谷崎と初お泊り
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【谷崎】
「……さてと、俺も戻るか」
その背中を見送り、誰へともなく呟いて腰を上げ…
懐かしい教室を…
12年の歳月を経て、伸びた背の視点で見渡す
【谷崎】
(机も椅子も、こんなに小さかったのだな……
それに、宮沢も)
先程、兎のように泣き腫らした目をしていた…幼い宮沢
【谷崎】
(あいつに、あんな顔をさせる訳には……いかないからな)
―そんなことを思いながら、教室のドアに手をかけた―瞬間
【宮沢】
「潤司―!!」
強い力に引き寄せられるように、急激に意識が引き上げられた
【谷崎】
(ここは………)
【宮沢】
「潤司!!」
【谷崎】
「宮沢…?」
夢の中の宮沢より、ずっと大きくなっているのに
夢の中の宮沢と同じように目を真っ赤にして泣いている宮沢が、そこに居て…
【谷崎】
「…そんなに泣くと、目が溶けるぞ?」
俺は微笑んで、ベッドに縋り付いて泣きじゃくる…宮沢の頬に手を伸ばした
……
―初お泊り編・谷崎第3話―
『大人の約束』
【谷崎】
「宮沢…?」
【宮沢】
「うぐっ、潤司……、うぐぅ…じゅんじが…潤司が起ぎだ…おぎだぁ…あうー……」
【谷崎】
「なんだ…?声、涸れてるぞ」
【宮沢】
「うぐ…、だっで…うぐう……」
俺の頬に置かれた潤司の掌を両手で押さえつけるようにして、感触を確かめる
血を失ったせいか、その感触は…いつもより冷たいけど、でも…ちゃんと、生きてる潤司の体温が感じられる
【医者】
「彼、大丈夫だっていっても聞かなくてね。」
【医者】
「救急車の中でも、ずっと泣きながら君の名前を呼んでいたんだよ」
【医者】
「あ、ちなみに君の傷は幸い浅くて、内臓の損傷もなかった」
【医者】
「少し縫ったから、2週間は安静にしていて欲しいけど、退院自体は明日にもできるよ」
俺の背後から、潤司の処置をしてくれた医師が顔を出し、潤司にそう説明してくれる
【谷崎】
「そうですか、ありがとうございます」
潤司からのお礼の言葉に片手を上げて応えると
「あとで警察が事情聴取に来ると思うけど…」と言い残して、その医師は病室を後にした
【谷崎】
「宮沢…。お前、あの説明を事前に受けていた筈だろ?そんなに泣くな」
潤司の手が頬を離れ、俺の頭を撫でる
【宮沢】
「れ…れも、潤司が…血が出て…目が開かなくて…潤司が…じゅんじが…。うわあああ…」
【宮沢】
「いっしょて…ずっと一緒って約束したんらもん…」
【宮沢】
「潤司がいなぐなったら、俺…親友も…恋人も…いっぺんにいなぐなっぢゃうもん…わああああああ…」
潤司がいない世界なんて、俺には耐えられない
潤司が居ないなら、大好きなシンクロだって―もう出来ない
潤司が一緒だったから―
潤司が一緒にチームを作ってくれたから、俺は―!
【谷崎】
「―泣かせてごめんな、宮沢」
潤司の瞳が、俺をじっと見つめる
【谷崎】
「だが…、俺がお前を1人にする筈はないだろう?
違うか?」
その微笑みは、毎日ずっと俺の隣にあった…嘘のない笑顔で……
【宮沢】
「違わない…。ずっと一緒って約束したもん。潤司は絶対、嘘をつかないもん」
【谷崎】
「…だろ?
だから、安心しろ」
【宮沢】
「うっく……、潤司、大好きだよ、潤司……」
【谷崎】
「ああ、俺も宮沢が大好きだ」
どちらからともなく両手を差し出し、掌を触れ合わせる
黙っていても、お互いが何を考えているか―そのぬくもりで伝わった
俺たちは
…新しい、1つの約束を交わしていたのだ
………
………ちなみに
潤司を刺した犯人は、あっさり捕まった
【谷崎】
「振り向いた瞬間、見覚えがあるなと思ったんだ」
【谷崎】
「あれは、俺たちの大学の購買スタッフだ」
【宮沢】
「……あ、そういえば」
―医師が出て行って15分ほどして病室に入ってきた警察の人に
潤司は容疑者としてその購買スタッフの名を告げたのだった
そのスタッフは自宅アパートでうずくまっていたところを確保され、そのまま逮捕
行き過ぎたストーカー行為による障害事件として、騒動は幕を閉じた
―それから2週間後
【宮沢】
「無事に抜糸も済んで良かったね、潤司」
【谷崎】
「ああ、ありがとう宮沢」
潤司の部屋で、2人で回復を祝い合う
【谷崎】
「あのとき、お前が俺に向かって叫んでくれただろう?」
【谷崎】
「あれで咄嗟とはいえ、直前に気付いて致命傷からずらすことができた」
【谷崎】
「お前のおかげだ
本当にありがとう、宮沢」
【宮沢】
「ううん、そんな…元はと言えば俺の所為で……ごめんね潤司」
…犯人への事情聴取の内容を、あの後警察の人が教えてくれたのだ
約半年前から、うちの大学の購買で働いていた彼は
品出し中に落とした大量のノートを拾うのを、俺が手伝ったのをきっかけに…俺に恋心を抱いたのだという
その後頻繁に俺のアパートの周りをうろついている折に
俺と潤司が親密な関係であると知り、その嫉妬心から犯行に及んだ…というのが顛末だった
【谷崎】
「よくある…思い込みの激しい人間による犯行だ。お前に責任はない」
【谷崎】
「お前に怪我がなかっただけで、俺は嬉しいのだから…何も気にするな」
【宮沢】
「………
……潤司」
人同時に顔を近づけての、キス
…………そして
【宮沢】
「ね、潤司……
病室でした―約束」
【谷崎】
「ああ、俺も今……同じことを考えていた」
…………あのとき交わした、無言の約束
―それは、心だけじゃなく
身体も…一つになること
……
「……さてと、俺も戻るか」
その背中を見送り、誰へともなく呟いて腰を上げ…
懐かしい教室を…
12年の歳月を経て、伸びた背の視点で見渡す
【谷崎】
(机も椅子も、こんなに小さかったのだな……
それに、宮沢も)
先程、兎のように泣き腫らした目をしていた…幼い宮沢
【谷崎】
(あいつに、あんな顔をさせる訳には……いかないからな)
―そんなことを思いながら、教室のドアに手をかけた―瞬間
【宮沢】
「潤司―!!」
強い力に引き寄せられるように、急激に意識が引き上げられた
【谷崎】
(ここは………)
【宮沢】
「潤司!!」
【谷崎】
「宮沢…?」
夢の中の宮沢より、ずっと大きくなっているのに
夢の中の宮沢と同じように目を真っ赤にして泣いている宮沢が、そこに居て…
【谷崎】
「…そんなに泣くと、目が溶けるぞ?」
俺は微笑んで、ベッドに縋り付いて泣きじゃくる…宮沢の頬に手を伸ばした
……
―初お泊り編・谷崎第3話―
『大人の約束』
【谷崎】
「宮沢…?」
【宮沢】
「うぐっ、潤司……、うぐぅ…じゅんじが…潤司が起ぎだ…おぎだぁ…あうー……」
【谷崎】
「なんだ…?声、涸れてるぞ」
【宮沢】
「うぐ…、だっで…うぐう……」
俺の頬に置かれた潤司の掌を両手で押さえつけるようにして、感触を確かめる
血を失ったせいか、その感触は…いつもより冷たいけど、でも…ちゃんと、生きてる潤司の体温が感じられる
【医者】
「彼、大丈夫だっていっても聞かなくてね。」
【医者】
「救急車の中でも、ずっと泣きながら君の名前を呼んでいたんだよ」
【医者】
「あ、ちなみに君の傷は幸い浅くて、内臓の損傷もなかった」
【医者】
「少し縫ったから、2週間は安静にしていて欲しいけど、退院自体は明日にもできるよ」
俺の背後から、潤司の処置をしてくれた医師が顔を出し、潤司にそう説明してくれる
【谷崎】
「そうですか、ありがとうございます」
潤司からのお礼の言葉に片手を上げて応えると
「あとで警察が事情聴取に来ると思うけど…」と言い残して、その医師は病室を後にした
【谷崎】
「宮沢…。お前、あの説明を事前に受けていた筈だろ?そんなに泣くな」
潤司の手が頬を離れ、俺の頭を撫でる
【宮沢】
「れ…れも、潤司が…血が出て…目が開かなくて…潤司が…じゅんじが…。うわあああ…」
【宮沢】
「いっしょて…ずっと一緒って約束したんらもん…」
【宮沢】
「潤司がいなぐなったら、俺…親友も…恋人も…いっぺんにいなぐなっぢゃうもん…わああああああ…」
潤司がいない世界なんて、俺には耐えられない
潤司が居ないなら、大好きなシンクロだって―もう出来ない
潤司が一緒だったから―
潤司が一緒にチームを作ってくれたから、俺は―!
【谷崎】
「―泣かせてごめんな、宮沢」
潤司の瞳が、俺をじっと見つめる
【谷崎】
「だが…、俺がお前を1人にする筈はないだろう?
違うか?」
その微笑みは、毎日ずっと俺の隣にあった…嘘のない笑顔で……
【宮沢】
「違わない…。ずっと一緒って約束したもん。潤司は絶対、嘘をつかないもん」
【谷崎】
「…だろ?
だから、安心しろ」
【宮沢】
「うっく……、潤司、大好きだよ、潤司……」
【谷崎】
「ああ、俺も宮沢が大好きだ」
どちらからともなく両手を差し出し、掌を触れ合わせる
黙っていても、お互いが何を考えているか―そのぬくもりで伝わった
俺たちは
…新しい、1つの約束を交わしていたのだ
………
………ちなみに
潤司を刺した犯人は、あっさり捕まった
【谷崎】
「振り向いた瞬間、見覚えがあるなと思ったんだ」
【谷崎】
「あれは、俺たちの大学の購買スタッフだ」
【宮沢】
「……あ、そういえば」
―医師が出て行って15分ほどして病室に入ってきた警察の人に
潤司は容疑者としてその購買スタッフの名を告げたのだった
そのスタッフは自宅アパートでうずくまっていたところを確保され、そのまま逮捕
行き過ぎたストーカー行為による障害事件として、騒動は幕を閉じた
―それから2週間後
【宮沢】
「無事に抜糸も済んで良かったね、潤司」
【谷崎】
「ああ、ありがとう宮沢」
潤司の部屋で、2人で回復を祝い合う
【谷崎】
「あのとき、お前が俺に向かって叫んでくれただろう?」
【谷崎】
「あれで咄嗟とはいえ、直前に気付いて致命傷からずらすことができた」
【谷崎】
「お前のおかげだ
本当にありがとう、宮沢」
【宮沢】
「ううん、そんな…元はと言えば俺の所為で……ごめんね潤司」
…犯人への事情聴取の内容を、あの後警察の人が教えてくれたのだ
約半年前から、うちの大学の購買で働いていた彼は
品出し中に落とした大量のノートを拾うのを、俺が手伝ったのをきっかけに…俺に恋心を抱いたのだという
その後頻繁に俺のアパートの周りをうろついている折に
俺と潤司が親密な関係であると知り、その嫉妬心から犯行に及んだ…というのが顛末だった
【谷崎】
「よくある…思い込みの激しい人間による犯行だ。お前に責任はない」
【谷崎】
「お前に怪我がなかっただけで、俺は嬉しいのだから…何も気にするな」
【宮沢】
「………
……潤司」
人同時に顔を近づけての、キス
…………そして
【宮沢】
「ね、潤司……
病室でした―約束」
【谷崎】
「ああ、俺も今……同じことを考えていた」
…………あのとき交わした、無言の約束
―それは、心だけじゃなく
身体も…一つになること
……