本編
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《兆し》
時間は―まだ18時をまわった頃。
人通りも多かった事から、油断していた。―突然路地裏に連れ込まれるなんて…。
【本村 果凛】
「やっ……めて、…酷い事しないで。
お願い……ね?」
【男1】
「な?コイツ見た事ある顔じゃねえ?ほら……テレビでさ」
【男2】
「ゲ。思いだした。じゃあコイツ男じゃねえの?確か女装っこ~とかって特集されてただろ?」
果凛の言葉もむなしく―男の一人が乱暴に、果凛の中心部を触っていく。
【本村 果凛】
「やっ…!」
【男2】
「おお?マジで男だわ、コイツ」
【男1】
「うっそ、俺にも触らせろよ」
【本村 果凛】
「っあ……、痛い……やだ……っ」
【男1】
「うわ!マジじゃねえか。……すっげぇ、この顔と体で男?!」
【男2】
「おっまえ、何興奮してんだよ!うける!」
【男1】
「いやいや、俺コイツだったら男でも全然いけるわ」
【本村 果凛】
「…………っ………」
男達はまるで玩具をいじるように、果凛の根元や先端に手を伸ばす。
果凛の抵抗等、虫が止まった程度の効果しかその男達にはもたらす事が出来ず、
しまいには口元もふさがれてしまった。
【本村 果凛】
(やだ……怖い……っ…気持ち悪いよぉっ)
―ドシン!!!
【男1】
「ぎゃあ!」
突然。男の割れるような悲鳴が響く。
【葛城 雄眞】
「てめぇら―ヒトの連れに何してんだよ」
【本村 果凛】
(え……?)
【男1】
「……っ…いっ……て………!」
【男2】
「てめぇ!ふざけんな!!ぶっ殺すぞ!」
【葛城 雄眞】
「オイオイ、大声出すと、善良な市民の皆さんがお集まりになっちまうぜ?」
【男2】
「………っ……!」
葛城雄眞。………同じ、ポラリス所属のアイドル。
彼が助けてくれたのだ……、と、やっと果凛の頭が展開についていく。
―葛城の言葉通り、路地裏に人が集まってきた為に、男達はその場から逃げだしていった―。
《本番》
【本村 果凛】
「……お疲れ様」
【葛城 雄眞】
「おお、…お疲れさん」
レッスンを終えて一休みする葛城に、果凛がペットボトルの水を差し入れ、話しかける。
【本村 果凛】
「あのね、……さっきは、ありがとう」
【本村 果凛】
「助かっちゃった☆」
【葛城 雄眞】
「…………」
正直に言えば―果凛にとってああいう経験は1度や2度……ではない。
何度も―酷い時は連日、襲いかかってくる事態だ。
そんな思いがよぎり、果凛の笑みには諦めが滲んでいた。
【葛城 雄眞】
「お前さ、――しっかりしてるくせに、危なっかしいのな」
【本村 果凛】
「……どういう意味よ」
【葛城 雄眞】
「ま……何かあったら、助けてやるさ」
ポン、と果凛の頭を撫でる葛城。
【本村 果凛】
「………っ」
突然の事に―果凛は押し黙り、頬を赤く染めた。
【葛城 雄眞】
「―な……ん、だよお前。そのリアクション。こっちが恥ずかしくなんだろ」
【本村 果凛】
「り…リアクションって。別に、僕変な事言ってないもん!」
―こんなの、自分らしくない。果凛は自分で自分の反応が、まるで女子中学生みたいだと気がついていた。
それが恥ずかしくてたまらなくて、つい怒ったみたいに叫んでしまったのだった。
《絶頂》
――暴漢から助けられて、1週間後―
【本村 果凛】
「………、あれ?葛城…」
【葛城 雄眞】
「ん…、……何でお前こんな場所に」
【本村 果凛】
「あー、うん。……お仕事よ、例の。さっき終わったの」
【葛城 雄眞】
「そっか」
果凛の全身に視線を送る葛城。
果凛はいぶかしんで、声をかけた。
【本村 果凛】
「何よ、じろじろみちゃって。感じわるぅい」
【葛城 雄眞】
「…………、いや。お前ってマジに男なんだよな、って思ってよ」
【本村 果凛】
「…はあ?!何それ!」
先週の暴漢と同じ言い草に、果凛はカっとなって返す。
【葛城 雄眞】
「いや、男がわりぃつってんじゃねーっての」
【本村 果凛】
「はあ?じゃあ、何よ」
【葛城 雄眞】
「…………」
果凛の問いに葛城は答えず―代わりにカクテルを差し出してきた。
【葛城 雄眞】
「お前、明日オフなら飲み直そうぜ」
【本村 果凛】
「…………っ」
果凛はこの―偉そうな、それでいて優しい同僚によって
エンジェル営業の疲れが抜けていく心地がした。