志賀と交際一年目
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【井上】
「てめえこのクソ鮎次!!」
賑やかな声が、曇っていた心にほのかな光を与えてくれる
【宮沢】
(ほんと、皆に心配かけてばかりでダメだな…俺)
【宮沢】
(ちゃんと、直径さんとも吉川先輩とも話し合わなきゃ…!)
あの後…気を取り直してレッスン再開し、皆の協力もあって最後までこなすことができた
【宮沢】
(だけど助教と吉川先輩にはまだ溝が出来たままだ。俺がなんとかしないと)
とりあえずいまは閉館作業がある
帰ってからじっくり考えて、2人の歩み寄りのきっかけとなる策を練ろう
そんな考えを胸に、メンバー皆を見送っていると、吉川先輩が近づいてきた
【吉川】
「宮沢、少し時間あるか?」
【宮沢】
「はい大丈夫です。それと、本当に今日はすみませんでした」
吉川先輩は俺の言葉に小さく首を振ると、少しだけ言いにくそうな顔をして口を開いた
【吉川】
「お前さ…本当にあいつでいいのかよ?」
【宮沢】
「……え?」
俺の曖昧な言い方に、吉川先輩は眉間にしわを寄せてため息を吐いた
【吉川】
「正直、お前があいつに振り回されてんのが、いい状況には思えねえ」
【宮沢】
「いえ!志賀助教は悪くありません。今回の事だって、俺が頼りないのが原因で…」
確かに、直径さんの突飛な行動に戸惑いがないわけではない
だけどそれには全てに理由があって、そして俺の事を大事にしてくれているのが伝わってくる
―しかし。俺の答えに、吉川先輩は埒が明かないといった様子で首を振った
【吉川】
「お前が幸せならって思ってたけど、あいつがお前を幸せに出来るとは思えねぇよ」
【宮沢】
「吉川先輩…」
真剣な表情の吉川先輩に見つめられ、戸惑った刹那
【志賀】
「そのようなことを言われる筋合いはどこにもない」
後ろからの声と同時に、腕を強く引き寄せられた
【宮沢】
「……志賀助教!!」
驚いて顔を上げると、助教は不機嫌そうに舌打ちをして俺のことを抱き上げた
【志賀】
「貴様も何も分かっていないようだな」
【宮沢】
「え、ぅわ……!ま、待ってください」
助教は俺の言葉に聞く耳を持たない様子で、ズンズンとそのまま外の方へ歩いていく
【吉川】
「宮沢を振り回すのもいい加減にしろよ!」
【志賀】
「貴様には関係がないと言ったはずだ」
吉川先輩が腕を掴むも、振り向きもせずに振り払って進み続ける
【宮沢】
(こ、こんなに激怒した直径さん…初めて見たよ……)
そして俺は、行先も分からない車に乗せられたのだった
―第3話―
【宮沢】
(専用ラウンジなんて、初めて来たよ…)
俺は今、直径さんに連れられて国際空港のファーストクラス専用ラウンジのソファーに座っていた
先ほど車の中でどこかに電話をしていたのだが、どうやら飛行機の手配をしていたらしい
【志賀】
『一番早い便で2席取っておけ』
その一言で手配出来てしまうなんて、流石だと感心してしまう
【宮沢】
(行先を聞きたいけど、そんな雰囲気じゃないよな…)
ピリピリとした直径さんを恐る恐る見ると、不意に立ち上がった
【志賀】
「そろそろ搭乗開始だ。準備しておけ」
【宮沢】
「は、はい…!」
いつにも増して不機嫌な直径さんに緊張しつつも、渡された航空券とパスポートを確認する
俺の部屋にあったはずのパスポートは、何故か空港で待っていた志賀家の執事から手渡されたのだ
【宮沢】
(もう…深く考えるのは、やめようかな……)
俺は遠い目をしながら、直径さんに手を取られて搭乗ゲートに向かったのだった
【宮沢】
「フィンランド……?」
【志賀】
「ああ、ラップランドへ行く」
時間ほど飛行機に乗って降り立っ
た先は、驚きで思わず棒読みになってしまうほどの場所だった
【宮沢】
(飛行機の中で服を脱がされたのは驚いたけど、こういうことか…)
先ほど飛行機の中で、上から下まで全て冬のように温かい格好に着替えさせられたのだ
しかも、その最中にも身体の至る所を刺激され、声を抑えるのに必死になっていた
【宮沢】
(ファーストクラスで人目にあんまりつかないからって、もう……っ)
実を言うと2回ほど直径さんの手に吐精してしまい、その後気を失っていたので周りの反応はわからない
【宮沢】
(それにしても、やっぱりコレはいきなりすぎるよ…!)
思い出して顔を赤くしながら若干憤っていると、直径さんに肩を抱かれた
【志賀】
「何をもたもたしている、行くぞ」
【宮沢】
「ま、待ってください!いったいどういうことですか!?」
我慢しきれずに直径さんに問い質すと、舌打ちをしつつも答えてくれた
【志賀】
「誰もいないところに貴様を連れてくる必要があった」
【宮沢】
「ど、どうして……」
【志賀】
「…………」
答えは何も返ってこないまま、しばらくすると今度は車に乗せられてしまった
【宮沢】
(これもいつの間に手配したんだろう…見るからに高級車だし…)
自ら運転している直径さんの横顔を見て、俺はそっとため息を吐いた
【宮沢】
(直径さんは俺のことをいつも考えてくれてるって信じたいけど……)
その心とは裏腹に、何を考えているのか分からなくて不安になってしまう自分がいて、
俺はどうにも悲しくなって窓の外ばかりを見つめていたのだった
いつの間にか寝てしまっていた俺は、肌を刺すような冷たさに目が覚めた
【宮沢】
「んんっ…さ、寒い……!!」
【志賀】
「もう少し厚着を用意すれば良かったか。すぐに小屋につくから我慢しろ」
ギュッと身を縮こまらせると、直径さんの腕に抱かれて運ばれているのに気が付いた
【宮沢】
「えっ…す、すみません!あの、自分で歩けますから…っ」
【志賀】
「こんな足元の不安定な場所、貴様に歩かせるわけにはいかないだろう」
ザクザクと踏みしめる雪の音に、慌てて辺りを見渡す
薄っすらと雪が積もった森の中のようだが、既に日も暮れていて視界も悪い
【宮沢】
(多分、とんでもなく遠いところまで来ちゃったんだよな……)
聞こえてくるのは直径さんの足音と二人の息遣いだけで、それ以外には何の物音もない
「てめえこのクソ鮎次!!」
賑やかな声が、曇っていた心にほのかな光を与えてくれる
【宮沢】
(ほんと、皆に心配かけてばかりでダメだな…俺)
【宮沢】
(ちゃんと、直径さんとも吉川先輩とも話し合わなきゃ…!)
あの後…気を取り直してレッスン再開し、皆の協力もあって最後までこなすことができた
【宮沢】
(だけど助教と吉川先輩にはまだ溝が出来たままだ。俺がなんとかしないと)
とりあえずいまは閉館作業がある
帰ってからじっくり考えて、2人の歩み寄りのきっかけとなる策を練ろう
そんな考えを胸に、メンバー皆を見送っていると、吉川先輩が近づいてきた
【吉川】
「宮沢、少し時間あるか?」
【宮沢】
「はい大丈夫です。それと、本当に今日はすみませんでした」
吉川先輩は俺の言葉に小さく首を振ると、少しだけ言いにくそうな顔をして口を開いた
【吉川】
「お前さ…本当にあいつでいいのかよ?」
【宮沢】
「……え?」
俺の曖昧な言い方に、吉川先輩は眉間にしわを寄せてため息を吐いた
【吉川】
「正直、お前があいつに振り回されてんのが、いい状況には思えねえ」
【宮沢】
「いえ!志賀助教は悪くありません。今回の事だって、俺が頼りないのが原因で…」
確かに、直径さんの突飛な行動に戸惑いがないわけではない
だけどそれには全てに理由があって、そして俺の事を大事にしてくれているのが伝わってくる
―しかし。俺の答えに、吉川先輩は埒が明かないといった様子で首を振った
【吉川】
「お前が幸せならって思ってたけど、あいつがお前を幸せに出来るとは思えねぇよ」
【宮沢】
「吉川先輩…」
真剣な表情の吉川先輩に見つめられ、戸惑った刹那
【志賀】
「そのようなことを言われる筋合いはどこにもない」
後ろからの声と同時に、腕を強く引き寄せられた
【宮沢】
「……志賀助教!!」
驚いて顔を上げると、助教は不機嫌そうに舌打ちをして俺のことを抱き上げた
【志賀】
「貴様も何も分かっていないようだな」
【宮沢】
「え、ぅわ……!ま、待ってください」
助教は俺の言葉に聞く耳を持たない様子で、ズンズンとそのまま外の方へ歩いていく
【吉川】
「宮沢を振り回すのもいい加減にしろよ!」
【志賀】
「貴様には関係がないと言ったはずだ」
吉川先輩が腕を掴むも、振り向きもせずに振り払って進み続ける
【宮沢】
(こ、こんなに激怒した直径さん…初めて見たよ……)
そして俺は、行先も分からない車に乗せられたのだった
―第3話―
【宮沢】
(専用ラウンジなんて、初めて来たよ…)
俺は今、直径さんに連れられて国際空港のファーストクラス専用ラウンジのソファーに座っていた
先ほど車の中でどこかに電話をしていたのだが、どうやら飛行機の手配をしていたらしい
【志賀】
『一番早い便で2席取っておけ』
その一言で手配出来てしまうなんて、流石だと感心してしまう
【宮沢】
(行先を聞きたいけど、そんな雰囲気じゃないよな…)
ピリピリとした直径さんを恐る恐る見ると、不意に立ち上がった
【志賀】
「そろそろ搭乗開始だ。準備しておけ」
【宮沢】
「は、はい…!」
いつにも増して不機嫌な直径さんに緊張しつつも、渡された航空券とパスポートを確認する
俺の部屋にあったはずのパスポートは、何故か空港で待っていた志賀家の執事から手渡されたのだ
【宮沢】
(もう…深く考えるのは、やめようかな……)
俺は遠い目をしながら、直径さんに手を取られて搭乗ゲートに向かったのだった
【宮沢】
「フィンランド……?」
【志賀】
「ああ、ラップランドへ行く」
時間ほど飛行機に乗って降り立っ
た先は、驚きで思わず棒読みになってしまうほどの場所だった
【宮沢】
(飛行機の中で服を脱がされたのは驚いたけど、こういうことか…)
先ほど飛行機の中で、上から下まで全て冬のように温かい格好に着替えさせられたのだ
しかも、その最中にも身体の至る所を刺激され、声を抑えるのに必死になっていた
【宮沢】
(ファーストクラスで人目にあんまりつかないからって、もう……っ)
実を言うと2回ほど直径さんの手に吐精してしまい、その後気を失っていたので周りの反応はわからない
【宮沢】
(それにしても、やっぱりコレはいきなりすぎるよ…!)
思い出して顔を赤くしながら若干憤っていると、直径さんに肩を抱かれた
【志賀】
「何をもたもたしている、行くぞ」
【宮沢】
「ま、待ってください!いったいどういうことですか!?」
我慢しきれずに直径さんに問い質すと、舌打ちをしつつも答えてくれた
【志賀】
「誰もいないところに貴様を連れてくる必要があった」
【宮沢】
「ど、どうして……」
【志賀】
「…………」
答えは何も返ってこないまま、しばらくすると今度は車に乗せられてしまった
【宮沢】
(これもいつの間に手配したんだろう…見るからに高級車だし…)
自ら運転している直径さんの横顔を見て、俺はそっとため息を吐いた
【宮沢】
(直径さんは俺のことをいつも考えてくれてるって信じたいけど……)
その心とは裏腹に、何を考えているのか分からなくて不安になってしまう自分がいて、
俺はどうにも悲しくなって窓の外ばかりを見つめていたのだった
いつの間にか寝てしまっていた俺は、肌を刺すような冷たさに目が覚めた
【宮沢】
「んんっ…さ、寒い……!!」
【志賀】
「もう少し厚着を用意すれば良かったか。すぐに小屋につくから我慢しろ」
ギュッと身を縮こまらせると、直径さんの腕に抱かれて運ばれているのに気が付いた
【宮沢】
「えっ…す、すみません!あの、自分で歩けますから…っ」
【志賀】
「こんな足元の不安定な場所、貴様に歩かせるわけにはいかないだろう」
ザクザクと踏みしめる雪の音に、慌てて辺りを見渡す
薄っすらと雪が積もった森の中のようだが、既に日も暮れていて視界も悪い
【宮沢】
(多分、とんでもなく遠いところまで来ちゃったんだよな……)
聞こえてくるのは直径さんの足音と二人の息遣いだけで、それ以外には何の物音もない