交際半年 志賀編
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【宮沢】
「あ、あのう志賀助きょ……」
【志賀】
「……………」
助教の鋭い一瞥が、俺を射抜く
【宮沢】
「…………な、直径さん」
無言で睨む時は、呼び間違えた時だ
さながら犬の躾のように、俺はそれを身に染みて覚え込まされた
【志賀】
「うむ。何だ」
【宮沢】
「バイトに行く時間ですので…
そろそろ離していただけましたら、とてもありがたいです」
【志賀】
「バイトか、ならば致し方あるまい」
志賀……もとい直径さんの手が、俺の胴体から離れる
【宮沢】
「あ、ありがとうございます」
よろよろと裸の身体を起こし、上着へと手を伸ばした―その時
ガシッ!
【志賀】
「―待て」
【宮沢】
「ひやぁい!!」
【志賀】
「俺が着せる
勝手に服を着るな」
【宮沢】
「…………はい」
素直に手を引き、直径さんに従う
―だって、そうしないとお説教タイムに突入して、バイトに遅れてしまうのは明白だったから
―直径さんとお付き合いを始めて半年
ようやく俺は、直径さんの突飛で不可解に思える言動を、少しずつ理解し始めていた
………………たぶん
【志賀】
「では行くぞ
来い」
【宮沢】
「い…行くって、し……じゃなかった、直径さんはどちらかにお出掛けですか」
【志賀】
「…貴様はつくづく巡りが悪いな
俺も共に行くに決まっているであろう」
【宮沢】
「いや、それは決まっていないかと」
!!??
【宮沢】
「いえ、ご一緒してくださって嬉しいです」
【志賀】
「うむ!
それでは車まで運んでやろう」
【宮沢】
「………―は?」
―ひょい
【宮沢】
「ああっ!また…」
直径さんの小脇に抱え上げられ、じたばたと手足を動かす
【志賀】
「いちいち煩い奴だ
貴様には順応という概念はないのか」
【宮沢】
「このシチュエーションに慣れろと言われましても、難しいです…」
―お付き合いが始まって以来
人きりのときは、移動の度に直径さ
んに抱えられるのが日常になっていた
付き合う前から度々抱えられてはいたが、今では毎回だ……
【宮沢】
「どうしてこんな…」
ここ数ヶ月持ち続けていた疑問が、つい口から漏れる
勿論、その発言が聞き漏らされることはなかった
【志賀】
「―貴様の脚は泳ぐためにある」
【宮沢】
「………え」
【志賀】
「数年前に完治したとはいえ、脚の怪我は尾を引くし、全くの元通りという訳にはいかない」
【志賀】
「貴様は泳ぐのが何より好きだったのだろう。故に今もプールが捨てられずにいる……」
めずらしく歯切れ悪く言葉を濁し、直径さんが瞳を曇らせた
【志賀】
「陸上での貴様の身体管理は、主人である俺が取り仕切る」
【志賀】
「貴様は黙ってシンクロに専念するがいい」
【宮沢】
「あ…ありがとうございます」
【志賀】
「まったく、それくらい説明されずとも、自ずと感じ取ればいいものを。自分の身体のことであろうが」
【宮沢】
「未熟で申し訳ないです…」
……助教の突飛と思える行動には、いつでも全て理由がある
そしてそれは大抵、とても深い思いやりに満ちているのだ
【宮沢】
(助教の事、分かってきたつもりで
まだまだ全然だなあ……)
腰を抱えられて、ぶらぶらと手足を揺らしながら運ばれつつも、そんなことを考える
【宮沢】
「―助教、ありがとうございます」
【志賀】
「……………」
【宮沢】
「―直径さん
ありがとうございます」
【志賀】
「うむ」
―第1話―
『花嫁宮沢』
【宮沢】
「それじゃ、今日のレッスンは終わりです!」
【子供たち】
「はーい!宮沢コーチ、ありがとうございました!」
【宮沢】
「どういたしまして」
【宮沢】
「最近涼しくなってきたから、ちゃんと髪の毛乾かしてから帰ってくださいね」
【子供たち】
「はーい!」
元気に挨拶をして、トコトコと更衣室へ向かうキッズクラスの生徒たちの背中を見送る
―しかし
【人残った子】
「……あの、宮沢コーチ」
【宮沢】
「ん?どうしたの」
生徒の1人であるイズミくんが、俺の水着の裾を掴んでじっと顔を見上げていた
イズミくんは少し大人しいけれど、飲み込みが早くてクロールが得意な子だ
双子でスクールに通っているのだが、兄のイズルくんは背泳ぎが得意なしっかりした印象の子だ
【イズミ】
「…コーチは、お嫁さんなんですか?」
【宮沢】
「…………え?」
「あ、あのう志賀助きょ……」
【志賀】
「……………」
助教の鋭い一瞥が、俺を射抜く
【宮沢】
「…………な、直径さん」
無言で睨む時は、呼び間違えた時だ
さながら犬の躾のように、俺はそれを身に染みて覚え込まされた
【志賀】
「うむ。何だ」
【宮沢】
「バイトに行く時間ですので…
そろそろ離していただけましたら、とてもありがたいです」
【志賀】
「バイトか、ならば致し方あるまい」
志賀……もとい直径さんの手が、俺の胴体から離れる
【宮沢】
「あ、ありがとうございます」
よろよろと裸の身体を起こし、上着へと手を伸ばした―その時
ガシッ!
【志賀】
「―待て」
【宮沢】
「ひやぁい!!」
【志賀】
「俺が着せる
勝手に服を着るな」
【宮沢】
「…………はい」
素直に手を引き、直径さんに従う
―だって、そうしないとお説教タイムに突入して、バイトに遅れてしまうのは明白だったから
―直径さんとお付き合いを始めて半年
ようやく俺は、直径さんの突飛で不可解に思える言動を、少しずつ理解し始めていた
………………たぶん
【志賀】
「では行くぞ
来い」
【宮沢】
「い…行くって、し……じゃなかった、直径さんはどちらかにお出掛けですか」
【志賀】
「…貴様はつくづく巡りが悪いな
俺も共に行くに決まっているであろう」
【宮沢】
「いや、それは決まっていないかと」
!!??
【宮沢】
「いえ、ご一緒してくださって嬉しいです」
【志賀】
「うむ!
それでは車まで運んでやろう」
【宮沢】
「………―は?」
―ひょい
【宮沢】
「ああっ!また…」
直径さんの小脇に抱え上げられ、じたばたと手足を動かす
【志賀】
「いちいち煩い奴だ
貴様には順応という概念はないのか」
【宮沢】
「このシチュエーションに慣れろと言われましても、難しいです…」
―お付き合いが始まって以来
人きりのときは、移動の度に直径さ
んに抱えられるのが日常になっていた
付き合う前から度々抱えられてはいたが、今では毎回だ……
【宮沢】
「どうしてこんな…」
ここ数ヶ月持ち続けていた疑問が、つい口から漏れる
勿論、その発言が聞き漏らされることはなかった
【志賀】
「―貴様の脚は泳ぐためにある」
【宮沢】
「………え」
【志賀】
「数年前に完治したとはいえ、脚の怪我は尾を引くし、全くの元通りという訳にはいかない」
【志賀】
「貴様は泳ぐのが何より好きだったのだろう。故に今もプールが捨てられずにいる……」
めずらしく歯切れ悪く言葉を濁し、直径さんが瞳を曇らせた
【志賀】
「陸上での貴様の身体管理は、主人である俺が取り仕切る」
【志賀】
「貴様は黙ってシンクロに専念するがいい」
【宮沢】
「あ…ありがとうございます」
【志賀】
「まったく、それくらい説明されずとも、自ずと感じ取ればいいものを。自分の身体のことであろうが」
【宮沢】
「未熟で申し訳ないです…」
……助教の突飛と思える行動には、いつでも全て理由がある
そしてそれは大抵、とても深い思いやりに満ちているのだ
【宮沢】
(助教の事、分かってきたつもりで
まだまだ全然だなあ……)
腰を抱えられて、ぶらぶらと手足を揺らしながら運ばれつつも、そんなことを考える
【宮沢】
「―助教、ありがとうございます」
【志賀】
「……………」
【宮沢】
「―直径さん
ありがとうございます」
【志賀】
「うむ」
―第1話―
『花嫁宮沢』
【宮沢】
「それじゃ、今日のレッスンは終わりです!」
【子供たち】
「はーい!宮沢コーチ、ありがとうございました!」
【宮沢】
「どういたしまして」
【宮沢】
「最近涼しくなってきたから、ちゃんと髪の毛乾かしてから帰ってくださいね」
【子供たち】
「はーい!」
元気に挨拶をして、トコトコと更衣室へ向かうキッズクラスの生徒たちの背中を見送る
―しかし
【人残った子】
「……あの、宮沢コーチ」
【宮沢】
「ん?どうしたの」
生徒の1人であるイズミくんが、俺の水着の裾を掴んでじっと顔を見上げていた
イズミくんは少し大人しいけれど、飲み込みが早くてクロールが得意な子だ
双子でスクールに通っているのだが、兄のイズルくんは背泳ぎが得意なしっかりした印象の子だ
【イズミ】
「…コーチは、お嫁さんなんですか?」
【宮沢】
「…………え?」