夢ではない。欲望と願望に満ちた、麻薬のような夢だ」
【クロノ】
「麻薬……ねえ」
欲望とか願望とか、俺とは縁遠いものだ
【長】
「それを意図的に見ることのできる機械を、彼らは所持している」
【長】
「夢に依存している人間の目を醒まし、謎の真相を探れ」
【長】
「これで話は以上だが……上の空だったようだな」
ゴッ
………ゲンコツを食らった
それはともかく、話の内容はこう
本来死期が近くないはずの人間リストの中から、まずは一人を選び出し、調査にあたること
その人間の余命は―13日
【アンク】
「お疲れ様です、クロノ様長からのお話はいかがでございましたかな」
【クロノ】
「……ていうか、ほとんど何も聞かされなかったんだけど」
【クロノ】
「全部じいに聞けって言われて」
【アンク】
「ご安心下さい。今後、私も、クロノ様と共に人間界に行き、サポートをするよう命じられております」
【クロノ】
「はいはい、わかった。宜しく……」
【アンク】
「それでは早速、本題に入りますぞ」
【アンク】
「まずは、わかっていることはあまり多くありません」
そう言って手渡されたのは、ヘッドホンのような装置
【クロノ】
「これが、例の……『リビドー』とかいう機械?」
【アンク】
「はい、脳波装置です。自分の夢を操ることができるようですね」
【アンク】
「これを使用していた者が死んでおります」
【クロノ】
「それはもう、何度も聞いたよ」
【アンク】
「リビドーを通して見た夢のことを、人間は『憧憬夢』と呼んでいるようです」
【アンク】
「最初の事件の報道時に、この名前が使われたことがきっかけだそうで」
【クロノ】
「ふーん……確か、欲望と願望に満ちた夢だっけ?」
一昨日死んだ何人かの人間と同じような状況、同じような死に方で
死体の傍らには、いつも同じ『ヘッドセットのような機械』が転がっている
それは通称『Libido(リビドー)』と呼ばれている、夢を操る装置である
【クロノ】
「はあ……」
じいに渡された資料を置いて、俺は溜息をつく
【クロノ】
「キナ臭くて笑っちゃうくらいだ。……で? 用件はなに?」
【アンク】
「この件の調査をクロノ様に命じるとのことです」
【クロノ】
「どうせそんなことだろうとは思ったけど、正直に言っていい?面倒くさい」
【アンク】
「そうおっしゃらずに……まずは死神長様のもとへお急ぎください」
俺の本業は、死期を迎えた人間の魂を狩り取る事だちなみに担当は新宿区
【クロノ】
(調査なんて、本当に面倒くさいな)
今のところ、生活に不満はない
ただ普通に働いて、平穏に暮らせればそれだけで充分なんだけど
なのに最近、人間界が慌ただしくて迷惑している
さっきじいから渡された資料によると、裏ネット通販で、『リビドー』という、自由に夢を見られる器具が出回っているらしい
それを購入・使用した者が死亡するという事件が多発
その問題究明のため、俺に白羽の矢が立ったという訳だ
【クロノ】
(ほんと、いい迷惑だな…)
しぶしぶ長の元へ向かっていると、同僚の姿が視界に入った
【ユリス】
「おっ、クロノじゃん、そんなに急いでどこへお出かけ?」
【クロノ】
「…………」
……俺、こいつ苦手キーキーうるさいから
【ユリス】
「シカトかよ。せっかく声かけてやったんだから返事くらいしたら?」
【クロノ】
「急いでるから。おしゃべり相手が欲しいなら他を当たって。じゃあ」
さっさとユリスの前を通り過ぎようとした時、腕を掴まれた
【ユリス】
「お前のそーゆーとこホントむかつく」
【ユリス】
「けど、俺と仲良くしといた方が、これからのためになると思うけど」
【ユリス】
「例えば今、人間界で起きてる事件のこととか、ね」
【クロノ】
(……何言ってんだこいつ)
あからさまに思わせぶりな台詞だけど、今は構ってやる気が起きない
―ぐい
【ユリス】
「!!??」
ユリスの手首を引っ張り上げて、強引に唇を重ねて黙らせる
男も女も、うるさいのにはこれに限る
【ユリス】
「あ……あ……」
【クロノ】
「そういうことで。じゃあ」
真っ赤になったまま、口をパクパクさせているユリスの横を、今度こそ通り過ぎようとしたのだが…
【ユリス】
「ちょっ、ちょっと待てよ!! おまっ……は!?」
【ユリス】
「何つらっとした顔で立ち去ろうとしてんだオイ!!」
我に返ったようなユリスの声が追いすがってきて、俺は仕方なく振り返った
まったく、本当にしつこい奴
【クロノ】
「先を急いでるって言ったんだけど」
【クロノ】
「それともなに、キスだけじゃ物足りない?」
【ユリス】
「バッ……違ぇよ!! おま……その……今のって、キ、キ……」
【クロノ】
「キス。その先もご所望だって言われても、お前とは無理」
【ユリス】
「―っ!」
【クロノ】
「だけど意外。お前、なりは子供のくせにけっこうがっついてるのな。欲求不満?」
【ユリス】
「―――っ、んなわけねーだろ!! このっ……」
【クロノ】
「続きは必要ないっていうならもう追ってくるな」
【クロノ】
「と言っても、追われてもやってやる気はないけど」
【ユリス】
「なっ……!!」
ユリスの顔が、真っ赤を通り越して、ゆでダコのような色に染まる
それは怒りにも、照れているようにも見えたけど、俺には関係ない話だ
ともかく、ようやく黙ったユリスを置いて、俺はその場を立ち去った
【長】
「本来、死ぬべき予定ではなかった人間の余命が僅かになり、想定外の狩りが増えたことは知っているな」
【クロノ】
「まあ……はい」
【長】
「現段階でわかっていることは、彼らが皆、夢を見ていたということだ」
【長】
「しかしそれは、ただの夢ではない。欲望と願望に満ちた、麻薬のような夢だ」
【クロノ】
「麻薬……ねえ」
欲望とか願望とか、俺とは縁遠いものだ
【長】
「それを意図的に見ることのできる機械を、彼らは所持している」
【長】
「夢に依存している人間の目を醒まし、謎の真相を探れ」
【長】
「これで話は以上だが……上の空だったようだな」
ゴッ
………ゲンコツを食らった
それはともかく、話の内容はこう
本来死期が近くないはずの人間リストの中から、まずは一人を選び出し、調査にあたること
その人間の余命は―13日
【アンク】
「お疲れ様です、クロノ様長からのお話はいかがでございましたかな」
【クロノ】
「……ていうか、ほとんど何も聞かされなかったんだけど」
【クロノ】
「全部じいに聞けって言われて」
【アンク】
「ご安心下さい。今後、私も、クロノ様と共に人間界に行き、サポートをするよう命じられております」
【クロノ】
「はいはい、わかった。宜しく……」
【アンク】
「それでは早速、本題に入りますぞ」
【アンク】
「まずは、わかっていることはあまり多くありません」
そう言って手渡されたのは、ヘッドホンのような装置
【クロノ】
「これが、例の……『リビドー』とかいう機械?」
【アンク】
「はい、脳波装置です。自分の夢を操ることができるようですね」
【アンク】
「これを使用していた者が死んでおります」
【クロノ】
「それはもう、何度も聞いたよ」
【アンク】
「リビドーを通して見た夢のことを、人間は『憧憬夢』と呼んでいるようです」
【アンク】
「最初の事件の報道時に、この名前が使われたことがきっかけだそうで」
【クロノ】
「ふーん……確か、欲望と願望に満ちた夢だっけ?」
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