交際半年 吉川編
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【宮沢】
「…手を繋ぐと、ホントに…デートなんだなって。少し、恥ずかしくて…でも、嬉しいです」
【吉川】
「……ふ。バカな奴」
桃色に染まった頬を、空いているほうの手でつつく
【吉川】
「8つある湧き池、全部回るんだろ?
鴨ばっか見てると日が暮れちまうぞ」
ジワジワジワジワ…
頂点をやや過ぎた太陽が、露出した顔や腕を焼く
【吉川】
「ふー…
まるで真夏だな」
【宮沢】
「吉川先輩。はい、お水
この水すごく美味しいですよ!」
手の甲で額の汗を拭う俺に、先程『飲料OK』と書かれた場所で汲んだ湧水を、宮沢が手渡してくれる
【吉川】
「おう、サンキュ」
ゴクゴクと喉を鳴らして流し込んだそれは、確かに市販のペットボトル飲料よりも、涼やかに身体に沁み渡った
【吉川】
「てかお前も飲んどけ宮沢屋外では想像以上に水分奪われんだからよ」
【宮沢】
「はい!ありがとうございま………」
【宮沢】
「…………!!」
【吉川】
「………ん?」
何故か宮沢の顔が、完熟トマトレベルに赤く染まっている
【吉川】
(……………
……はっ!?)
【吉川】
(そういえば俺、いま無意識に『宮沢』じゃなく『宮沢』って…)
過去に何度か、名前で呼んだことはあった
だがそれは、夜の行為の最中などが殆どで…、こんな風に昼間さらりと呼ぶような事は初めてで…
【吉川】
「…も、もう付き合って半年だろうが
お前もそろそろ、他人行儀な呼び方やめりゃいーんじゃねえか」
気恥ずかしさで目を背けつつもそう言うと
【宮沢】
「……ぇ、え…瑛二…先、輩」
俺よりいっぱいいっぱいな顔をして、消え入りそうな声で、宮沢がそう呼びかけてきた
【吉川】
「はは、『先輩』っつーのはそのままなのな」
【宮沢】
「だって先輩は…俺の尊敬する先輩ですから」
【吉川】
「フ…。なんだそれ」
【吉川】
「―好きだぜ、宮沢」
【宮沢】
「俺も…、えっ瑛二先輩のこと…すきれふっ!」
【吉川】
「なに噛んでんだよ
別に焦って言葉を返す必要もねえから、落ち着け」
言いながらも、宮沢のアホ毛をぴこぴこと弄ぶ
【吉川】
「そろそろ移動するか?
お前、近くの神社も見たいって言ってたろ」
【宮沢】
「そうですね。
………って、あれ?何だか随分、空が暗くなりましたね」
【吉川】
「………言われてみれば、そうだな
一時的に雲で日が陰ったのか?」
―なんて会話をした、矢先
………ゴロゴロゴロゴロ
ド―――ン!!!
ザ―――ッ!!!!
【吉川】
「うおっ!」
【宮沢】
「ひゃあ!」
屋根どころか、木陰さえもない場所での突然の豪雨に、瞬く間に服が濡れていく
【吉川】
(―チ。通り雨かよ
宮沢が濡れちまうじゃねぇか)
バサッ
【宮沢】
「わぷっ!」
即座にパーカーを脱ぎ、宮沢の頭に被せる
【吉川】
「屋根のあるとこまで走るぞ!」
―第3話―
『密室の雨宿り』
―バシャバシャバシャバシャ
【吉川】
「こっちだ!」
数十メートル程先に見える、物置のような小屋へと、宮沢の頭を脇に抱えるようにしながら走る
【吉川】
(頼むから空いててくれよ…!)
ガタガタ!
―ガラッ
【吉川】
「よし!」
運の良いことに、その引き戸には鍵がかかっていなかった
宮沢を先に小屋の中へ入れてから、後ろ手に戸を閉める
―どうやら、久しく使われていない粉挽き小屋のようで、何となく空気が埃っぽい
【吉川】
「結局だいぶ濡れちまったな
寒くないか?宮沢」
【宮沢】
「俺は…吉川先輩がパーカーで覆ってくれて、移動中もずっと庇って下さってましたから…」
まだ慣れない名前呼びは、こういうときすぐに元に戻ってしまう
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない
【吉川】
「庇ったっつっても、パーカーは布だし、腰から下はガードしてやれなかったし、結局濡らしちまったな」
【吉川】
「雲の変化にも気付かねぇで、ぼんやり長話しちまったせいで、悪ぃな…」
雨に濡れてペショリと寝てしまったアホ毛をそっと撫でると、ぷるりと揺れた毛先から…水滴が零れた
【宮沢】
「そんな…!
よ…、瑛二先輩が庇ってくれなかったら、もっとずぶ濡れでした!」
先程呼び方を戻してしまったのを気にしたのか、慌てた様子で言い直しながらも、声を大きくする宮沢【宮沢】
「それに、俺こそ申し訳ありません
パーカーもTシャツもびしょびしょで、先輩が風邪引いちゃったら…」
【吉川】
「!?」
宮沢の瞳に、ジワリと雨以外の水滴が浮かぶ
【吉川】
「―まったく、しょうがねぇなお前は」
【吉川】
「…ンなの脱いで絞っときゃ、雨が止むまでに多少は乾くし、こんな蒸し暑けりゃ風邪なんて引かねぇよ」
ずず…、ぱしゃ……っ
ジャパ―ッ
雨で重たく濡れそぼったTシャツを脱いで絞って、空の木箱の縁に広げて干す
【吉川】
「おら、ソレも貸せ」
続けて、宮沢が大事そうに抱えていたパーカーを受け取ると、同じように絞って、隣に干した
【吉川】
「大体、お前はいちいち気にしすぎなんだよ」
上半身裸の状態で、宮沢の方へと向き直る
「…手を繋ぐと、ホントに…デートなんだなって。少し、恥ずかしくて…でも、嬉しいです」
【吉川】
「……ふ。バカな奴」
桃色に染まった頬を、空いているほうの手でつつく
【吉川】
「8つある湧き池、全部回るんだろ?
鴨ばっか見てると日が暮れちまうぞ」
ジワジワジワジワ…
頂点をやや過ぎた太陽が、露出した顔や腕を焼く
【吉川】
「ふー…
まるで真夏だな」
【宮沢】
「吉川先輩。はい、お水
この水すごく美味しいですよ!」
手の甲で額の汗を拭う俺に、先程『飲料OK』と書かれた場所で汲んだ湧水を、宮沢が手渡してくれる
【吉川】
「おう、サンキュ」
ゴクゴクと喉を鳴らして流し込んだそれは、確かに市販のペットボトル飲料よりも、涼やかに身体に沁み渡った
【吉川】
「てかお前も飲んどけ宮沢屋外では想像以上に水分奪われんだからよ」
【宮沢】
「はい!ありがとうございま………」
【宮沢】
「…………!!」
【吉川】
「………ん?」
何故か宮沢の顔が、完熟トマトレベルに赤く染まっている
【吉川】
(……………
……はっ!?)
【吉川】
(そういえば俺、いま無意識に『宮沢』じゃなく『宮沢』って…)
過去に何度か、名前で呼んだことはあった
だがそれは、夜の行為の最中などが殆どで…、こんな風に昼間さらりと呼ぶような事は初めてで…
【吉川】
「…も、もう付き合って半年だろうが
お前もそろそろ、他人行儀な呼び方やめりゃいーんじゃねえか」
気恥ずかしさで目を背けつつもそう言うと
【宮沢】
「……ぇ、え…瑛二…先、輩」
俺よりいっぱいいっぱいな顔をして、消え入りそうな声で、宮沢がそう呼びかけてきた
【吉川】
「はは、『先輩』っつーのはそのままなのな」
【宮沢】
「だって先輩は…俺の尊敬する先輩ですから」
【吉川】
「フ…。なんだそれ」
【吉川】
「―好きだぜ、宮沢」
【宮沢】
「俺も…、えっ瑛二先輩のこと…すきれふっ!」
【吉川】
「なに噛んでんだよ
別に焦って言葉を返す必要もねえから、落ち着け」
言いながらも、宮沢のアホ毛をぴこぴこと弄ぶ
【吉川】
「そろそろ移動するか?
お前、近くの神社も見たいって言ってたろ」
【宮沢】
「そうですね。
………って、あれ?何だか随分、空が暗くなりましたね」
【吉川】
「………言われてみれば、そうだな
一時的に雲で日が陰ったのか?」
―なんて会話をした、矢先
………ゴロゴロゴロゴロ
ド―――ン!!!
ザ―――ッ!!!!
【吉川】
「うおっ!」
【宮沢】
「ひゃあ!」
屋根どころか、木陰さえもない場所での突然の豪雨に、瞬く間に服が濡れていく
【吉川】
(―チ。通り雨かよ
宮沢が濡れちまうじゃねぇか)
バサッ
【宮沢】
「わぷっ!」
即座にパーカーを脱ぎ、宮沢の頭に被せる
【吉川】
「屋根のあるとこまで走るぞ!」
―第3話―
『密室の雨宿り』
―バシャバシャバシャバシャ
【吉川】
「こっちだ!」
数十メートル程先に見える、物置のような小屋へと、宮沢の頭を脇に抱えるようにしながら走る
【吉川】
(頼むから空いててくれよ…!)
ガタガタ!
―ガラッ
【吉川】
「よし!」
運の良いことに、その引き戸には鍵がかかっていなかった
宮沢を先に小屋の中へ入れてから、後ろ手に戸を閉める
―どうやら、久しく使われていない粉挽き小屋のようで、何となく空気が埃っぽい
【吉川】
「結局だいぶ濡れちまったな
寒くないか?宮沢」
【宮沢】
「俺は…吉川先輩がパーカーで覆ってくれて、移動中もずっと庇って下さってましたから…」
まだ慣れない名前呼びは、こういうときすぐに元に戻ってしまう
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない
【吉川】
「庇ったっつっても、パーカーは布だし、腰から下はガードしてやれなかったし、結局濡らしちまったな」
【吉川】
「雲の変化にも気付かねぇで、ぼんやり長話しちまったせいで、悪ぃな…」
雨に濡れてペショリと寝てしまったアホ毛をそっと撫でると、ぷるりと揺れた毛先から…水滴が零れた
【宮沢】
「そんな…!
よ…、瑛二先輩が庇ってくれなかったら、もっとずぶ濡れでした!」
先程呼び方を戻してしまったのを気にしたのか、慌てた様子で言い直しながらも、声を大きくする宮沢【宮沢】
「それに、俺こそ申し訳ありません
パーカーもTシャツもびしょびしょで、先輩が風邪引いちゃったら…」
【吉川】
「!?」
宮沢の瞳に、ジワリと雨以外の水滴が浮かぶ
【吉川】
「―まったく、しょうがねぇなお前は」
【吉川】
「…ンなの脱いで絞っときゃ、雨が止むまでに多少は乾くし、こんな蒸し暑けりゃ風邪なんて引かねぇよ」
ずず…、ぱしゃ……っ
ジャパ―ッ
雨で重たく濡れそぼったTシャツを脱いで絞って、空の木箱の縁に広げて干す
【吉川】
「おら、ソレも貸せ」
続けて、宮沢が大事そうに抱えていたパーカーを受け取ると、同じように絞って、隣に干した
【吉川】
「大体、お前はいちいち気にしすぎなんだよ」
上半身裸の状態で、宮沢の方へと向き直る