谷崎と交際一年目
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【宮沢】
「りょ、料理番組に…ですか!?」
いきなり思ってもみなかったことを言われた俺は、びっくりして手に持ったタオルを落としてしまった
【梶井】
「突然のことで驚かせてしまい申し訳ありません。実は、プロデューサーに頼まれてしまいまして」
【宮沢】
「あ、いえ…こちらこそすみません。えっと、どうして俺が…?」
梶井さんは俺のタオルを拾って手渡しながら、詳しく説明するように口を開いた
【梶井】
「私がシンクロをやっていることに目を付けたプロデューサーが、話題づくりに…と」
【梶井】
「元競泳日本代表でいま注目の若手シンクロコーチという名目で、貴方に出演して欲しいそうなのです」
【宮沢】
「そうだったんですか……でも、本当に俺なんかでいいんでしょうか」
一応それなりの名目はあるものの、一般人の俺がテレビになんか出て良いものかと思ってしまう
【宮沢】
(それも、凄い人気を誇るあの梶井さんの番組なんて……っ)
喜びよりも先に恐れと不安を感じていると、梶井さんがリラックスさせるように肩に手を置いてきた
【梶井】
「それほど難しく考えることもありません。宮沢さんだからこそ、私もお願いしようと思ったのですよ」
【梶井】
「それに、シンクロを広めるいいきっかけになればと思うのですか…どうでしょうか?」
梶井さんの言葉に、俺は男子シンクロの現状を頭に思い浮かべた
このシンクロチームもそこそこ有名にはなってきたものの、
まだまだ世界に比べて日本の男子シンクロ人口は少ない
【宮沢】
(確かに、男子シンクロをアピールするいい機会かもしれないよね)
【宮沢】
「……わかりました。是非、出演させてください!」
しばらく逡巡した後、俺は承諾の意を込めて大きく頷いた
【梶井】
「ありがとうございます。詳細は追って連絡しますね。宮沢さんとの共演、楽しみにしています」
【宮沢】
「こちらこそありがとうございます。俺も、今から楽しみです」
そうして、俺は報告するべく足早に潤司の部屋へと帰ることにしたのだった
【谷崎】
「テレビ出演…?宮沢が、か?」
一緒にご飯を食べているところに切り出すと、潤司は何故だか怪訝そうな顔を見せた
【宮沢】
「うん。梶井さんの番組に、ゲストでって話なんだけど」
【谷崎】
「その話、承諾する前に何故俺に相談しなかったんだ?」
【宮沢】
「えっ…だって、潤司だって賛成してくれるって思って……」
どうしてなのか分からなくて首をかしげると、潤司はため息を吐いた
【谷崎】
「俺は、お前がテレビに出るなんて反対だ」
【宮沢】
「っ、どうして…?せっかく、シンクロを広めるチャンスなのに」
納得がいかないと問いかける俺に、潤司は悩むように眉間にしわを寄せる
【谷崎】
「……お前は自分のことを分かっていない。どれだけ人を惹きつける魅力があるのかを」
【谷崎】
「ただでさえストーカーの件もあったのだから、メディア露出なんて危険すぎる」
【宮沢】
「でも、本物の芸能人は俺なんかよりずっとリスクも苦労も背負って露出してるし」
【宮沢】
「俺くらいの経験で尻込みするようじゃ、この先何もできなくなっちゃうかもしれない」
俺がそう言うと、潤司は少し怒ったように詰め寄ってきた
【谷崎】
「それはそうだが……何かがあってからでは遅い。俺は宮沢が心配なんだ」
【宮沢】
(潤司が心配なのも分かるけど、それでも俺は……!)
力を込めた瞳を潤司に向けて、俺は決意を口にする
【宮沢】
「怖がってても前には進めないから、シンクロの未来のために出来ることをしたいんだ」
【谷崎】
「宮沢……そうか、わかった。そこまで言うなら、俺も応援しなければな」
やがて潤司が諦めた様子で頷き、すまなかったというように頭を撫でてきた
【宮沢】
「潤司……っ、ありがとう!俺、頑張るから!!」
【谷崎】
「ただし、収録日はマネージャーとして俺も同行するからな」
【宮沢】
「うん!潤司が一緒にいれば、俺も安心だね」
そうして、俺と潤司は二人で収録スタジオに向かうこととなったのだった
――収録自体は滞りなく進み、俺の出演した回はしばらく後にオンエアされた
【宮沢】
「うう…やっぱり、改めて見たら緊張してたのバレバレな感じだったね」
【谷崎】
「そうかもしれないが…初めてにしては良くやったと思うぞ」
昨日の夜に潤司と一緒に観た俺は、翌朝の大学に行く途中でも引きずっていた
【宮沢】
「そうかなぁ…でも、シンクロの話が少しでも使われたから、そこは良かったかも」
【谷崎】
「ああ、梶井さんとのやり取りも弾んでいたしな」
【谷崎】
「しかし、あのプロデューサーだけはどうもな……」
潤司はあの時のことを思い出しているかのように、苦い顔をしていた
収録が終わって帰ろうとしたところ、番組プロデューサーに呼び止められたのだ
【プロデューサー】
「君、凄く良かったよー。顔もいい感じだし、このまま芸能界デビューとかしちゃう?」
【谷崎】
「そんなことするはずないだろう。今回だって、シンクロのアピールが出来るからと了承しただけであって」
【プロデューサー】
「マネージャーくんも固いこと言わないでさー。君、デビューしたらすぐに人気出ると思うんだよね」
【宮沢】
「ありがとうございます。でも、大学もあるし…何より、俺の夢はシンクロなんです」
その後もしばらくは引き止められたが、何とかお断りをしてきたのだ
【宮沢】
「まぁ、とりあえず納得してくれたみたいだから大丈夫だよ」
俺がそう言うと、潤司は思い悩むように頷いた
【谷崎】
「そうだな…それよりも、今は心配なことが別にある」
【宮沢】
「心配なこと?それって……」
【???】
「宮沢ー!!昨日の、観たぜ!すげーじゃん、お前」
それって何?と聞く前に、誰かが勢いよくこちらに走ってきたのだった
―第2話―
宮沢が出演した回が、ようやく昨日の夜に放送された
【谷崎】
(あれを観て、変な奴が宮沢に寄ってくる事態にならなけらばいいが…)
しかし、俺の願いは誰かの無粋な大声によって打ち砕かれることとなってしまった
【???】
「宮沢―!!昨日の、観たぜ!すげーじゃん、お前」
【宮沢】
「あ、伊坂くん!うわー、観てくれたの?ありがとう」
【伊坂】
「当たり前じゃん。テレビつけたらお前がいて驚いたっての」
走り寄ってきたのは、同じ講義を取っている友人の伊坂だった
そのせいで、周りの視線が宮沢に向けられている
「りょ、料理番組に…ですか!?」
いきなり思ってもみなかったことを言われた俺は、びっくりして手に持ったタオルを落としてしまった
【梶井】
「突然のことで驚かせてしまい申し訳ありません。実は、プロデューサーに頼まれてしまいまして」
【宮沢】
「あ、いえ…こちらこそすみません。えっと、どうして俺が…?」
梶井さんは俺のタオルを拾って手渡しながら、詳しく説明するように口を開いた
【梶井】
「私がシンクロをやっていることに目を付けたプロデューサーが、話題づくりに…と」
【梶井】
「元競泳日本代表でいま注目の若手シンクロコーチという名目で、貴方に出演して欲しいそうなのです」
【宮沢】
「そうだったんですか……でも、本当に俺なんかでいいんでしょうか」
一応それなりの名目はあるものの、一般人の俺がテレビになんか出て良いものかと思ってしまう
【宮沢】
(それも、凄い人気を誇るあの梶井さんの番組なんて……っ)
喜びよりも先に恐れと不安を感じていると、梶井さんがリラックスさせるように肩に手を置いてきた
【梶井】
「それほど難しく考えることもありません。宮沢さんだからこそ、私もお願いしようと思ったのですよ」
【梶井】
「それに、シンクロを広めるいいきっかけになればと思うのですか…どうでしょうか?」
梶井さんの言葉に、俺は男子シンクロの現状を頭に思い浮かべた
このシンクロチームもそこそこ有名にはなってきたものの、
まだまだ世界に比べて日本の男子シンクロ人口は少ない
【宮沢】
(確かに、男子シンクロをアピールするいい機会かもしれないよね)
【宮沢】
「……わかりました。是非、出演させてください!」
しばらく逡巡した後、俺は承諾の意を込めて大きく頷いた
【梶井】
「ありがとうございます。詳細は追って連絡しますね。宮沢さんとの共演、楽しみにしています」
【宮沢】
「こちらこそありがとうございます。俺も、今から楽しみです」
そうして、俺は報告するべく足早に潤司の部屋へと帰ることにしたのだった
【谷崎】
「テレビ出演…?宮沢が、か?」
一緒にご飯を食べているところに切り出すと、潤司は何故だか怪訝そうな顔を見せた
【宮沢】
「うん。梶井さんの番組に、ゲストでって話なんだけど」
【谷崎】
「その話、承諾する前に何故俺に相談しなかったんだ?」
【宮沢】
「えっ…だって、潤司だって賛成してくれるって思って……」
どうしてなのか分からなくて首をかしげると、潤司はため息を吐いた
【谷崎】
「俺は、お前がテレビに出るなんて反対だ」
【宮沢】
「っ、どうして…?せっかく、シンクロを広めるチャンスなのに」
納得がいかないと問いかける俺に、潤司は悩むように眉間にしわを寄せる
【谷崎】
「……お前は自分のことを分かっていない。どれだけ人を惹きつける魅力があるのかを」
【谷崎】
「ただでさえストーカーの件もあったのだから、メディア露出なんて危険すぎる」
【宮沢】
「でも、本物の芸能人は俺なんかよりずっとリスクも苦労も背負って露出してるし」
【宮沢】
「俺くらいの経験で尻込みするようじゃ、この先何もできなくなっちゃうかもしれない」
俺がそう言うと、潤司は少し怒ったように詰め寄ってきた
【谷崎】
「それはそうだが……何かがあってからでは遅い。俺は宮沢が心配なんだ」
【宮沢】
(潤司が心配なのも分かるけど、それでも俺は……!)
力を込めた瞳を潤司に向けて、俺は決意を口にする
【宮沢】
「怖がってても前には進めないから、シンクロの未来のために出来ることをしたいんだ」
【谷崎】
「宮沢……そうか、わかった。そこまで言うなら、俺も応援しなければな」
やがて潤司が諦めた様子で頷き、すまなかったというように頭を撫でてきた
【宮沢】
「潤司……っ、ありがとう!俺、頑張るから!!」
【谷崎】
「ただし、収録日はマネージャーとして俺も同行するからな」
【宮沢】
「うん!潤司が一緒にいれば、俺も安心だね」
そうして、俺と潤司は二人で収録スタジオに向かうこととなったのだった
――収録自体は滞りなく進み、俺の出演した回はしばらく後にオンエアされた
【宮沢】
「うう…やっぱり、改めて見たら緊張してたのバレバレな感じだったね」
【谷崎】
「そうかもしれないが…初めてにしては良くやったと思うぞ」
昨日の夜に潤司と一緒に観た俺は、翌朝の大学に行く途中でも引きずっていた
【宮沢】
「そうかなぁ…でも、シンクロの話が少しでも使われたから、そこは良かったかも」
【谷崎】
「ああ、梶井さんとのやり取りも弾んでいたしな」
【谷崎】
「しかし、あのプロデューサーだけはどうもな……」
潤司はあの時のことを思い出しているかのように、苦い顔をしていた
収録が終わって帰ろうとしたところ、番組プロデューサーに呼び止められたのだ
【プロデューサー】
「君、凄く良かったよー。顔もいい感じだし、このまま芸能界デビューとかしちゃう?」
【谷崎】
「そんなことするはずないだろう。今回だって、シンクロのアピールが出来るからと了承しただけであって」
【プロデューサー】
「マネージャーくんも固いこと言わないでさー。君、デビューしたらすぐに人気出ると思うんだよね」
【宮沢】
「ありがとうございます。でも、大学もあるし…何より、俺の夢はシンクロなんです」
その後もしばらくは引き止められたが、何とかお断りをしてきたのだ
【宮沢】
「まぁ、とりあえず納得してくれたみたいだから大丈夫だよ」
俺がそう言うと、潤司は思い悩むように頷いた
【谷崎】
「そうだな…それよりも、今は心配なことが別にある」
【宮沢】
「心配なこと?それって……」
【???】
「宮沢ー!!昨日の、観たぜ!すげーじゃん、お前」
それって何?と聞く前に、誰かが勢いよくこちらに走ってきたのだった
―第2話―
宮沢が出演した回が、ようやく昨日の夜に放送された
【谷崎】
(あれを観て、変な奴が宮沢に寄ってくる事態にならなけらばいいが…)
しかし、俺の願いは誰かの無粋な大声によって打ち砕かれることとなってしまった
【???】
「宮沢―!!昨日の、観たぜ!すげーじゃん、お前」
【宮沢】
「あ、伊坂くん!うわー、観てくれたの?ありがとう」
【伊坂】
「当たり前じゃん。テレビつけたらお前がいて驚いたっての」
走り寄ってきたのは、同じ講義を取っている友人の伊坂だった
そのせいで、周りの視線が宮沢に向けられている