本編
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《兆し》
【墨代 睡蓮】
「んー…」
営業の終わったベッドの上で、墨代は大きく伸びをした。
最近のエンジェル営業は時間が短い物が多い。
それというのも、ポラリスのメンバーが徐々に売れ出しており、
エンジェル営業のスケジュールを押さえる方が難しくなってきたのだ。
墨代にも食べる事が好き、というアピールが功を奏したのか、
深夜の芸人料理バトルの相手役や、人気特番の「御当地料理・一番星決定戦!」のジャッジなんかも飛び込んでくるようになり忙しい日々になっている。
【墨代 睡蓮】
「あ、黒田さんだ」
実際に政親が来たわけではない。
枕元に置いてあった墨代の携帯が音を立てて存在を主張し、そのディスプレイには大きく「黒田さん」と表示されていた。
【墨代 睡蓮】
「明日はー…朝8時。りょーかいです」
声に出して確認する。明日は温泉地でのロケだ。
以前遅刻寸前に収録現場に到着した際、政親からこっぴどく叱られた事があった。
後に指導やらキツめのエンジェル営業やらを仕込まれたので、
それ以降墨代は遅刻しないように細心の注意を払っている。
【墨代 睡蓮】
「…怒られるとすごーくお腹が空いちゃうから…気をつけなきゃ」
間にご飯を食べる事も許されなかった事を思い出して、墨代は頭から布団を被る。
…が、すぐに顔を出した。
【重要】とフラグがついているメールを再度確認する。
一緒にロケをして回るのは、刑事ドラマのドンと言われる権藤と言う役者だ。
何度も声に出して確認し、携帯を閉じる。
【墨代 睡蓮】
「あ…お腹空いた…ふわふわしたものが食べたい」
ここの支払いは今日の営業相手が全て払ってくれると聞いている。
墨代は早速ホテルのルームサービス一覧に、
何か美味しい物はないかと物色をし始めるのだった。

《本番》
―ロケ地
【権藤】
「君が、墨代君か」
【墨代 睡蓮】
「墨代睡蓮です。今日はお世話になります、…えーとご指導ご鞭撻、よろしくお願いしますー」
政親に仕込まれた挨拶を少々危なっかしげに告げペコリと頭を下げると、
権藤の大きな手が下げた墨代の後頭部を撫でていく。
【権藤】
「そうかそうか」
【墨代 睡蓮】
(ん…?)
普通に撫でられた…のではなく、その撫で方は少し熱を孕んでいるように感じられた。
【権藤】
「ロケが終わったら私の所に来るように」
【墨代 睡蓮】
(…なんか凄くもぞもぞする触り方…)
墨代ははーい、と簡潔な返事を送るとその場を後にした。
【墨代 睡蓮】
「黒田さん」
もしや?と思い、墨代が政親に確かめに行く。
予想通り、あの権藤はロケ後のエンジェル営業相手だった。
【政親】
「…ああ、あの方は今回のロケ同行役に貴方を指名した方ですよ。
礼儀を欠くような事がないように」
【墨代 睡蓮】
「はーい」
そんな政親の忠告も耳に入ったかどうか。
墨代の目先には今日の仕事の事…よりも、ロケ地での食事で頭がいっぱいだった。
美食家としても有名らしい権藤が選ぶ温泉旅館の味。
…美味しいもの、たくさん食べられるかも。
そんな淡い期待と共に墨代は改めてロケの始まりを待つ事にした。

《絶頂》
―温泉宿
【墨代 睡蓮】
「…はぁ……も、ダメです……いっぱい…」
権藤の宿泊している部屋に呼び出された墨代は、
2時間半程度の拘束の後ようやく解放された。
明日もロケで早いのに、元気な人だなあと墨代は呟く。
【権藤】
「はは、明日もあるしな、…ここで許してあげよう」
【墨代 睡蓮】
「ん…、あ、…ありがとうございます……」
ぬるりとした物が身体から引き抜かれて、墨代は身体を震わせる。
大きく息をしゆっくり起き上がると、権藤が墨代の肩を掴んで目線を合わせてきた。
【墨代 睡蓮】
「俺の顔に何かついてますか?」
【権藤】
「…君を間近で見てみたかったんだ」
権藤との接点は墨代にはない。
なので、見てみたかったと言われた事に合点がいかなかったので素直に首を傾げると、
権藤は不意に聞き覚えのある名字を呟いた。
【権藤】
「冴島の名に覚えは?」
【墨代 睡蓮】
「知り合いです」
墨代は即答する。そうとしか言えなかった。
知り合いだという事実は間違っていない。
【権藤】
「ハッハッハ、知り合いか、なるほど。その通りだな」
【墨代 睡蓮】
「はい」
【権藤】
「元々君の食べっぷりが気に入って、今回の話を持ちかけたんだ。…その後、冴島から茶々が入ってなあ」
目を付けられているのか?と問われ、墨代はその言葉を反芻する。
【墨代 睡蓮】
「冴島さんはポラリスを見るとイライラするみたいです」
【権藤】
「…俺は冴島とは飲み仲間でな。…君は、その」
【墨代 睡蓮】
「知り合いです」
【権藤】
「そうか」
なんだか変な話になってきたなあと、墨代は笑顔でその話を濁した。
―冴島とは知り合い。
コレ、いつか言わないとダメかな。
いつも温かく迎えてくれるポラリスのメンバーを思い出す。
突如胸に湧いた黒いモヤモヤごと、自分の身体を抱きしめるのだった。
