本編
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《兆し》
【山口 遼太】
「あの~~~……これが次のJIF参加予定の日程表とぉ……衣装のデザイン案で……」
前回の『JAPAN IDOL FESTIVAL 20XX』のリベンジとばかりに色々な資料を持ってやってきた山口だったが。
アイドル達の様子がおかしいのは誰の目にも明らかで、
資料を配り終えても落ち付かずにおろおろするばかりだった。
果凛を付け狙う記者の一件は既に皆周知の問題で気を付けていこうと決めたばかりだが、
皆の気持ちが重いのは山口も理解していた。
勿論山口もかなり心配はしていたが、JIFリベンジもポラリスにとっては十分大事な事だ。
【山口 遼太】
「……あ、あのぉー……二條さん、パフォーマンスの構成なんですが……ッ!」
【二條 榛貴】
「あーそうだな……おう、ちょっと考えるか」
年長者である二條に託すのが一番だと判断した山口は二條にまとめ役を託す。
それを受けて二條は立ち上がり用意したホワイトボード前で進行を促すが……
話し合いは上手くまとまらず、皆の口は一様に重いままだった。
そんな空気を打破するように、ガチャリという金属音がレッスン場に木霊する。
【政親】
「……どうしました、話し合いはまとまりましたか」
【山口 遼太】
「くっ黒田さんッ!お待ちしてましたァッ!」

《本番》
【政親】
「……なんです、既に1時間も経ってるのに何も決まってないんですか?」
【山口 遼太】
「あっ…ッ!ハイ!そのぉ……」
遅れてきた政親は真っ白いホワイトボードと山口の慌てぶり、
そして皆の顔つきを見て話し合いが進んでない事を一瞬で把握した。
分かりやすくため息をつくと、静まり返ったレッスン場に大きな音が鳴り響いた。
驚くポラリスメンバー。それは政親がホワイトボードを平手で叩いた音だった。
皆の目線が一斉に政親へと向けられる。
【政親】
「パパラッチを狙っている記者が気になっているのは十分に分かりますが。それこそ相手の思うツボです」
【芦沢】
「……ッ」
芦沢の小さな舌打ちが聞こえる。それを聞いた果凛が咄嗟に身体を竦めた。
が、政親は何も気にしていないという素振りで話を続ける。
【政親】
「事前準備は非常に大事です。始まる前からこの調子では、次の優勝もVIRTUEが掻っ攫っていきますよ」
【日月 梓乃】
「……でも…っ!」
【大須賀 侑生】
「シノくん…」
【笹雨 清明】
「梓乃……」
皆、芦沢の苛つきや果凛の焦りを心配し、そして日々悪質な記者が付きまとっているんじゃないかと言う不安に萎縮していた。
空回りしている現状は頭では分かっているが、いつか自分が足を引っ張ってしまうのではないかと言う恐怖。
その様子を見てとった政親は大きく息を吐いた。

《絶頂》
記者はおそらく冴島と繋がっているだろうという事は政親も薄々感づいていた。
果凛への異常な愛情を見せる記者の感情を逆手に取って、余計な情報を流したのは冴島に違いない。
でなければ……芦沢があれほど焦る訳がないのだ。
芦沢があそこまでイラつく理由は一つしかない。
【政親】
「もう一度聞きます。あのステージに戻りたくないのですか?
あと一歩だった栄冠を掴みたくないのですか。ファンの方々に結果を見せたくないのですか。
……テッペンを取りたくないんですか?」
―テッペンを取る。
それはポラリスの皆の表情に変化をもたらす言葉だった。
あのステージに戻って、今度こそ悔いを残す事なく、正々堂々と勝負する。
応援してくれたファンの声に笑顔で応える。
【日月 梓乃】
「……そうだよな、俺テッペンを取るって、誓ったんだ」
【笹雨 清明】
「悔しいですが、黒田さんの言う通りですね。こんな所で立ち止まってる場合じゃないんです、俺達」
【葛城 雄眞】
「まぁ、とりあえずだ。パパラッチの野郎は置いておいて。
まず一番俺達らしいパフォーマンスを考えようぜ」
【壱川 咲十郎】
「そうですね。……まずはしっかり前を向く事から始めんと」
【壱川 咲十郎】
「……咲ちゃん……」
ね、と笑顔を見せる壱川に、果凛は一瞬息を飲んで、それから何度も頷いて見せた。
【二條 榛貴】
「おっし、じゃーちょっと気合い入れて皆で曲の選出から考えるかー」
【大須賀 侑生】
「あ、僕書き出しますね!」
あれだけ静かだったレッスン場が急に活気付き、皆の口からは一斉に意見が溢れだした。
【政親】
「……山口。気になった事があれば随時報告するように」
【山口 遼太】
「あっ!ひゃい!黒田さんッ!!」
賑やかな声に押されてレッスン場を後にする政親。
目の前には穏やかな表情の榎本が立っていた。
【榎本 公志郎】
「さっすが、私達が選んだ子達ね。何度躓いても、まっすぐ前を見て立ち上がれる子達よ、政親」
【政親】
「当たり前です」
二人はふ、と笑みをこぼしてから、すぐに事務所へと引っ込み、ノートPCの電源をいれる。
まずは、邪魔者を排除する事が先。政親の眼鏡が怪しく光った。
