谷崎と交際一年目
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【梶井】
「あまり気にするものではありませんよ、宮沢さん」
俺の不安を感じたのか、梶井さんが安心させるように微笑んだ
【谷崎】
「ああ、そうだぞ。さっき言った通り、何かあれば俺が守るから安心しろ」
潤司も肩を抱くように言ってくれて、俺は二人に感謝しながら気持ちを切り替えた
【宮沢】
「ありがとうございます。時間も少ないですし早く練習しちゃいましょう」
まだオーナーと助教は揃ってないが、限りある練習時間を無駄には出来ない
【谷崎】
「ああ。まずは…フォーメーションの確認からした方がいいだろう」
メニュー表を確認しながら言う潤司に頷き、新しく編成した演技の指示を出す
【宮沢】
「じゃあ最初に全体での確認をしてから、ペア演技を順番に見ていきますね」
みんながそれぞれの位置に着いたのを確認してから、俺は手拍子でカウントを取っていった
――井伏さんと梶井さんのペア演技練習が始まると、プールサイドがにわかに色めきだった
【宮沢】
(そう言えば、俺なんかよりも梶井さんや井伏さんファンの人の方が多いよね…)
改めて考えてみると、ここに居る全ての人が俺のことを見ているわけではないのだと気づく
自意識過剰だったような気がして、少しだけ恥ずかしくなった
【宮沢】
(梶井さんの言う通り、あんまり気にしなくても良かったのかもしれないなぁ)
端で自主練習をしている吉川先輩や井上も、このシンクロメンバーには少なからずファンが付いているのだ
【宮沢】
(段々と有名になってきた証拠だけど…やっぱり、もっと頑張らないと!)
注目を浴び始めたとはいえ、まだまだ男子シンクロの知名度はそれほど高くはない
決意を新たに拳を握ると、ふと隣に誰かが立っているのに気が付いた
【見知らぬ男】
「み、宮沢くんだよね…?この前のテレビ、観たよ。すっごく良かった」
【宮沢】
「あ、ありがとうございます…」
ニヤニヤと笑いながら言う男に、若干戸惑いつつもお礼を言う
【宮沢】
(一応、シンクロに興味を持ってくれたってこと…だよね?)
無下にも出来ずに曖昧に笑っていると、男に突然ガシッと手を握られた
【見知らぬ男】
「宮沢くんに似合うと思ってぬいぐるみを送ったんだけど…気に入ってくれなかったのかな?」
【宮沢】
(ぬ、ぬいぐるみ…?なんのことだかわからないけど、どうしよう……っ)
あまり大事にしたくなくて視線を彷徨わせていると、男の手を誰かが掴んだ
【谷崎】
「今はシンクロの練習中だ。関係のない者はご遠慮願いたい」
「潤司……っ」
【見知らぬ男】
「なっ…俺は、宮沢くんを応援してあげようとしただけだ!!」
興奮した男が俺の手を離したすきに、さっと距離を取るように潤司の後ろへと隠れる
【見知らぬ男】
「ね?宮沢くん…君だって、俺に応援されるの嬉しいよね……!?」
【宮沢】
「あ、それは……その…っ」
【谷崎】
「あまりしつこいようだと、警備の者を呼ぶぞ」
異様な雰囲気を察したのか、メンバーのみんなが険しい顔をしながら近くに寄ってきた
【見知らぬ男】
「うるさいうるさい!優しい宮沢くんが、迷惑だなんて思うわけないだろぉ!!」
それに気が付いて焦った男は、取り乱したように暴れはじめた
【谷崎】
「宮沢!こいつは危険だ。取り押さえるから、早く離れろ…っ」
【宮沢】
「でも、潤司だって…!!」
【見知らぬ男】
「み、宮沢くんと俺の邪魔をするなあ!!!」
動きを封じようとした潤司の身体を、男がドンと突き飛ばす
【谷崎】
「っく…あ……ぐぅっ!!」
ゴンッと鈍い音を立ててプールサイドに倒れた潤司が、頭を抱えて唸った
【宮沢】
「潤司…?じゅん、じ……あ、あ…血が……!!」
少量の血が、タイルの溝に滲むように流れている
【宮沢】
(血が、溢れて…潤司の意識が無くなって…それから、それから……っ)
潤司が刺された時の光景が、フラッシュのようにチカチカと頭の中に思い浮かぶ
【吉川】
「……てめぇ!何しやがった!!」
【見知らぬ男】
「ちがう……俺は、俺は…何もしてないぃ!!」
【吉川】
「あ、おい!待ちやがれ……っ」
―ダッ!タタタタタタ……
吉川先輩が男を追いかけようとするが、そんなことはどうだっていい
【谷崎】
「じゅんじ、やだ…死んじゃ、やだあ!!置いてか、ない…でぇっ」
【谷崎】
「だいじょ、ぶ……俺は、どこにもいかない……そんな、泣く…な……っ」
痛いはずなのに俺に心配かけまいと笑う潤司に、涙が溢れて止まらなくなる
【宮沢】
「うぐっ、じゅんじ……やだ…じゅんじっ……死んじゃ、だめ…ぇ!!」
【谷崎】
「宮沢……」
縋るように潤司の身体に抱き付いて、周りを気にも留めずに泣きじゃくる
【井伏】
「救急車を呼んだから。宮沢くん、一旦谷崎くんから離れて…」
【宮沢】
「やだぁ…!じゅんじっ……ヒック…じゅん、じ……ぃ!!」
【井上】
「宮沢先輩!大丈夫だから、落ち着いてください…っ」
井伏さんと井上が、俺を潤司から引き離そうとする
【宮沢】
(このまま離れたら、次はまた別の奴が潤司を……!!)
潤司を今度こそ守るためにも、絶対に離すもんかと抱きしめる
【谷崎】
「俺は、ちゃんとここにいる……心配、かけて…っく、すまない……」
【宮沢】
「うわあああ……!やだ、やだよぅ…じゅんじ!!」
【梶井】
「私も病院について行きましょう。大丈夫ですよ、宮沢さん」
子供のように泣きじゃくる俺を梶井さんが支えて、潤司が救急隊員に運ばれていく
――そして俺と梶井さんは、潤司と一緒に救急車に乗り込んだのだった
―第4話―
【宮沢】
「潤司、本当に何にもない?大丈夫なんだよね?」
【谷崎】
「ああ、しばらく安静にしていれば問題はないと病院でも説明を受けただろう?」
あれから病院に運ばれた俺は、治療を受けたら入院することなく家へ帰ってくることが出来た
幸い脳にも異常がなく、痕は残るかもしれないものの数針程度縫うだけの軽い傷だったらしい
【宮沢】
「そう、だけど……潤司、また俺のせいで…死んじゃう、かと……っ」
【谷崎】
「心配かけてすまなかった。しかし、悪いのはお前じゃない。梶井さんだって、そう言っていたはずだぞ」
再び泣き出した宮沢を宥めながら、一緒に病院へ付き添ってくれた梶井さんを思い出す
【宮沢】
「潤司っ……ごめ、ごめんなさ…また、俺が…じゅんじに……うぐっ」
【谷崎】
「宮沢のせいではないだろう?だから、そんなに泣かないでくれ」
「あまり気にするものではありませんよ、宮沢さん」
俺の不安を感じたのか、梶井さんが安心させるように微笑んだ
【谷崎】
「ああ、そうだぞ。さっき言った通り、何かあれば俺が守るから安心しろ」
潤司も肩を抱くように言ってくれて、俺は二人に感謝しながら気持ちを切り替えた
【宮沢】
「ありがとうございます。時間も少ないですし早く練習しちゃいましょう」
まだオーナーと助教は揃ってないが、限りある練習時間を無駄には出来ない
【谷崎】
「ああ。まずは…フォーメーションの確認からした方がいいだろう」
メニュー表を確認しながら言う潤司に頷き、新しく編成した演技の指示を出す
【宮沢】
「じゃあ最初に全体での確認をしてから、ペア演技を順番に見ていきますね」
みんながそれぞれの位置に着いたのを確認してから、俺は手拍子でカウントを取っていった
――井伏さんと梶井さんのペア演技練習が始まると、プールサイドがにわかに色めきだった
【宮沢】
(そう言えば、俺なんかよりも梶井さんや井伏さんファンの人の方が多いよね…)
改めて考えてみると、ここに居る全ての人が俺のことを見ているわけではないのだと気づく
自意識過剰だったような気がして、少しだけ恥ずかしくなった
【宮沢】
(梶井さんの言う通り、あんまり気にしなくても良かったのかもしれないなぁ)
端で自主練習をしている吉川先輩や井上も、このシンクロメンバーには少なからずファンが付いているのだ
【宮沢】
(段々と有名になってきた証拠だけど…やっぱり、もっと頑張らないと!)
注目を浴び始めたとはいえ、まだまだ男子シンクロの知名度はそれほど高くはない
決意を新たに拳を握ると、ふと隣に誰かが立っているのに気が付いた
【見知らぬ男】
「み、宮沢くんだよね…?この前のテレビ、観たよ。すっごく良かった」
【宮沢】
「あ、ありがとうございます…」
ニヤニヤと笑いながら言う男に、若干戸惑いつつもお礼を言う
【宮沢】
(一応、シンクロに興味を持ってくれたってこと…だよね?)
無下にも出来ずに曖昧に笑っていると、男に突然ガシッと手を握られた
【見知らぬ男】
「宮沢くんに似合うと思ってぬいぐるみを送ったんだけど…気に入ってくれなかったのかな?」
【宮沢】
(ぬ、ぬいぐるみ…?なんのことだかわからないけど、どうしよう……っ)
あまり大事にしたくなくて視線を彷徨わせていると、男の手を誰かが掴んだ
【谷崎】
「今はシンクロの練習中だ。関係のない者はご遠慮願いたい」
「潤司……っ」
【見知らぬ男】
「なっ…俺は、宮沢くんを応援してあげようとしただけだ!!」
興奮した男が俺の手を離したすきに、さっと距離を取るように潤司の後ろへと隠れる
【見知らぬ男】
「ね?宮沢くん…君だって、俺に応援されるの嬉しいよね……!?」
【宮沢】
「あ、それは……その…っ」
【谷崎】
「あまりしつこいようだと、警備の者を呼ぶぞ」
異様な雰囲気を察したのか、メンバーのみんなが険しい顔をしながら近くに寄ってきた
【見知らぬ男】
「うるさいうるさい!優しい宮沢くんが、迷惑だなんて思うわけないだろぉ!!」
それに気が付いて焦った男は、取り乱したように暴れはじめた
【谷崎】
「宮沢!こいつは危険だ。取り押さえるから、早く離れろ…っ」
【宮沢】
「でも、潤司だって…!!」
【見知らぬ男】
「み、宮沢くんと俺の邪魔をするなあ!!!」
動きを封じようとした潤司の身体を、男がドンと突き飛ばす
【谷崎】
「っく…あ……ぐぅっ!!」
ゴンッと鈍い音を立ててプールサイドに倒れた潤司が、頭を抱えて唸った
【宮沢】
「潤司…?じゅん、じ……あ、あ…血が……!!」
少量の血が、タイルの溝に滲むように流れている
【宮沢】
(血が、溢れて…潤司の意識が無くなって…それから、それから……っ)
潤司が刺された時の光景が、フラッシュのようにチカチカと頭の中に思い浮かぶ
【吉川】
「……てめぇ!何しやがった!!」
【見知らぬ男】
「ちがう……俺は、俺は…何もしてないぃ!!」
【吉川】
「あ、おい!待ちやがれ……っ」
―ダッ!タタタタタタ……
吉川先輩が男を追いかけようとするが、そんなことはどうだっていい
【谷崎】
「じゅんじ、やだ…死んじゃ、やだあ!!置いてか、ない…でぇっ」
【谷崎】
「だいじょ、ぶ……俺は、どこにもいかない……そんな、泣く…な……っ」
痛いはずなのに俺に心配かけまいと笑う潤司に、涙が溢れて止まらなくなる
【宮沢】
「うぐっ、じゅんじ……やだ…じゅんじっ……死んじゃ、だめ…ぇ!!」
【谷崎】
「宮沢……」
縋るように潤司の身体に抱き付いて、周りを気にも留めずに泣きじゃくる
【井伏】
「救急車を呼んだから。宮沢くん、一旦谷崎くんから離れて…」
【宮沢】
「やだぁ…!じゅんじっ……ヒック…じゅん、じ……ぃ!!」
【井上】
「宮沢先輩!大丈夫だから、落ち着いてください…っ」
井伏さんと井上が、俺を潤司から引き離そうとする
【宮沢】
(このまま離れたら、次はまた別の奴が潤司を……!!)
潤司を今度こそ守るためにも、絶対に離すもんかと抱きしめる
【谷崎】
「俺は、ちゃんとここにいる……心配、かけて…っく、すまない……」
【宮沢】
「うわあああ……!やだ、やだよぅ…じゅんじ!!」
【梶井】
「私も病院について行きましょう。大丈夫ですよ、宮沢さん」
子供のように泣きじゃくる俺を梶井さんが支えて、潤司が救急隊員に運ばれていく
――そして俺と梶井さんは、潤司と一緒に救急車に乗り込んだのだった
―第4話―
【宮沢】
「潤司、本当に何にもない?大丈夫なんだよね?」
【谷崎】
「ああ、しばらく安静にしていれば問題はないと病院でも説明を受けただろう?」
あれから病院に運ばれた俺は、治療を受けたら入院することなく家へ帰ってくることが出来た
幸い脳にも異常がなく、痕は残るかもしれないものの数針程度縫うだけの軽い傷だったらしい
【宮沢】
「そう、だけど……潤司、また俺のせいで…死んじゃう、かと……っ」
【谷崎】
「心配かけてすまなかった。しかし、悪いのはお前じゃない。梶井さんだって、そう言っていたはずだぞ」
再び泣き出した宮沢を宥めながら、一緒に病院へ付き添ってくれた梶井さんを思い出す
【宮沢】
「潤司っ……ごめ、ごめんなさ…また、俺が…じゅんじに……うぐっ」
【谷崎】
「宮沢のせいではないだろう?だから、そんなに泣かないでくれ」