告白編 -谷崎の場合-
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【宮沢】
(俺はちっとも…、潤司の役に立てないのに、それなのに……)
【宮沢】
(……今日だって、潤司が俺のために時間をつくってくれたのに…)
【宮沢】
(寝ちゃった俺を怒りもせず……、ずっと…傍に居てくれてたのに……)
【宮沢】
(…いい加減、呆れられちゃったのかもしれないけど)
【宮沢】
(でも、怒ってるなら理由を聞いて…、それで…、謝って……)
【宮沢】
(許して貰えるなら…、できることなら…、これからもずっと…一緒に居たいよ……)
カン…カン…カン………
―誰かの靴が階段を踏む音が、静寂を破る
…カン、カン…カン……カ……
待ち侘びていた姿が、目の前に現れた……
………だけど
【谷崎】
「……………
……宮沢ど…して…、ここに……」
【宮沢】
「…潤司!?びしょ濡れじゃないか!
傘―持ってなかったの!?」
【谷崎】
「お前こそ……。どれくらい待ったんだ?身体、冷たいぞ」
驚いて駆け寄った俺に、潤司は……泣きそうな顔で微笑んだ
【谷崎】
「……上がって…いくといい」
―何度も通った、潤司の部屋
濡れた服も着替えずに、お茶を出そうとしてくれる潤司の手を、慌てて止めて浴室へ送り出した後…
俺は改めて、ゆっくりとその部屋を見渡した
几帳面で、シンプルで…無駄なものは殆ど置かれていない、『潤司そのもの』みたいな部屋
【宮沢】
…2人して今の大学に合格した後、母さんに…あなた達ルームシェアしたらって提案されたっけ…)
―あの時
【谷崎】
「………」
潤司が複雑な顔で黙り込んだのを見た俺は…
【宮沢】
「お…俺っ、寝起きは悪いし寝像も悪いし…!」
【宮沢】
「それに、これ以上潤司に迷惑かけて絶交されたらヤだから…、だから部屋は別々で頑張るよ!」
……慌ててその提案を却下したけど、…結局、潤司のあの表情の理由は…聞けないままだった
でも潤司は……。俺があの時、潤司の態度に気付いて…寂しがっていることを察したのだろう
―アパートを探す時…、俺のアパートから徒歩5分以内のこの場所に、自分の部屋を見つけてくれた
【宮沢】
(潤司はいつだって、俺よりずっと大人で…何でも出来て……)
【宮沢】
(………潤司)
【宮沢】
(ねえ……潤司
…俺は…どうすれば……、潤司の力に…なれるのか…な……)
床に座って、ベッドに肘を預けていた俺の意識は…
連日の寝不足と、潤司と無事会えた安心感から…またもや、まどろみの中へと堕ちていった……
………
…………
……チュ、チュク……
唇に感じる、柔らかな触感で意識を呼び覚まされる
【宮沢】
(……優しくて、熱くて……、…これと同じ感触……どこかで……)
その感触を思い出そうと、無意識に口を緩め……、唇に当たっていた舌を受け入れようとする
【宮沢】
「……んッ!ふぁ……あ…ン」
思いの外深く侵入してきた舌に、思わず喘いだ―瞬間
―バッ!
温かな感触が、一瞬で遠ざかる
【宮沢】
「………潤司?」
【谷崎】
「…………………宮沢」
―親友が、12年間一度も見せたことのない顔で…、ベッドに背を預ける俺を見下ろしていた
―第5話―
『告白』
「……俺は…宮沢が好きだ」
絞り出すような口調だった
声だけで…、切なくて……、胸が締め付けられるような……
【宮沢】
「うん。
俺も、潤司が好きだよ」
そんな潤司に、素直にそう答える
【谷崎】
「……今日
講義室で…、寝ているお前に…キスをしてしまった」
【谷崎】
「…親友として共にいてくれるお前を…裏切った、羞恥と罪悪感で…その場を放棄し…逃げた」
【谷崎】
「……お前が、愛しい。
お前のことが…誰より好きで……いとおしくて…」
【谷崎】
「この気持ちを、お前に知られるのが怖かった。…お前が、離れていってしまうのが…怖かった」
【谷崎】
「だが、それでも俺は…この気持ちを抑えきれず…、俺は…お前との友情を穢してしまった…」
…ポタリ
俺の首筋に、温かな雫が落ちる
【谷崎】
「………―っ」
声を殺した潤司の気持ちを代弁するように……、涙だけがパタパタと…静かに俺に降り注ぐ
【宮沢】
「…潤司」
潤司の肩を、そっと抱き寄せる
今日―3度目のキス
そして―
俺から潤司への…初めての口づけ
―かけがえのない相手への、ありったけの気持ちを込めて………
【谷崎】
「………宮沢?」
怪訝な顔で窺う潤司に、俺は言った
【宮沢】
「さっきキスされたとき…、俺…
この唇の感触、覚えてるな……って思ったんだ」
【宮沢】
「講義室で感じた、あったかい感じ…夢かと思ってたんだけど、潤司だったんだね」
【谷崎】
「………すまない」
潤司が、きまずそうに目を逸らす
【宮沢】
「…違うんだ。責めてるわけじゃない」
【宮沢】
「俺も、潤司の事が誰より大事だって…、2度目のキスで…わかったんだ」
【谷崎】
「…宮沢」
【宮沢】
「これからも…ずっと、俺の一番近くに…居て、くれる?」
【谷崎】
「…こんな俺でも、お前はまだ…親友だと、思っていてくれるのか?」
【宮沢】
「こんな…だなんて。
潤司はいつでも、俺の一番の…唯一の親友だよ」
【谷崎】
「……ありがとう
本当に…ありがとう…宮沢」
【宮沢】
「俺も。ずっと…ありがと。潤司……」
―30分程、お互いを抱き締めていただろうか…
【谷崎】
それから俺は、潤司にお風呂を借りて…冷えた身体を温めた
―その晩
潤司の、小さなシングルベッドで―
俺たちは、どちらからともなく…裸で抱き合った
―特に何をする訳でもなく、ただ…静かに身体を寄せ合って、お互いの背中に腕を回す
【宮沢】
(あ………)
まるで、欠けていた半身が合わさるような…、身体が1つに溶け合う様な……そんな感覚
【宮沢】
「……あのね、潤司」
【谷崎】
「なんだ?宮沢」
【宮沢】
「……俺、潤司のこと…大好きだよ」
【宮沢】
「12年前のあの日から…ずっと、潤司が俺の一番だったんだ」
そう言った俺の首筋を、潤司の手が慈しむように撫でる
【谷崎】
「俺も、同じ日から…宮沢が俺の全てになっていた」
度目のキスは…2人同時に求めていた
【宮沢】
「……ぁ、…んふぅ」
そっと触れ合うだけのキスなのに…、全身を上気させて、フルフルと身悶えしてしまう俺を
潤司は…、腕に力を込めて
より強く、ぎゅっと…抱き寄せてくれた
そのまま俺たちは、朝まで―
互いの愛しい身体を確かめ合ったのだった
告白~谷崎編~・完
(俺はちっとも…、潤司の役に立てないのに、それなのに……)
【宮沢】
(……今日だって、潤司が俺のために時間をつくってくれたのに…)
【宮沢】
(寝ちゃった俺を怒りもせず……、ずっと…傍に居てくれてたのに……)
【宮沢】
(…いい加減、呆れられちゃったのかもしれないけど)
【宮沢】
(でも、怒ってるなら理由を聞いて…、それで…、謝って……)
【宮沢】
(許して貰えるなら…、できることなら…、これからもずっと…一緒に居たいよ……)
カン…カン…カン………
―誰かの靴が階段を踏む音が、静寂を破る
…カン、カン…カン……カ……
待ち侘びていた姿が、目の前に現れた……
………だけど
【谷崎】
「……………
……宮沢ど…して…、ここに……」
【宮沢】
「…潤司!?びしょ濡れじゃないか!
傘―持ってなかったの!?」
【谷崎】
「お前こそ……。どれくらい待ったんだ?身体、冷たいぞ」
驚いて駆け寄った俺に、潤司は……泣きそうな顔で微笑んだ
【谷崎】
「……上がって…いくといい」
―何度も通った、潤司の部屋
濡れた服も着替えずに、お茶を出そうとしてくれる潤司の手を、慌てて止めて浴室へ送り出した後…
俺は改めて、ゆっくりとその部屋を見渡した
几帳面で、シンプルで…無駄なものは殆ど置かれていない、『潤司そのもの』みたいな部屋
【宮沢】
…2人して今の大学に合格した後、母さんに…あなた達ルームシェアしたらって提案されたっけ…)
―あの時
【谷崎】
「………」
潤司が複雑な顔で黙り込んだのを見た俺は…
【宮沢】
「お…俺っ、寝起きは悪いし寝像も悪いし…!」
【宮沢】
「それに、これ以上潤司に迷惑かけて絶交されたらヤだから…、だから部屋は別々で頑張るよ!」
……慌ててその提案を却下したけど、…結局、潤司のあの表情の理由は…聞けないままだった
でも潤司は……。俺があの時、潤司の態度に気付いて…寂しがっていることを察したのだろう
―アパートを探す時…、俺のアパートから徒歩5分以内のこの場所に、自分の部屋を見つけてくれた
【宮沢】
(潤司はいつだって、俺よりずっと大人で…何でも出来て……)
【宮沢】
(………潤司)
【宮沢】
(ねえ……潤司
…俺は…どうすれば……、潤司の力に…なれるのか…な……)
床に座って、ベッドに肘を預けていた俺の意識は…
連日の寝不足と、潤司と無事会えた安心感から…またもや、まどろみの中へと堕ちていった……
………
…………
……チュ、チュク……
唇に感じる、柔らかな触感で意識を呼び覚まされる
【宮沢】
(……優しくて、熱くて……、…これと同じ感触……どこかで……)
その感触を思い出そうと、無意識に口を緩め……、唇に当たっていた舌を受け入れようとする
【宮沢】
「……んッ!ふぁ……あ…ン」
思いの外深く侵入してきた舌に、思わず喘いだ―瞬間
―バッ!
温かな感触が、一瞬で遠ざかる
【宮沢】
「………潤司?」
【谷崎】
「…………………宮沢」
―親友が、12年間一度も見せたことのない顔で…、ベッドに背を預ける俺を見下ろしていた
―第5話―
『告白』
「……俺は…宮沢が好きだ」
絞り出すような口調だった
声だけで…、切なくて……、胸が締め付けられるような……
【宮沢】
「うん。
俺も、潤司が好きだよ」
そんな潤司に、素直にそう答える
【谷崎】
「……今日
講義室で…、寝ているお前に…キスをしてしまった」
【谷崎】
「…親友として共にいてくれるお前を…裏切った、羞恥と罪悪感で…その場を放棄し…逃げた」
【谷崎】
「……お前が、愛しい。
お前のことが…誰より好きで……いとおしくて…」
【谷崎】
「この気持ちを、お前に知られるのが怖かった。…お前が、離れていってしまうのが…怖かった」
【谷崎】
「だが、それでも俺は…この気持ちを抑えきれず…、俺は…お前との友情を穢してしまった…」
…ポタリ
俺の首筋に、温かな雫が落ちる
【谷崎】
「………―っ」
声を殺した潤司の気持ちを代弁するように……、涙だけがパタパタと…静かに俺に降り注ぐ
【宮沢】
「…潤司」
潤司の肩を、そっと抱き寄せる
今日―3度目のキス
そして―
俺から潤司への…初めての口づけ
―かけがえのない相手への、ありったけの気持ちを込めて………
【谷崎】
「………宮沢?」
怪訝な顔で窺う潤司に、俺は言った
【宮沢】
「さっきキスされたとき…、俺…
この唇の感触、覚えてるな……って思ったんだ」
【宮沢】
「講義室で感じた、あったかい感じ…夢かと思ってたんだけど、潤司だったんだね」
【谷崎】
「………すまない」
潤司が、きまずそうに目を逸らす
【宮沢】
「…違うんだ。責めてるわけじゃない」
【宮沢】
「俺も、潤司の事が誰より大事だって…、2度目のキスで…わかったんだ」
【谷崎】
「…宮沢」
【宮沢】
「これからも…ずっと、俺の一番近くに…居て、くれる?」
【谷崎】
「…こんな俺でも、お前はまだ…親友だと、思っていてくれるのか?」
【宮沢】
「こんな…だなんて。
潤司はいつでも、俺の一番の…唯一の親友だよ」
【谷崎】
「……ありがとう
本当に…ありがとう…宮沢」
【宮沢】
「俺も。ずっと…ありがと。潤司……」
―30分程、お互いを抱き締めていただろうか…
【谷崎】
それから俺は、潤司にお風呂を借りて…冷えた身体を温めた
―その晩
潤司の、小さなシングルベッドで―
俺たちは、どちらからともなく…裸で抱き合った
―特に何をする訳でもなく、ただ…静かに身体を寄せ合って、お互いの背中に腕を回す
【宮沢】
(あ………)
まるで、欠けていた半身が合わさるような…、身体が1つに溶け合う様な……そんな感覚
【宮沢】
「……あのね、潤司」
【谷崎】
「なんだ?宮沢」
【宮沢】
「……俺、潤司のこと…大好きだよ」
【宮沢】
「12年前のあの日から…ずっと、潤司が俺の一番だったんだ」
そう言った俺の首筋を、潤司の手が慈しむように撫でる
【谷崎】
「俺も、同じ日から…宮沢が俺の全てになっていた」
度目のキスは…2人同時に求めていた
【宮沢】
「……ぁ、…んふぅ」
そっと触れ合うだけのキスなのに…、全身を上気させて、フルフルと身悶えしてしまう俺を
潤司は…、腕に力を込めて
より強く、ぎゅっと…抱き寄せてくれた
そのまま俺たちは、朝まで―
互いの愛しい身体を確かめ合ったのだった
告白~谷崎編~・完