吉川と交際一年目
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【吉川】
「だったら、こんなに近づかなくても出来るんじゃないすか」
【梶井】
「ああ、ついレッスンに身が入りすぎてしまって」
先輩が眉間にしわを寄せると、梶井さんは楽しそうに笑う
俺は二人のピリピリした雰囲気についていけなくて、これはこれで困ってしまう
【吉川】
「だったら何で宮沢はあんな顔してたんだ!?」
【梶井】
「おや、そんなにお辛そうに見えましたでしょうか」
梶井さんの飄々とした態度に、先輩はますます苛立っている様子だ
【宮沢】
(俺がしっかりしなかったから、二人が喧嘩しちゃってるんだ……!)
俺は自分の不甲斐なさに悲しくなりながら、どうすればいいか分からず狼狽えていた
【梶井】
「……宮沢さんを困らせてしまったようですね。申し訳ありません」
俺の様子に気が付いたのか、梶井さんが申し訳なさそうに俺を見てくる
【宮沢】
「そ、そんな、俺の方こそ、わかりやすい演技指導ができていなかった所為で…」
【梶井】
「宮沢さんが謝ることではないですよ」
俺が梶井さんに頭を下げようとすると、梶井さんは優しく笑ってそう言ってくれた
【吉川】
「チ…!」
【宮沢】
「せ、先輩……?」
【吉川】
「とりあえずその演技指導はもう終わりってことでいいのかよ」
【吉川】
「ええと、あの…」
どう答えて良いか判断が付きかねて、梶井さんの方を窺う
【梶井】
「私は大丈夫ですよ。貴方の指導のおかげで、だいぶコツを掴むことができました」
【宮沢】
「ほんとうですか!それならよかったです!」
梶井さんの言葉に、安堵の気持ちが胸に広がる
【梶井】
「ありがとうございます、宮沢さん」
ほっとして笑顔を見せた俺の手を、梶井さんが両手で包み込むようにして握った
【吉川】
「っ!終わったならいいだろう
宮沢、次は俺の練習に付き合え」
【宮沢】
「あ…ッ痛ぅ」
きつく肩を掴んでひっぱられ、思わずうめき声が漏れてしまった
【吉川】
「わ…悪ぃ」
【梶井】
「ふふ。嫉妬は恋のスパイスとしてかかせませんが、最愛の人を傷つけるのは関心いたしませね」
【吉川】
「……っ!」
カッと、吉川先輩の顔が赤く染まる
【宮沢】
(あ、あれ……なんでいつの間にこんな話に……?)
シンクロの演技指導について話していた筈なのに、会話は思わぬ方向へ進み始めている
なんとかこの場を鎮めなければと、まとまらない頭で思い巡らせていると、吉川先輩が俺をぐっと引き寄せた
【宮沢】
「行くぞ宮沢!」
【吉川】
「え…、よ…吉川先輩!?」
俺の腕を掴んですたすたと歩いていく先輩に、ひきずられるようにしてその場から離れていく
【梶井】
「熱すぎる炎で、宮沢さんを焼いてしまわぬよう、お気を付けて」
背後から、梶井さんのそんな囁きが聞こえた
【吉川】
「……くそっ!」
先輩の耳にも、それが届いたのだろう
悔しそうに吐き捨てた先輩の瞳には、怒りとも悔しさともつかない色が浮かんでいるように見えた
その後ギクシャクしながら練習時間が終わり
モヤモヤした気持ちを抱えながら、翌日のデートを迎えることになった
―第2話―
【宮沢】
「お待たせしました、瑛二先輩」
分前に待ち合わせ場所に行くと、
既に先輩は来ていた
【吉川】
「いや……俺も今来たとこだから」
【宮沢】
(なんか、すごく定番だよな……)
そんな典型的な恋人同士のやり取りに少し笑ってしまうと
先輩は不思議そうな顔をしてこちらを見てきた
【吉川】
「何か変な事でもあったか?」
【宮沢】
「いいえ……行きましょうか!」
何でもないと首を振って、目当てであるショッピングモールるるぽーとに向かう
【吉川】
「……そんなに慌てると転ぶぞ」
【宮沢】
「そ、そうですよね。えへへ……」
何だか自分だけが浮かれているみたいで恥ずかしくなってしまう
【吉川】
「その……時間あるから、ゆっくり行こうぜ」
先輩がそう言って笑うから、昨日のモヤモヤした気持ちも吹き飛んでしまう
【宮沢】
「今日はたくさん楽しみましょうね、瑛二先輩!」
俺は満面の笑みを浮かべて、先輩を見つめる
【吉川】
「……そうだな」
先輩も同じように笑って、二人で並んで歩き始めた
【宮沢】
「うわぁー! すごく広いですね!」
俺はエントランスホールに入ると、そのあまりの大きさに声をあげた
中央部が吹き抜けになっている建物は、とても開放的で賑やかな雰囲気を醸し出している
【吉川】
「あぁ、思ったより店もたくさんあるみたいだしな」
先輩も案内板を見ながら頷く
【宮沢】
「どこから回りましょうか?」
【吉川】
「そうだな……宮沢は行きた
いところあんのか?」
【宮沢】
「お昼はここのフードコートに行きたいんです!」
俺はあることを思い出して、そう口にした
【吉川】
「フーバーダイニングか。まぁ、昼はそこで食うんだろうけど……何かあんのか?」
【宮沢】
「梶井さんがプロデュースしたって伺って、きっと美味しいんだろうなって…」
俺がそう言うと、先輩は途端に無表情になってしまった
【宮沢】
「瑛二先輩? どうかしたんですか?」
その表情に不安になって聞いてみるが、先輩は何でもないというように首を振った
【吉川】
「まだ腹減ってねぇから、後で良いだろ」
「だったら、こんなに近づかなくても出来るんじゃないすか」
【梶井】
「ああ、ついレッスンに身が入りすぎてしまって」
先輩が眉間にしわを寄せると、梶井さんは楽しそうに笑う
俺は二人のピリピリした雰囲気についていけなくて、これはこれで困ってしまう
【吉川】
「だったら何で宮沢はあんな顔してたんだ!?」
【梶井】
「おや、そんなにお辛そうに見えましたでしょうか」
梶井さんの飄々とした態度に、先輩はますます苛立っている様子だ
【宮沢】
(俺がしっかりしなかったから、二人が喧嘩しちゃってるんだ……!)
俺は自分の不甲斐なさに悲しくなりながら、どうすればいいか分からず狼狽えていた
【梶井】
「……宮沢さんを困らせてしまったようですね。申し訳ありません」
俺の様子に気が付いたのか、梶井さんが申し訳なさそうに俺を見てくる
【宮沢】
「そ、そんな、俺の方こそ、わかりやすい演技指導ができていなかった所為で…」
【梶井】
「宮沢さんが謝ることではないですよ」
俺が梶井さんに頭を下げようとすると、梶井さんは優しく笑ってそう言ってくれた
【吉川】
「チ…!」
【宮沢】
「せ、先輩……?」
【吉川】
「とりあえずその演技指導はもう終わりってことでいいのかよ」
【吉川】
「ええと、あの…」
どう答えて良いか判断が付きかねて、梶井さんの方を窺う
【梶井】
「私は大丈夫ですよ。貴方の指導のおかげで、だいぶコツを掴むことができました」
【宮沢】
「ほんとうですか!それならよかったです!」
梶井さんの言葉に、安堵の気持ちが胸に広がる
【梶井】
「ありがとうございます、宮沢さん」
ほっとして笑顔を見せた俺の手を、梶井さんが両手で包み込むようにして握った
【吉川】
「っ!終わったならいいだろう
宮沢、次は俺の練習に付き合え」
【宮沢】
「あ…ッ痛ぅ」
きつく肩を掴んでひっぱられ、思わずうめき声が漏れてしまった
【吉川】
「わ…悪ぃ」
【梶井】
「ふふ。嫉妬は恋のスパイスとしてかかせませんが、最愛の人を傷つけるのは関心いたしませね」
【吉川】
「……っ!」
カッと、吉川先輩の顔が赤く染まる
【宮沢】
(あ、あれ……なんでいつの間にこんな話に……?)
シンクロの演技指導について話していた筈なのに、会話は思わぬ方向へ進み始めている
なんとかこの場を鎮めなければと、まとまらない頭で思い巡らせていると、吉川先輩が俺をぐっと引き寄せた
【宮沢】
「行くぞ宮沢!」
【吉川】
「え…、よ…吉川先輩!?」
俺の腕を掴んですたすたと歩いていく先輩に、ひきずられるようにしてその場から離れていく
【梶井】
「熱すぎる炎で、宮沢さんを焼いてしまわぬよう、お気を付けて」
背後から、梶井さんのそんな囁きが聞こえた
【吉川】
「……くそっ!」
先輩の耳にも、それが届いたのだろう
悔しそうに吐き捨てた先輩の瞳には、怒りとも悔しさともつかない色が浮かんでいるように見えた
その後ギクシャクしながら練習時間が終わり
モヤモヤした気持ちを抱えながら、翌日のデートを迎えることになった
―第2話―
【宮沢】
「お待たせしました、瑛二先輩」
分前に待ち合わせ場所に行くと、
既に先輩は来ていた
【吉川】
「いや……俺も今来たとこだから」
【宮沢】
(なんか、すごく定番だよな……)
そんな典型的な恋人同士のやり取りに少し笑ってしまうと
先輩は不思議そうな顔をしてこちらを見てきた
【吉川】
「何か変な事でもあったか?」
【宮沢】
「いいえ……行きましょうか!」
何でもないと首を振って、目当てであるショッピングモールるるぽーとに向かう
【吉川】
「……そんなに慌てると転ぶぞ」
【宮沢】
「そ、そうですよね。えへへ……」
何だか自分だけが浮かれているみたいで恥ずかしくなってしまう
【吉川】
「その……時間あるから、ゆっくり行こうぜ」
先輩がそう言って笑うから、昨日のモヤモヤした気持ちも吹き飛んでしまう
【宮沢】
「今日はたくさん楽しみましょうね、瑛二先輩!」
俺は満面の笑みを浮かべて、先輩を見つめる
【吉川】
「……そうだな」
先輩も同じように笑って、二人で並んで歩き始めた
【宮沢】
「うわぁー! すごく広いですね!」
俺はエントランスホールに入ると、そのあまりの大きさに声をあげた
中央部が吹き抜けになっている建物は、とても開放的で賑やかな雰囲気を醸し出している
【吉川】
「あぁ、思ったより店もたくさんあるみたいだしな」
先輩も案内板を見ながら頷く
【宮沢】
「どこから回りましょうか?」
【吉川】
「そうだな……宮沢は行きた
いところあんのか?」
【宮沢】
「お昼はここのフードコートに行きたいんです!」
俺はあることを思い出して、そう口にした
【吉川】
「フーバーダイニングか。まぁ、昼はそこで食うんだろうけど……何かあんのか?」
【宮沢】
「梶井さんがプロデュースしたって伺って、きっと美味しいんだろうなって…」
俺がそう言うと、先輩は途端に無表情になってしまった
【宮沢】
「瑛二先輩? どうかしたんですか?」
その表情に不安になって聞いてみるが、先輩は何でもないというように首を振った
【吉川】
「まだ腹減ってねぇから、後で良いだろ」